『吸血鬼魔王を倒した勇者』
俺様こと勇者は、ついに吸血鬼の魔王を倒した。長年の苦難と訓練、そして数えきれないほどの犠牲の末に、ようやくだ。
「やったぞ!」
俺は両手を挙げて勝利の雄叫びを上げた。しかし、その歓喜もつかの間。
魔王が、血まみれの唇を歪ませて笑った。
「ふふふ…私を倒した褒美に呪いをお前に与えてやる」
「なに!?」
俺は身構えたが、魔王はただ笑い続けるだけだった。そして、その笑い声とともに、魔王の体は塵となって消えていった。
「く!」
俺は呪いの効果を恐れて目を閉じた。しかし…何も起こらない。
「ふん、どうせ死に際の戯言だったんだろう」
そう言い聞かせながら、俺は凱旋の途につく。道中、呪いの影響かもしれないと思いながら、自分の体を念入りにチェックした。しかし、何も変わった様子はない。
「魔王の呪いとは一体なんだったんだ?」
そんな疑問を抱きながら、ようやく俺は街に到着した。
「おお、勇者様!」
入城するや否や、一人の商人が声をかけてきた。俺は思わず目を疑った。その商人の姿が、まるで吸血鬼のように見えたからだ。
「な、なんだ!?」
俺は剣に手をかけたが、商人は何食わぬ顔で近づいてくる。
「魔王を倒したんですね!さすが勇者様!」
「お、おう…」
俺が困惑していると、商人は大声で叫んだ。
「みんな!勇者様が魔王を倒したぞ!」
その声に呼応するように、街中から人々が集まってきた。しかし、俺の目には、彼らの姿がことごとく吸血鬼に見える。赤い目、鋭い牙、蒼白い肌…
(これが呪いなのか…)
俺は愕然とした。魔王の呪いは、俺の目を狂わせたのだ。これからずっと、すべての人間が吸血鬼に見えてしまう。
歓声を上げる市民たちを前に、俺は苦笑いを浮かべた。
「ありがとう、みんな。魔王は確かに倒した。だが…どうやら俺にも代償があったようだ」
誰も俺の言葉の真意を理解できない。彼らには、俺が栄光に酔いしれた英雄にしか見えないのだろう。
そう、俺は英雄だ。吸血鬼たちに囲まれた、吸血鬼殺しの英雄なのだ。
こうして、俺の新たな冒険が始まった。吸血鬼だらけの世界で、正気を保ち続ける冒険が…。
プロンプト
「場所は異世界。俺は勇者。ついに吸血鬼の魔王を倒した。「やったぞ!」。そのとき、魔王が笑いながら「私を倒した褒美に呪いをお前に与えてやる」。私は魔王に呪いをかけられた。「く!」。しかしなんともない。私は街へ帰る途中もなにも変化がないことを不思議に思う。「魔王の呪いとは一体なんだったんだ」。私は街に入る。「おお、勇者様」。商人が話しかけてきた。その商人は吸血鬼みたいなみためだった。私は身構えるが商人は無防備に近づいてくる。「魔王を倒したんですね!」。「お、おう」。「みんな!勇者様が魔王を倒したぞ!」。商人が言うと街のみんなが集まってきた。しかし、だれもかれも吸血鬼に見える。(これが呪いなのか…)。このプロットを元にシニカルコメディ短編小説を書きましょう。」