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「吸血鬼アイドルグループ『BLOODY MOON』」

 

 東京の夜景が輝く平成初期。私、吸血鬼の玄野くろの今宵(こよい)も獲物を求めて街をさまよっていた。


「はぁ...またか」


 人間の血を啜る音が静寂を破る。しかし、その味わいにも既に飽きていた。永遠の命を持つ吸血鬼にとって、マンネリ化は避けられない宿命なのかもしれない。


 ふと、閃いた。


「よし、今夜は鬼ごっこだ!」


 逃げ惑う人間を追いかける。恐怖に歪む顔、震える声、必死の形相。それらを楽しみながら、最後に血を啜る。新鮮な刺激に、久しぶりに心が躍った。


「俺はヴァンパイア、まじ最強!」


 思わず歌い出す。その歌声は、まるでリサイタルのように響き渡った。


「おい、あんた。俺と一緒にてっぺん目指さねえか?」


 振り向くと、派手な服を着た男女がいた。男はピアスだらけで、女はミニスカートにブーツ。典型的な90年代のイケイケファッションだ。


「何言ってんだ?」


「お前の歌声、最高だぜ。俺たちと組まねえか?ダンスボーカルグループ作って、メジャーデビューしようぜ!」


 正気か?と言いたかったが、ふと考えた。人間の血を吸うだけの生活に飽きていたのは事実だ。それに、アイドルになれば大勢の人間から追いかけられる。これぞ究極の鬼ごっこではないか。


「...やってやろうじゃねえか」


 こうして、吸血鬼アイドルグループ「BLOODY MOON」が誕生した。


 練習は地獄だった。日中は眠らざるを得ない私のために、二人は夜通し付き合ってくれた。歌とダンスの練習に明け暮れる日々。時には喧嘩もした。しかし、三人の絆は次第に深まっていった。


 デビュー日、ステージに立つ私たち。スポットライトを浴びながら、私は歌い、踊る。


 ♪ 闇に響く 鼓動の音

  赤い月に 誓いを立てる

  永遠とわの愛を 捧げよう ♪


 観客は熱狂する。その熱気に、私は酔いしれた。血の味よりも甘美な、アイドルの喜びを知った瞬間だった。


 しかし、この幸せは長くは続かなかった。


 ある日のリハーサル。私は不覚にも日光を浴びてしまい、吸血鬼としての正体を現してしまった。メンバーは驚愕し、恐怖に怯えた。


「お前...本当に吸血鬼だったのか」


 彼らの目に映る私は、もはやかけがえのないパートナーではなく、ただの化け物だった。


 しかし、意外な言葉が返ってきた。


「...だからって何だってんだよ!お前は俺たちの仲間だ!」


 彼らは私を受け入れてくれた。人間と吸血鬼。種族を超えた友情が、そこにはあった。


 それからというもの、「BLOODY MOON」の人気は加速度的に上昇した。吸血鬼の正体がバレたことで、むしろオカルトファンの心をつかんだのだ。


 今では、私たちのコンサートでは「本物の吸血行為」まで披露している。もちろん、これはただの演出だ。私はもう、人間の血など吸わない。


 ステージの上で歌い、踊り、ファンの歓声を浴びる。それが、私の新たな「生き血」となったのだから。


プロンプト

「場所は東京。時代は平成になって間もない。私は吸血鬼。夜の帝王。今日も人間の生き血を吸う。しかし、最近マンネリ化してきた。私はふと鬼ごっこを提案することを思いつく、逃げ惑う人間を狩る。血を吸うだけではなく恐怖の顔を楽しめる。「俺はヴァンパイア、まじ最強!」。思わず、リサイタルな雰囲気で歌い始める。「おい、あんた。俺と一緒にてっぺん目指さねえか?」。振り向くと、イケイケな恰好をしている男とイケイケな恰好をしている女がいた。こうして俺はこいつらとダンスボーカルグループを組んでメジャーデビューをした。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」

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