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『治験帰り』~変態を経て目覚める~

 

 東京の片隅、満月の夜。俺こと鈴木拓也は、またしても治験のはしごに精を出していた。大学生活も終わりに近づき、バイトと学費の板挟みに喘ぐ日々。奨学金返済。足りない金。治験という名の人体実験に身を投じるしかない。


「ふう、治験のはしごはキツイぜ」


 俺は溜息をつきながら、夜の街を歩く。薬の併用を黙っているのも楽じゃない。でも、金のためなら何でもやる。そんな覚悟だった。


 空を見上げると、満月が(あや)しく輝いている。


「満月が綺麗だぜ」


 その瞬間だった。激痛が全身を走る。


「うっ!」


 路地裏に逃げ込んだ俺は、身もだえしながら地面にうずくまる。痛みが引いたあと、なんとなく体が軽くなった気がした。ポケットからスマホを取り出し、自撮りモードで顔を確認する。


「え?」


 驚愕の声が漏れる。色白で赤い目、そして鋭い牙。


「まるで吸血鬼みたいだ」


 現実を受け入れられない。そして、喉の渇きが俺を襲う。


「なんだか、無性に喉が渇いてきた」


 持っていたペットボトルの水を一気に飲み干す。


「オエエエエエ」


 吐き気を催すほどの不味さ。水分を受け付けない体。どうしてしまったんだ。


 そのとき、悲鳴が聞こえた。


「痛い!」


 声のする方を見ると、派手な格好の女性が転んでいた。膝をすりむいて、血が滲んでいる。その匂いが遠くからでもわかる。香ばしい鉄っぽさが混じった肉の匂い。俺の中の何かが目覚めた。


「大丈夫ですか?」


 紳士的に声をかける。でも、その裏で俺の牙が疼いていた。


「大丈夫です」


 女は素っ気ない態度で答える。顔も見向きもしない。


 この仕打ちに、俺の中の何かが切れた。優しくしてやったのに、なんだこの態度は。俺はイケメンでもないし金持ちでもない。でも、そんなの関係ないじゃないか。


 ...懲らしめてやる。


「お姉さん、俺と鬼ごっこでもしませんか」


 不適切な言葉が口をついて出る。女が顔を上げ、俺をまじまじと見つめた瞬間、血の気が引いた顔をした。


「き、きゃあああああ!」


 女は悲鳴を上げて逃げ出す。


「フフフフフ、ハハハハハ」


 夜の街に響く女性の悲鳴。そして、それを追いかける俺の足音。


 この夜、東京の片隅で、ひとりの貧乏大学生が吸血鬼になった。

プロンプト

「場所は東京。「ふう、治験のはしごはキツイぜ」。俺は治験をはしごする限界大学生。薬の併用を黙っているのも楽ではない。「満月が綺麗だぜ」。そのときだった。身体の異変を感じる。路地裏で身もだえする。身体の異変が収まってスマホで顔を見ると、色白で赤い目、牙は鋭い。「まるで吸血鬼みたいだ」。夜中に吸血鬼になった俺。「なんだか、無性に喉が渇いてきた」。俺は持っていた水を飲む。「オエエエエエ」。酷い味がする。「痛い!」。声のするほうを見ると、派手な格好の女性が転んでけがをしていた。膝をすりむいて足から血が出ている。その匂いが遠くても分かる。もう我慢できん。「大丈夫ですか?」。俺は警戒されないように紳士的に声をかける。「大丈夫です」。女は素っ気ない態度だ。俺がイケメンでも金持ちでもないからか。無性にイライラしてきた。優しくしてやったのにこんな態度なんて。そして、俺は意地悪を思いつく。「お姉さん、俺と鬼ごっこでもしませんか」。「なに、アンタまじ無理」。女が俺の顔をまじまじと見つめた瞬間、血の気が引いた顔をした。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」

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