『ガラスの中の小人』
西暦1650年、ドイツのとある寒村。
錬金術師ヨハンは、長年の夢だった「ホムンクルス」の創造に成功した。ガラス瓶の中で、わずか10センチほどの小さな人間が誕生したのだ。ヨハンは興奮のあまり、助手のフリッツに酒を振る舞った。
「見たか、フリッツ! 我々は神の領域に足を踏み入れたのだ!」
しかし、酔っ払ったフリッツは不注意にもガラス瓶を落としてしまう。
「師匠! すみません! 私が...」
フリッツが謝罪の言葉を口にする間にも、小さな人影が床を這いずり回っていた。慌てて捕まえようとしたフリッツだが、割れたガラスで指を切ってしまう。
「いてっ!」
その瞬間、小さな人影がフリッツの指に飛びついた。みるみるうちに人間サイズまで成長し、赤い目をギラつかせる怪物と化す。
「血...もっと血を...」
「や、やめろ! 師匠、助けて!」
ヨハンは震える手で猛毒の入った小瓶を取り出す。が、怪物はそれをはたき落とすと、二人に向かって牙をむいた。
「お前たちの血で、この体を完成させてやる」
ヨハンとフリッツは悲鳴を上げながら夜の街へ逃げ出した。怪物は執拗に追いかけてくる。
「くそっ、なぜあんな失敗作が...」とヨハンは喘ぎながら走った。
「師匠、あいつの弱点は何ですか?」フリッツが叫ぶ。
「さあな! 私にも分からん!」
二人は教会に逃げ込むが、怪物は十字架など物ともせずに突進してくる。
「聖なるものは効かんのか!」とヨハンは絶望的になる。
街中を逃げ回る二人。その間にも怪物は町人たちの血を吸い、さらに強くなっていく。
夜が明けかけたころ、二人は塔の上に追い詰められていた。
「もう終わりだ...」とヨハンがつぶやく。
その時、朝日が地平線から顔を出した。怪物の体が急に蒸発し始める。
「ぎゃあああーっ!」
怪物は灰となって風に散った。
「そうか! 奴は光を...」
ヨハンの言葉を遮るように、フリッツが叫んだ。
「日光が弱点なんですね! 暗い部屋で作ったから!」
ヨハンは呆れた表情でフリッツを見つめた。
「お前な...まあいいか」
二人は疲れ果てながらも、朝日を浴びて笑い合うのだった。
その日以来、ヨハンの研究室には大きな窓が取り付けられた。そして、ガラス瓶の中の小さな人影たちは、毎日日光浴をさせられることになったのである。
プロンプト
「場所は昔の西洋。ある錬金術師はガラスの中で小人を作る。ある日、助手がガラスを割って小人を逃がしてしまった。そのとき、助手がガラスで指を切ってしまった。助手の血を飲んだ小人はみるみるうちに人間と同じサイズになり、血を求める怪物となってしまった。自由になってただ人の血を飲むだけでは面白くない。怪物は錬金術師たちを追いかける。夜に吸血鬼から逃れるために、思考を巡らせる。逃げ回ると朝になっていた。そのとき、怪物は崩壊する。日の当たらない部屋にいたやつは日光が苦手だったのだ。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」