『ヴァンパイア性の違いで脱退したメンバー』
東京の裏路地、月明かりだけが照らす薄暗い空間。俺、ビジュアル系ロックバンド「Vampire・Tag」のボーカル、神崎 月は、ライブ後の高揚感を抱えながら一人歩いていた。
突然、背後から声がした。
「久しぶりだな」
振り返ると、そこには懐かしい顔。脱退したトロンボーン担当、狼谷 牙だった。
「ヴァンパイア性の違いで脱退したクセに人気がでたら出戻りか?」
俺は冷ややかに言い放った。
狼谷の目が赤く光る。
「今日は鬼ごっこでもしないか?」
その言葉に、俺は一瞬たじろいだ。トロンボーン担当だった奴に肺活量で勝てる自信はない。つまり、肺活量がモノをいう鬼ごっこで奴には勝てないんだ。しかも狼谷は腕っぷしもある。
(何も楽器を持たないボーカルは握力や筋力が低下している。腕っぷしでも勝てないということは生き残る方法は一つしかない!)
「いいや、路上ライブで勝負だ!」
狼谷は一瞬驚いたような表情を見せたが、すぐに挑戦的な笑みを浮かべた。
「面白い。受けて立とう」
二人は無言のまま、近くの広場へと向かった。そこには、深夜にもかかわらず、若者たちが三々五々たむろしていた。
俺は喉を軽く鳴らし、歌い始めた。
「闇に溶ける 赤い月影...」
狼谷も負けじとトロンボーンを構え、低音を響かせる。
歌声と楽器の音が交錯し、夜の街に奇妙な調和を生み出していく。若者たちは二人の周りに集まり始めた。
しかし、15分ほど経ったところで、俺は違和感を覚えた。狼谷の演奏が、どこか物足りない。そして気づいた。奴は人間の血を吸っていないのだ。
「おい、狼谷」俺は歌うのを止めた。
「お前、人間の血を吸うのをやめたのか?」
狼谷は苦笑いを浮かべた。
「ああ、もうずいぶん前にな。人間の血なしでも生きていける方法を見つけたんだ」
俺は驚きを隠せなかった。
「それで脱退したのか?」
「ああ。でも、音楽への情熱は消えなかった。だから、今日はお前に会いに来たんだ」
俺は狼谷を見つめ、ふと気づいた。奴の目に宿る情熱は、昔と変わらない。いや、むしろ強くなっている。
「狼谷、俺たちのバンドに戻ってこないか?」思わず口にしていた。
狼谷は驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「ああ、もちろんだ」
その夜、東京の裏路地で、「Vampire・Tag」は新たな一歩を踏み出した。出戻りメンバーの斬新なハーモニーが、夜の街に響き渡った。
プロンプト
「場所は東京の裏路地。人気ビジュアル系ロックバンド「Vampire・Tag」のボーカルである俺。俺たちのバンドには秘密があるそれは全員吸血鬼なのだ。「久しぶりだな」。振り返ると、そこには脱退したトロンボーン担当のメンバーがいた。「ヴァンパイア性の違いで脱退したクセに人気がでたら出戻りか?」。奴は俺に対して恨みを持っている。「今日は鬼ごっこでもしないか?」。トロンボーン担当だったヤツに肺活量で勝てる自信はない。つまり肺活量がものをいう鬼ごっこで奴には勝てない。しかもトロンボーン担当は腕っぷしもある。(何も楽器を持たないボーカルは握力や筋力が低下している。腕っぷしでも勝てないということは生き残る方法は一つしかない!)。「いいや、路上ライブで勝負だ!」。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」