『血と紙と陰陽師』
夜の帳が下りた地方都市の路地裏。私こと吸血鬼の三郎は、いつもの如く人間の生き血を求めて徘徊していた。しかし最近、この日課にも飽き飽きしていた。
「ああ、退屈だ」と三郎は溜息をつく。
「いつも同じ味じゃないか」
そんな時、ふと閃いた。
「そうだ、鬼ごっこをしよう!」
三郎は獲物を見つけると、わざと物音を立てて近づいた。獲物は驚いて逃げ出す。追いかける三郎の顔には、久しぶりの高揚感が浮かんでいた。
「逃げろ逃げろ!でも、どこにも逃げ場はないぞ!」
やがて、獲物を追い詰めた三郎。「待っていたぞ」と不敵な笑みを浮かべる。しかし、その瞬間、獲物は紙切れとなって舞い落ちた。
「なに!?」三郎は驚愕する。
「それは式神だ」背後から冷ややかな声が聞こえた。
振り返ると、そこには若い男が立っていた。古めかしい装束を身にまとい、手には扇子を持っている。
「おやおや、吸血鬼さん。退屈しのぎに人間狩りとは感心しませんな」
「貴様は…陰陽師か?」三郎は警戒しながら尋ねた。
「そうだ。私は陰陽師の末裔、安倍晴明二十八代目だ」
「へえ、そんな奴がまだ生き残っていたとはな」三郎は冷笑した。
「だが、お前如きに私が敵うわけが…」
話の途中、三郎の体が急に動かなくなった。
「なっ…何をした!?」
「簡単な縛りの呪文さ」晴明は平然と答えた。
「さて、どうしましょうか。吸血鬼退治は久しぶりでね」
「く…殺せるものなら殺してみろ」三郎は強がった。
「いや、殺すのは面倒だ」晴明は肩をすくめた。
「それに、最近は吸血鬼保護団体なんてのもあってね。代わりに、ちょっとした罰を与えよう」
晴明は呪文を唱え始めた。三郎の体が光に包まれる。
「な、何をする気だ…うわあああっ!」
光が消えると、そこには一匹の蝙蝠がいた。
「さて、これで当分の間は大人しくしているだろう」晴明は満足げに言った。
「人間の血は控えめに、ネズミでも吸っていれば良い」
蝙蝠になった三郎は、悔しそうに鳴きながら夜空へ飛び去って行った。
晴明はため息をつきながら呟いた。
「全く、最近の吸血鬼は遊び心がなさ過ぎる。昔は気品があったものだが」
そう言って、晴明は夜の街へと消えていった。退屈しのぎの鬼ごっこは、思わぬ結末を迎えたのだった。
プロンプト
「場所はある地方都市。私は任侠道にいる吸血鬼。夜の帝王。今日も人間の生き血を吸う。しかし、最近マンネリ化してきた。私はふと鬼ごっこを提案することを思いつく、逃げ惑う人間を狩る。血を吸うだけではなく恐怖の顔を楽しめる。私はゆっくりと獲物に近づく。「待っていたぞ」。獲物は瞬く間に紙になる。「なに!」。「それは式神だ!」。陰陽師の末裔が現れた。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」