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『しばたとじゃむ』~編集長逮捕~

 

 東京の喧噪が夜の闇に溶けていく頃、小学組の若手編集者・柴田は、酒場で頭を抱えていた。


「なに、蛇夢(じゃむ)の親父がパクられた!?」


 同僚の慌てた声を思い出して、柴田は苦い酒を一気に流し込んだ。数時間前、編集長の蛇夢こと蛇島夢生が、泥酔して警察に逮捕された。


「くそ...ここまでか」


 柴田は呟いた。蛇夢親父は経験豊富な編集者で、小学組の大黒柱だった。明日は大作家のジュビロ島本との打ち合わせ。あの創作モンスターと渡り合える自信など、柴田にはまるでなかった。


(下手打ったら、ジュビロが講談組に移籍...)


 まさに一大事。講談組とのタマ(作家)の奪い合いが激化する中、これほどの痛手はない。


「講談組に負けるわけにはいかねえ...」


 ふらふらと立ち上がった柴田は、夜の街へ繰り出した。酔いと不安で頭がぼんやりしている。そんな時だった。


「おい、そこの人間。私と鬼ごっこをしないか」


 振り向くと、月明かりに照らされた青白い顔の男がにやりと笑っていた。吸血鬼だ。


「今はいい...いや待てよ!」


 柴田の脳裏に奇想天外なアイデアが閃いた。


「よし、やろう。俺が勝ったら、明日の打ち合わせに出てくれ」


 吸血鬼は困惑した表情を浮かべたが、すぐに悪戯っぽい笑みに変わった。


「面白い。では、始めようか」


 こうして、酔っ払い編集者と吸血鬼の夜の鬼ごっこが幕を開けた。柴田は必死に逃げ回った。酔いも覚め、アドレナリンが全身を駆け巡る。


 翌朝、小学組編集部。


「おはようございます、島本先生」


 ジュビロ島本の前に現れたのは、蒼白い顔をした「柴田」だった。


「君、具合でも悪いのかい?」


「いえ、ただ...日光が少し苦手なもので」


 柴田に成り代わった吸血鬼は、歯を食いしばって打ち合わせに挑んだ。一方、本物の柴田は警察署で蛇夢と鉢合わせしていた。


「おい柴田!何してるんだ!」

「親父!実は...」


 柴田が事情を説明すると、蛇夢は大笑いした。


「バカモノ!でもお前、やるじゃないか」


 そして夕刻、小学組に戻った柴田を待っていたのは...


「やったぞ!ジュビロ先生、新しいカチコミ(新シリーズの連載を)快諾してくれたぞ!」


 驚く柴田に、吸血鬼はウインクして消えていった。


 これが、小学組と吸血鬼の奇妙な共闘の始まりだった。以来、東京の出版界では、夜な夜な奇妙な噂が囁かれるようになったという...。

プロンプト

「場所は東京。私は小学組の構成員。この業界は講談組とのタマ(作家)の取り合い。「なに蛇夢の親父がパクられた!」。どうやら編集長が泥酔して警察に逮捕されたらしい。「くそ...ここまでか」。蛇夢の親父は経験豊富な編集。親父ほどの経験など俺たちにはない。明日は大作家のジュビロ島本との打ち合わせ。あの創作モンスター作家と渡り合える自信なんてない。「おい、そこの人間。私と鬼ごっこをしないか」。振り向くと吸血鬼がいた。「今はいい...いや待てよ!」。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」

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