『夜の帝王の禁断の恋』
東京の喧騒が静まりかえる深夜。俺、吸血鬼の龍也は今宵も獲物を求めて街をさまよっていた。かつては人間の生き血を啜る瞬間に至高の喜びを感じたものだが、最近はどうにも味気ない。
「ん?」
ふと目に入ったのは、深夜のコンビニから出てきたばかりの男。俺は思わず足を止めた。
「おい、君」
声をかけられた男が振り返る。その瞬間、俺の死んだはずの心臓が大きく跳ねた。
艶やかな黒髪、切れ長の瞳、そして月明かりに照らされた透き通るような白い肌。これほどまでに美しい男を俺は見たことがない。
「なんでしょうか?」
低く甘い声に、俺の全身が震えた。
「あー、その...」
普段の冷静さを失った自分に戸惑いながら、俺は何とか言葉を紡ぐ。
「私と...鬼ごっこをしないか?」
「鬼ごっこ?」
男は首を傾げた。その仕草があまりにも愛らしく、俺は思わず吸血鬼としての本性を忘れそうになる。
「そう、鬼ごっこだ。君が逃げて、私が追いかける。簡単だろう?」
男は困惑した表情を浮かべながらも、どこか興味深そうに俺を見つめる。
「面白そうですね。でも、捕まったらどうなるんです?」
「それは...」
俺は言葉に詰まった。本来なら「君の血を吸う」と答えるところだが、どうしてもそんな言葉が出てこない。
「秘密です」
結局、そう答えるしかなかった。
「なるほど」男は微笑んだ。
「では、やってみましょうか」
男が走り出す。俺も後を追う。
しかし、いつもなら簡単に追いつけるはずの獲物に、今夜は全く追いつけない。男の姿を見失いそうになりながら、俺は必死で走り続けた。
「ハァ...ハァ...」
気がつけば、俺は息を切らしていた。吸血鬼が息を切らすなんて、こんな経験は生まれて初めてだ。
そして、ふと気づく。これは鬼ごっこじゃない。俺が恋に落ちた瞬間から始まった、恋の追跡劇なのだと。
夜の帝王である俺が、一人の人間に心を奪われてしまった。こんな皮肉な結末があるだろうか。
しかし、俺は走るのを止めない。たとえ永遠に追いかけ続けることになろうとも、あの美しい男を諦めるつもりはない。
なぜなら、これこそが俺の求めていた「スリル」なのだから。
プロンプト
「場所は東京。俺は吸血鬼。夜の帝王。今日も人間の生き血を吸う。しかし、最近マンネリ化してきた。俺はふと鬼ごっこを提案することを思いつく、逃げ惑う人間を狩る。血を吸うだけではなく恐怖の顔を楽しめる。俺は男を見つけて声をかける。「やあ、私と鬼ごっこをしないか?」。振り返った男は途轍もなく美しい男だった。「鬼ごっこ?」。低く甘い声に私はメロメロになる。こんな気持ち初めてだ。このプロットを元にシリアスコメディ短編小説を書きましょう。」