《 女郎蜘蛛 》
生まれ変われるとしたら
女郎蜘蛛が良いので御座います。
体の大きなメスが 交尾の後に
オスを食べてしまうのだとか。
私は力の強い殿方に服従し
食べられてしまいたい願望もありますが
実はそれ以上に
殿方を屈服させて
食べてしまいたいので御座います。
食べて下さい…と私自身を差し出せば
殿方は淫靡な微笑みを見せて下さいます。
それはそれで その笑みも美味しそう。
けれど
食べさせて下さい…と云えば
殿方は一瞬 殺気とも思える眼差しで
私を見つめ
征服欲でギラリと光る目に変わるのです。
その獰猛な眼差しは もっと美味しそう。
生意気な女を支配し 啼かせて
許しを乞わせたいと云う
その猛々しさを
その様な殿方の全てを
喰らってやりたい。
歯を立てて 舐めて しゃぶり尽くす。
女郎蜘蛛が 交尾の後に
オスを食べてしまうように。
こんな女はお嫌いでしょうか…。
《 戦遊び 》
世馴れた殿方が 真顔で嘘をつき、
それに騙された振りをして、
無邪気に微笑み、
悦んで見せる。
殿方が満足気に 笑みを浮かべたら、
私の勝ち。
男と女の戯言は、
騙し 騙され 密かな戦。
勝っても 負けても、
虚ろな笑顔で終わる。
…と云う遊び。