第8話 一人暮らしになるとどうしても自炊が必要になるわけで
俺は今、荷造りをしている。
なぜかというと、一人暮らしを始めるためだ。
基地本部に実家から通っていたが、遠いため近くに引っ越すのだ。
荷造りとはなかなか進まないものだ。なつかしい物が次々と出てくる。昔遊んでたものや、アルバムなどだ。なぜか、アルバムは1ページずつ読んでしまう。
アルバムを見ていると、家族写真が出てきた。そこには、亡くなったお母さんとお父さんが写っていた。
両親は優しい人だった。両親は研究者であったが、授業参観や運動会など、学校の行事は絶対に来てくれていた。
思い出にひたりながら、荷造りを続けた。
途中、おじいちゃんにも手伝ってもらい、なんとか荷造りを終えた。
自分の部屋がなんだか寂しく見えた。
俺が引越すところは、基地近で駅近、生活しやすい環境が整っている。普通だと、俺の給料では高いが、INDEPENDENTの福利厚生で結構安くなったのだ。住人の多くが、INDEPENDENTで働いているようだ。ナタもそこの住人らしい。
「お願いします」
引越業者に運んでもらい、新居に搬入するまで時間があったので、おじいちゃんとお昼を食べにいった。
「ついにルシファーが一人暮らしか…。寂しくなるなあ」
「今まで育ててくれてありがとう、おじいちゃん!」
いろいろな話で盛り上がった。あまり聞かなかったおじいちゃんの昔話も聞けた。
元々軍人だったおじいちゃんは、クローン戦争の後INDEPENDENTの将軍になった。おじいちゃんは軍人時代、世界秩序維持部隊というエリートしか入れない特殊部隊で隊長をしていた。今は亡きおばあちゃんは、軍の科学者でけっこうすごい家系だった。おじいちゃんは母方の祖父である。しかし、父方の祖父母は知らない。そこで、俺は聞いて見ることにした。
「おじいちゃん…、父型の祖父母ってどんな人?」
「ルシファーもおじいちゃんの方はあったことがあるぞ」
?????え、あったことがあったのか。しかし、全く思いつかない。
「誰…………なんでしょう…か」
「ゼウスだよ」
は?今なんて言った?聞き間違いではないよな…。将軍がもう一人のおじいちゃんだと………。だが、おじいちゃんらしいことをされた覚えがない。
「まぁ、わからないよな。だってルシファーの父さんはゼウスとケンカして家を出ちゃったからな。それ以降ゼウスには一度も会わなかったらしいから。何でケンカしたかは知らないけど」
おいおい、お父さんは将軍とどんなケンカをしたんだよ。
お昼を食べ終え、俺はおじいちゃんと別れた。
「いつでも戻ってこい!」
おじいちゃんが笑顔で見送ってくれた。
新しい家に着き、搬入作業を始めた。搬入の方は意外と早く終わった。
「ありがとうございました」
こうして引越しは終わった。
さて、引越しのあとの恒例行事がある。お隣さんに挨拶するやつだ。お隣さんが怖い人ではないのを祈りながら、挨拶を始めた。
まずは、右隣は空室らしいので左隣から。インターホンを押した。返事があり、扉が開いた。中から出てきたのは、ナタだった。
「えっ、ナタ?」
「やっほー!ルシファー隣に引越して来たんだ」
良かった。とりあえず、隣人が親友のナタで怖い人ではなかった。つまらないものですがとお菓子を渡した。
次は向かいの住人だ。インターホンを押そうとした時だった。
「ルシファー?」
声がした方を向くと、買い物帰りのヴェスタルが立っていた。
どうやら向かいの住人はヴェスタルだったようだ。
「びっくりした。なんでルシファーがいるのかと思ったけど、引越してきたんだ」
こちらも、つまらないものですがとお菓子を渡し帰ろうとした。
「ねぇ!ルシファーはもう夕飯食べちゃった?」
「まだだけど…」
「じゃあ、私の家で食べていかない?今日はカレーだけど…」
「食べる。いや、食べさせてください」
俺は自炊をあまりしたことがない。作れると言ったらオムライス。カレー…なんて小さい頃のお泊り会でみんなで作ったぐらいだ。料理の勉強しないとなぁと思いながら、食べさせてもらうことにした。
「おじゃましま~す」
すると、奥に男の子が見えた。
「おかえり。姉ちゃん」
「お姉ちゃん?!」
「私の弟!可愛いでしょう!」
ヴェスタルには小学生の弟がいて、2人で暮らしているとのことだった。
「向かいに引越してきた、同僚のルシファーだよ」
「弟のノアールです。うちの姉ちゃんが、いつもお世話になります」
何この子!大人みたい。もしかしてヴェスタルよりしっかりしてるんじゃ…。最近ヴェスタルについてわかったことがある。彼女は少し天然なのだ。前にカバンごと基地に忘れて帰ったことがある。
俺はリビングに案内され、2人は買ってきた食品をしまっていた。
「姉ちゃんカレールーは?」
どうやら肝心なカレールーを買い忘れたらしい。やっぱり天然だ。
結局ヴェスタルは家にあったシチューの素で、シチューを作った。
「ごめんね。カレーじゃなくって」
「気にしてないよ」
カレーの口だったけど、それを吹き飛ばすぐらいにシチューが美味しかった。
2人にお礼を言い俺は部屋に戻った。
部屋に戻ると段ボールの山を見て絶望した。早く片付けないとな………。




