第6話 少女はつらい過去をもつ
俺とナタはソファーに座った。そしてナタは自分の過去について話始めた。
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【ナタの過去】
私には友達がいなかった。というか作らなかった。
両親の仕事の事情で転校することが多かった。だから友達を作ってもすぐに離ればなれになってしまう。私は友達と離ればなれになるのが辛った。だから知り合い以上友達未満という生活を中学まで続けた。
高校生になると両親の仕事の事情で転校することはなくなった。でも友達を作ることに抵抗を感じて、高校も友達を作ろうとしなかった。そして私はクラスで孤立した。私を気にかけてくれる子もいたけど平気だと嘘をついてその場をやり過ごした。クラスの女子のリーダーと連絡先交換して、ある程度やり取りもした。が、私はその女子と気があまり合わないと感じ、連絡の既読が遅くなっていった。それをよく思わなかったのか、次第に私はいじめを受けるようになった。最初の方は机に落書きされるぐらいだったが、だんだんエスカレートし暴力を受けるようになった。両親には心配をかけたくなかったから楽しい高校生活を送ってると嘘をついた。一応学校には毎日行った。いつの間にかクラスにいるより、屋上にいることが多くなった。
ある日の昼休み屋上にいると、男子がきた。そいつは私にいろいろと話しかけてきた。私は無視をしていたが、それから毎日やってくるから無視しようにもできなかった。それから少しずつだけど話始めた。なんで屋上にいるのか、お互い誰なのか…。久しぶりの友達ができた。いつの間にか私は学校に行く楽しみができた。
ある日体育の授業が持久走だった。私は頑張って走っていたが、貧血で倒れてしまった。私は保健室に連れて行かれた。そして保険の先生に見つかった。いじめのあざが。私は事実を話し両親には知らせないでと伝えたが、先生たちは両親を呼んだ。ついにいじめが両親にバレた。両親はなぜ話さなかったのかと聞いてきた。私は心配をかけたくなかったと答えた。次の日から学校に行かず、部屋にこもった。両親とも会話をすることもなくなった…。
私は暇つぶしに興味のあったプログラミングを勉強してみた。いつの間にかプログラミングについて詳しくなり、そこらへんの会社のセキュリティーを突破できる位にはなっていた。
ある日両親が死んだ。そう、クローン人間が世界侵略を始めた『クローン戦争』。両親は私を守るために家に入ってきた敵を、私に近づけないようにしていたのかな。部屋の前で大きな音がしていた。音がしなくなったので部屋から出てみると、お互い手を繋いで家族写真を抱えている死体と敵の死体があった。これが最後に見た両親の姿。私のせいで死んだと思って生きる気力がなくなった。私も死のうと屋上に行き、飛び下りた。でもいつになっても死ななかった。私の手を掴んでる人が屋上にいた。私はその人に屋上に戻された。手を掴んでくれたのがエル姉。軍隊が生存者を探していてたまたまエル姉が自殺しようとしていた私を見つけたみたい。エル姉は私を抱きしめてくれた。私は涙が溢れた。その後、第2世界に避難し、自分の家に着いた。そこでも私は一歩も家から出ようとしなかった。2、3日後エル姉が家を訪ねてきた。自殺しようとしていた私が忘れられなくて来たと言っていた。それから毎日来てくれるようになった。少しずつだけど私は元気になっていった。
ある日エル姉は、新しく組織するINDEPENDENTに来ないかと誘ってきた。プログラミング能力を評価してくれたのかと思った。けれど、誘った理由はそれだけじゃなかった。私を1人にさせないためだった。忙しくなり家に来るのが減るから、いっそのこと一緒に来てもらおうということだった。私はすることも無いからINDEPENDENTに入ることにした。そして今や笑いあえる仲間ができた。
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「これが私の過去」とナタが言った。
俺は唖然として言葉が出なかった。こんなつらい過去があるのに気安く聞いた俺が馬鹿だったと反省した。そして一つ思い出したことがある。それは俺は屋上でナタと合っていたことだ。
「その顔…、やっと思い出してくれた?」
「あぁ、忘れててごめん」
「気にしないで、だってあの頃はショートだったけど今は髪のばしてるし」
「急に屋上に来なくなって驚いたけど、大変だったんだな…」
「うん…。でもルシファーのおかげで学校の生活が少し楽しくなったんだ。『ナタは一人じゃない、だって俺が高校で初めての友達になってあげるから』ていってくれたときは嬉しかった。」
「そう…か…」
するとナタは恥ずかしそうに…
「私は高校でもう一つ初めてを体験した。人生で初めて好きな人ができた」
「えっ…」
「私、ルシファーのことが好き。この気持ちを伝えるのに時間がかかっちゃったけど…,やっと言えた」
俺はどう返答しようか迷った。
するとナタは立ち上がった。
「ルシファーはエル姉が好きなんでしょ?だからさっき言ったことは忘れて!あと、疲れたしそろそろ帰る」
とナタは扉に向っていった。俺はナタを追いかけて手を掴んだ。
「俺はカミエル様が好きだ。だからナタを恋人として抱きしめることはできない。だけど友達としてなら抱きしめてやれる。悩みも聞いてやれる。あと…恋人じゃないけど…親友にならなれるよ…」
「ルシファーは優しいね…。また、初めてができた…。親友か…。嬉しいな」
俺は泣いているナタをそっと抱きしめた。しばらくして、ナタは家に帰っていった。




