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第17話 発表は特訓の後で

俺達は定期イベントを終えて、昼前にインモルターリスに帰ってきた。疲れがひどくすぐにでも横になりたかった。武器などの片付けを終えて部屋に戻った。この日は、もう帰ってもいいこととなったが、みんなも俺と同じようにすぐに横になりたかったらしく、みんな一緒に夕方くらいまで仮眠をとることにした。


外が薄暗くなった頃目が覚めた。部屋ではまだみんなが寝ていた。何時だろうとスマホを確認した。


『5:30』


いい時間帯だなと思いみんなを起こすことにした。マークを起こそうとした時、ふと違和感に気づいた。『スマホの時間表示って24時間のやつだよな…夕方なら17:30…でも表示は5:30…』俺は急いでスマホの日付を確認した。『次の日になっとる!?』


俺は急いでみんなを起こした。みんなも起きた時間を聞いてびっくりしていた。


6:00になり、基地の食堂が開いたのでみんなで朝食をとることにした。朝は家で食べてくるため食堂で朝食をとるのは初めてだ。


「ルシファーは朝はご飯派?」カレーライス大盛りを注文した俺にナタが聞いていた。


「時と場合によるかな。今日は昨日夕飯食べてないからお腹空いてるからご飯だけど、家だとパンかな。そういうナタはどっちなんだ」


「私は、パン!ご飯炊くのがめんどくさいから」


わかる。ご飯は、計量、米を研ぐ、決まった量の水を入れる、少なくとも3工程が必要。しかしパンは、袋から出すという1工程だけ。もちろん前の日の内に米を研いだりして、朝炊けているようにすれば朝米を食べることはできる。だが、たったの3工程されど3工程、この3工程がめんどくさいのだ。


朝食を食べ終え、部屋に戻るとミーティングが開かれた。


「1ヶ月後にレボルシオンと模擬戦を行います」


模擬戦…。訓練兵時代にもやったことがある。


「模擬戦は私含めて100人と相手100人で戦い、大将が倒されたり全滅したほうが負け」


「はい!」ルナが手を挙げた。


「はい、ルナちゃん」


「99人はエルちゃんが選ぶの?」確かに、俺もそこはすごい気になっている。


「ん〜。まず絶対この人には参加してほしいという人にお願いをして、残りの枠は総当たり戦みたいな感じかな」


そう言うと、カミエル様は他の部隊長に知らせるため部屋を出ていった。俺は、絶対に参加してほしい人に入っているのだろうか…。いや…悩んでいても仕方ない。選ばれた時のために、出来ることは全てやっておこう。俺は、訓練場に向かった。


この前の定期イベントで反政府軍と戦った時、射撃精度が落ちていてほとんど近接戦闘になってしまった。最近、射撃訓練をしていなかったからだろう。


銃を選び、射撃位置に着いた。的はホログラムでできているが、当たるとガラスのように砕ける仕様になっている。また、モニターに詳しい結果が出るため競い合うことができる。


的を動かす事もできるが、まずは動かさずに単発で何回か撃ってみた。


ん〜。ヘッドショットはできたが、中心から外れていたり、当たっていなかったり…単発でこのざまか。次だ。次は連射で撃ってみた。


全然だめだ。反動のせいでエイムが合わない…。


どれくらいたっただろうか。しばらく撃ってみたが、最初よりは良くなったものの、まだ納得できるものではない。


「納得いかなそうな顔だね」声のする方を見るとルナがいた。


「うわっ!びっくりした。なんでいるの?」


「ここ訓練場だよ。訓練する以外何があるの」ルナに笑われてしまった。


ルナは射撃位置に移動して目をつぶりながら銃を構えていた。「私が手本を見せてやんよ!」的が動き出したとたん目が開き、撃ち出した。俺はその光景に唖然としていた。人の動きより速い的に的確に当てている。


「ざっとこんなもんっしょ!」モニターで結果を見てみると全ての的に当てていて、全てヘッドショットを決めていた。すご…。神業すぎてすごいしか感想が出てこない。ルナにコツを教えてもらえば絶対上手くなる。俺は確信した。


「ルナ…いえルナ様、俺に上手くなるコツを教えてください。お願いします」


「なんで改まってるの?良いよ!」


こうして俺はルナに教えてもらえることになった。


Lesson1、構え方。俺は、重心を意識して構えていたつもりだったが、ルナから見るとまだズレているらしい。重心のズレがなくなるまでLesson1は続いた。


Lesson2、スコープとは何か。スコープはターゲットを正確に狙うために付いている。しかし、銃というものはスコープが無くても狙って撃つことが出来る。つまり、スコープは補助にすぎない。スコープに頼りすぎないで撃つことを叩き込まれた。


Lesson3、銃の癖。人間と同じように、同じ型の銃でも一つ一つ違った癖を持っている。反動や弾の回転などが少し違うらしい。それぞれの癖を見つけることが出来れば、対処の仕方が分かって射撃の精度が上がると言うのだ。


後は訓練あるのみ!


いろいろ叩き込まれた俺は、最初の時よりもはるかに上手くなっていた。


「ありがとうルナ。これで少しはできる気がしてきた。でも、ルナはすごいよ」


「別にそんなことないよ。知ってるでしょ。私マフィアのボスの娘ってこと。だから、嫌でも小さい頃からパパにいろいろ特訓させられてたんだよね」


家族がマフィアだと小さい頃から銃握るのか。俺達が住む世界とは全然違うな。最初は裏社会で生きるために小さい頃からやってきたことかもしれないが、今こうして人々の役に立てているのだからやはり彼女はすごい。


そろそろ部屋に戻るため、射撃に使った銃のメンテナンスを始めた。次に使う人が困らないように必ずやらなければならない。自分のが終わり、ルナの方に向かった。ルナはまだメンテナンス中であったが、よく見ると射撃で使った銃とは別の銃もメンテナンスしている。


「あれ?これ使ってたっけ?」


「えっ、あぁこれは、私の。しばらくメンテしてなかったから、ついでにやってる。実はこれ、パパからもらったやつなんだ」そう言って俺に銃を見せてくれた。リボルバー式の装弾数6発の拳銃だった。リボルバー式か…今はオート式が主流なのに昔のを使っているんだな。


「実はこれも特訓の1つ。何事も6発でこなせ…パパの口癖。リロードをするとなると時間はかかる…、たとえ100人が相手でも6発だけで生き残る…。これが完璧になれば、どの銃を使っても必ず生き残ることが出来るんだとか…。メンテ終了!」彼女は拳銃を太ももに着けている右のガンホルダーに収めた。左にもガンホルダーを着けている。


「もしかして、左のやつも特訓か何か?」俺が聞くと、彼女は左のガンホルダーの側面に手を当て「これは…ママが使ってたやつで…ママの形見…」と答えた。俺はとんでもなく失礼なことを聞いてしまった気がする。


「…ごめ…」と言いかけたときルナがそれを遮った。


「なんでルシファーが謝ってんの!?別に気にしてないから。ほら、そろそろ戻ろ!」ルナは明るくそう言ったが、いつもと違う雰囲気を感じ取った。


ナタ達から連絡が戻って来いとのメッセージが送られてきていたので俺達は訓練場を後にして部屋に戻った。


部屋に戻るとカミエル様が戻って来ていた。


「今から、ウィクトルで模擬戦に出てもらいたい人を発表します。これは強制ではないので、断ってもいいです」


いよいよ発表だ。いつぶりだろうか?こんなに緊張したのは…。今は、自分が選ばれる事を祈るしかない。


「ミールちゃん、マークさん、ヴェスタルちゃん、ルナちゃん、ラムダ君、ナタちゃん以上6名に出てもらいたいと思っています」


えっ…。俺の名前が出てない…。なんで………。ショックすぎて頭が真っ白になった。心のどこかでウィクトルにいるなら選ばれるだろうと思っていたかもしれない。もちろん俺は、まだ入ったばかりだし弱いことぐらいは分かっている。だからこそ、1日でも早くみんなの役に立ちたいと思ってる。模擬戦で経験を積んで強くなりたい。


「カミエル様、俺も模擬戦出たいです!確かにみんなより弱いしまだ未熟で、そのことは俺が1番わかってます。でも、1日でも早くみんなに追いつきたい、みんなの役に立ちたい、俺はもっともっと経験を積んで大事な人を守れるよう強くなりたい。だから、俺も模擬戦に参加させてください。お願いします」いつの間にか、俺は深々と頭を下げお願いをしていた。


しばらく部屋の中が静寂に包まれていた。


「顔を上げてルシファー君」カミエル様の優しい声が聞こえた。


ゆっくり顔を上げるとみんなが優しい表情でこちらを観ていた。


「ルシファー君は弱くなんかない。それはここにいるみんなが知ってる。ルシファー君を呼ばなかったのは、まだゼロクリスタルを発動させて戦ったことがないから。ぶっつけ本番より練習したほうが良いでしょう?だから総当たり戦で勝ってもらう。こんなお願いをするのは、ルシファー君なら必ず勝てると『信じてる』からだよ!」


さっきの自分の発言が恥ずかしい。信じている。あぁ、そんなこと言われたらやるしかない…いや、やりたくなってきたじゃないか。


「カミエル様…信じてください。何やるかわかりませんが、必ず1位を勝ち取ります!」


数日後、俺は選抜戦に出ることとなった。

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