第16話 定期イベント
今我々はある場所へと向っている。ある場所とは、カルヴァリー。
〜数時間前〜
「おはよう!」といつものように部屋に行き雑談をしていると、ウィクトルや他の部隊が会議室Aに集まるよう放送があった。
会議室Aに行きみんなが揃うと、カミエル様がメッセージをモニターに映した。モニターにはアイリスが写っていた。
「こんにちは、あるいはこんばんは。インモルターリスの皆さん。」どっかの映画みたいにアイリスが話し始めた。
「皆さん!また定期イベントがやってまいりました!パチパチパチパチ。カルヴァリーである程度のクリスタルを製造したのでレボルシオンの基地本部に運んでもらいたい。なおこのメッセージは3秒後に消滅する!」メッセージが終了した。
「出発は今から1時間後、各部隊準備をして正面ゲートで集合。各部隊装甲車2台に別れて乗ってもらいたい。以上」カミエル様が指示を出すと、各部隊が急ぎ準備を始めた。
俺はこの定期イベントに初めて参加する。よくわからないが一応準備することにした。戦闘服に着替え、神器を持って正面ゲートに行こうとした。
「ルシファー」ラムダに呼び止められ、ついてくるよう言われた。ついていくと、武器庫についた。
「武器ならあるけど…」
「定期イベントには、銃が必須だ!なんでもいいから、持っていけ」
俺は訓練兵の時に使っていた銃にした。久しぶりに持つが、手に馴染んでいる。
正面ゲートに行くと、装甲車が8台とバスが用意されていた。
「整列!」ミールが言うとみんなすぐに整列が完了した。するとカミエル様が前に現れた。
「各員何が起きても臨機応変に対応。我々は地下道からスクランブル交差点に出る。カルヴァリーまでは今日中に到着したい。定期イベントだけど気を引き締めて取り組んでほしい。各員配置につけ!」
息ぴったりな返事と敬礼が正面ゲートに響いた。
俺達はバスに乗った。バスの中は、コンピューターなど特殊な設備でいっぱいだった。
基地内には敵にバレず外に出れるようにいくつか地下道が存在する。地下道を進んでいくと出口が見えてきた。坂を上ると、本当にスクランブル交差点から出ていた。そこからは爆速でカルヴァリーへ向かった。
〜現在〜
長い時間進んでいると、見覚えのあるゲートが現れた。カルヴァリーだ。
車両はゲートの前に止まった。ゲートの前は頑丈に守られており、入ることは容易ではない。
到着リストに載っているか調べられ、車内も調べられた。調べが終わると、ゲートが開きやっと入ることが出来た。しばらくトンネルを進むとまたゲートが現れた。このゲートを通れば、カルヴァリーに入れる。
何事もなくゲートを通りカルヴァリーへ入れた。正面入口でアイリスとランスロットが待っていた。
「きたきた。クリスタルは箱の中に入れてるから。レボルシオンまでよろしく!あと、今日は遅いから泊まっていって」カルヴァリーに着いた頃には、夜になっていた。俺達はカルヴァリーで一泊することになった。
翌日。5時に朝食を食べ、準備が始まった。
「急いで運べ」クリスタルの入った箱は、バスに運ばれた。全て遊び終わると、すぐにレボルシオン基地本部へ出発した。カルヴァリーからレボルシオン基地本部までは朝から晩まで走っても車で5日かかる。
「ラムダ、なんでレボルシオンが取りに来ないの?」ずっと疑問に思っていたことを聞いてみた。
「クリスタル運びは四天王が必ず来なければならないんだけど、なんかアイリスさんはアレス様と付き合ってた事があるらしくて、気まずいから親友のカミエル様に頼んでる…みたいなんだけど」
「へぇ…」
「…これから高速に入る。どんどん追い越しするから、しっかりついてきて!…」無線で全車両に伝えられた。
高速に入ったとたんものすごい速さで車両が走り出した。ぶつかるんじゃないかとヒヤヒヤする時間が続いた。しばらくして高速をおりた。走り続けていると、人気のない場所に来た。
「今日はここで休む。急ぎ、夕食とテントの準備を!夕食のあと見張り以外はしっかり寝るように」
指示のあった通り、テント設営と炊き出しと見張りに分かれ準備をした。
夕食を食べ見張りではないため、眠りについた。
なんだかんだあって、レボルシオンに向かって4日目に突入した。
都市部になりある交差点に差し掛かろうとした時、前の車が急に止まりマークも慌てて急ブレーキをかけた。上窓を開けて確認するとトラック2台が交差点を塞いでいた。
「…バックだ。急げ!…」との指示があったが、「…後ろも封鎖されました…」との無線が入った。その直後、銃声が聞こえた。
「…襲撃!敵、反政府軍!…」
反政府軍…聞いたことがある。INDEPENDENTを設立する時に、兵の数を増やそうとした臨時国際政府がマフィアたちを利用しようとした。マフィアたちの犯罪行為を見逃す代わりに兵士になれと。ある時どこかのマフィアがその条件を拒んだ。すると、政府はボスの妻を人質にとった。見せつけのために拷問も行われた。だが行き過ぎた拷問のせいで死んでしまった。それを聞いた多くのマフィアたちは反旗をひるがえし、反政府軍となった。このことは事実だが、世間は噂程度にしか思ってない。
俺もINDEPENDENTに入る前おじいちゃんに教えてもらった。そして聞かれた、こんな政府の下で働きたいかと。もちろん政府のことは許せない。だがそれ以上に俺の両親を殺した奴らが許せない。多分だが、本当はおじいちゃんはこの事があって将軍をやめたのだろう。
銃弾がバスのにあたる音があちらこちらからする。
「…ウィクトルでトラックをどうにかする。その他は援護。民間人を巻き込むな!…」
指示がでたのでバスから降り敵を撃ち殺しながらトラックに向かった。しかし、守りがかたくトラックに容易に近づけない。
突然ビルの上から遠吠えが聞こえた。
上を見上げると、ビルの壁を走って降りてくる狼たちが見えた。狼たちは体に取り付けられた機関砲を撃ち、敵の陣形が崩れていった。
俺達はその隙をついてトラックに向かった。
ゼロクリスタルのおかげだろうか?体が軽く動きやすくなっている。。銃を神器に持ち替え次々と敵を斬っていった。ゼロクリスタルを埋め込んだ際、神器も゙新しくした。片手剣から二刀流に進化した。右手は普通に持ち、左手は逆さに持つ。こうすることで攻守のバランスが良くなる。
いつの間にかトラックの周りに敵はいなくなっていた。
「クリスタル発動!」マークの声だ。声の方を見るとトラックが吹っ飛んでいった。もう一台のトラックの前にマークが立った。マークは神器を身にまといトラックに拳で強烈な一撃を入れた。
道があき、急いで出発した。負傷者はいるものの死者はいなかった。
敵は懲りずに追って来たが、基地が近づいてくるとだんだん引いていった。
波乱の4日目終了。
5日目、日が傾き始めた頃、レボルシオン基地本部に着き、初めての定期イベントは幕を閉じた。クリスタルはレボルシオンの隊員に渡され、運ばれていった。
「みんな〜治ったんだね」ナタがウルフたちに駆け寄り、じゃれていた。
「インモルターリスの皆さん、お疲れ様です。今日は遅いので泊まっていってください。カミエル様。アレス様がお呼びです」
カミエル様はアレス様の部屋に案内された。
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カミエルが部屋に入るとアレスがソファーに座っているのだが…女性2人の間に座っている。
「はぁー…また女遊びしてるの…」カミエルがあきれたようにしている。
「いいだろ別に」グラスに入っている酒をいっきに飲み干した。
アレス・ヴァイナー。四天王の1人でレボルシオンを指揮している。
「話があってな、タナトスとは一回やったんだがレボルシオンとインモルターリスで演習や模擬戦をしたいなと思っているんだが」
「模擬戦、いいけれど。隊員の質の底上げもできるだろうし」
「おっ、やってくれるか!詳細は追って説明するが、それぞれ俺達を含め精鋭100人を選出して戦い、大将を討ち取るか、先に全滅させるか、エリアを全て占領するかのどれかを達成すれば勝利とするルールでやろうと思っている。1ヶ月後に予定しとくから準備しとけよ」
「わかった。やるからには絶対勝つから」そう言うとカミエルは部屋から出ていった。