第14話 女子会と書いて恋バナと読む
アイリスとカミエルは楽しそうに食事をしていた。
「エルは彼氏作らないの?てか、良い人いないの?」アイリスの急な質問にカミエルは食べ物を喉に詰まらせそうになっていた。
「男を取っ替え引っ替えしてるアイリスにだけは言われたくないんだけど!」
「えぇ、だってみんな愛が重すぎるって逃げていくんだもん…。あと、知ってる人としか付き合ったことないから」
アイリスはモテるため、これまでたくさんの人から告白をされた。中にはアイリスの知らない人からの告白もあったが、見知った相手としか付き合ってこなかった。アイリスは相手に尽くそうとしたり、好かれたいとしているため愛が段々重くなっていってしまう。私服のこともあり、地雷系女子と別れた男達は言っている。ちなみに今はフリーである。
「特にはいないかな」
カミエルもモテるため、これまでたくさんの人から告白をされてきたが全て断っている。
「ふぅ~ん。でもルシファーと食事に行くんでしょ、2人で♡」
「なっななななんで知ってるの?!」カミエルは動揺を隠せずにいる。
「風のうわさ」アイリスは人脈が太く、INDEPENDENT内のうわさはすぐ耳に入ってくる。
「先輩と後輩で食事しちゃ行けないの」
「じゃぁ、ルシファー私の彼氏にするね!イイ男みたいな感じがするんだよね」
「ダメ!絶対にダメ!ルシファー君は、わた…」カミエルはふと我に返り、下を向いた。下を向いた顔は赤くなっていた。
「わた…?何を言おうとしたのかな?」アイリスが意地悪そうに聞いてくる。しばらくして、カミエルは落ち着きを取り戻した。
「いつもだったら動揺なんてしないのに、ルシファーのことをなんでそんなに意識してるの?」
すると、カミエルは昔の話を始めた。
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私は将軍に引き取られる前、先生という人と研究所で暮らしてた。本当の親は知らない。でも、両親は実験の時不慮の事故で亡くなったと先生から聞いている。研究所は海上にあり、見渡す限り水平線が続く。研究所はものすごく広く、研究する所の他に商店や学校、娯楽施設みたいなところもあった。約1000人以上の研究員とその家族達がそこで暮らしていた。
小学生の時の夏休みに先生の息子が研究所にやってきた。先生の息子というのがルシファー君。ルシファー君と年齢も同じだったこともあり、夏休みの間ずっと一緒いた。宿題をやったり、ゲームをしたり、時には私の友達も誘って鬼ごっこもした。そんな楽しい夏休みを毎年過ごした。ルシファー君は明るくて優しく、そばにいると安心できる存在でそいうところに惹かれたのかもしれない。
ある年の夏、ルシファー君は高校受験のため、研究所には来なかった。それ以降ルシファー君とは会えなくなってしまった。この年に侵入者が研究所を襲った。多くの人が殺され、生き残ったのは大人数十人と子ども数十人だけ。脱出した人たちはシェルターに逃げ込んだ。しばらくして、軍隊が来て侵入者を追い払った。この時、軍を指揮していたのがゼウス将軍。救出された人たちは研究所の近く、キルシュブリューテ神国に住めることとなった。身寄りの無い子どもは孤児院に行くこととなった。私と同じように孤児院に行った子は少なくなかった。
孤児院に来てから数日後、ゼウス将軍が私を引き取ってくれた。理由はよくわからなかった。でも、孤児院にいるよりは良かった。その後ゼウス将軍に鍛えられ私は、軍人になった。その頃にはもうルシファー君の事は忘れていた。
時は進んで、INDEPENDENTができ私は四天王の1人になった。ある日、訓練兵で自らインモルターリスに来たい子がいると聞いた。その子が入隊式に来た日、私の部屋に呼び出した。初め名前を聞いてもピンと来なかった。その日の夜、家に帰って部屋に戻り書類を見ていると、ハンコが必要になり、探しているとペンダントがでてきた。ペンダントの中には写真があり、私と先生、ルシファー君が写っていた。この時ルシファー君を思い出した。次に会った時から、私は段々意識するようになっていった。
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「食事誘われた時は嬉しかったなぁ」
「初恋の相手だったんだ。ルシファーは当時エルのことどう思ってたの?」
「そんなこと知らないよ。多分私の片思いだったろうけど…」
「ルシファーは覚えてるの?当時のこと」
「いや…覚えてないと思う。先生、ルシファー君の両親はあの事件でなくなっているから…覚えてないと思う」
「いつ行くの?食事」
「どっちも暇な時かな」
「その時は私が服を選んであげる」自信満々に言った。
「ありがとう」
食事が終わり、2人は店の前で別れアイリスはカルヴァリーへカミエルは家へと戻って行った。
アイリスは部屋に戻ると早速、逆探知した情報を解析した。ランスロットも手伝いながら長い時間解析を続けた。
「起きてください。アイリス様」アイリスはいつの間にか寝ていたようで朝になっていた。顔を上げると『complete』の文字がモニターの画面にでていた。寝ている間に解析が終わっていた。
早速位置情報を見ると、2人は驚いた。2人は急いで将軍にこのことを伝えた。
「どういうことだ」
「わからない、けどもうちょっと調べてみる」
モニターには、位置情報を知らせる赤い点が無い世界地図が映し出されていた。