第13話 ゼロクリスタル
次の日、ナタとラムダと一緒にインモルターリス基地本部に向かう前にある場所へ寄った。目の前に大きな慰霊碑が見えてきた。今回の戦いで亡くなった仲間に花を手向け、手を合わせた。しばらくして、基地本部に向かった。
部屋の扉を開けると知らない女の人がカミエル様と談笑していた。
「あっ、ルシファー君来たよ!」
「へ〜、この子が…。こんにちは、ルシファー君。私は、アイリス・ノワール。INDEPENDENTの天才科学者!です!」
アイリスがここに来た理由は、俺の右目を治すため本部に連れて行く必要があったからだ。俺のクリスタルは粉々になってしまい、今は戦うことはできない状態である。ちなみにアイリスとカミエル様は親友らしい。
「ルシファー、出発するよ。カミエルもついてきて〜」俺はに手を引っ張られながら車に連れてがれた。車に乗せられしばらくするとカミエル様も乗ってきた。車で連れてかれた場所はINDEPENDENTの本部だった。
「これがINDEPENDENTの本部…」
「あ~れ~、もしかして初めて見た?紹介しよー、ここがINDEPENDENTの本部、カルヴァリー」
カルヴァリー。ここはINDEPENDENTの本部であるが限られた人しか出入りすることができない。居住区域とは別の場所にあり巨大な基地となっていて難攻不落の要塞のようである。
車を降り、アイリスの部屋に向かった。部屋につくと人型のロボットがお出迎えしてくれた。
「おかえりなさいませ、アイリス様。」
「ただいま!ルシファー紹介するよ、この子はランスロット」
ランスロットはアイリスが発明した人型の戦闘ロボットらしいが、カミエル様によるとアイリスのお世話係的存在らしい。ランスロットは自我を持っていて人間らしい振る舞いができるそうだ。また、戦闘力は四天王に匹敵する強さを持っており量産を頼まれた時があったそうだが、アイリスが頑なに断ったため量産されることはなかった。
アイリスの部屋から移動し地下に来た。歩いていくと、通路の突き当りにある頑丈なセキュリティの部屋に来た。
その部屋に入ると5つの台とその上に4つのクリスタルが浮遊して展示してあった。
「これは……クリスタルですよね」
「そうだよ、特別なクリスタル!ここにあるのは、ゼロクリスタル。私のパパが作ったもの」
「ゼロクリスタルってなんですか?」
アイリスはゼロクリスタルについて教えてくれた。
ゼロクリスタルは、アイリスの父親、ケリー・ノワールによって初めに作られたクリスタル…アイリスによって作られた今のクリスタルの元となったものだ。クリスタルには使える特殊能力の系統がありその人の潜在能力に近い系統が使えるが、ゼロクリスタルには系統がなく使う人の潜在能力を最大限に引き出すため使う人によって特殊能力が変わる。
「ルシファーのやつ壊れちゃったから新しいのにしないと。ルシファーはクリスタルに選ばれたのかもしれないね」
どういう意味だ?そう思っているとアイリスが話し続けた。
「実はね、ゼロクリスタルは誰にでも埋め込むことはできないのだよ。もし選ばれた者以外の者に埋め込むと、使っていくうちに生命力が奪われていき最終的にはあの世行き。でも、選ばれた者が使えば最強の力を手に入れられる!」
「選ばれる基準とは何でしょうか?」
「ルシファーも薄々気づいているんじゃないかな。基準は量産のクリスタルを破壊した者だよ!量産を破壊した者だけが今のところゼロクリスタルを何事もなく使うことができている…って言ってもまだ1人しかいないんだけどね!」
え…まだ1人しかいないの。それでよく俺にゼロクリスタルを埋め込もうとすることができるな。
「あの、まだ1人しかいないんじゃ絶対とは言い切れないんじゃ…」
「大丈夫!絶対ということを保証してくれる人がいるから」アイリスは、自信満々な顔をして言った後、俺の後ろの方を見てウインクをした。
「もしかしてカミエル様ですか?!」カミエル様は頷き、話し始めた。
「私もルシファー君みたいにクリスタルが破裂した時があった。それでまた量産を埋め込んだけど、すぐに破裂しちゃってそれが何回か続いたの。それで量産ではなくゼロクリスタルを埋め込んでみたら破裂はなくなった。だから大丈夫!私も保証するから!」
カミエル様は笑顔で話してるけど、何回か破裂って目も何回かやられてるわけで…そう考えていると急に恐ろしくなってきた。破裂はもうこりごり、保証人は少ないが信頼が高い保証人だから大丈夫なはず。
俺は、ゼロクリスタルを埋め込むことを決心した。
すぐに手術が行われた。失明した目もクローン技術を使って新しい目が用意された。移植と埋め込みの作業が行われた。
目が覚めると、両目で見ることができるようになっていた。
「目が覚めたようだね〜、手術は大成功!調子はどう?」
ゼロクリスタルを埋め込んだが異常はなさそうだ。グーサインを出そうと腕を上げた時、何かに当たった。さっきから首と胸とお腹と足首のあたりが窮屈である。というか動けない。
「動けないんですけど」
「ごめん…人工呼吸器で聞こえない」
人工呼吸器が外されたのでもう一回…。
「動けないんですけど!」
「あ~、ごめんごめん。前にゼロクリスタルを埋め込んだ手術した時、目が覚めたら暴れ出した人がいたから念のために…ね!」
絶対大丈夫って言ってたはずなんだけどな…。すぐに拘束具は外され自由の身となった。リハビリもすることなくすぐに帰れることができた。
「アイリスさん、ありがとうございました」
「がんばれよ〜」
お礼のあいさつをして、カルヴァリーを後にした。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _
【元老院議会】
「ゼウス将軍。勝手にゼロクリスタルの埋め込みを行ったようだが、どういうことだ」
「情報が届くのが早いですね。まぁいい、これは私の判断ではありません」
「では、誰だ」
「私、アイリスで〜す」アイリスが元老院議会に入ってきた。
「本当に元老員はホログラムなんだ!ねぇねぇなんでみんなフード被って同じ格好してるの?…」
「黙れケリーの娘!いいか、勝手なことをするな」7つのホログラムが消え議会が終了した。
「どうだ」
「いい感じに引き延ばせたから逆探知できたかも。詳しい事は少し時間がかかる」そう言うとアイリスは自分の部屋に戻って行った。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _
アイリスが部屋に戻るとカミエルが待っていた。2人は食事をしに出かけていった。