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10補給任務

見てくださってありがとうございます。

それから、魔族全員を集めて話し合われた内容は主に物資の問題だった。

特に食糧については多く見積もっても5日程の蓄えしかないとのこと。 これでは暗黒大陸に辿り着く前に餓死してしまう。

そこで、ビルは魔族達から重大な任務を課せられることとなった。 それは、人間の都市への潜入および物資の補給だ。

幸か不幸か、ビルの容姿は一見しただけでは人間と区別がつかないくらいに人間らしい。潜入するにはうってつけというわけだ。

配下が王(仮)に命令するとはどういう了見だ、そんな任務やりたくない怖い面倒臭いとビルは不満を覚えつつも、自分の弱い立場をわきまえ、おとなしくその役目を引き受けるのだった。

とはいえ、ビル一人では心許ないのも事実。リアは補佐を一人つけることを約束した。

ビルは現在、要塞都市ボズを目指してその補佐と街道を進んでいた。

その補佐とは……


「……なんで補佐にこの子を寄越すのさ……?」

「はぁ?こっちのセリフだし」


八歩離れた横からビルを睨みつけるのはニア。事もあろうに彼女がビルの相棒となるのだった。

ニアもビル程ではないが容姿は人間に近く、角と尖った耳を帽子で隠せば魔族だとバレることはまず無い。だが、


「もうちょっとこっちに寄れない?これだと目立つよ……」


ニアの態度は人目を引く。街に潜入する以上、目立つことは厳禁だ。


「うるさい。別にわたしは一人でも平気だもん」

「勘違いしないで。君に任されたのは俺の補佐。補給は俺の仕事。俺を置いてくと怒られるのは君だよ」

「ちっ……」

「ひっ……!?」


幼女の舌打ちにビクリと反応するビル。

ニアは相変わらず機嫌を悪そうにしているが、ビルを置いていこうとするそぶりは見せない。

自分の言うことをなんだかんだでニアが素直に受け入れてくれたとビルは理解すると、急に親しみが込み上げてくる。


「……ふふっ」


ビルはススッとニアとの距離を縮める。が、


「………………(ススッ)」


無言でビルから距離を取るニア。


ススッ。距離を縮めるビル。

ススッ。距離を開けるニア。

ススッ。ススッ。ススッ。ススッ。スススススススススススススス。タッタッタッタッ!


「もう!こっち来ないでよ!?」


「そんな必死に逃げなくてもいいじゃん!?」


いつしか互いに全力疾走。もはや、ビルもニアも自分が今何をしているのか分からない状況だった。そして、互いの体力が尽きた所で終幕。


「はぁはぁ、はぁ……」


「ぜぇ……ぜぇ……」


ビルとニアは四つん這いで呼吸を整える。


「あのさぁ、分かってんの?これから俺達は人間の都市に潜入するんだよ?」


「うっさいな……分かってるよ」


「分かってたらこんな小競り合いしてる場合じゃない」


「だから分かってるってば!」


「すみません!」


自分に非がなくても謝らずにいられないビルであった。

しかし、ニアの危機感の無さを見過ごすわけにはいかない。


「……不本意だとは思うけど、今の俺と君は一連托生。この局面、互いの足を引っ張り合いながら乗り切れる程甘くはない」


「……足引っ張ってるのはあんただけだし」


「じゃあ、俺に足を引っ張られないように足並みを合わせてうまく立ち回らなくちゃ」


「ああ言えばこう言う……」


「とりあえず、これからの流れをおさらいするよ?」


ニアはとうとう根負けしたようにビルの話に耳を傾け始める。


「まずは、宝石の換金から」


手元にはモラえどんから預かった大粒の宝石の数々が。これらは魔王城が滅びる前に、宝物庫にあった物を四次元ポシェットに移し替えたのである。魔族一行の主たる資金源だ。

ただ、今回に関しては懸念が一つ。


「あんたに商人と交渉なんてできるの?」


換金するに際して、店の者と値段の交渉をしないといけない。

しかしながら、今まで外の世界に触れないまま生きてきたビルにそんな経験などあるはずもなく、


「……ニアは得意だったりする?」


「フン……人間なんてゴミ相手に交渉なんてできるわけないし」


魔族にとって人間は忌むべき対象だということは分かっているが、ニアもその例に漏れないらしい。

となると、必然的に人間との窓口を請け負うのはビルの役回りになる。 というかそもそも人間の都市で何かをしようとする以上、人間と関わらなくてはいけないわけで……


「てことは、買い物も無理……?」


「当たり前でしょ」


胸を張って答えるニア。人間の都市で人間と関わらずに出来る仕事……


「……ニアは逆に何ができるの?」


「何って………………」


言い返そうとして言葉が続かないニア。


「……ごめんっ!今の忘れて!」


「なっ!?バカにすんな!マザコンのくせに!」


「ひぃっ!?ご、ごめんなさい!」


道中、こんな感じでビルがニアに歩み寄り、逆にニアを怒らせるやり取りがしばらく繰り返された。

仲良くなれたとは到底言い難いが、ビルの努力の甲斐もあってまともに言葉を交わせるくらいの関係は出来上がったのだった。

続きもお願いします。

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