80 勝利の水浴び
話のキリの関係で短いです。すみません。
村に帰った俺たちを迎えたのは、シタコ村長と坑道に閉じ込められていた作業員たちだった。
「おお、無事に帰った…って、2人重傷かい!?」
シタコ村長がエフテルとカーリを見て慌てている。
返り血であることを話すと、紛らわしいと怒られていた。
「“しかく”…ホントにやってくれたんだな」
作業員たちが、エフテルとアルカに声をかける。
「ねえ!“四極”ね!次間違えたら狩るよ!!」
人間に狩人武器を向けたら犯罪である。
「悪い悪い、まさか本当にお嬢ちゃんたちが七色剣山を討伐するとは思ってなかったからよ…」
「な、俺は言ったぞ!“四極”なら大丈夫だって!」
あの誇らしげな作業員は、八方発泡魚戦に参加していたといっていた作業員だ。
「というか、自力で戻ってきたんだね」
ぼそりと呟いたアルカの声を聞き逃さなかった作業員たちの話によると、爆音を最後に急に静かになったため、様子を見に行ったそうだ。
すると、空洞には七色剣山はいないし、外に出ても“四極”も七色剣山もいない。
ということで、俺たちの安否を気にしつつも、一足先に全員で坑道を脱出したとのことだ。
「ま、人命救助と獣討伐、両方達成できたなら大したもんじゃねえの?」
人垣の向こうには、ロンタウが腰かけていた。
「ロンタウ、いたのか」
俺はシタコ村長や作業員にもみくちゃにされている弟子たちを置いて、ロンタウに並んだ。
「ちょっとだけ、心配でな。ま、指導役もいるんだ。本当にちょっとだけ、心配してた」
「はいはい、おせっかいだね、先輩も」
ロンタウの隣には、銃が立てかけてあった。万が一のときは、無 理やりにでも助けに来るつもりだったのだろう。
「もう4級に恥じない狩人だな。でも、こっからだぞ、大変なのは」
「そうだな。でもまあ、アイツらなら大丈夫だと思わないか?」
桶に貯められた水を頭からぶっかけられて、洗われているカーリとアルカを見て、ロンタウは苦笑する。
「あはは、若いなぁ…。これで、4級かぁ」
「ロンタウだって若いだろ」
色々と見せられたので、その肉体に衰えがないことは知っている。髪も長く、顔も整っている。
「なに言ってんだよ。もう36だ。この前はすぐに特級になるなんて啖呵切ったが、こりゃちびっこたちに抜かれちまうかもな」
「あ!?ちょっと待て、ロンタウって俺の年上なのか!?」
「いや今真面目な話してたのに、食いつくのそこかよ。そうだよ、もうババアだよ」
そうは見えない!
人は見かけによらないとはこういうことか…いや違うか?
「ま、将来有望な狩人が増えるのはいいことだ」
「そこには賛成する」
俺は怪我で引退したし、ロンタウもまだまだ先の話だが、老いで引退するだろう。そんなときに、自分たちが認めた若い狩人がいるというのは、なんというか、頼もしい。
「って、いつまでもここで老人会やってねえで、そろそろ助けにいってやれよ」
今はなぜか、返り血を浴びていないアルカとコウチも水で洗われている。もうなにがなんだか分からない状況だ。
「あ、そうだ。今のシタコ村長に伝えても多分当てにならないからロンタウに伝えておくんだが、あとで場所は教えるから、七色剣山の素材を回収するようにお願いしていいか?剝ぎ取りも4人ではな。人手が必要だ」
「ん、了解。落ち着いたら村の連中に言っとくよ」
そう言うと、ロンタウはひらひらと手を振って俺に別れを告げる。
どうせ帰る家はロンタウの家なんだがな。
俺は素直に、弟子たちを回収することにした。
「あのー、ギルドで手続きもあるし、そろそろ解放してやってくれー」
俺の声掛けのあとも、しばらく“四極”は解放されなかったが、まあ、それは認められた証拠ということで。
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