114 小休止
祝勝会が終わり、次の日。
「おはようじゃーん?」
「お前それ挨拶にもつくのか」
いつもの酒場に俺と“四極”が集まっていると、ミーンがやってきた。
依頼掲示板に用があるようで、俺達の脇を通り過ぎて、依頼を物色する。
ちなみに、森に関する依頼は全てギルドによって取り外されているので、平原か、少し遠い狩場の依頼しかない。
「うーん、これにしよっかな。うん、ハルゥにも見せてこよ!」
1枚の依頼書を手に取ったミーンは、じゃーんと言いながら酒場を後にしていった。
「あれ、あの2人って、まだアオマキ村にいるの?」
エフテルが訊ねる。
そうか、こいつ酔っぱらってて聞いてなかったのか。
「2人は少しの間アオマキ村を拠点にするそうだぞ。まあ、俺達と一緒に狩りに行ったりすることはないだろうから、あまり気にすることはないさ」
今までのレイとルミスみたいなもんだ。
「へえ、そうなんだ。まあ、色々教えてほしいこともあるし、ちょうどいっか」
エフテルとアルカには、それぞれ先輩から技術を学ぶように言ってある。
「師匠が教えてよ」
と言われたが、口で説明するにも限界がある。やはり、実際に武器を振れる人間からしか得られないものはある。
「で、集まりはしたけど、どうするんだ?森、入れなくなっちまったら俺らの仕事ほとんどねえよ」
コウチが言う通り、森の立ち入りはギルドによって禁止されている。
理由は公になっていないが、俺達は知っている。半透明の竜の影響だ。
「草原に出てきた獣を狩るにしても、限界はありますわよね」
「それに、もうすぐ昇級できそうだったのに、格下ばっかり狩ってちゃあ実績にならないよ!」
まあ、本当に皆が言うとおりなんだよな。
いっそのこと、ヒシガツマ村にでも行こうか…。
と、考えていると、ウエカ村長が俺達の卓に近寄ってきた。
「困ってるね?」
「おう、困ってる」
ウエカ村長は全てを知っている人間の1人だ。
専属狩人であるがゆえ、あまり遠くには行けない。だがそうすると危険度3程度の獣しか狩る対象がいない。
その悩みを直接ぶつけてみた。
すると、案外簡単に遠出の許可が出た。
「あんまり連続しなければ、多少遠征してもいいよ。もうすぐギルドから森に人が派遣されるだろうし、ある程度治安は守られるでしょ」
「お、まじか。村長の許可がもらえるのは助かるな」
そうすれば、氷河や火山地帯など特殊な環境にも足を延ばすことができるし、素材の収集もできる。
「あ、でも、今すぐじゃないよ。ギルドから人が来るまでは、申し訳ないけど、もう少しだけ休んでてほしい」
「それもそうか」
となると、10日くらいは…大人しくしとくか。
「よし、久々に基礎練習とかするか。筋トレとかしてなかったし」
「えーーーーー!やだーーーーー!!」
一番スタミナがないエフテルが騒ぐ。
筋力の無いアルカも首をブンブン振っている。
「そこまで喜んでくれると、鍛え甲斐があるなあ…」
目一杯いじめてやる。
「あ、そうだ。我らが狩人君の耳には念のため入れておこうと思ったんだけど」
「ん?」
去り際に村長が声を落として言う。
「ヒシガツマ村周辺の砂漠でも、魔物が観測されなくなったらしい。シタコから連絡があった」
「…そうか」
結局、アオマキ村の森で魔物が見つからない理由も良くわからないし、その結果の弊害もあまりない。精々魔燃料の確保に手間がかかるくらいか。
しかし俺は、魔物の出現と、例の危険度7の獣の出現には因果関係があると考えている。
砂漠に移動したのか…?
「まあま、そんな怖い顔しないでさ、今はただ、それだけの情報しかないんだから」
「…そうだな。気にし過ぎも良くない」
それにヒシガツマ村には頼れる専属狩人ロンタウがいる。
アイツがいれば、大抵のことはなんとかなるだろう。
それに、
「危なくなったらいつでも助けに行く」
と、アルカが言う。
専属狩人決定戦の勝者だけあって、あのアルカでもヒシガツマ村には思い入れがあるようだ。
「そうですわね。すぐ傍にある村ですし!」
俺達にとって、ヒシガツマ村は第2、第3の故郷みたいなものだ。危機があるなら、すぐに駆け付ける。
「よし、そのためにも、まずはトレーニングだな」
俺は手を叩いて立ち上がる。
「カーリ!余計なこと言うから!」
「え!?わたくしですの!?」
こうして今日も“四極”の日常が始まる。
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