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109 緊急依頼、蛇嵐⑨

「じゃ、ウチらから行くじゃん!」


“豊穣の奏”は一気に地下室に侵入し、蛇嵐に先制の針を投げる。


「jaaa!」


命中するが、流石に蛇風たちのようにすぐに毒で動けなくなったりはしない。

だが、注意を引くことはできた。

ありがたいことに、2人は蛇嵐を引き連れて部屋の奥へ奥へと走っていく。

これで蛇風との距離も離れた。


「よし、行くぞ!」

「うん!」


走り出そうとしたエフテルとコウチの横を、アルカとカーリが走り抜けていく。


「お先ですわ!」

「まず、一撃」


奥にいた蛇風にアルカが細剣で切りかかるが、鱗に阻まれて傷をつけることはできなかった。


「syaa…」


それでも、しっかりと敵として認識されたようで、蛇風はゆっくりと身体を起こした。

でかい。10mはある。本当に蛇嵐になりかけの個体だ。

1匹に触発されて、もう1匹も身体を起こす。こちらもデカい。


「コウチくん!」

「任せろ!」


アルカチームに出遅れまいと、駆けだしていたエフテルチームが2匹目の前に立ちはだかる。


「こっちも一撃」

「いや二撃!」


エフテルの針の投擲に合わせて、コウチは前進、槌で胴体部分を殴りつける。

針は流石、鱗の隙間に刺さりはするが、深いダメージは与えられない。

コウチの打撃は、アルカの細剣による斬撃よりは効果があったようだ。

少し怯み、ギロリとコウチを蛇睨み。


「なんだよ、痛かったか?」


コウチはもう一度槌を構える。今度は、カートリッジを差し込んで。


「特大の一撃、行くぞ!」


炸裂機構のレバーを引く直前、


「コウチくん、離れて!」

「ッ!!」


発されたエフテルの掛け声に咄嗟に反応したコウチは、蛇風から離れることは叶わなかったが、攻撃を中断することができた。

そんなコウチに、蛇風の全方向へ向けた弾の射出攻撃が襲い掛かる。


「くッ!い、痛ェ…!」


なんとか槌で体を庇ったが、一部の攻撃が当たってしまった。手足などの末端から血を流す。

今のが蛇風の攻撃手段である、体中の穴から老廃物を弾として飛ばす攻撃だ。

コウチに当たらなかった弾、床や天井に着弾した弾は石造りだというのにめり込んでいる。

エフテルの隣まで下がってきたコウチはポーチから肉虫を取り出し、止血した。


「これだから防具が大事なんだよな」

「そうだね、生身で受けたらハチの巣になってたよ」


コウチは八方発泡魚の防具をヒシゴクガツマ鉱石で補強したものを身にまとっている。鉱石で補強しているプレート部分は貫通しなかったが、手足などのインナー部分がダメージを負ったのだ。


「でも連発はできなそうだよな?」

「でもそれはあっちも自覚してるみたいだよ!」

「syaaaaaa!!」


話合っているエフテルとコウチの元に、大口を開けながら蛇風が突っ込んでくる。

2人は地面に転がって、なんとか回避した。


「syaaaa!」

「へへ、痛いでしょ」


回避しながらエフテルは針を口内に投擲していたようで、蛇風は痛みにのたうち回っていた。

固い鱗に身を包まれていても、体内は当然柔らかい。生物である以上、共通の弱点だ。


「ナイス、エフテルさん!」

「本当は炸裂機構でぶち込みたかったけどね!」

「じゃ、それは俺の役割だな」


のたうち回っている蛇風は、2人のことが思考から抜けている。

その隙にコウチは蛇風の背中を走り、後頭部目掛けて思いっきり槌を振りかぶる。

そして、今度こそ、炸裂機構のレバーに手をかける。


「行けるな」


タイミングもバッチリ。思わず俺は呟いた。

そして響く炸裂音。

カートリッジの燃焼による推進力を得た七色剣山の槌は、高速で、人間の膂力ではだせない威力の必殺の一撃を繰り出す。


「syaaaaaaaaaaaaaaaaaaa!!」


蛇風の後頭部は大きく凹み、頭蓋骨は最早原型をとどめていない。

しかし、まだ生きている。


「頑丈…流石危険度4.5だな」


振り落される前に自分から床に降りたコウチは、暴れ回る蛇風に巻き込まれないように離れて言う。

逆にエフテルは、暴れ回る蛇風に近づき、真正面で射出機を構えた。


「痛いのは分かるけど…」


射出機にカートリッジが装填され、カシュッという小さな音がする。


「大口開けて叫ぶのは、学習能力がないね」


炸裂機構のレバーに手をかけ、エフテルは針を射出した。

くねくねと暴れまわる蛇風の顔がこちらを向いたその僅かな瞬間に合わせて発射されたその一撃は、見事に再び口内を捉える。

下から見上げるように打ち込まれた針は、蛇風の上顎から頭部まで貫通し、動きを止めた。

そして、崩れ落ちる。


「ナーイス」

「いえーい!」


コウチとエフテルがハイタッチする。

見事に成体になる直前の、危険な蛇風を2人で討伐したのだ。


「良いチームワークだった」


俺は2人の視線を感じたので、頷く。


「で、アルカたちはどうかな…」


エフテルが心配そうにもう1匹の蛇風と、妹たちを探す。

あちらはまだ、仕留めるまでは至っていない。

そういえば、加勢するとか言っていたな。


「エフテル、コウチ、お疲れ様。加勢はしなくていい。ここで休んでいよう」


エフテルたちの戦いと同時に、俺はアルカたちの戦いも見ていた。

命の危険となれば話は別だが、少し苦戦している程度では介入はまだ早い。


「でも、4人で戦った方が早いんじゃ…」

「エフテルさん、お師匠さんが言ってるのは、2人の闘いを邪魔しないようにってことだろう」


その通り。


「4人で“四極”だ。チームメンバーに力量の差があるのは、よろしくない。厳しいようだが、あの2人には最後まで2人で討伐してもらう」


アルカたちの戦いを見つめる俺を、じーっとエフテルが見定めるような目で見る。

そして、床にあお向けに寝転んだ。


「確かに疲れた!師匠がそう言うなら大丈夫なんだろうし、姉はどっしり構えてよう!」

「切り替えのふり幅が…デカい…」


コウチは苦笑しつつ、寝転ぶエフテルの隣に座り込む。

森のでの蛇風の討伐から、草原での防衛戦。そしてこの遺跡での掃討戦。全て連戦だ。疲れていないはずがない。

エフテルとコウチにはゆっくりと休んでもらおう。

俺は立ったまま、アルカとカーリの闘いを見つめる。

2人なら、やれるはずだ。

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