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108 緊急依頼、蛇嵐⑧

森の中にも、まだ蛇風はいた。しかし、この程度なら許容範囲だ。

そもそも危険だからという理由で狩人が全ての獣を狩っては生態系がおかしくなってしまう。

俺達は、アオマキ村に影響がなくなる程度まで個体数を減らせれば良いのだ。

ということで、今は無視。

遺跡まで真っ直ぐに向かう。

場所は事前にレイとルミスに聞いていて、所々に目印もあるので、迷わずに行くことができた。

目の前に見えたのは、小さな遺跡。ちょっと金持ちの一軒家程度の大きさだ。

これなら調査を後回しにしたのも納得だ。こんな大きさの遺跡に、蛇嵐が生息しているとは思わない。

つまり、この遺跡は地下空間が存在するのだろう。

外見だけでは判断できない広さというわけだ。


「ルミスッ!」


俺は遺跡の入り口前の、太い木の上で休んでいるルミスを見つけた。


「ああ…ラフト。悪い、無理だった…」


とりあえず、周囲の安全を確認し、木の上から下りてもらおう…としたが、あまりの疲労で木から下りる元気もなさそうなので、俺が木に登る。

ミーンたちと、弟子たちは木の下で耳を澄ませていた。


「なにがあった?」

「蛇風の異常発生の原因が分かった…。それと、この森に潜む存在についても…」


話を聞きながら、ルミスの体を確認する。大きな怪我はない。呼吸も荒いが、命に別条はなさそうだが…、ッ!?


「ルミス、お前その右耳…」

「安心してくれ、耳自体に感覚はないが、聞こえる。ギリギリだったようだ」

ルミスの右耳に目立った外傷はない。しかし、真っ黒に染まっていた。

“俺の右腕と同じく黒く染まっている”。


「ルミス、詳しく聞かせてくれ。アイツと、戦ったのか!?」

「らしく、ないな…。冷静になれ。順を追って話す…」


俺は深呼吸をして、ルミスの話を全力で聞く体制になる。


「すまん、もう大丈夫だ。話してくれ」

「…まず、蛇嵐だが、遺跡の入り口を危険な敵に塞がれて、出られなくなり、共食いを繰り返しながら内部で繁殖、放出を繰り返していたようだ。遺跡内部の蛇嵐は2匹。1匹は倒したが、もう1匹までは体力がもたなかった。中には蛇嵐になりかけの蛇風もいる。注意してくれ…」

「分かった。ありがとう」


つまり、この蛇風の大量発生は、遺跡の中に閉じ込められた蛇嵐が複数回蛇風の放出を行い、成長した蛇嵐がまた放出を行い…と言った結果、異常な個体数となったのだろう。

道理で蛇風たちが弱いわけだ。碌な食糧もなく、弱った状態で遺跡から飛び出したからだったんだな。

そして、その遺跡を封じていた相手が…。


「ルミス、遺跡を塞いでいたのは、半透明の触手を背中に生やした四つ足の獣か?」

「違う。俺が対峙したのは、半透明な巨大な竜だった…。大きな、体の長い半透明な竜…。頭から首は見えたが、長すぎて体を視認することはできなかった」

「別の個体もいるのか…!?」


ルミスの耳を見る限り、相手は間違いなく俺の右腕を奪ったアイツと同種の獣だろう。

しかし、見た目の情報があまりに一致しない。


「半透明な竜はどれだけ攻撃しても傷が回復した。俺は、ラフトから聞いていた触れてはいけない触手の特徴に似たものを感じた。だから、徹底的に被弾を避けて戦ったんだが…かすってしまったな」


少し笑いながら自分の耳を触るルミス。俺なら分かる。その耳に感覚は、もうない。


「その、竜は?」

「逃げていった…というより、引っ込んでいった。ずっと警戒していたが、戻ってくる気配はない。だからこそ、蛇風たちは遺跡から飛び出したんだろう」


一応、この辺は安全ということか。

しかし、森の奥にはアイツの同種がいるということが分かった。

これはレイと共有すべき情報だ。

だが、まずは遺跡の中の蛇風と蛇嵐の対処からでいいだろう。


「ありがとう、そのまま休んでてくれ」


俺は木から下りて、6人に内容を伝える。

聞こえていたようで、話は早かった。


「よし、じゃあ、遺跡の中に乗り込もう!」

「行くじゃーん!」


エフテルとミーン。ノリノリな2人は相性が良い。逆に俺はついていけなくなるが…。


「中にいる蛇嵐は、ミーンとハルゥに任せる。残りの蛇風は“四極”で引き受ける」

「おっけーです。ちなみに、わたしたちは“豊穣の奏”っていうチーム名だから。よろしくね」


ハルゥに補足された。長く一緒に狩人をやってそうな2人だし、チーム名もあるか。


「か、かっこいい…」

「コウチ、わたくしたちの“四極”が最も崇高な名前なのですわよ。お師匠様が名付けてくださったチーム名なのですから」

「崇高…?まあ、俺らもかっこいいか」

「ですわよ」


…なんかカーリのああいう、俺を持ち上げる発言も久しぶりに聞いた気がするな。

ともあれ、“豊穣の奏”と“四極”は遺跡の内部に侵入していく。

遺跡の中は大きな広間となっており、これまた大きな階段が地下に続いていた。

一体どうやって古代の技術でこんな建築物ができるのかと思うが、思うだけでそこまで興味はない。

俺の興味は、あくまで狩人に関することだ。

つまり今は、この階段を下った先にいるであろう蛇嵐と蛇風に興味がある。

ルミスは正体不明の敵と死闘を繰り広げたのちに、限界の体で遺跡内部の敵を減らしてくれたのだ。

俺達で後を継ぎ、アオマキ村の脅威を完全に取り除かなくてはならない。

階段を下っている最中には、獣には遭遇しなかった。

下り切ったので、俺が中の様子を伺う。


「地上より…広いな…」


地上の広間も建物を目いっぱい使ったものだったが、地下はもっと広い。

壁、床、天井も石造りで頑丈そうだ。

少し暗いが、全くの暗闇というわけではない。

所々に採光窓があるようで、中の様子ははっきり見えた。


「蛇嵐が1匹…に、ほぼ蛇嵐といえそうな蛇風が2匹…小さい個体とかはいないな。全部外に出たか」


まあ、あれだけ狩ったのだ。そのうえで遺跡内にもまだうじゃうじゃといたら卒倒する。


「じゃ、作戦どおり、ウチらがあの蛇嵐を狩るじゃん」

「頼む」


“豊穣の奏”の実力も、チラチラと見せてもらおう。

さて、問題は“四極”だが、


「敵は2匹、さっきまでのような弱い蛇風ではなく、成体になりつつある蛇風だ。いうなれば危険度4.5みたいなもんだが…2手に分けて同時に狩ろう」


4人対2匹でもいいが、戦況が混乱するのも危険だ。これだけ広いなら、それぞれで戦う。


「チーム分けはさっきと同じだ。いいな」

「…いいよ」

「頑張りますわ」


ちらっとカーリを見るアルカは相変わらず無表情で、カーリは少し困り顔だ。


「よし、コウチくん。アルカたちより早く倒して、助けに行こう!」

「その気概が、大事だな…っし、気合いれたぜ」


作戦会議は終了だ。

狩りが始まる。

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