表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
104/281

104 緊急依頼、蛇嵐④

「いっちばん乗りぃ!」

「うらァ!」


エフテルが針を俺の隣から投げ、見事に頭部に命中。

怯んだ隙に、側面から接近したコウチの槌が振り下ろされた。


「sya…」


一撃粉砕。

コウチの槌は炸裂機構を使うまでもなく、蛇風を瞬殺した。


「おー、手際良いな、お前ら」


駆けつけたのはエフテル、コウチのペアだった。

七色剣山の槌改は、かなりの破壊力のようで、蛇風は見るも無残な様子だ。


「実はこれ、2匹目なんだぜ」


コウチが得意げに言う。


「おお、まじか。本当に手際が良いな」


俺が一番最初に見つけたもんだと思っていたが、弟子たちを侮っていたようだ。


「こう、逃げようとする蛇風の後頭部にあたしの針を刺して、動きが止まったところで、コウチくんが一撃!これ必勝パターンね!」


確かに蛇風の当部はつるりとしていて、明確な弱点だが、それでも動き回る小さな頭を正確に捉えるのは難しい。これはエフテルだからこそできる芸当だな。


「本当にこれで危険度4なのか?今までの敵より手ごたえがない」

「まあ、そう感じる要因は2つあるだろうな」

「2つ?」


首をかしげる2人に指を2本立てて説明する。


「まず単純に、装備の力。お前らの武器はヒシゴクガツマ鉱石という最高級の鉱石を上回る素材でできている。だから、武具だけで言えば危険度4は格下なんだ。当初のコウチみたいな状況だな」


あのころのコウチは、狩人等級5級だったにもかかわらず、4級相当の武器を持っていたので、簡単に敵を倒せた。それと似た現象が起きている。


「俺的にはなんか複雑…」

「なんで?ヒシゴクガツマ鉱石だってあたしらのおかげで見つかった鉱石でしょ?つまりあたしらの実力じゃん」

「ポジティブだなエフテルさんは…」


相変わらず、細かいことを気にする男と、気にしない女だ。


「さて、そして2つ目の要因だが、蛇風の戦闘経験の少なさだ」

「あ、あたしらの逆ってことね!」

「そういうこと」


今のエフテルたちの装備は2年前に更新したものだ。だが、2年前と今のエフテルたちの強さは比べ物にならない。

それは、戦闘経験によるものだ。


「今この森に沢山いる蛇風は生まれたて、つまり全く狩りをしたことがない個体だ。とりあえず動き、目についた獲物を喰らう。そんなやつに、今のお前らが負けるはずがない」


これは師匠として自信を持って言える。

なんなら、“四極”を4つに分けても良いかなと思っていたくらいだ。流石に万が一のことを考えて2人1組にしたが。

それくらいの実力差がある。


「ということで、あまり恐れず、その必勝パターンでドンドン狩れ。頼むぞ」

「あいあい!」

「任せてくれ」


エフテルとコウチは、次の蛇風を探すべく歩き始める。

が、ふと、エフテルが振り返った。


「ねえ、そういえば、これ何匹狩ったかはギルドの報酬に加算されないの?ねえ、頑張り損じゃない?」


ため息が出た。


「…どうせ今回は素材を回収している暇もない。依頼料だけで我慢しろ。普段世話になってる村の危機なんだぞ」

「わ、分かってるよ、聞いてみただけ!じゃね!」


逃げるようにエフテルが消えていく。出発時と同じように、コウチは苦笑しながらそのあとを追いかけていった。

あいつはどこまでも金だな。

別に借金返済した以上、もう金に拘る必要もないだろうに。やはりそれは、一種のトラウマのようなものなのだろう。

壮絶な過去の話を聞いたので、あまり怒る気にもなれない。

まあ個性として、受け止めているが。


「ん、次が来たな」


その場にいただけで、次の蛇風がやってきた。

こんなことならエフテルたちと別れなければ良かったなと思いつつ、もう一度信号弾を上げる。


「って、でかいな…」


蛇嵐の体内でよっぽど育ったのだろう。5m級の特大サイズだ。これは先ほどの戦法では瞬殺はできないだろう。


「さて、時間を稼ぐか」


エフテルたちが戻ってくるまで、ほんの少しだけ足止めさせてもらおう。

と、盾を構えた瞬間に炸裂音。

針が飛来し、大きな蛇風の体に突き刺さった。


「随分早い戻りだったな」


しかし、せっかく炸裂機構を使ったのに頭部ではなく腹部か。狙いを外さないように的の大きいところを狙ったのか?エフテルらしくもない。

そう疑問に思っていると、後ろから聞き慣れない声で話しかけられた。


「あれ?狩人じゃない人じゃん。危ないじゃん?逃げな?」


…誰?

派手な金髪に、左腕には射出機。先ほど針を撃ったのはこの人か。


「なーに、こんなとこに村人さん?危ないね。避難を優先させよ」


さらに奥から1人、長い髪を1つに結んだ女性。持っているのは、細剣。狩人か。


「って、話してる場合か?そこに蛇風が…って、なるほど」


俺が蛇風を見ると、ぐったりと地面に倒れている様子だ。


「トドメっ」


細剣を持つ女性が動けない蛇風の頭部を細剣で貫く。

これで心配はなくなった。


「じゃ、ほら、逃げよ?ウチらが草原まで送ってってあげるから」


金髪の針使いに腕を引かれる。


「待て待て!」

「大丈夫、草原まで出れば鬼強い狩人が守ってくれるから。すごいの、人間やめてんじゃん、あれ」


レイの話をしているのだろう。しかし俺の話を聞いてくれない。

なんとか引っ張られないように踏ん張る。


「む。村人さん力あるじゃん。ウチに引っ張られても微動だにしないじゃーん?」


狩人としての誇りが少し傷ついたのだろうか。口をとがらせて、不満げに言う。

今がチャンスだ。


「ほら、俺も狩人!これ見てくれ!」


すかさず狩人免許を取りだし、2人に見せる。


「黒い…」

「狩人免許?」


金髪の針使いと、長髪の細剣使いはきょとんとしている。

そして顔を見合わせると、笑い出した。


「なにこれ、偽物じゃーん!」

「しかも得意武器全部とか、流石にね?お土産品か何かかな?」


こ、コイツら…馬鹿にしやがって…!

俺が歯ぎしりしていると、こちらに向かって走ってくる足音が聞こえた。


「もう一度、いっちばんのりー!じゃない!?」

「エフテル!」

「あれ?もう倒してる…って、誰すか?その2人。お師匠さんの知り合い?」

「コウチ!」


信号弾を見て戻ってきてくれたようだ。

その2人を見て、俺の腕を掴んでいた見知らぬ狩人は、ようやく手を放す。


「むむ、同業者じゃん。こんにちわ。同じ依頼を受けたものだよ」

「おお、こんにちわ!」


エフテルと金髪の狩人は握手をしている。


「こんにちわ」

「こここおここ」


コウチも長髪の狩人と握手して、狼狽えていた。あいつ恋人いるくせに女性耐性がなさすぎやしないか?


「で、ここで迷子さん見つけたじゃん?君らこの村の専属狩人でしょ?ちょうどいいから、村まで送ってくれるじゃん?」

「え?」


エフテルがこちらを見てくる。


「助けてくれ。頼む」


こういうのは、話が通じる同士で話してもらうしかない…。

面白いと思っていただけた方は、ぜひブックマーク、下の評価を5つ星よろしくお願いします

作者のモチベーションにつながり、更新の力になります

ぜひよろしくお願いします!

あと、評価じゃなくて感想でも喜びまくります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ