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100 続いていく日々

今あるストックを吐き出します

ヒシガツマ村で専属狩人決定戦があり、エフテルとアルカの件が片付いて、アオマキ村に戻ってきてから、2年ほどが経過していた。

4級狩人として経験を積む“四極”は、順調に成長を続けている。

最早俺が口を出すことも少なくなってきていた。

そろそろ昇級依頼も受注できるほどの実績もある。

ヒシガツマ村で村人の危機を救った時のような、緊急の依頼はなかったが、草原に出てきた危険度が高い獣や、調査が進んだ森での露払いなどを行っている。

俺達が戻ってきたことで、レイは森の調査依頼に戻った。相変わらず同居はしているが、森の調査で家にいないことも多い。

森の調査はルミス1人でも進めてはいたが、やはり2人のほうが調査が進むのは早い。

森の奥に進めば進むほど危険度の高い獣の縄張りとなっていたので、“四極”としてもちょうどいい。段階的に、そのときの実力に応じた依頼を受けることができるからだ。

狩った獣の素材は、武具などには加工せず、売却している。

ヒシガツマ村のときのように直接人命を救ってはいないが、アオマキ村の発展にはかなり寄与している。

この2年間で、大きく変わったことは特にない。

いつも通り命がけで、いつも通り平穏な日々を過ごしている。

強いて言うなら、エフテルが成人を機に髪を伸ばし始めたくらいか。1年程度では流石にロングヘアとまではいかないが、肩くらいまでは伸びている。背中くらいまでの長い黒髪を維持しているカーリに、色々と相談しながらヘアケアしているようだ。

姉妹の過去を知り、カーリと姉妹の仲は深まった気がする。

元々仲が良かったエフテルはさらに親密に。少し当たりが強かったアルカは、相変わらず毒は吐くものの、普通に接している。

…先ほど、大きく変わったことはないと思ったが、実は間違いだったかもしれない。

狩りの腕も、人間関係も、少しずつ変化していったものは、2年前とは比べ物にならないものになっている。

いつしかウエカ村長が言っていたとおり、近くにいると分からないだけかもな。


「相棒!俺様のお帰りだ!」

「おーう、おかえり」


部屋のベッドで、軽く目を閉じていた俺は、とても大きな声で覚醒し、体を起こす。レイが森の調査から帰ってきたようだ。

そして最近の日課が始まる。


「ほら相棒、今日は逆さ夢幻蝶の体液だ!赤くねえから多分違えけど、念のため、な。がははー!」


“双極”として俺が狩人現役だったころの相棒であるレイは、この日課のときは毎回ハイテンションだ。

俺は右腕の包帯をほどき、真っ黒い右腕を露出させる。ちなみに2年前アルカに刺された傷はちょっとだけ痕が残っている。


「じゃ、塗ってくぜー」


ご機嫌にペタペタと、今日狩ってきたであろう逆さ夢幻蝶の体液を俺の腕に塗っていく。


「どうだ!?」

「…変わらず、動かないな」

「そうか…。ま、次に期待だな!」


毎回期待に目を輝かせ、結果を知って一瞬落胆、その後またやる気に満ち溢れる。

なぜこんなことをしているかというと、少し前にカーリの父親であるアーシさんから、“神の血”の成分分析結果が手紙で届いたのだ。

神の血は、怪しいオカルティックな団体が持っていた液体で、それを浴びた俺の右腕は、一瞬動いた。つまり、この右腕を治す可能性に最も近い液体なのだが、調査によると、それの主成分は、獣の血なのであった。

しかしなんの獣かは分からないとのこと。

それが分かってから、レイは森の調査のついでに獣を狩り、その獣の血液を俺の腕に塗りたくることを日課にしている。


「ふーむ、これで危険度3以下の獣は全部試したな。まあ、流石にこんな雑魚どもの体液ではなかったか」

「まあ流石に、家宝とか言ってたものが危険度3の獣の血液でしたってことはないだろうな」

「だよな。そうすっと、危険度6が濃厚だな…」


レイは、俺の腕を治せる可能性が見つかって、毎日が楽しそうだ。人生には希望が必要なんだなと、まるで他人事だがそう思う。自分の腕のことなのだから、最も真剣になるべきは俺なのだが。


「やあやあ師匠!腕治ったー?」


開いていた入り口から、エフテルが我が物顔で入ってくる。


「お邪魔します」


アルカもいたようだ。


「おうガキども。おめえらの指導役ももうすぐ終わりだぞ」

「え、治ったの!?」

「いやまだだが、時間の問題だって話だ」

「ふぅん。まあ、そっちはおまかせします。師匠の腕が治ることは良いことだからね!」


弟子たちも、俺の腕を治すことには協力的だ。恩返しか何かのつもりなんだろうか。


「お前ら、忘れちゃあいねえよな?」


ご機嫌だったレイが、エフテルに睨みをきかせる。


「え?なに?」


昔は怯えていたエフテルも、流石に慣れた。普通に接するどころか、最早ため口だ。


「お前らに相棒を貸す条件だよ。相棒の腕が治る治らない関係なく、指導役としての役割を終え、“四極”が解散したら相棒は“双極”に戻る。それだけは忘れんじゃねえぞ」

「分かってるよー。全く、耳タコだよ耳タコ!」


このやりとりも、毎度毎度繰り返されている、お約束になりつつある。

とはいえ、弟子たちは、俺の仇を取るまでは師弟関係を解消するつもりはない。それまではごね続けるという話になっている。レイには秘密だが。


「って、いつもどおりのじゃれあいはもういいだろ。エフテルとアルカ、何か用事か?」


今日は狩人の仕事は休みの日だ。

特に用がなければわざわざ顔を出す必要はない。まあ何だかんだで顔を合わせたり一緒に遊びにいったりはしてるのだが、特にそんな約束もしていない。


「あ、そうそう、師匠の様子を見に来ただけじゃなくて、ちゃんとした用事もあったんだよ!」


用件を忘れていたようだ。思い出してくれてよかった。


「このアオマキ村の危機なんだよ!」

「え?」


…そんな重要な用件を忘れないでほしかったな。


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