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寂しさ  作者: 冷凍槍烏賊
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あのとき死んでいれば

 あのとき死んでいればこんなふうに思うことはなかったんだろうな


 これまでなんどそう思ったことだろうか


 まだ生きてる 望んじゃいないのに


 湿った風に吹かれ 腕の痒みに逆らわず


 時々髪をかき上げて 顔の痒みに逆らわず


 あぁ 腹を抑えるべきか 胸を抑えるべきか


 それか 頭を抱えるべきなのか


 いずれにしても胸を張る すべてを忘れた人間のように


 裸の王様みたいに それ以外の歩き方を知らないから



 私はすべてを失った すべてを求めずやってきたから


 努力の仕方を忘れてしまった その必要もなかったから


 尊敬の仕方もわからなくなって それでも礼儀作法だけは覚えてる


 失礼のないように 迷惑が掛からないように


 普通の人間の顔をして 普通の人間未満として生きている



 あのとき死んでいればこんなふうに思うこともなかったんだろうな


 好きだった人の顔を思い出して 本当に好きだったかどうかに疑問を持って


 会いたいかどうかを考えた結果 予想通り会いたくはないと思って


 傷つきたくないと考えることですら小さな傷がついて


 私はもう人と触れ合うには弱すぎる人間になってしまったのだろうと


 思いながら踏んだ腐った葉っぱが うんこじゃなかったかだけ確認したくて靴の裏を地面にこする


 君たち こんな人間にはなるなよと


 通り過ぎる子供たちに言うことすらできない 思い切って自己否定する勇気さえない


 心のどこかでまだ自分は間違っていないかもしれないと思っているから


 心のどこかでまだこれが自分の唯一の道だったと信じるためのスペースを残しているから


 心のどこかでまだ自分が知らない何かによって自分が知らない何かになるチャンスがこの先待っているかもしれないと



 あぁ もういいじゃないか もういいじゃないか


 あのとき死んでいればこんなふうに思うこともなかったのだから

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