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寂しさ  作者: 冷凍槍烏賊
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君の努力が誰かを傷つけるかもしれない

 ある少年がいました。

 彼は、強くなりたかったので、努力しました。努力だけなら誰にも負けないぞと思い、どんなに苦しくても決して心を折らず、自分を成長させてくれるものはなんでも吸収していきました。


 そして、彼はその強さを皆の前で証明する機会に恵まれました。皆が、彼のことを見直して、尊敬しました。

 努力は、みんなが大事だとわかっていながら、それを本当にやり遂げられる人は、あまり多くありません。そのうえ、一生懸命頑張っても、それがちゃんと目に見える形でわかることは、もっと少ないことです。

 だから、少年のように努力して、成功を勝ち取れる人を、みな褒めたたえ、愛そうとするのです。

 君も少年を見習って、頑張ろう。


 その話を聞いた少女は、頑張りました。その少年よりももっと努力すれば、もっとみんなに褒められ、愛されるだろうと思い、そう思うと、力も湧いてきました。

 どんなにくじけそうになっても、少女は決してあきらめませんでした。歯を食いしばって、あと少し、あと少しと、懸命に、一歩一歩、進んでいきました。


 そして彼女にも、彼女の実力を示す機会が与えられました。そこで彼女は、自分の精一杯を皆に見せました。すると、みなは拍手をして、少女の努力に敬意を払いました。

 しかし、少女が思い描いた景色とは少し違いました。少女が褒められたのは一瞬で、また次の、別の女の子に機会が与えられました。その子は、少女ほど努力はしていませんでしたが、背が低く、他にいくつか不利なところがありました。だから、その子が見せた「成果」は少女のものほど素晴らしくはありませんでした。しかし、その子の方が、みなに褒められ、愛されました。

 少女も、内心苦々しく思いながら、拍手をして、その子が頑張ったことを認めようと思いました。

 次から次へと、別の子たちに機会が与えられていきます。たくさん褒められる子もいれば、あまり褒められない子もいました。

 最後には「みなさん、よく頑張りましたね。素晴らしい。引き続き頑張ってください」と、かつて少年だって偉い人がそう言いました。


 少女は、ふと思いました。どうなるのかわからないのに最初に頑張った人が偉いのであって、その人に憧れて頑張っても、たとえその人以上に頑張ったとしても、そうする人は他にもたくさんいるから、そんなに大して褒められないし、偉くもなれないのか、と。

 少女はふてくされました。なら、頑張るだけ損じゃないか、と思いました。

 誰よりも、あの偉い人よりも頑張ってきた少女が、頑張るのをやめようと決意しました。


 少女のあとに発表をし、一番褒められた女の子は、実は誰よりも頑張っていたその少女を見て、憧れました。実は、誰が見てもその少女が一番優れていましたが、その少女が誰よりも努力していたことを知っている人は誰もいませんでした。頑張っているのは皆同じ。だからその差は、環境や才能が決める。大人たちや、あの偉い人は、そう思っていました。でも、その女の子は、自分が限界まで頑張っていたわけではないことを自覚していました。だからこそ、自分よりボロボロで、必死で、褒められたがっている少女が、本当に頑張っていたことがわかったのです。

 だから女の子は、その少女のように、次は自分ももっと頑張ろうと思って、そうしました。


 また機会が巡ってきました。女の子は、前よりもさらに成果を出し、また一番みんなから褒められました。今度は、その次にあの少女の発表でした。少女は、明らかに手を抜いていました。にもかかわらず、それでも女の子が全力を尽くした成果よりも、よい成果を見せました。大人たちはそれを評価しませんでした。大人たちは、頑張りの程度を見る目はありませんが、誰がさぼっているかはすぐに見つけられるようです。少女は、皆の前で怒られました。なぜ全力を尽くさないのかと。少女は言いました。「でも私は、前の子よりも優れている」と。

 女の子は、泣き出してしまいました。自分が頑張っている理由だった憧れの人が、まさかそんなことを言うだなんて思ってもみなかったからです。

 そして、女の子に同情したみんなが、少女を言葉で攻撃して、少女は黙って去っていきました。


 偉い人は、その年は「頑張っていない子がいた」と言いました。「大事なのは頑張ること。今は追いつけなくても、頑張っていれば、頑張っていない子を追い越して、見返すことができる。だから、落ち込まないで、頑張り続けてほしい」と言いました。

 女の子は、そんなことを言われて頑張りたくなったけれど、それでも頑張らないと皆に置いていかれるし、少女みたいに責められてしまうと思ったので、それからも頑張り続けました。


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