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第三話 模擬戦(2)忍者 対 爪の少年

 二人の熾烈な初戦が終わると僕達の前にいた二人がスタスタと前に進み、距離をとって向かい合う。

 右側にいるのは黒い装束に身を包んでいる青年。見たことがない格好だ。


「あの人ってどんな戦い方をするんですかね。格好も見たことないですし。」


 さっきはとてつもない観察眼と戦闘の知識を披露してくれたから今回も知っているだろう。そう思い聞いたが、


「あの黒いやつだろ?正直、俺も実物は見たことねぇが、昔、ある商人から『忍者』という職業があると聞いたことがある。戦い方までは知らなかったようだが、あいつの話だと少し前に絶滅したって聞いたが……生き残りってことか。」


 『忍者』か。僕は聞いたことがないな。どんな戦い方をするのだろうか。楽しみだ。


 そしてそれに対峙するのは小柄な少年。顔立ちも幼く、十五歳ぐらいだろう。手には手の大きさよりも大きい爪を両手に装備している。

 爪の戦い方は昔聞いたことがある。

 低姿勢からすばしっこい動きで惑わし、徐々にダメージを蓄積させていくような戦い方だったはずだ。

 それは確か、『カイル流』。ずっと前に滅んだ国のスタイルだ。だからこの少年はそれではないかもしれない。


 そんな推理をしていると試合が始まるみたいだ。


「よーい、初め!!」

 そのウィリアムの掛け声と同時に忍者が白い球を床に投げてそれが破裂する。

 空気が漏れる音とともに白い煙がこの場にいる全員の視界を奪う。

 その煙の中で何が行われているのかわからないが煙が舞ってからは止まることもなく金属のぶつかる音がした。

 そしてしばらくして、煙が晴れる。

 それと同時に金属音が消える。

 煙が晴れ、二人の姿が見えるようになる。

 そこには、地面に突っ伏している爪の少年とそれを見下ろしている忍者の男がいた。

 勝敗は誰が見ても忍者の勝ちであった。

 

 忍者は少年に手を差し伸べ、立たせた。

 少年は悔しいのか歯を食いしばるが負けを認めてその手をとり穏やかな雰囲気になる。


「おい、坊主。お前はあの中で何がったか分かったか?」

 そう男が話しかけてきた。

 そんなの誰だってわかる。

「忍者の何かしらの金属の刃物とあの少年の爪がぶつかり合ってその末、忍者が勝ったって感じですよね?」

 明らかにそうだろう。素人目ではそうだった。だが、この男がそう聞いてくるのなら違うのか?

「あの小僧の戦った後の爪を見たか?」

 ん?爪?僕はそう言われて爪をみる。

 うーん、特に変わったことはなさそうだが……。

「あの爪で戦ったはずなのに傷が一つもついてねぇ。あの年だからそんなに高価なものは買えないはずだ。もしかするとあれは訳ありのかなりの大業な可能性がある。」

 なんだ。だからってなんだというのだ。

「売ればどうなっちまうんだろうなぁ!」

 と言って豪快に笑う。

「いやいや、そんなことしないでくださいよ!……冗談ですよね?」

 流石に冗談……だよな?この人なら本気でやってしまいそうだ。

「ダメですからね。」

 一応、釘を刺しておいた。


「よし、次のペアいいぞ。前にでろ。」

「へいへい。」

 

 とうとう僕の番が来てしまった。勝てるだろうか。この人は人殺し……怖いな。ま、まぁ流石にこの場で殺されることはないよな?

 

 よし、やるか。

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