ドラゴンさん、ドラゴニュートになる
移動してきたチュートリアルルームは、真っ白な空間だった。床があって、天井は際限知らずで見えない。
ただ、オレがブレスと飛行のチュートリアルを選んだからか、空中に浮かぶ床のようなものと、奥のほうにカカシがポツンと置いてある。
「メニューはっと」
手をすいっと動かしてメニューを呼び出し、自分のステータスを開く。
――――――
名前 アルフォード
種族 ドラゴニュート
Lv. 1
職業 狩人
cost 50
信仰 0
畏れ 0
種族進化値 0/10000
ステータス
・体力 200
・攻撃 100
・防御 100
・魔攻 250
・魔防 100
・素早さ 250
スキル 『cost 40/50』
【弓術士 cost10】【火炎ブレス cost20】【飛行 cost10】
――――――
それから自分の容姿をタップし、鏡のように目の前に映し出した。うん、ほとんど現実そのままだけど……ゲームの中らしく太い赤色の尻尾と無骨気味な翼、そしてツノが生えている。ドラゴニュートの標準的な見た目だ。
ドラゴニュート要素のパーツは特にいじっていないので、ゲーム公式そのまんま。手抜きキャラメイクである。
尻尾をぴこぴこ動かしてみても、違和感はない。現実とほぼ同じ感覚だ。
すごいなぁ……本物のドラゴンであるオレが違和感ないって、再現度が本当にすごすぎる。開発側にお仲間でもいるんじゃないかっていうくらい、本物の構造に近いように思える。
これじゃあ、確かに知らない器官として動かすのは大変だろうなあ……それもマニュアルで。オレは似たような器官持ってるから大丈夫だけども。
翼を広げてみたり、折り畳んでみたり、尻尾を振ってみたり、尻尾を使って地面から跳ねてみたり。体を自由に動かしていると目の前にウィンドウが出てきた。
――――――
飛行のチュートリアルをはじめる。
ブレスのチュートリアルをはじめる。
――――――
システム的にレクチャーしてくれるようだ。どちらからにするか選べるみたいだね。
まあ、まずはブレスかな〜と思って指でタッチする。
するとウィンドウが消えて、なにやら小難しい指導方法が羅列され始めた。
そういうところがクソゲーたる所以なんだよな〜と思って読み流し、自分なりに解釈してブレスを試すことにする。まあ、現実でブレス吐くときと似たようなもんでしょ。
そんな軽さでオレは、まずはブレスのチュートリアルを始めるのだった。