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ドラゴンさん、キャラメイクをはじめる

「じゃあ、分身のオレ。よろしく頼むよ」

「はーい。用事があるときはこのコールボタンってやつ押せばいいんだよね?」


 ところ変わって執務室。同じ顔同士でひとつのヘッドギアを囲みながら説明をしていた。


「そうそう、それ押せばゲーム中でも呼ばれてることが分かるんだよ」


 ゲーム中に外でなにかがあれば、ゲーム内に警告が出るようになっている。それに、ゲームの中で……たとえば精神のほうになにかあった場合とかも、ヘッドギア自体からアラームと警告が読み上げられる。


 内部から外部へ。外部から内部へと異常を報せる機能がきちんと入っているのだ。


 分身のオレは物珍しげにヘッドギアをいじりながら思い出したように笑う。


「ついこの間まで『あんた、ゲームやめなさいって言ってるでしょ!』って電源ぶち抜かれるような事態が起こったりしてたのにねぇ」

「それいつのこと? 二百年くらい前だよね。今は2215年なんですけど。ちょっとー、分身のオレが老ぼれ竜みたいなこと言わないでよ。オレが歳取ってるみたいじゃん」

「千歳超えてるのに今さらじゃないの?」

「うん、だろうとも」


 真顔でのやりとりのあと、両者ともにドッとよく分からないタイミングで笑いながらヘッドギアを被る。


 執務室の、お客様用柔らかソファに寝っ転がって毛布をかけて……準備は万端! いざ、ゲームの世界へレッツゴー!


「おみやげよろしく〜」

「ゲームの中なのに無茶言うなぁ」


 言いながら、脇にあるボタンを押してゲームの中へと意識を飛ばしていくのだった。


 あ、そういえば人化してるって言っても人間と体の構造違うかも。大丈夫…………だよね?


 ◇


「えー、案内キャラとの会話はスキップ。キャラメイクは〜っと」


 大丈夫だったみたいだ。

 普通のVRゲームと同じく、意識が浮上したときに目の前にいた妖精との会話はスキップを選択。


 さくっとキャラクターメイキングするために、空中に浮かんだメニューをいじり始めた。


「えーっと、アバターは自分そのままを素体に選択して……」


 事前に体をスキャンされているようで、すぐに自分の姿が目の前に映し出された。


 腰まである長い薔薇色の髪。頭のてっぺんにはくるんと巻いたアホ毛があって、わりと童顔。瞳は透き通るような向日葵(ひまわり)色。瞳孔は縦に割れている。


 ……って、あれ!?


「瞳孔まで再現されちゃってる……」


 これ普通に異常なデータ的なアレで、万が一にでも企業のほうに送信でもされたらバレるのでは?


 ………………ま、いっか。そのときはそのとき。なにかあったら向こうの記憶をうりゃりゃっとやって、ばっくれよう。そうしよう。


 瞳の瞳孔が爬虫類みたいになってる人間もまあ、どっか探せばいるさ。へーきへーき。オレは適当に流し、アバターもそのまま身長だけちょっと伸ばすだけに留めておいた。小さいのは別にコンプレックスではないけども。けども。


 人間界で買い物してるときは、ちゃんと黒髪に見えるように幻術かけてるから大丈夫だろ。


「次は種族」


 あやかし種。幻想種。人間種。亜人種の四つだ。


 まあもちろんそれは……。


「最終的にドラゴンにならないとかありえないよね〜」


 初期で選べる中で、ドラゴンに一番早く派生進化できるのはリザードマンだ。


 ゲームの中でも幻想種になるのは、あくまで目的が『手加減』を覚えやすいか否かの検証だからだ。まずはオレ自身が、現実そのままの種族で手加減の練習ができるか試してみないといけない。


 よって人間種や亜人になるのはありえないってことだ。


 でもリザードマンかぁ……やだなぁ……トカゲ。トカゲとドラゴンは違うんだよ。ワイバーンとドラゴンが違うようにね……正直一緒にされたくない。


「むー、あとは所持ポイントの割り振り……」


 ステータスは全部で六つ。


 ・体力

 ・攻撃

 ・防御

 ・魔攻

 ・魔防

 ・素早さ


 そして、別枠だけど同じように初期にポイントを放り込むことができる『種族進化値』だ。実質七つだね。


 種族によって初期ステータスは固定なので、そこからどれだけ上げられるかがこのステータス割り振りになる。


 種族進化値は、これに放り込むと一定の数値で派生進化が起こり、いっそう強い種族になることができる。


「初期は1000ポイント……うん、地雷だっていうのは知ってるけど、まあなんとかなるでしょ。種族進化値に全力投入」


 そして、迷いなくオレは種族進化値に初期ポイントを全てそそぎ、一定の数値を達成して『リザードマン』から『ドラゴニュート』へ自身のアバターを変化させる。


 そう、種族進化値にブッパ……もとい、極振りすれば低級クラスの幻想種じゃなくて、最初から中級クラスで始めることが可能だ。


 ちなみにこれに極振りするとステータスが初期のままなので、一定のステータスがないと取得することのできないタイプのスキルは取れない。


 さらに初期だとスキルを入れるための容量である『コスト』も低いため、そのコスト以内のものしかスキルを取得できないときた。


 結果的にドラゴニュートからスタートすると、最初から持っている『飛行』と『火炎ブレス』、そして職業による初期スキルくらいしか使うことができず……あとは、このゲームの飛行についてはまあ……先に調べた通りである。


 地雷と言われる理由も分かるというものだ。

 ま、オレはそれを選ぶんだけどね!!


 いくらドラゴンになれるからってトカゲスタートは嫌だし!


「職業は『狩人』にしてっと。これでオッケー」


 なお、狩人もほぼマニュアル操作必須なので以下略。地雷である。ま、それでも選ぶん以下略。


 これでスキルは種族スキルである『火炎ブレス』、『飛行』、そして狩人の初期スキルである『弓術士』の三つになった。




 ――――――


 チュートリアルを行いますか?


 ――――――




 チュートリアルは、基本的な体の操作やらなんやらをとりあえずやれる練習部屋に飛べると思っていいはず。事前調査はバッチリだ!


「ブレスと飛行のチュートリアルだけ選択で」




 ――――――


 10秒後、チュートリアル空間へと移動します。


 ――――――




 念のためにスキルのチュートリアルだけ受けることにする。カウントが進んでいくのを見ながら、オレはくあっとあくびをするのだった。


 ……その後、まさか自分がリアルでボヤ騒ぎを起こすことなんて夢にも思わずに。

夜に更新するとか言ってたけど我慢できなかったので投下。

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― 新着の感想 ―
[一言] 更新お疲れ様です! うん、凄く個性の塊みたいな方が多いですね、、W 、、、アルフォードさん、お疲れ様です(優しい目 あー、、、蛇目なのかぁ、、調べてみましたが魚鱗症みたいな鱗ならまだごまかし…
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