54)ちしお
やは肌のあつき血汐にふれも見でさみしからずや道を説く君
─与謝野晶子 『みだれ髪』より
関連作 53)ちゃのゆづき
https://ncode.syosetu.com/n1778gx/53/
──数奇講じ茶道和室の一服を
──歯痒くもまた好ましき君奥手
好ましさ
ましては痒さ
なおまして
やわはだまして
あつく血潮も
──夕月のかかる思いも掛けずにも
想い懸け落ち恋狂おしく
月掛かる
君が血潮も
熱からむ
想い宵知る
くるし狂ほし
やわはだも
みしだきみえぬ
みもだえの
ちしおさもしく
あつくあさまし
茶事重ね講じる数寄は孤月輝に
濃い葉朦沐奇味に一服
やわはだに
あつきちしおの
はやりしを
いさめあられも
なくもみちびき
みちしおの
あわせみいたみ
しみいりに
うずきうずまき
うねりたかぶり
荒潮は
滾り漲り
打ち寄せて
穿つ怒涛の
繁吹きはなはだ
迎え娯し
尽きぬ臆吐き
息果てて
期満ち潮凪
甘き微睡み
──じごよあけあからさまにもにおいたちちゃのまつかのまおしみいそしみ
あさしおに
みられみせられ
みいられて
あらためあわせ
みそめつとめて
〔朦 モウ〕目が見えない。道理にくらい、おろか。
〔沐 モク〕水や湯をかぶる、髪や体をあらう。うるおう、恩恵をうける。




