↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
思懋涅丹  作者: 漉緒
41/57

41)よいまちのばら


 ──「ん〜? アレ? ココはドコだ? ……ま、その内に知ったトコロに出んだろ」




【宵待野薔薇】




千鳥(ちどり)足取(あしど)り

覚束(おぼつ)ず


曲酔(まよ)い彷徨(さまよ)う

碑嶐之森(びるのもり)


夜分(やぶ)の露慈雨来(ろじうら)

藪睨(やぶにら)み


細流(せせらぎ)の音(おと)

秘(ひ)め匂(にお)い


魔(ま)の差(さ)し招(まね)き

まろび入(い)り


花(はな)摘(つ)む花(はな)を

艶魅(つみ)を科(か)す 





らっか(楽苛)ろうぜき(弄喘喜) 

いや(良哉)とわいうも(猥鬱藻) 

あらがい(赤爛貝)よわ(淤沸)く

あしひらく(熱汁泌絡)






宵酔(しょうすい)夜露(よつゆ)

濡(ぬ)れそぼつ


芳(かぐわ)し野薔薇(のばら)

口(くち)付(つ)けて


慕い(した)水蜜(すいみつ) 

滴(したた)りに


火照《ほて》る時化(しけ)混(こ)み

明(あ)かす宵(よい)




【酔色交痴応番楽】






宵待(よいまち)に見(み)えねど見得(みえ)て月(つき)掛(か)かる

薔薇(しょうび)濡(ぬ)れ咲(さ)く屋号(やごう)宿(やど)なし



 ──月見酒(つきみざけ)を楽(たの)しむつもりだったが雨(あめ)になってしまった。だが、心(こころ)の内(うち)には月(つき)が輝(かがや)いている。落(お)ちぶれた自分(じぶん)に似合(にあ)いのみすぼらしい宿(やど)の庭(にわ)に咲(さ)く薔薇(ばら)を愛(めで)でる夜(よ)。





〔宵 ショウ・よい〕夜。日が落ちて暗くなった時。


【薔薇】バラ、ショウビ。バラの花。


〔嶐 ル〕山が高い。




〔苛 カ〕さいな-む。きつい、きびしい、ひどい、むごい。こまかい、わずらわしい。いらつく。


〔弄 ロウ〕もてあそぶ、なぐさみにする、ほしいままにする。


〔喘 ゼン〕あえ-ぐ。息を切らせて苦しそうに呼吸する。


〔猥 ワイ〕節度なくみだらな事。入り乱れて秩序がない、やたらなことをする、みだす、みだれる。


〔鬱 ウツ〕晴れ晴れしない心持ち。草木が茂っている様子。物事が盛んな様子。


〔藻 モ〕水中に生える草の総称(そうしょう)。


〔爛 ラン〕ただれる。まっさかり。


〔淤 ヨ〕水底にたまったどろ、おり。ふさがる、とどこおる。


〔泌 ヒツ〕液体がしみ出る。せまいすき間から水が流れ出す。


〔絡 ラク〕むすびつける、つなぐ、くくる、しばる。まといつく、からむ、からまる。




〔番 バン〕順序を決めて入れ替わる、またその役目。つがい、二つ組み合わせてひと組になるもの。「番目(つがいめ)」、組み合った所、関節。




【時化 しけ】強い風雨で海が荒れる。嵐。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  読ませていただきました。 艶やかな文ですね。 なんか現代のお話ですけど、江戸時代劇のような雰囲気がよいです。 雨そぼる月夜、うい〜と千鳥足でお侍が歩いていると、藪の中から夜鷹の手招き・…
[一言] (#^.^#)♡ 今宵のお相手はどんな方なのかしら…
[良い点] 美しいなぁ〜って思いました(・ω・) 野薔薇とっても気に入りました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。