24)うわき ほんき うばう
──風まで強くなって来たか。兄貴達も濡れちまってんだろうな……
「アレ? 兄貴は?」
『……オレが居なけりゃダメだ、ですって……何時もの事よ』
「……そっか」
朝時雨
松実も熟れて
透かし見の
濡れて塗れる
雰祇の密粒雨
【うわき ほんき】
うわきのほんき うわきして
ほんきうわきに うわきする
うわきほんきを ききほんき
うわきにうわき うわきのほんき
熟猥希の叛期 裏涌き染て
翻衣優和伎に 茹湧き吸る
上起反屹を 嬉々奔咥
燠沸蠣に打夥幾 吁哇熹の濆憙
【うばう】
奪えと誘う
貴女を奪う
貴女を奪い
辱め
奪うも心
奪われ果てる
奪い奪われ
恋焦がれ
うばえとさそう
あなたをおそう
あなたをうばい
はずかしめ
うばうもこころ
うばわれはてる
うばいうばわれ
こいこがれ
打罵獲と唆嗾
婀娜軆を押組得
熱成太を裏這位
拌擂苛恣雌
裡吐射も濃凝露
飢馬吾張天嶐
餓蛮為紆番沸連
好色荒伽励
婀咲紫紅蓮
満艶美も倦麗て
朱果脂実の
貫連て交深縺る
孚垠の蜜罪得
『…………よかった。貴方がワルいヒトで』
〔雰 フン〕きり、もや。大気。空気。
〔祇 ギ〕国津神。
〔伎 キ〕技。
〔屹 キツ〕峙つ。(山などが)そびえ立つ。
〔燠 ウ〕おき火。あたたかい、あつい。
〔蠣 キ〕カキ。牡蠣。蛎。
〔吁 ウ〕「うぅっ!」 叫ぶ。
〔哇 ワ〕「わぁっ!」 大声で叫ぶ声。
〔熹 キ〕やく、あぶる。さかん、火が盛んに燃える。
〔濆 ホン〕水辺、畔、汀。(水が)湧く。もつれる、絡みあって縺れる。
〔憙 キ〕よろこぶ、よろこび。いわう。
〔孚 フ〕はぐくむ、かえす(孵す)。まこと、まごころ。
〔垠 ギン〕かぎり、はて、さかい。きし、ほとり。




