18)みここす さおとめ
【巫蠱す 竿乙女】
青児芳姿 倣い覚えし 巫蠱すを
禮舞拝神 成始竿乙女
──古都で修行した歳若く美しい巫女の神事奉納舞踊の初披露。
赤根挿す 日祝い旋珠鈴 典雅にて
祈祷し檄し 沁御供竿乙女
──頬を染めて祭器の鈴杖を振るい舞う様子が初々しくも美しい。ゆったりと穏やかに始まった舞踊が段々と速く高まりを増して来る。
血逸振る 映神の竿乙女 色沸奔る
達憙の益垣 叫嵐娑勢
──盛んに燃え立つ篝火に囲まれた結界の内で激しさをましてゆく神事舞踊は最高潮を迎える。吹き荒れる嵐の如き激しい舞踊である。
妖し悦魅 酔弛れ色蕩惹く 粘溌種満の
愉面を羽化経て 献社詣人に
──奉納舞踊を終えてぐったりとした様子の巫女。深く酔いに浸っている様な何とも艶かしい表情をみせるのだった。
〔枕詞 あをによし〕→奈良。
〔枕詞 あかねさす〕→日、昼、紫、照る。「茜差す」。
〔枕詞 ちはやぶる〕神、宇治。「千早人 ちはやびと」、「千早氏 ちはやうじ(千早人の氏)」。
〔枕詞 いわばしる〕垂水、滝。→石、岩の上や間を水が激しく流れている様子。
〔枕詞 ぬばたまの〕黒、髪、夜、月、夕べ、夢、 等等。
〔熹 キ〕あぶる、焼く。盛ん、火が盛んにおこる。よろこぶ、よろこび。ほのかな光。
〔娑 シャ〕衣が翻る様子。衣の裾をゆらゆらたなびかせて舞う様子。




