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こころ〜希望と絶望の摩擦〜  作者: 鈴本 貴宏
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行方不明!?

 「んーーー」


思いっきり伸びをした。

僕は5時間ぐらいしか寝ていないので全然寝足りないのだが、みんなより遅く起きるわけにはいかないので、6時ごろには目覚めてしまった。

我ながら面倒臭い性格をしているとは思うのだが、これが一番自然体なのだから仕方がない。

顔も洗い歯も磨き終わり、朝ごはんの時間まで暇でしょうがなかった。

隣の布団で寝ている東さんが早く起きてくれないかな。


「クシュん!」


僕は、わざと大きなくしゃみをしたり少し布団を引っ張ったりしてみた。

すると、むくむくとイモムシのように東さんが動き出した。


「うーっす。起きるの早いな空太」


やっと起きてくれたか。


「えぇ、なんだか目が覚めちゃって」


「あれ、カメ爺は?」


「僕が起きた頃にはもういませんでしたよ。どこ行ったんですかね」


布団も荷物もしっかりと整理されているところを見ると、何かあったという訳では無さそうだ。


「まぁ、カメ爺のことだから心配は無いだろうけどな」


「そうですね。それよりそろそろ朝ごはんですよ」


「マジか。それは早く準備しないとな」


そして、準備も終わり待っていたが、カメ爺が帰って来なかった。

僕たちは、時間が来てしまったので仕方なく朝食会場へ向かう。


「ホントどこ行ったんですかね。みんなは知っているのかな」


「わっかんねーなぁ。まぁガキじゃねえんだ、ほっといても大丈夫だろう。おっ、美味そうな匂いがしてきたぞ」


そう言って東さんの意識はご飯の方に行ってしまった。

東さんは相変わらず適当だが、まぁカメ爺に限って何もないだろう。


会場に着くと、女性陣と品川さんが待っていた。


「あれ、カメ爺は?」


「えっ、私たちは知らないですよ。東さん達の部屋じゃないですか」


「そうなんだけどよ。朝起きたら居なくてな。何も言わずにどっか行くなんてカメ爺も抜けてんな」


部屋割りは、僕と東さんとカメ爺で一部屋、品川さん家族で一部屋、残りの女性で一部屋となっていた。

品川さんや遥さん達まで知らないとなると、探した方がいいのかもしれないな。


「やぁ、おはよう!」


「カメ爺!どこ行ってたんですか?」


「ごめん、ごめん。日課の散歩に行ってたんだ」


カメ爺はあっけらかんとしている。

僕達が、どれだけ心配したかと思っているんだ。

まぁ、殆ど僕だけだが。


「行くなら行くで、一言声かけて下さいよ」


うん、うん、今回は東さんが正しい。


「東くんには出るときに言ったんだけどね」


ん、なんだ?ということは、悪いのは。


「えっ、マジですか?」


「うん。返事もしっかりしてたから大丈夫だと思ってたんだけど、忘れちゃったかな」


「すみません。全く覚えてません」


やっぱり東さんか。

でも寝ている所に言ったんだから、一概に東さんが悪いとも言い切れないか。

取り敢えず無事でよかった、と心の中で自分を納得させた。


「じゃあ、東さんが悪いということで。そんな事より早く食べましょうよ」


冬乃さんが、きっぱりと言い切った。


「ひどいよ、冬乃ちゃん。寝てたんだから覚えている訳ないじゃん」


東さんは、冗談混じりに苦笑いをした。


「まぁ、ごめんね。今度からは書き置きをする事にするよ」


「えー。それも信用されていないみたいで嫌だな~」


「信用されていないんですよ。それより、早く食べましょう。お腹空きました」


昨日の神妙な雰囲気は影を潜め、花火さんはいつものように言い放った。


花火さんは朝は機嫌が悪いのかな。


女子高生二人にここまで言われてしまっては東さんでも、ぐうの音も出ないようだ。


ようやく席に着いた。

テーブルの上に用意されたご飯を見ると、旅館の朝食らしいシンプルな和食だった。

みんなまだ眠いらしく、静かに食べている。

僕も鮭の身をほぐしながら、大きなあくびをしていると、カメ爺が今日の予定について話始めた。


「今日は、4時までには帰りたいから写真は撮らずに、お土産見たり観光をしましょう」


「どこに行くんですか?」


海歌さんに何か喜びそうなお土産を買いたかったので、質問してみた。


「そうだね。小町通りなんてどうかな?」


小町通り?どんな所なんだろう?


「あっ、私そこがいい!クレープが有名なの。食べてみたい」


冬乃さんが、急にはしゃぎだした。

ここまではしゃぐとは、そこのクレープはどれだけ美味しいのか気になる。


「私も知ってる。ベリーのクレープ食べたいな」


花火さんまで乗ってくるとは、若い人の中では相当有名なのだろう。


「じゃあ小町通りで決定かな。10時にはチエックアウトだから、9時40分にフロントに集合だね」


「はーい!」


みんな声を揃えて返事をした。

常々思っていたが、カメ爺は引率の先生みたいだな。

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