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ンダンダのビックリと植物の成長


結構長い間、精霊さんに付き合ってしまった。

学校の方は既に終わっているようで、皆それぞれに動いている。。


ウウダギと二匹で、午後何をしようか相談していると、

珍しく、ンダンダが小走りに僕達の方へよってきた。


「ポンピカ!見てほしいものが有るんだ!」


随分興奮してる様子。

どうしたんだ?


「どうしたの?」

「う〜ん。話すと長いんだ。それより直接見てほしいんだよ」


「ふ〜ん。いいよ。ウウダギ行こう」

「うん」

ンダンダの後について、僕ら二匹は畑へと誘われた。


「ポンピカ。コレ見てよ」

「・・・」


「どうしたんだい?無口になっちゃって」

「いや、何処からツッコメばいいか分からないんだ」


最近、畑を見てなかったし、

ンダンダが何をしてるか今一把握してなかったのも有る。

しかし目の前に広がる・・・そう広がっちゃってるんだ。


結構広めの畑ってかもう畑どころじゃないだろこれ。

どんだけ拡張したの?一匹でやったの?木はどうやって伐採したの?


・・・あれ?あそこで木を今まさに切り倒してるのは・・・

ベベビドか・・・アイツどんだけ手の数増えてんだよ。


もしかしたらアイツ一匹で産業興せるんじゃない?

マンパワーとか言ってられない位活躍してる気がする。


「ねぇ・・・。すごく広いね。ここ」

「ん?そうかなぁ〜?毎日畑を見てるからそんな気はしないよ?」


「そうかなぁ〜?前はさぁ?こう・・・試験的な広さだったじゃない?なのになんで見渡す限りとまでは言わないけど、ずいぶん広いよね?」

「・・・いや、そうでもないと思うよ?毎日ベベビドが木を切りに来るし、僕も暇なときは木を切って広げてたからね。っていうか、そんな事はどうでもいいんだ!この育った木を見てみてよ」


「ん〜?・・・。」


ん?コレ何?

こんな事起きるものなの?


ンダンダに見せられた木だけど、

これは元々は草だったやつだ・・・としか言えない。

だって、米が実る木ってどんな仕組みなんだ?

しかも実る米の大きさがもう知ってる米の大きさじゃない。

大豆位大きい・・・。


それが僕の背丈位まで伸びていて、細い幹が幾つか生えている。

その先っちょに見慣れた米の葉っぱが連なっているんだけど、

青々と茂ってる上に葉っぱの根本から頭を垂れるような枝?が下がって

そこにズラッと並ぶように大豆大の米が実ってるわけだ。


どうしたらこうなる?


「ポンピカ?すごくない?」

「いや、すごいけどさ?コレどんくらいでこんな大きくなった?いやそこじゃない、どうしてこんな形になったの?そこの話かな?いや・・・根本的にどう言っていいかわかんないんだけど?」


「そっかぁ・・・。ポンピカでもわからないのかぁ・・・どうしよう」


どうしようのどうしようがわからない。

何を聞きたかった?

種類?育て方?何?何が聞きたい?

そもそもこんな植物知らないんだけど・・・。

あり得るのかな?こんなの・・・。


じいちゃんが言ってた話では、

父島だか母島とか彼処らへんの比較的新しい島に自生する植物の中に、

変わった菊科の植物があるって話なんだけど、

その菊科の植物は、外敵とかがいなかったせいで、ソレはもう伸び放題で、

数千万年経った現在では樹木に成ってしまったっていう話だった・・・。


そういう事なの?

草だったよね?


今、数千年も経ったっけ?

経ってないよね?


なにからツッコメばいいの?


「ま、まぁ・・・。いいんじゃない?これで採れる米が食べれるならさぁ?」

「そうかな?じゃぁ、いいのかなぁ?」


「いいんじゃない?僕は見たこと無い植物に成ったような気もしないでもないけど・・・僕何言ってるかわからないけど、取り敢えず、食べてみればいいじゃん」

「もう食べてるよ?皆美味しいって言ってたし。 ポンピカだって、昨日食べたと思うよ?」


・・・そうかぁ・・・知らない間に品種かわっちゃってるのも提供されてたかぁ。

まぁ、害はなさそうだしいいかなぁ?

いいよね?


「・・・そっか、味はちゃんと米だったよね。」

「そうだよ!とっても甘かったんだ!いいよね!コメ!」


う〜ん・・・水田計画は無くて良さそうだなぁ。

ってか、ソレよりも成長速度だよなぁ・・・。

なんでこんなに速いんだろう?

幾ら栄養が有ったとしても此の成長速度は可笑しいだろ?


「ねぇ。この草・・・じゃないや、木だけど、何時育て始めたの?」

「何時? たしか、コメの草を見つけてから何回目だっけ・・・三回目くらいだから、つい最近だよ。でもポンピカが言ったとおり、畑ってのは凄いですね!専用にこうやって作ると成長がこんなに速いなんて知らなかったよ!」


いや、僕も知らないよ?

ンダンダ少し可笑しいとか思わないの?

これ明らかに異常だからね?


こんなのがボコボコできちゃったら食べ物事情が一気に変わっちゃうだろ?

この米の木を大量に育てたらそれはもう凄いことに成る・・・。


だってこの大きさの木で、採れるお米の量が多分、

元の世界の一つの穂から採れる量のゆうに10倍以上だよ?

頭垂れてる幹の全部に穂が成ってるし、それに粒も大豆なみだ・・・。


僕はできれば普通の米が食べたいです。


コレって、年間で採れる米の量が数百倍とか成ったりするんじゃない?

通常の米がひと粒が大体、0.02gだ。

大豆ひと粒大体、0.1g位・・・って事はさ?

この米の木の一つの枝から取れる米の量って粒が大きいから5倍なわけだよね?

それに輪をかけて、今この一本あたりに成っている枝の数がパッと見た所10本ってことは、

既に50倍だよね?


それで・・・これ数日でここまで成るわけじゃん?

米の木ってすごくない?


米って元の世界の僕が住んでた所でも一年に一回しか取れないわけだし、

二毛作してる所の話は聞かない。


・・・あれ?ちょっと待てよぉ・・・。


確か、米の一つの穂から70粒位ってじいちゃんいってた。

つまり、苗一株が25本だから単純に1750粒・・・。

あれ?そう考えると・・・この木は一本の枝から70粒くらいなわけだろ?

そう考えると一本の木で、700粒だ。


ふむ。そうすると数的には少ないのか・・・でも大きさが違う5倍もあるわけだしね。

普通の米に換算すれば、一本の木で、3500粒くらいか・・・。

つまり木一本で、二株分くらいが採れる計算になるなぁ。


ご飯茶碗一杯に入ってる米の数って大体3500粒位だ。

そう考えると・・・この木一本でご飯茶碗一杯分?


どうしてもそうは見えない・・・。

大きさを見ても大豆ひと粒とお米5粒が釣り合った様に見えないんだよねぇ。


・・・秤でも作って置こうかな?

正確な数字と量を知っておきたい気もするけど、管理はしたくない。

管理はンダンダに任せちゃおう。


「ポンピカ?どうしたの?随分考え込んでいるようだけど」

「ん?いや、ちょっとねぇ・・・。ンダンダさ?この木沢山育てること出来る?」


「多分出来ると思うよ?」

「じゃぁ、お願いできる?」


「うん。任せてよ」

「よかった。これで、随分コメの心配が無くなりそうだ」


「そう言ってくれると嬉しいよ。僕もがんばる」

「う、うん・・・。程々にね?他の野菜とかも頑張って作って欲しいんだ」


「もちろんだよ!」

「其れは良かった。それから後でベベビドにいって秤を作ってもらうよ」


「ハカリってなに?」

「重さを調べる道具の事だよ。其れが判れば随分と基準が付けれるんだ」


「ハカリ・・・。それ僕に必要?」

「必要だよ?だってンダンダが作った食材の量や重さがわかんなきゃ、前作った物と比べられないだろ?そうすると、沢山できたのかとかわからないだろ?」


「・・・なるほど。確かにそうだね」

「その秤をンダンダが扱えるように成ると、とても皆が喜ぶと思うんだ」


「そう?じゃぁ、僕がんばるよ!任せて!」

「うん。じゃぁよろしくね」


僕はンダンダの元から立ち去ろうとしたら、

ンダンダに引き止められた。

なんだろうと振り向くと、こんなことをいい始めた。


「ポンピカ?どこいくの?」

「いや、ンダンダが見せたいのってコレのことでしょ?」


「そうだけど、コレだけじゃないよ?」

「・・・えっ?」


「なに驚いてるの?こっちにも似たように変化した草が沢山あるんだ!みてってよ!」


・・・正直イヤです。

でも言い出しっぺで全部押し付けた手前断れません。


どうしようかなぁ・・・。

また、こんな衝撃のある物見せられても困るんだけどなぁ。


ンダンダに誘われ、僕とウウダギは次の場所へと向かう。


「コレだよ。ちょっと前にさ?ベベビドが木を切ってたら出てきたんだ」


ンダンダの目の前には、

明らかに人工的に加工された石でできた小さなトーテムが苔むしって立っていた。


「なんだいこれ?草の話じゃないの?」

「それもあるんだけど、こんなの僕が分かるわけないからさ?ポンピカに見せたほうがいいってベベビドが言ってたんだ」


確かにそうかもしれない。

でもトーテム見せられてもなぁ。

だから何?って言ってしまいそうに成る。


「僕がおもうに、多分この当たりの草の成長がいいのは、コレが原因じゃないかって思ったんだよねぇ。よくわかんないんだけどね」

「・・・ンダンダはどうしてそう思ったの?」


「なんていうか、そんな気がするんだ」

「ふ〜ん・・・。ねぇ?このトーテムは他に見つけた?」


「トーテムっていうの?。他にもこの畑の周りに幾つか見つけたんだ」

「ふ〜ん・・・」


トーテムか・・・儀式でもしたかなぁ?

それの効果なのかもしれないなぁ。

でもンダンダは畑を作ればこうなるって思ってるフシもある。


さっきも畑にするとこんな事が起こるんだね!

とか言ってたしね。

でも原因がコレじゃないかとは思ったみたいだ。


って事はぁ?

あながちハズレでもない気がする。


気がするかぁ。


「ねぇ?このトーテム動かせる?」

「それがさぁ?全然ダメなんだ。ギュギュパニにも見せたんだけど、ギュギュパニは”これは動かないよ”って言ってたんだ。なんでかなぁ?」


「一度ギュギュパニは触った?」

「うん。力で押したり引っこ抜いたりしたんだけど、全然動かなかったよ」


「なるほど」


何か有るのかもしれない。

けど僕でもわからない。


取り敢えず、いい効果が出そうならほっとけば良いんじゃないか?

今度精霊さんにでも話し聞いとこう。

きっと知ってると思うんだ。


「まぁ、今どうこうできないし、それに調べないとわからないよ。僕もこんなトーテムははじめて見たしね」

「そっか。じゃぁいいね!」


「なんか楽しそうだね」

「そうかな?僕この石が好きに成っちゃったんだ」


「そうなのかぁ・・・。まぁ良いことじゃないかな?悪いことが起きているようにも見えないしね。あまり触らないようにもしてたいかなぁ」

「そうだね!じゃぁ、ほっとこう!」


なんだかンダンダが以前より元気に見えるのは気のせいなのかな?

まぁ、シシブブの件で恋愛ショック受けてそうだったから立ち直ってるようで良かったけどね。


まぁ、ンダンダには悪いけど、さっさと他に行きたい。


「ンダンダ見せたいのってコレだけ?」

「他にも見てもらいたいんだ」


そっか・・・まぁ変なことが起きてるんだね。

なんでンダンダのところだけこんなに変なんだ?


続いて向かった場所で見たものは、まぁ、また種が変わっていると思われる植物だ。

目の前にある木?動いてるんだけど・・・。

なんか可笑しくない?

いままでこんな事なかっただろ?


突然ファンタジーなんだけど・・・。


「ねぇ。なんで動いてるの?」

「動いてる?そう見えるの?」


違うのかな?

こう・・・覆い茂った木がワサワサと音を立てて居るのが分かるしなぁ。


「なんか中に入ってるとか?」

「お!そうなんだよ!中に小さい動物がいるんだ。見てみる?」


「見るのは良いけどさぁ。この木って元々なんの野菜だったの?」

「アレだよ。ほら、黄色い実が成るヤツ。なんだっけ?クダモノっていってよね?」


果物の木か。

ってかそれをこんな畑のど真ん中に植えるか?普通。

まぁ常識とかそんなのが無いからわからないかもしれないけどさぁ。


「まだ、実は?」

「まだまだ実は成らないよ。だけど、親の木と比べて随分背が低いんだ。」


なるほど、だから見たこと無いのか。


「親の木には似てる?」

「うん。なんていうか小さくした感じだね。まだ育つしね」


なんだか知ってるふうだね。


「育て方とか成長は知ってるの?」

「うん。親に教わったからね。知ってるけど、なんでか成長は速い方だよ」


やっぱり成長が速いってのは分かるんだね。


「そっか・・・で?中の動物は?」

「こっち来てよ。多分見ることが出来るよ」


ンダンダが嬉々として、僕とウウダギを手招きする。

指示された場所へと着くと、そこからワサワサしている原因の動物の姿が見て取れる。


・・・サルだね。

それもすごく小さいヤツ。

マーモセットとかそこら辺のやつだね。


あっ!目が合っちゃった。


「もう!ポンピカ!そんなに気配出されたら隠れちゃうよ!」

「ああ、ゴメン。でもそっか、サルが居たのか。何食べてるの?」


「サル?・・・。食べてるのはこの木に寄ってくる虫を食べてるよ。さっきは虫を探してたんじゃないかな?」

「そうか・・・。コレが見せたかったの?」


「うん。だって、凄いだろ?動物が住んじゃってるんだ!おもしろいよね!」

「う、うん。確かに面白いけど・・・。このサルはこの木に悪さするのかな?」


「シシブブに聞いたけど、草や木は食べないんだってさっ。虫ばっかりたべてるんだって話だよ」

「なるほど、シシブブはコレ見てなんて言った?」


「んっと。ポンピカがサルって言ったけど、シシブブは”スピスピ”っていってた」

「へー・”スピスピ”っていうのか。覚えておこう。・・・食べれるのかな?」


「大して食べる所は無いらしいよ。木にとっても良い動物だからそのままにしておいたほうが良いって、シシブブが言ってた。でも可愛いだろ?だから見せたかったんだ。ポンピカって可愛いの好きだろ?」


う〜ん。

好きです。

確かに可愛い。

でも隣に目を輝かせてルウウダギのが可愛いの〜。


「うん。ウウダギも可愛いの好きだよ」

「そうだよね!ウウダギは雌だし、こういう小さい動物は可愛いって思うよね」


「うん。可愛い。好き」

「ウウダギは素直で良い子だね。ウウダギも可愛いよ」

「うん。僕もウウダギは可愛いと思うよ!小さいしね!」


「ありがとう」


お礼までちゃんと言えちゃうウウダギは偉い子だ。

自慢の子!


その後、色々と見せられたけど、

結局、一番の驚きは、あの米の木だった。


一番の驚きってのがそうだなぁ・・・。

やっぱり草カから木になっちゃったところだね。

そんな簡単に変化するものかな?


他の変化した食物はそこまでの激的変化はなかったんだ。

精々少し大きく育ったとか、小さく纏まったとか其の程度だった。


種が変わる程の変化があったのはコレだけだったからね。


でも米の木を量産できれば食料事情はヴァレヴァレの追加が来ても大丈夫だろう。

あとはタンパク質の補給が出来る狩りにかかってる気がする。


まぁ、ンダンダは立派な成果をこの集落で一番早く捻出したわけだ。

何気に頑張ってるよね。


ンダンダの元から離れて、

久方ぶりにギュギュパニのところへ行こうか迷ってるとベベビドが僕等を呼び止める。


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