異世界での初焼肉&鍋
「パパムイ。済まない起きれるか?」
「ん?・・・どうしたぁ?」
疲れはまだ残ってるのかもしれない。
寝ぼけている。
「ちょっと、出てくる。」
「ん・・・ああ。ふぁ〜ぁ。そうか・・・じゃぁ俺が番をするよ。」
欠伸をしている。
やっぱり疲れてるんだな。
済まない。
少し元気づけよう。
「ああ、頼む。それから多分ギギリカはもう大丈夫だ。後は体に力が戻るのを待つだけだよ。」
「!ホントか!?・・・ホントなのか?」
急に元気になったな?
だけど、あまり大声を出さないで欲しい。
ギギリカが起きてしまう。
「ああ、ホントだよ。さっきギギリカが起きて話したんだ。あの様子なら大丈夫だ。」
「・・・そうか。良かった・・・良かったよ。うぅぅ・・・」
忙しいやつだ。
次は泣き始めてしまった。
何でだろう?
嬉しいはずなのに・・・。
「何で泣くんだ?嬉しいんだろ?」
「嬉しいさっ!・・・俺、ギギリカが居なく成ると思ったらすごく心配だったんだ。」
なるほど、そうか、前世の僕には姉が一人いた。
だけど、あまり中がいいと言うほどじゃなかった気もする。
でもパパムイの気持ちはわかる。
確かに同じ”泉”の生まれという繋がりでも、兄弟と思えば、
失いたく無いよな・・・。
相当身近に感じていたんだろう。
気づけなかったな、すまん。
「パパムイ。パパムイがギギリカを大事に思っているのは知っている。だけど、今は、泣いている場合じゃない。むしろ笑ってやってくれ。起きたギギリカが心配するだろ?」
「うぅ・・・。そうだな・・・そうだった。済まない。・・・ポンピカ、ギギリカを助けてくれてありがとう。」
「礼は言わなくていいよ。ほとんどパパムイが頑張ったお陰なんだしな。」
「そんなこと無いぞ。俺はお前が言ってくれなきゃ何もできなかったんだ・・・諦めていたかもしれない・・・それが悔しい。」
「そんなこと無いさっ!パパムイは僕がいなくてもギギリカを助けたさ。兄弟だろ?大切なんだろ?」
「・・・ああ、掛け替えのないほど、大切だ・・・。そうだな、ポンピカの言うとおりだ。ありがとう。」
「うん。じゃぁ、僕は出かける。しっかりギギリカを診てやってね。」
「おう!任せろ!へへ〜!」
最後はいつもの笑顔で送り出してくれた。
パパムイは本当に心根が優しい。
まさに優しくて力持ちな雄ってことだな。
僕はそのまま、船に乗り、近くの川へと向かう。
水かさが増しているはずだけど、彼処は少し高い場所にあるから、
水没はしていないだろう。
そう思って船を漕いでいく。
歩きでは、それなりにかかる距離だったが、船だと思いの外早かった。
本当に近い。
近くに船を繋げ、目の前の川まで歩く。
案の定、水かさが上がっていた。
僕が動物たちを見たポイントは水没している。
だけど、きっとこの辺を探せば岩塩が落ちているはずだ。
ちょっと歩こう。
ゴツゴツしている足場を良く見ながら歩く。
すると、前世で見かけたことの有る石を見つけた。
石、これが岩塩だろう。
試しにナメてみた。
メチャクチャ塩っぱい。
やはり岩塩だった。
結晶化したナトリウムの周りに不純物が大量についているが、
ナトリウムのおかげで、毒には成っていないような物、そして不純物が美味しさを醸す。
まさに岩塩。
確かに塩っぱくてきつかったが、なんとなく旨味も感じる。
良いものを手に入れた。
拳大の物だったので、十分だろうと思うけど、取り敢えずもう少し探してみよう。
こうして足元をちらほら探すと出るわ出るわ。
動物以外誰も見向きもしなかったのだろう。
取り放題だった。
おかげで、船が少し沈む位の岩塩を手に入れたのだ。
これだけ有ればしばらく好きにできそうだ。
こうして、そのまま川を後にする。
帰りは行きよりずっと早かった。
なぜなら川下側に集落があり、ここからの水がほとんど集落へと来ていたのだ。
つまり、この川の流れを変えれば恐らくスコールにあっても、
地面が濡れる程度で住んだのではないか?と思ったんだ。
まぁ、そこまでやるには時間がない。
スキクは長期計画は建てれないからな。
「パパムイ。戻った。」
「おう。遅かったな?」モグモグ
「おかえり。」モグモグ
「ギギリカ起きてたの?」
「うん。随分良くなった。死ぬかと思ったけどw」モグモグ
・・・あれ?それ何食べてるの?
もしかして・・・。
ハッ!となった僕は、ウルグズの肉を纏めていた場所に目を向けると、少し無くなっている。
・・・あれ?それウルグズの肉だよ?
抵抗無いの?
僕、気を使って食べさせる気でいたんだけど・・・
だから岩塩も持ってきたんだけど・・・
「二匹共、それ・・・」
「おう!ウルグズだろ?ほったらかしじゃ可愛そうだ。」モグモグ
「そうよ。早く食べないと、傷んじゃうじゃない。」モグモグ
そうか・・・そうかもしれない。
二匹の言うことはもっともだ。
だけど、干し肉計画は潰えた。
しかし、ソーセージ計画はまだ残ってる。
僕はそう思って岩塩を砕き始めようとすると。
パパムイが近寄ってきて、ウルグズの心臓を目の前に出す。
なんだ?とおもってパパムイを見ると。
「ポンピカ。ウルグズの心だ。倒したお前が食べるべきだ。」モグモグ
肉を食いながらそんな事を言っていた。
正直、内蔵は苦手なんだ。
しかも血の匂いが強い心臓は、ちょっと遠慮したいんだけどなぁ。
でも、パパムイが言っている事は好き嫌いとかじゃなく。
責任は僕が取れということだろう。
供養するなら一番重要な部分を食べろという話だ。
僕は、頷き。
受け取る。
口に運ぶ際、鼻の近くへと持っていくと、ものすごく濃い血の匂いがした。
少し、戻しそうに成った。
やはり苦手だ。
どうしよう。
そうしていると。
「どうした?ポンピカ?食べれないのか?」
「パパムイ。ポンピカは肉より木の実を食べるから苦手なんだよ」
ギギリカは知っていたんだ。
動物の肉はあまり口にしない。
タンパク質は虫で補っている。
カルシュウムも虫で事足りる。
それに、水分は普通に水でいい。
だから、血の匂いのする肉はなぁ。
「そうなのか?ポンピカ?」
「ああ、そうなんだ。僕は植物が主食なんだよ。族長と同じなんだ。」
「う〜ん。そうなのか・・・でも、やっぱりこれだけは食わないとダメダ」
パパムイの言うことも分かる。
そして、責任は取るつもりで居る。
だから、仕方ない我慢しよう。
大きく頷いて、心臓にかぶりつく。
すると残っていたのだろう。
ゼリー状になった血の塊が僕の口の中に流れ込んできた。
オウェッ。
思わず吐き出してしまった。
二匹はそんな僕を見てもじっと動かない瞳を向けてきた。
こりゃ食べないとダメだ、なんとかいい方法がないか?
そして、辺りを見回す。
すると、族長からもらった薬草の中に良いものがあった。
地面から細い幹を伸ばし、
さらに細い枝を生やす木で、
一見して草の仲間に見える木の葉っぱだ。
これは胡椒の様な風味と辛味があるんだ。
スキクはスパイスがキライ。
でも僕は、平気。
この葉っぱには消毒の効果が少し有るということが分かっている。
つまり、胡椒だ。
ふむ。
匂いを消せるな。
ならば、心臓は焼いて塩胡椒で食べよう。
パパムイとギギリカが見守るなか、僕はそのへんに落ちている枝に心臓を突き刺して火に近づける。
「おい!?何してるんだ?食えなくなるぞ?」
「そうよ!焼いちゃうなんて変よ?」
二匹が散々なことをいい始める中。
僕は構わず焼く。そしてこの際だから、
僕が食べないといけない部位も焼き始める。
しばらく、して、心臓が焼けた。
随分と縮まっている。
そして、物凄い油が出ている。
前世を思い出すと美味そうだと思える匂いがしてる。
「あわわわ・・・本当に焼いちまったぜ」
「でもパパムイ・・・いい匂いしない?」
「する!」
「だよね?」
そんな事をいい始めた二匹だったけど。
僕は無言で、乾燥している胡椒の葉っぱを心臓に砕いてまぶす。
そしてその飢えにさっき少し砕いた岩塩をまく。
これで準備万端。
一気に口へと運ぶ。
「ポンピカ!正気か?腹壊すぞ!」
「・・・美味しそう・・・」
ギギリカの一言に「えっ?」と成るパパムイ。
それもそうだ。
僕の顔がニヤけている事に気づいたんだ。
メチャクチャ美味い。
油が口の中に広がるし、胡椒のお陰で血生臭くもない。
塩をかけすぎたか?と思ったけどちょうどよかった。
久しぶりに前世を思い出す。そんな味だった。
味からすると、豚と鳥中間のようだ。
油はこってりしてるのに身はさっぱりしているって感じ。
実に美味しい。
これなら肉が苦手な僕でもイケる!
「ポンピカ?美味いのか?・・・そんなに美味かったのか?」
「ポンピカ!あたしにもちょうだい!!」
二匹が欲しがるので、仕方なく肉部分を同じ感じで焼いて胡椒をかけ、塩を掛けて渡した。
「熱いから気をつけろよ?」
僕が話す前にパパムイが口に運んでいた。
ついでに「あちぃ!」って叫んでいたけど、油の味がしたからだろう。
目の色を変えて食いついた。
ギギリカはそんなパパムイとは対象的に、じっとにらみ。
しばらく熱が落ち着くのを確認してから、そっと口に運んだ。
一口目はおしとやかに食べたけど。
二口目はおしとやかさの欠片も無くなっていた。
二匹共一つ食べ終わると。ボケーッと呆けた感じで残った枝をじっと見つめていた。
仕方ないだろう。
スキクは料理っていう概念がない。
つまり僕は、料理をしたはじめてのスキクだ。
と、思う。
だって、他のスキクのことなんて知らないからね。
取り敢えず、僕も続けて部位を食べていこう。
だけど、次が一番の難関だ。
前世でも口に入れたことがない。
脳みそ。
これは無理だろうと思うんだけど?
やはり食べなきゃいけないのだろう。
二匹に目を向けると、ものすごく期待に満ちた目をしていた。
この期待の眼差しは、次はどんな食べ方をするのか見たいってやつだろう。
脳みそ。
ちょっと爪でつんつんしてみる。
意外に弾力がある。
白子みたいなものかな?と思っていたけどそうではなさそうだ。
どうしようかな?
さっきは焼いたんだ。
なら次は煮るか。
そう思って焚き火に入れておいた石を水を張った木の器に突っ込む。
ものの数秒で熱湯が出来上がる。
その中に石ナイフで切った脳みそと内臓の一部、肉の欠片を突っ込む。
そこに胡椒を撒いて、塩を少し多めに入れた。
更にもう一つの焼けた石を中に入れる。
するとジュワーっと熱気が上がる。
それと共にいい匂いがしてきた。
「おい、ポンピカ・・・それ、美味そうだな?」
完全に「食べたい」と言う催促が飛び出した。
「ポンピカ?独り占め?」
完全に「食べさせるの当たり前でしょ!」って言われた。
二匹共食べたくて仕方なさそうなので、
葉っぱで作った器に小分けして渡す。
僕は渡し終わったら鼻でフーフーと冷ますと。
ズズッと汁を飲んでみた。
美味しい。
まったりした味がする。
濃くて美味しい味がする。
まるで、生クリームみたいなまったり感がたまらない。
本当に美味しい。
なんでだ?
内蔵かな?
次に具を口に運ぶ。
最初に口に入ったのは、赤黒く変色していた内蔵だ。
味からすれば、これはレバーだな。
鉄っぽい味がする。
でも美味しい。なんと言うか、体が喜ぶ味だ。
次に口へ運んだのは、胃袋だろう。
コリコリクニュクニュしているけど、油の味がする。
これも美味しい。
内蔵の殆どを食べたが、思っていたほどアンモニア臭がしない。
これは、良い発見だ。
さて、最後の壁。
脳みそだ。
前世でも食べたことがなかった。
どんなもんなんだろ?
グルメマンガでは美味しいとか言った表現が目立ったものだ。
だけど、食べたことが有るという人の話では、白子と変わらないという。
それに、獣臭がするとも言った。
むぅ〜。
勇気をだして、口に運んだ。
・・・お!
まったりした味がする。
粘りつく旨味の塊って感じだ!
これは・・・確かに白子に似てる。
だけど少し白子より筋があるな。
ふむ。
思っていたほど悪いものではなかった。
むしろ美味しい。
結局、腸以外の全部の部位を口にした。
どれも今生でははじめて食べたものだったけど、美味しいと思った。
やっぱり料理すると、僕でも肉が食べれるんだ。
いいことを学んだ。
そう思い同じものを食べている二匹に目を向ける。
僕より早く完食して既に二杯目を口にしていた。
思ったより好評でよかった。
「どうだった?美味しかった?」
「ああ!こんな物食べたことがない!凄い美味しい!」
「ホント!なにこれ?なんで肉がこんなに美味しいの?生臭くないし?」
いまの話からすると、スキク全員が生臭さを感じていなかったわけではなさそうだ。
それでも食べなければいけないとの思いで食べてたのだろう。
料理の文化を取り入れよう。
そうすれば、生肉ばかり食べるということもなくなるだろうしね。
食あたりが無くなるのはいいことだ。
だけど、ビタミン類は火を通すと無くなるものが多いって昔母さんが言っていた。
だからサラダを生で食べてるっていってたっけ?
でも温野菜も食べてたよな?
どうなんだろう?
あまり詳しくないからわからないが、取り敢えずこれはこれで良かった。
「なぁ?ポンピカ」
「ん?」
「なんで、こんな事知ってるんだ?」
「何でだろうね?」
「そうよ。いつも思ってたのよ。あたしの”ジン”だって、治しちゃうんだし」
「どうしてだろうね?」
「なんか言えない事なのか?」
「う〜ん。」
「あたし達にも言えない事なの?」
「いや、そういうわけじゃないんだ・・・ただ、信じてもらえないだけだよ」
「そんなこと無い!俺は信じるぞ!」
「あたしだって信じるよ!だって、治ったのはウソじゃないもん!」
ふむ。
まぁ、隠していたことではない。
只、信じてもらえなかった場合、この二匹との関係が崩れるかもしれないと、
思ったから言わなかったんだ。
まぁ、ここまでやっちゃったんだ。
言ってもいいだろう。
「う〜ん。じゃぁ、言うけど・・・変なやつって思わないでね?」
「ああ!もちろんさっ!」
「信じるわ!」
「僕はね。多分この世界とは別の世界で生きていたんだ。そこで僕は”ニンゲン”だったんだ。」
「ニンゲン?」
「なーに?それ」
「”ニンゲン”っていうのは、スキクとは違う種族で、二本足で立って、歩く動物だよ。ただ、すごく頭が良くて、手先が器用なんだ。」
「へぇー。」
「そんな動物がいたのねぇ〜。」
「うん。そこで僕は16年位生きてたよ。だけど、人間の寿命って、大体80歳位まで生きるんだ。だからスキクで言えば、そうだなぁ〜。生後、10ヶ月位かな?」
「へぇ〜!ニンゲンってのはそんなに生きるのか!」
「すごいわね?」
「僕はそこで生きていた時の思い出を忘れないで居るから、こっちの世界に来てもこんなことが出来るんだよ」
「そうだったのか。なるほど。」
「パパムイあんたホントに分かってるの?凄いことよ?まるで”古き恩恵”持ちのザウスみたいなものよ?」
「”古き恩恵”ってあの?生まれる前に何処の集落に居たとかって言い当てたりする?」
「そうそう。それよ。」
「おおお!すごい!スキクにも起きるんだ?」
「スキクには起きないのよ!」
「え?でもポンピカはそれなんだろ?」
「だから凄いって話なの!」
「ふ〜ん。でもポンピカは最初から凄かったろ?」
「そうだけどぉ〜!もー!」
「まぁまぁ。二匹ともそんなことで言い争わないでよ。此のことは三匹だけの秘密にしてほしいんだ。」
「どうしてだ?皆知ればポンピカが褒められるだろ?」
「パパムイ。ポンピカが言ってるのは、皆が信じないからだっていってるの!ウソツキって言われちゃうじゃん!」
「ああ!なるほど。ごめんな!ポンピカ!へへ〜w」
「もう!ホントにパパムイは頭が足りない。」
「はははwまぁ二匹が信じてくれただけで話したかいが有ったよ!僕も嬉しい。」
「へへ〜w」
「ニヒーw」
二匹に僕の話をした。
二匹ともとても楽しそうに聞いてくれた。
信じているかはわからないけど、
この二匹には僕を遠ざける様な事をするつもりは無いようだ。
安心した。
ただ、二匹が話していた事にちょっと引っかかった。
”古き恩恵”ってやつだ。
族長辺りなら知ってるかもしれないけど。
僕からこの話を族長には話すつもりがない。
それに、この話はここで終わらそう。
そんなことより、ギギリカの元気が随分戻ってきたのが嬉しいんだ。
パパムイも元気になった。
二匹には、明るくて元気なままで居て欲しい。
食事を終えた後、夕暮れになっていたので、少し作業したら寝る事にした。
作業は、ソーセージづくりだけど、
ずっと水につけておいた腸がやたらめったらふやけていたことにビックリした。
岩にこすり付けたり平たい石で
内側の部分をこすげ取ったりして
綺麗にしたら随分薄い腸になった。
残っていた肉を適当に切り分け、腸と一緒に塩水を作って漬け込んでおいた。
これで腐らないだろう。
ギギリカもパパムイも食べたあと疲れが残っていたのだろうもう寝てしまっている。
僕も就寝につこう。
ギギリカはもう大丈夫っぽいし、”ジン”退治は成功だな。
明日、族長の所に言って話そう。
そう思いながら眠りについた。
翌朝、随分と遅く起きた。
ギギリカもパパムイもまだ眠っている。
よほど疲れたんだろう。
ただ、起きないのが少し不安だったので、様子を見た。
特に”ジン”にかかっている様子はない。
ギギリカも気持ちよく寝ている。
パパムイはよだれまみれで寝ている。
いつものことだけど、よく起きないな。
まぁいいか。早速、ソーセージを作ろう。
昨日、塩水に漬け込んだ肉と腸を加工し始めよう。
まずは、肉をミンチにしよう。
肉を細かく石ナイフで切り分け、
棍棒の様な木の短い棒で、肉片を叩いてペースト状とは行かないけど、沢山叩いた。
粘り気も出てきて、まぁ良しとする感じの物が出来た。
そこに胡椒の葉っぱを細かくした物を混ぜる、岩塩を挽いた塩も目分量で混ぜる。
次に、腸を塩水から取り出す。
思いの外ソーセージの皮っぽい。
うん。と感心している間にミンチが腐るとやなので、早々にミンチを腸に詰めていく。
奥の方まで詰めると指が届かない。
長い木の棒で突きながら詰めていく。
結構時間がかかった。
太さにばらつきが目立つ。
でもはじめてのソーセージだ。
なんとか出来ている気がする。
これをネジネジしてから、お湯を沸かす。
沸かしたお湯の中へソーセージを突っ込む。
すると、皮がギュ〜っと縮まる感じがした。
中に入っている肉が破れてはみ出さないか心配になるほど縮まる。
パンパンだぞ。
しばらくお湯の中に突っ込んでおこう。
火が通るまでまたなければいけない。
一連の作業が終わりそうだったので、一息付くことにした。
小屋に戻るとギギリカとパパムイが起きていて、話している。
「おはよう。」
「おお!ポンピカ!今日はなにを食うんだ?」
「なに食べさせてくれるの?」
二匹とも完全に餌付けされた何かに成ってやしないか?
取り敢えず、まだなにもないんだ。
しかたないからといって、釣りをするように言う。
「おいおい?肉はもう無いのか?」
「そうよ。お肉食べたい!あの焼いたやつ。」
完全に焼いた肉の虜だ。
まぁ、それを言っても仕方ない。
「余った肉はもう保存食用にソーセージにしちゃったよ。」
「なんだ?ソーセージって」
「それ何時食べれるの?」
「まだ、出来上がってないよ。腐ってたら食べれないし」
「そうかぁ。じゃぁ魚にしよう。」
「そうね。魚がいいね。」
木の実とか葉っぱとか食べるという発想を持って欲しいところだけど、
二匹は肉食系だしな。
葉っぱだって、美味しいのあるんだよ?
「じゃぁ、釣り竿を二匹で作って何匹か釣っておいてよ。あまったら保存食にするから」
「おう!いいぜ!」
「うん!手伝う!」
二匹は仲良く釣りの作業に取り掛かった。
「二匹とも、僕は一度集会場にいくからね。それと、小屋の前でお湯に入ってる物食べないでね。まだ出来てないから」
「おう!わかったぜ!」
「はーい。」
目を放した隙きにソーセージを食べられると困る。
只でさえ、大量にできてるんだし、あとで、ちゃんと二人にも分けるからそっとしておいてね。
そういって、僕は船で、集会場へと赴く。