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建材出来上がりと僕への信用はとても低い


さて、話も済んで、食事も済んだ。

作業をしよう。

其の前にパレンケへべベビドからタルを2つ作ってもうように指示を出す。

更にタルの内一つは底に穴を開けておくよう言ってある。


コレができれば、濾過器が出来上がるわけだ。

穴の空いたタルの底にウウダギの網を敷く。

そして、網の上、タルの中へと洗って、煮て干した小石と大きな石、

更に木炭を引き詰めるようにすることで、濾過が可能だと説明もしておいた。


そもそも濾過ということが理解できるか不安だったけど、

わからないなりにやってのけるだろう。


一通りの説明を思えたようで、「やってみます」と、元気に答えるパレンケを残して、

僕とウウダギは、冷めているであろうレンガの所へ。


「ウウダギ、このレンガの窯冷めてるよね?」

「うん。熱くない」


「中も冷めてそう?」

「わからない。でも熱くない」


ウウダギの方が熱を感じる力が高い。

僕の感覚はやっぱり人間に近いようで、

爬虫類のピット器官に対する感覚を使うことが苦手なんだ。


意識しても微妙な感覚しかないんだよね。

そこにきて、純粋なスキクは熱源を探したりする力がとても高い。


ウウダギが僕の体にしがみついて寝るのも多分、

温かい場所がハンモックの中では僕の所位だからだろう。


「じゃぁ、此のレンガの窯を壊そうか」

「壊す?」


「そうしないと中のレンガが取り出せないでしょ?」

「うん。」


ウウダギが頷いたので、僕は躊躇なく、窯上へと手を掛けていく。

力を入れるとバコン!と言う大きな音を立てて、大きな破片が取れた。


それを繰り返し、中身をさらけ出していく。


すると、折り重なった状態で存在するレンガが、

黄色を少し濃くしたような色合いのレンガがお目見えする。


詰めは無いけど、指先でつんつんと様子を見ると焼き固められているのが分かる。

そして手に取ると、意外に軽くなっていた。

いや、重いものなんだけど、なんだか入れた時よりは随分と軽くなったよ。


硬さもなかなかいいと思う。

多分コレで完成だ。


天辺の辺りに積んだレンガも火の真上似合ったレンガも、

それ程変わりがない出来栄えだった。


シロートがはじめて作ったんだ。

評価のしようがない。

でも此の硬さとかは魅力的だ。

一度に出来る量がこれっぽっちなのも微妙と言える。


まぁ、窯を大きくするなり、

窯の数を増やすなりして、

一度に大量生産を考えればできなくなさそうだ。


僕はレンガを手にとって色々と確認する。


「ポンピカ?どう?」

「ん?そーだねー。出来は良いと思うけど?ウウダギも持ってみる?」


ウウダギへとレンガを渡す。

手にとって確認の様な素振りを見せる。


「ポンピカ」

「ん?」


「石」

「石じゃないよ」


そこまで言うと、ウウダギが首をかしげてしまった。


「コレがレンガだよ」

「レンガ・・・。石」


どうやらウウダギの中では石を作ったと思ってしまったようだ。


「コレはね。粘土をこねて焼いてできたやつだよね?」

「うん」


「粘土は石?」

「違う」


「粘土を焼くと固くなるよね?器もそうやって作ったの見てるでしょ?」

「うん」


「コレがレンガだよ」

「レンガ」


どうやら納得してくれた。

ウウダギがレンガを地面に置いてもう一つのレンガをその上に積んで見せる。

そして、僕の方へと顔を向けた。


何を言わんとしてるのか分かる。


「ウウダギは本当に頭がいいね。そうだよ。そうやって、積み重ねると壁ができるね?」

「うん。石の壁出来る。」


「レンガの壁ね」

「レンガの壁」


「レンガの壁を沢山作ると、どうなる?」

「・・・家。壁」


「正解!賢いねぇ〜」

「へへーw」


そして、何個か積み上げて、横から力を掛けるとまぁ崩れるわけだ。

でも地面がアスファルトだったりする前世と違いここは森の地面だ。

レンガは割れない。


「ポンピカ。崩れた」

「うん。積み方も色々ある。それにつなぎ目にも粘土を使ったり、石灰を使ったりすれば全部が硬い壁に成るよ」


「・・・! セッカイ!」

「そうそう。石灰」


「セッカイできた?」

「石灰の様子も見てみようか?」


「うん!」


隣に作ってあった石灰窯の近くで、

熱が篭っていないか確認をする。


まだ、ほのかに熱を感じるけど、問題なさそう。


「さて、中には白い灰が沢山あるはずだよ。」

「灰」


「そう。その灰が石灰だからちゃんと集めないとね」

「うん!」


ウウダギと2匹で

窯を割り、外側へ破片を落としては中を覗いてみる。


中は、綺麗に燃焼したようで、

石灰岩を砕いた石灰石の殆どが形を残してない。

形を残している物も触ると崩れてしまった。


ウウダギの作ったズタ袋の様な袋へと、

木製のシャベルを使いすくい上げていく。


底の方へと行くに連れて、石がまじり始めた。

きっと此の辺りが地面だったのかもしれない。

そろそろ終いとしよう。


結果ズタ袋一個分くらいが出来上がる。


そして・・・。


「ウウダギこんだけ石灰が出来たっぽい。」

「ぽい?」


「うん。ちゃんと僕が知ってる石灰か確認しよう。」

「うん」


べベビドの所へそのまま向かい。

そこで、転がっている小さな板を四枚もらっていく。


「ウウダギこの板で囲いを作ろう。」

「わかった。」


もう一度、石灰のズタ袋がある場所へと来ると、

そこで、地面に小さな穴を掘り、

穴を板で囲む。


少し小さめな容器を用意して、石灰をシャベルで容器へ。

そして、パレンケが皮で作った水筒があるので、

それから水を器へ少しずる流しては、

器の中を撹拌していく。


反応が起きるのはすぐだった。


あっという間に水分に反応した灰は熱を帯び、

煙を立て始めた。

器も土器なので、熱がつたらると熱い。


でも此の反応は明らかだ。

どうやら完成したみたい。


「ウウダギ完成でいいと思う。この粉は石灰だ」

「セッカイできた」


そして、興味深くその器に目を奪われるウウダギの横顔を見る。

何を考えているかわからないのがスキクだ。

だから、少し不安に成る。


パパムイなら取り敢えず触るだろう?

火傷するだろう?

そのまま「あちぃ!」と大声を出すだろ?

迷惑だろ?


こんな流れになるはずだ。

だけどウウダギは賢い。

熱いと分かる。

分かっても手を出すような頭はしていない。

パパムイみたいに足りないわけじゃない。

そこがいい。


まぁ、それは置いておいて、

容器で熱を発している液状の石灰を今度は、

先程作った枠の中へと流し込む。


容器は熱かったけど、まぁ我慢だ。

対策は後ほど考えよう。


そんでもって後は待つだけだ。


「ウウダギ。一時間位で冷める。そして多分乾いているから固まると思うよ」

「固まる」


「そう、こうやって枠の形に固まる石だと思えばいいね。それが石灰だよ」

「・・・。 便利!」


ホント頭いい。

そう。

便利なんだよ。


液状の物が時間で固まる。

液状だから形を作りやすい。

固まれば石と同じくらいだ。

充分な硬さがある。


乾いた砂や砕石と組み合わせればより用途が増える。

それがセメントだったりコンクリートだったりと名前が変わるわけだし。


まぁ、取り敢えず石灰は此のへんでいいだろう。

あとで様子を見にくればいい。

ただ、此のまま石灰の袋を湿気の多い場所には放置したくない。

湿気ってしまえば結局空気中の水分と化学反応をおこして最悪火事に成る。


湿気のない場所へ・・・。

やっぱり避難所の裏手に設けてある小屋の所かな?

底が一番乾くし、乾燥している。

「・・・」

「ポンピカ?」


ウウダギが僕に顔を向けている。

なぜかと言えば、石灰袋・・・重すぎる。

30Kgはあるぞ?


だれか力の強いヤツ居ないっけ?


周りを見回す。

目につくスキクはっと・・・例の6匹のうちの二匹。

イヂジンとセルセルが少し離れた場所でイチャツイてる。


凄い胆力だなぁ・・・。

適応力が高いと言えるのか?

どうなんだろう。


ぶっちゃけこの集落に馴染んでいるわけではないはずなんだけど?

う〜む。なぞだなぁ。


イヂジンはしきりに首をカクカク横に振っていたり。

話しているセルセルは首を上下にカックカックと振っている。


なんのやり取りなんだ?

暗号とかかな?

秘密の合図?


そんなわけないよね。


謎だ。


まぁいい。

あの二匹を使おう。


「ウウダギ。 あの二匹連れてきてくれる?この袋重すぎて持てないんだ。」

「わかった。連れてくる。」


ウウダギがチョコチョコ走る。


こう見ると、やっぱり可愛い。

TVでみた動物の番組で爬虫類、

エリマキトカゲやそこらの走るトカゲが水面を走る時バタバタと走るでしょ?


あの格好に酷似してるんだ。

足の平が大きいせいかな?

足が重いから?

でも僕の体験から言うと、骨格が問題なんだ。

腰と足の付け根。

この辺の骨格が開ききってるんだ。

だからガニ股が普通で、僕みたいに人間の様な骨格なのはまず居ない。


パパムイだって動きはスムーズだけど、

似たような動きだ。

ギギリカもそう。

ただ、ギュギュパニは違う。


僕の歩き方に近い。

上半身が大きく成っているせいだろうか?

足というのが小さい比率なんだ。

尻尾は長いけどね。


ふむぅ。

かわいい。


そんな事をしている間にウウダギが二匹を連れてくる。

二匹とも何故か大慌てだ。


ウウダギは僕の子供だけ有って動きが素早い。

力はないけどね。

二匹はウウダギの走る速度に追いつけないでいる。


まぁいいや。


「連れてきた。」


ウウダギがニッコリしてる。

ちゃんと言いつけとか守れる子でよかったよ。


「二匹共てつだってよ」

「わかりました!」

「いいわよ。」


二匹を使い。

石灰袋を丘にある避難所の後ろ、

元々僕が雨季の間に凌ぐため、作った小屋の横にある乾燥室へと運び込んだ。


「二匹共ありがとう。」

「いえいえ。かまいません。」

「コレくらい一匹で持てるでしょ?」


イヂジンはイイヤツだけど、アガリ症みたいな感じだ。

セルセルは意外に肝っ玉がある。

と言うか、気安い。


6匹の中で、

あんだけ僕の活躍を見ておいて、

普通に話しかけることができるのが、

ヒュルルとセルセルだけだ。


まぁ、何にしても手伝ってくれた二匹にはお礼を言おう。


「いやいや。本当に助かったよ。僕やウウダギは力が強くないんだ。」

「えっ?」

「・・・ウソでしょ?」


・・・本当なんだけど?

じゃなきゃここまで手伝ってもらってない。


隣のウウダギを見ると、ウンウンと頷いてる。

やっぱり僕は間違ってない。


なんだろう?首をかしげてしまうよ。


「いや・・・だって、オアルガクルガ様を一撃だったじゃない・・・」

「そうですよ。仲間も皆あっという間でした。」


確かにそうだけどね?

でも力が少ないのは事実なんだ。

コレばっかりはどうしようもない。


「まぁ、訓練とかすれば皆も出来なくないんだよ?ねっ?ウウダギ」

「うん」


ウウダギは分かってる。

僕が力がないけど、色々やって、相手を倒している事を。


「訓練?それすれば、あたしも強くなるの?」

「私も強く成れるのですか?」


イヂジンは強さとかあまり気にしないタイプに見えるんだけどなぁ?


「イヂジンって、強さとか興味あったの?」

「それは、もちろん! 私だって、ヴァレヴァレの一員だったのですから」

「なるほど。一応言っておけば、僕が訓練手伝えば、多分一ヶ月そこらで、ザウスは倒せる様に成るよ?」


「はぁ?あんた、そんな事できるわけ無いでしょ?」

「そんな事言ったって、多分出来なくないと思うんだけどなぁ・・・?どう思う?ウウダギ」

「?できる?」


ウウダギも首をかしげた。

確かに戦い方は誰にも教えてない。

パパムイやギギリカ辺りにそれとなく似たような話をしたり、

体操を教えたりしただけだ。


まぁ、下地が出来てなきゃそもそも教えることは出来ないわけだ。

実際はもっと前段階で時間がかかるような気がするなぁ。

一ヶ月はふっかけすぎたかな?


「う〜ん。一ヶ月はいいすぎたかなぁ?」

「そうですよね。一ヶ月でどうにか成るとは思えません」

「だよねー」


「ポンピカは、ちゃんとやる。できる」


僕が前言撤回とばかりに言い放った後、

二匹がそれを肯定したけど、

ウウダギだけは、僕ができると断言する。


ウウダギは完璧主義。

そして、僕ヘの信頼と信用が天元突破してるタイプだ。


可愛いウウダギができるという。

やるなら、やるしかなくなるんだけど?


「できるの?」

「できちゃうんですか?」


二匹のウウダギへの信用が意外に高い。

具体的に言うと僕の発言より、

ウウダギの発言の方が信用できるようだ。


あれぇ?ここ数日の間にどうして差がついた?


結構、致命的な気がしてならない。

それに、二匹は僕の目の前で僕が信用出来ないと言っているようなものなんだけどぉ?

気づいてる?


まぁいいや。

二匹には、自覚はなさそうだしね。


「ウウダギができるって言うなら多分できると思うけど?」

「そうなんですねぇ・・・」

「本当?」


やはり、僕への信用は低そうだ。

そして、ウウダギの信用は高いようだ。


こう如実に現れると、流石にへこむなぁ。


「う、うん・・・多分ね」


生返事しかでません。

ごめんなさい。


「ポンピカ。皆に教える。きっと喜ぶ」


ウウダギが言う言う。

どうしよう。


「えっ!教えてもらえるんですか?」

「あたしも戦えるの?」


二匹はもう其の気じゃ?

僕を外に話が進みそうだからここらでストップしないと!


「あ〜。そのうちね。そのうち」

「そうですか!教えてもらえるんですね!」

「やったー!あたしも戦うスキクの仲間入りできる!」


セルセルは既に戦える仲間なんじゃなかったの?

オルガクルガが一緒に行動するほどだからなぁ?

それなりに強いんでしょ?違うの?

ってかイヂジン?そのうちって言ったよ?


「ポンピカ。次何する?」


ウウダギは飽きちゃったか・・・。


そうだよね。

此のまま話していても仕方ないしね。


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