パパムイのデリカシーと後遺症
ウウダギと2匹で、皆が居る大鍋の所まで向かう。
大鍋を囲むように皆がすでに食事を開始していた。
この光景は、もう慣れっこだ。
朝、鍋すると、その日一日ポカポカして、元気なんだよね。
だからか、皆鍋を朝食べたがるんだ。
何時もの光景だけど、何匹か見慣れない顔ぶれ・・・いや知ってるけどね?
例の4匹が集まって食事をしている。
一匹だけ、どうしても変な座り方をしてるけどね。
ちょうど今、シシブブがやっている、僕なんかと同じ座り方。
尻尾がないから後ろへの体重のバランスが取れないんだ。
そのせいで、背もたれを用意したりしないと、普通のスキクはまともに座れないらしい。
僕は元々尻尾が無いのが普通だったので慣れるのに時間はかからなかったけどね。
シシブブは、僕を見ていたからか慣れていそう。
いや、まだかな?
微妙な所だ、オルギュスは全然ダメだね。
手に持ったお椀をこぼしそうに成ることがある。
ただ、例の2匹は目を覚ましているらしいけど、食事を与えられていないみたい。
轡を嵌められているし、手足と尻尾が縛られて木に繋げられている。
あの縛り方・・・あれやったのウウダギかな?
僕が寝てる間に縛ったんだろうね。
アレで無理に引きちぎると、指だけじゃなく、
手首が落ちるね。
えげつない。
まぁいいや、食事しよう。
今日も豊富に獲れるバッタやその他の昆虫が入っている。
他にも何故か米・・・米?
ンダンダどっかで取ってきたね?
様子を見るとおかゆみたいに成ってる。
凄いねこれ。
皆、アツイとかいいながらハフハフ食べてる。
スプーンは皆常備してるからね。
食器を使う事を覚えたうちのスキクは本当に手先を器用に使い食べている。
それに比べ、まだ新参の例の4匹はスプーンだとしてもそれほど、上手くは扱えていない。
やはり基礎的なところから徐々に覚えさせないとダメかな?
でもスキクは、とても賢くて器用な生き物だから、時間はかからないだろう。
ズズナド辺りにいってソロソロ学校を開始してもらおうのもいいな。
ただ、ギュギュパニとパパムイの姿がないのには、疑問が残る。
族長が言っていた、話しっってのはもしかしたらそこら辺の話かな?
反抗的な2匹の話もするかもね。
ああ、でも例の四匹の特性も調べないといけないわけだしね。
困ったねぇ。
レンガと石灰作りが滞ってるんだけど?
まぁ、手は増えたと言えるんだ。
言えば、そのとおりやるだろうし、いいかな。
すぐに食事を終える。
ウウダギと一緒に食器を洗い、所定の場所へと乾かす為に置いておく。
ウウダギはすでに箸を使えるんだ。
凄いでしょ?マイ箸もってるのw
なまいきだぞぉ〜w可愛いなぁ。
まぁいい。それより食べてる最中だけど、族長へ話しかけよう。
「族長食事中ごめんね。」
「うむ、構わん。しかし、あれだな、このコメというやつはなんとまぁ、”ト”で食べるよりもずっと甘いものだな?何か違うのか?」
「ああ、塩だよ、塩。塩を入れると対比で甘く感じるっていう話は聞いたこと有るよ。」
「ほう。塩・・・塩っぱいのに甘いか・・・奥が深いのう」
「まぁね。ところでさ?話しの続きだけど」
「お?ああ、そうじゃったな。今、パパムイがギュギュパニの看病をしているのだが、ギュギュパニが動けぬ。目覚めてはいるがな・・・寝床から出てこれぬのだ。何とかならぬか?」
「ギュギュパニは意識取り戻したの?」
「うむ、以前と変わらぬギュギュパニじゃ。あの時はなぜあんなに凶暴になったのじゃろ?心当たりはあるか?」
「有るよ。っていうかね。あの時はオルガクルガがギュギュパニを支配してたんだろうね。」
「む?どういうことじゃ?」
「多分。死んだ直後のオルガをギュギュパニが持ち出したんでしょ?」
「うむ。そうじゃ、採掘場へと持ち込んで自ら掘っていた穴のなかに引きこもったのじゃ」
「多分、それが原因だよ。オルガクルガのヴァンが残ってて、そのヴァンがギュギュパニと共鳴しちゃって悪さしたんだ。厄介だね。」
「ふむぅ・・・そういうのはよく起こるものか?」
「どうだろう?前世や今生を見てもはじめてだけど、精霊さんが居るってことは起こりうることなんじゃないかな?精霊さんの話だと、ヴァンが力を持って精霊に成れたり呪術師に成れるのはスキクだけだと言ってたけどね。」
「ふむ。なるほど・・・。オルガクルガは特別だと思うか?」
「どうだろう?多くのザウスを見てないからなんとも言えないけど、ギュギュパニが特別だった可能性のほうが大きいかもしれないよ?」
「ギュギュパニか・・・たしかにそうかもしれぬ。」
「で?なんでそんな事聞いたの?」
「いや、予想の範疇では有ったのじゃがな、確証は無かったのじゃ。あのような状態は過去なかった・・・いや、有ったか・・・一例じゃがな・・・」
「ん?含みもたせるね?言えない事?」
「うむ、この場では言えぬな・・・いいたくないということでも有る。ギュギュパニに関わるでな」
「なるほど。わかった。此の後ギュギュパニの所に行くよ」
「うむ。そうしてくれ。それとじゃ例の2匹の事もソロソロ決着を付けなければならぬ。というのも衰弱がひどいのじゃ。すでに騒ぐ元気さえない。」
「随分、消耗しちゃってる感じ?」
「いや、どちらかと言えば・・・中身が空っぽになってしまったと言うところか?」
「・・・それも呪術系の話になりそう?」
「恐らくな。」
「はぁ・・・。わかった。この集落で呪術は僕だけが使えるみたいだしね。解決するよ」
「頼む。それとじゃ、ついでにで良い。彼処の四匹じゃが、良い案はあるかのう?ワシが勝手して良いものか踏ん切りがつかぬのだ。」
「裏切るような事がないって族長が思うなら好きにしていいよ。僕が所有するべき従者じゃないしね。」
「そうか、では、折を見て、この集落の仲間としよう。」
「それでいいと思う。元々そのつもりで説得したんだ。」
「うむ。ワシからは以上じゃな・・・。ギュギュパニによろしく言ってやってくれ」
「わかった。伝えとく。」
ウウダギを連れて、ギュギュパニの方へ向かった。
途中、食事を終えた、4匹が声を掛けてきた。
「ポンピカ・・・様・・・」
「様はいらないよ。どうしたの?」
「ああ、すみません。あのですね。昨日の事なんですが・・・」
「ああ、ギュギュパニの事かな?いまからギュギュパニを御見舞しに行くんだ。一緒に来る?」
「いえ、顔を合わせるのがちょっと・・・」
「ふ〜ん。まぁいいけど、お前たちはもうこの集落の一員って事に成ってるからさ、気まずくないように過ごしなね?そこまで面倒見れないからさ」
「ええ。分かってます。あの、言いにくいのですが・・・こう毎日施しばかりだと、なんと言うか・・・」
「でもお前達は戦いが仕事だったんだろ?新しい仕事でも見つけたの?それだったら僕の手が要らなくなって楽なんだけど・・・」
「その事なんです。俺達、どんな仕事をすれば?やったことのない仕事をはじめてとなるとあまり、気が進まなかったもので・・・」
「ふーん。じゃぁ。此の中に狩りが出来るやついるか?」
「一応皆出来ます。」
「それじゃ、明日くらいにその話しをする予定にしておこう。その代わりしばらく狩りをしてくれ、この集落で狩りをしてたのがパパムイだけなんだ。今は親であるギュギュパニの看病してるからさ手が離せないんだよ。頼める?」
「わかりました。ピブは?」
「集落の中にベベビドがいるからピブはそいつに頼んで、多分見たこともないピブをくれるから大いに活躍して欲しい。きっと気に入る。」
「わかりました。では明日よろしくお願いします。」
「うん。じゃ僕等は行くね。」
ウウダギは4匹と話している間も無言。
自分には関係ないと、途端に興味がなくなる。
良くも悪くも割り切りが早い。
パリッとした性格だよね。
そういうの嫌いじゃない!むしろ大好きだ!
おおっとイケナイ。
僕としたことが・・・。
いや、それよりさっき話しかけて来たのは4匹の内、裏切りを噛まされたヤツだ。
アイツはまともに話が出来る。
確か、名前は・・・そう、ヒュルル。
なんか風が吹くような名前だなぁ。
まぁ、どうでもいいけどね。
色々と細々した所は有るけど、ギュギュパニのハンモックへ着く。
下から見上げると、なぜかパパムイがギュギュパニに抱きつかれてもがいていた。
「ねぇ。ウウダギ」
「ん?」
「なんでパパムイがあんな事に成ってると思う?」
「?」
「ウウダギは変だと思わない?」
「変?なんで?」
「僕は変かなー?って思うんだ。」
「変じゃない。ポンピカは僕に何時もアレしてる。」
・・・そういう事?
ってかあんな状態なの?
あれ?
僕だけ変だと思ってなかった?
いや変だと思ってた?
あれれ?
なんだか恥ずかしくなってきたぞ。
「ポンピカ?どうしたの?」
「ん?うん・・・。ちょっとね・・・。まぁいいや。上登ろうか」
「うん。ポンピカが先ね」
「うん。」
僕が先に登る。
するとパパムイのもがく声がする。
「おい!ギュギュパニ!脇の下くせぇ!」
「なんだい!その言いぐさわ!たまには親が甘えさせてやろうとしてるんじゃないかい!」
「くそうぅ!なんでこんなに力つえーんだよ!」
「なんでかねぇ!調子がいいんだよ!はーっはっはw」
「くそおおお!ギュギュパニめー!」
「はーっはっはっは」
あー・・・。
パパムイめ、いじろうと思ったら盛大にいじり返されたな?
随分やられてるけど・・・ってか、ギュギュパニ?足が動かないのか?
なんか不自然だよ?
「ポンピカ。早く登って」
後ろからウウダギに急かされた。
すぐに登りきり、ギュギュパニの近くの枝へと体重をのせる。
「おや?ポンピカかい?なんだか随分、手を尽くしてくれたんだろう?済まないねぇ」
「いや、いいんだけど・・・」
「やい!ポンピカ!どういう事だよ!前より元気じゃねーか!」
「パパムイ。逃げれない。」
パパムイはほっとこう。
完全に喉に腕が決まってる。
たまに「ぐぎぎぎぎ」ってうなってるし・・・ちょっと、面白い。
それよりだ。
「ギュギュパニ、足動く?」
「ん?う〜ん。動くんだけどねぇ。力がでないんだよ。なんでかねぇ?」
・・・呪術が失敗したか?
だけどそもそもなにが成功とかわからないんだ。
「そんな事より、ポンピカ。済まなかったね。採掘場の洞窟で、最後くらい親を送ってやろうと思ってねぇ。少し、情を出したらやられちまったようだよ・・・情けないったりゃありゃしないねぇ」
「その時の記憶はあるの?」
「どうだろうねぇ?昨日は鮮明に覚えていた気もするんだけど・・・今じゃ霧がかかったみたいで思い出せないんだよ。なんでだろうねぇ?」
なるほど。
僕もそんな気がする。
だって、自分とは別の知り得ない記憶が有ったような状態だったんだ。
そして、それがなくなれば、当然すっぽりと抜け落ちるだろうしね。
「やられちまったって言ったけどさ?相手がオルガクルガってわかったの?」
「ああ、そのことかい。確かに不思議だねぇ・・・でも確信はしてるんだよ。なんでだろうねぇ?」
なるほど。
あの状態はもしかしたら憑依とか言う物に近いんだろう。
どんな手段を使ったか知りたいところだけどね。
「オルガクルガの死体はまだ採掘場?」
「ああ、そうだよ。でももう食える箇所は無いはずだよ?ほとんどはあたしが食っちまったからね。弔いってやつさ。」
マジ?
う〜ん。
流石にウウダギが死んだらウウダギを食うなんて出来ないぞ僕・・・。
いや死なないようにするけどね。
「何となくわかったよ。それから力が入んないのは理由が有るんだ」
「理由?どんな事なんだい?」
「パパムイ。すまないが、秘密は守れるかい?」
「ぐぎぎぎ!守る!守るから!この腕どかしてくれ!頼む!」
未だにもがいてるパパムイの拘束を解いてくれとギュギュパニに願い出る。
開放されたパパムイが息が荒い。
「はぁ〜。はぁー。はぁー。死ぬかと思ったぞ」
「はははw親子水入らずってやつだ。いいじゃないか。パパムイ」
「おまっ!じゃぁ、ギュギュパニの脇の下嗅いでみろよ!凶悪だぞ!」
ガツンッ!と、パパムイが殴られた。
おもいっきし頭をグーパンでだ。
「ぐわっ!」
パパムイが、仰向けにひっくり返る。
足場の安定しないハンモックの中だからねそれほど力は入ってないはずだよ?
まぁ、パパムイは静かになった。
話を進めよう。
「まぁ。あれだ、オルガクルガがギュギュパニの身体を使って、集落で騒ぎを起こしたのはしってる?」
「ああ、たしかに記憶にはある。が・・・実感が無いんだよねぇ。やっぱりアレがオルガクルガだったのかい?」
「恐らくそうだと思う。もしくはオルガクルガのヴァンの一部っていう事かもしれないけどね」
「ふ〜ん。」
「まぁ、話しを戻そう。昨日ギュギュパニが集落で暴れた結果、僕へとちょっかいが始まったんだ。」
「・・・そうかい。済まないねぇ。」
「僕ヘのちょっかいだけならもっと穏便に済む所を・・・よりにもよって、ウウダギに目をつけたんだアイツ」
「!・・・ウウダギがそこに居るってことは無事だったんだね?」
「まぁ、そうだけど・・・ほら、僕はウウダギに危害加えようとしてるの見ちゃってね・・・また理性が飛んじゃったんだ。面目ない。」
「って、ことは・・・あたしは、死んでたかもしれないって事だねぇ・・・いやぁ、命が残っただけありがたいねぇ」
「まぁ、結果は命は無事だったんだけどさぁ?ちょっと手下限出来なかったみたいでぇ・・・そのぉ・・・」
「ああ、なるほど・・・つまりあたしの体に力が入らない原因はポンピカが無意識でやっちまったってことかい?」
「まぁ、大まかに言うとそうなんだ・・・ごめんね。僕、ウウダギの事になると周りが見えなくなるみたいでさぁ。治そう治そうと思っても意識が飛んじゃうから・・・」
「まぁ、それでも死んでないってことは助けてくれたんだろう?」
「うん。」
「なら、あたしゃ構わないさ。」
「いや、でもさぁ?」
「そうかい?じゃぁ、あたしが良くなるようおまじないでもしてくれると嬉しいねぇ」
「おまじない・・・なるほど。」
ふむ・・・おまじないかぁ。
診察がてら気を流してみるか。
悪いところが分かるかもしれない。
動かない原因も・・・。
気を集中して、ギュギュパニへ害が無い様に気を使っていく。
経絡に気を通すと、そのまま浮き出て見えるんだ。
これは、この間はじめて知った事だけどね。
気の流れからは問題なく、経絡は通っている。
やはり、ウウダギの経絡を模倣したのがダメだったか?
構造は大して違わない気がするんだけどなぁ。
でも経絡は問題なく機能している。
時間が解決してくれるかもしれないなぁ。
僕にはまだわからないや。
「ギュギュパニ。多分、まだ治りきってないんだと、思うんだ。」
「治ってない?そうかい・・・胸のところの鱗もその下も随分と痛みは無く成ったんだけどねぇ?」
「あ、うん・・・そうなんだけど・・・」
「どうしたんだい?」
「僕が昨日ギュギュパニにやった、攻撃だけど恐らく・・・ヴァンへの攻撃だったんだ」
「へぇ・・・。」
「分かる?」
「いや、この間も言ってたね?ヴァンってのはなんだい?」
「そこから?」
「済まないね。知らないことのほうが多いんだよ。」
「ヴァンってのはね。精霊さんから聞いた話だと、生き物やこの世に有る全ての物には生命力っていう力が入ってるんだ。それで、その生命力を形にしてる力を想いって呼んでるみたい。さらに死んだヤツが稀にその生きる力である生命力と死にたくないとか言う想いとが集まった状態をヴァンといって、僕ら呪術師にはさらにそれに生前の姿がはっきりと形作られるんだ。それを『形』っていう。」
「う〜ん。なるほどねぇ。で?そのヴァンってのは簡単にいえば死者なんだね?」
「そう。それが昨日ギュギュパニに悪さをしたんだ。」
「なるほど。」
「それで、僕が昨日殺った攻撃はさ?ヴァンを吹き飛ばす攻撃だったみたいなんだ」
「・・・つまりあたしの中のオルガクルガを吹き飛ばしたってことかい?」
「うん。でも弊害で、ギュギュパニの胸の辺りを覆っていた生命力も一緒に吹き飛んでしまったんだよ。」
「・・・それで?」
「それであわてちゃってね。いそいで呪術で胸を修正したんだ。」
「ふむ。なるほどねぇ。」
「はじめての呪術だったことも有って、ちゃんとした物かどうかが不確かなんだ。精霊さんが最近、自分のやりたい事の為にどっかに行っちゃってて聞けなくてね。」
「つまり、とりあえず治したってことかい?」
「うん。そうしないと、すぐに命が尽きてたはずだからね。」
「そうかい。じゃぁ、やっぱりポンピカに助けられたわけだね。ありがとう」
「お礼はいいさ。それよりも、もう一度傷を見せて欲しい。ヴァンの方のね。」
「構わないよ?どうやればいいんだい?」
「胸に触らせてもらえればいいよ。」
「!何だい!あんたもあたしの体に興味があるのかい?こんな歳のいったザウスなんて魅力ないよ?」
「いや!そういうことじゃないんだけど・・・」
「ポンピカ!俺が幾ら言ってもダメだったぞ・・・どうも、脇の下の匂いが原因だと俺は思うんだ!」
バコンというおおきな音と共に再度起き上がったパパムイが撃沈した。
ギュギュパニの鉄拳制裁だ。
流石に雌に脇の下臭いとか平気で言ってのけるパパムイの頭がどうかしてると思う。
幾ら親だからって・・・流石にそれは無いだろう?
「まぁ、パパムイはほっとこう。とりあえず、気・・・いやここでは生命力の図っていうものが、触れないと見えないんだよ。」
「ふーん。まぁ、言いたいことは分かるよ。まぁ好きにおし」
座った状態からバンザイしているザウスの胸へと手を置く。
気を流し込むとくっきりと経絡が浮き出る。
僕が治した経絡には異常は無い。
ただし、僕の作った経絡を通った気が通過した後で、随分と消費してる様子が見て取れる。
つまり通過すると十分に気が行き渡らない。
結果、他の部分へ必要量の気が回っていないんだ。
だから力が出ない。
感覚も鈍く、体調不良なんだろう。
原因はわかった。
でももう少し接合下部分を見てみる。
なぜかと言うと気に成る点が有ったからだ。
接合した部分が徐々にギュギュパニの気の経絡に侵食されているんだ。
太い所は特に面積を増やしていて、
中には、新しく侵食した経絡の脇から新しい経絡を木の根の様に生やしているところだった。
此のことから、
恐らく、時間が建てば、正常に戻ると思われるけど、
それまでにギュギュパニの肉体的な筋力とか体力が持つかわからないことだ。
肉体と経絡とでのバランスが取れていない。
それが原因だ。
手を放す。