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陥没と治療

・・・また、時間予約しくじった。

ごめんなさい。


気を流すと経絡が浮き出して見える。

なるほど。大きな経絡の途中から小さい経絡がそんな形で枝分かれしてるんだね?

まるで、脳と脊椎から根っこが伸びている様な、そんな構造だ。

大きな経絡が脳と脊椎、そこから伸びる太い経絡が身体の内部へと伸びて更に枝分かれする。

構造が気を流す事で、こんなに鮮明とするとは知らなかったよ。


じゃぁ、バッツリ途絶えている境目の太い経絡を『形』を作って、

延長しながら伸ばしていこう。

ウウダギの経絡の図が見えているんだ。

似せて作り込もう。


再度『形』を作り込んで、

馴染めるか一度確認しよう。


生命力である気っていうのは粘土というか、

もっと液体的な抵抗のない感触があるんだ。


いや、僕がそう感じているだけかもしれない。

その時その時で、随分感触の捉え方が違うという事も有るけど、

集中している今の僕の感触は、粘土より固く感じる。


想いで気をドンドンと形へ変更。

小さな部分は目が届かなく流石に真似が出来ない。

大きな部分を先に作りこもう。


一通り『形』を保っている。

何とか作っては見たが、接合部分がどうやってもくっつかない。

なんだろう?


なんでくっつかない?


何度か接合部分へと気による粘着感を想い、押し当ててみた。

でも全然引っかかりもしない。

困った。


う〜ん。

ギュギュパニの経絡と僕の作った経絡では質が違うのか?

多分それは有るだろう。

質ってのは、なんだ?

気の質なのかもしれない・・・。


う〜ん。

僕は自分の気を少しはコントロール出来るようには成ってるけど、

流石に僕以外の気をコントロール出来ないぞ?

どうすればいい?


僕の気とギュギュパニの気は何処が違う?

質が違うなら似せればいいとは思う。

だけど、その違いがわからない。

・・・いや、違いが有ることは分かる。

でも、それを変化させることは流石にやり方がわからない。

どうすればいい?


こういう時、精霊さんの助けが本来必要なのになぁ。

どうして、何時もいいタイミングで居ないんだろう?

ホント、役に立たない。


愚痴っても仕方ない。


気・・・違い。

つまり僕の気の性質を変える?

それは出来ない。わからないからだ。

じゃぁどうする?

目の前には、気の質が違う物が有る。


・・・じゃぁ、両方の気が混ざるように出来ないか?

ギュギュパニの気の中で漏れている気を僕の気と混ぜるとか・・・。


やってみよう。


漏れてるギュギュパニの気に僕の気を近づけて、

こう、ぐるぐると混ぜるようにしてみた。


すると、今まで感じていた自分の気とも、

ギュギュパニの気とも、

違う気の質になったように思えた。


違う気には成った。

成ったけどこれを操作することは出来るのか?


疑問。


でもやらなきゃあ始まらない。

取り敢えず僕が作った気の経絡を側まで寄せる。

すると、向こうから近づきくっついた。


これって、引き寄せられたんじゃないか?

その調子で、くっついた部分をギュギュパニの方へ。

すると接着剤のように今までどうやっても繋がらなかった部分を補ってくれた。


結果、なんとか行けた。

この調子でドンドン繋げよう。

まだ、患部の気が減ってきているけど、

穴が塞がれば問題はないだろう?


胸の陥没箇所の経絡はなんとか塞いだ。

これで、再度気を流し込む。


流す!

なんでダメなんだ!


現界へと意識を戻す。

あまり時間が立ってなさそうだ。

精霊さんが言ってた通り、狭間と現界では時間の感覚が違うみたい。


「ポンピカ!ギュギュパニは?大丈夫そうなの?」

「応急処置は?」


「何とかやったの!でも、全然反応がない!」

「そうか・・・。もう少しこっちもやってみる。」


「うん!ギュギュパニ助けて!」

「出来る限りやるよ。」


「あたしの胸みてもいいから!」

「・・・ギギリカの触ったりすると、パパムイにどつかれそうだ」


「・・・でもいいよ?」

「・・・冗談は終わってからでw」


ダメだ、現界の方でもまだ反応が無い。

どこがだめなんだ?

もしかして、内蔵部分も作り込むとかか?

流石に底まではわからないよ。

ギギリカを解剖するわけにはいかないしね。


倒れてる2匹なら解剖してもいいんだけど・・・。

族長が怒るだろうしなぁ。


まぁ原因を探そう。

意識を狭間に向ける。

すると、少し時間が経過しただけなのに、

明らかに満たしていたはずの気が、

ギュギュパニの背中ぶぶんから流れ出ている様子が見て取れた。


そうかぁ。

背中まで陥没したんじゃないか?

それで穴が裏表空いてたkら、片方だけ塞いでもダメだった。


凄い簡単な理由だったんじゃないかな?


でも、いまこの状態じゃ、背中が治せないだろ。


現界へ意識を戻す。


「皆済まない。原因がわかった気がする」

「ホント?ポンピカ!」


「うん。皆協力して欲しい。一度ギュギュパニをひっくり返してほしいんだ。」

「ひっくり返すって、うつ伏せでいいのよね?」

「うん。」


「いいわよ!皆手伝って!」


ギギリカの号令で、ギュギュパニを5匹係でうつ伏せにする。

相当重いらしい。

僕も手伝ったけどさぁ。

めちゃめちゃ重かった。


まぁいいや。

なんだか原因がわかっただけで、ホッとしちゃってる。

でも、うつ伏せに治した後作業するの僕なんだよね。


ギュギュパニがうつ伏せへ成った後、

僕は再度、狭間へ。

するとまぁ、見事に陥没してます。


これも経絡の形がわからない。

仕方ない。

さっきギギリカが見せてくれるとか良くわからない事言ってたから、

その言葉に甘えよう。


現界でへ意識を戻すと、うつ伏せにした直後の状態だ。


「ギギリカ、済まない。やっぱり言葉に甘えるよ。背中をこっちに向けてくれる?」

「胸じゃないの?」


「いいから早く!」

「う、うん。」


ギギリカの背中へ気を流す。

すると経絡が見て取れる。

なるほど、背骨の所が一番気の流れる管が集中してるんだ。

脊椎動物の特徴ってのはやはりバカに出来ない。

それにこれは相当複雑だぞ?

模倣出来るのかな?


背骨の血脈ってのは、細い経絡の束でから成っているようだ。

一本ずつ繋いでいたらきりがない。

纏めてなんか出来ないかな?


念の為、よく覚えておこう。


この先随分と精密な作業が待ってそうだしね。

まるで高校の授業で、コンマ1やそこいらの世界の微妙な作業を、

要求された時と緊張感が似てる。


あのときは流石に失敗出来なかったからめちゃくちゃ緊張したもん。


でも背骨だ、一歩間違えばギュギュパニの身体にどんな作用を及ぼすかわからない。

仕方ない極度に集中するしか無いな。


お腹の経絡を作り上げた時とは比べ物にならないほど時間を費やした気がする。

すごく頭が痛い。

何ていうか変に集中しすぎちゃったせいで、脳内にギュ〜ともジュワーと、

なんとも言えない感覚が有る。

ちょっと興奮しちゃいそうなほど、目の前が鮮明になってる気がする。


経絡の模倣と作成は何とかできたと思う。

繋げる作業も一度やったんだ。

問題なく進んだ。


そのおかげ化、何処からも気の漏れが無いことが確認できた。


多分あとは気を補充するだけだ。

この作業はそれほど、問題じゃない。

相当量の気を今回使ったけど、

その点については底が、まだ見えていない気がする。


気を練る。

注ぐ。


これの繰り返しだ。

なんとか、補充が終わると、

一段落ついただろうと思い現界へ意識を戻す。


数分程しか経っていないようだ。

皆僕を凝視してる。

そりゃそうだね。

僕が何を殺っているか知らないんだ。

傍から見れば、僕は目を閉じたり開いたりしてるだけだったんだからね。

それでいて指示を出すとか。

頭がどうかしてると思われても仕方ない。

まぁ、そんなの慣れっこだしね。


それに僕が出来るのはここまでだ。

後はギュギュパニの文字通り生命力を頼るしか無い。


「とりあえず、僕の気で陥没箇所を修復したけど、ギュギュパニの様子はどお?」

「ポンピカ。呼吸、大丈夫。苦しくなさそう」


「ありがとうウウダギ。」

「大丈夫。僕は見てただけ」


「ポンピカ、どういうことなの?ギュギュパニがこんな事になったのは何か理由が有ったんでしょ?」

「理由っていうか、何ていうか・・・ギギリカには話しても多分まだ、理解はできないかもしれない」


「そう・・・」

「一度族長と話をしたい。ギュギュパニの容態が良さそうなら今は大丈夫だよ。ただ、急に変化するかもしれないから今は安静にしておこう?」


「そうね。ギュギュパニが起きてからじゃないとわからないもんね・・・」

「ギギリカ。もう大丈夫だから。もうギュギュパニは暴れたりしないよ」


「そうなの?」

「うん。さっき暴れていた時の悪い部分を追い出したからね。大丈夫、目が覚めれば、何時ものギュギュパニだよ。」


「・・・うん。わかった。ありがとう」


ギギリカがありがとうを言うとその場に居た他のスキクも、

陥落した三匹も一緒になってありがとうと言ってくれた。

正直少し、嬉しかった。


ってか、朝起きたらいきなりこれだ。

流石に二度寝させて欲しい。


とりあえず、ハンモックへヨロヨロと登って行き、ゴロンと仰向けに成る。

流石に気を使いすぎた。

文字通りだ。


肉体的な疲労感より、

何日も寝ていない様な、

目の奥が重い感じで、

三半規管が上手く働いていないような、

そんな疲労感だ。

正直これ以上目を開けているのもだるい。

っていうか勝手にまぶたが落ちるわこれ。


ネムッ!

Zzzzzzz


夢も見なかった。

気づくと、すでに夜だった。


「ポンピカ。起きた?」

「ウウダギ?僕寝ちゃったね。」


「うん。疲れてる。仕方ない」

「ウウダギありがとう。ギュギュパニの容態はどう?」


「落ち着いてる。多分回復する。さっき少し意識戻った。」

「そっか。じゃぁ、あの方法で問題なかったね。」


「うん。でも僕、ポンピカが何をしたか聞かれたけど、答えられなかった。」

「そうかぁ・・・。ウウダギには、詳しいことを話してもまだ確認が出来ない状態だからね。説明出来ないよね。」


「ポンピカ。なにした?」

「う〜ん。説明すると、簡単なんだけどね。でもジッ作業はとても大変だったんだ。説明かぁ・・・。」


「言えない?」

「言えるけど、わからないと思うよ?」


「大丈夫ちゃんと聞く」

「わかったよ。ウウダギはちゃんと聞く子だからね。」


ウウダギがニッコリしてる。

でも、狭間や気というか生命力の事を話しても・・・実感は無いだろう。

論理的なものではなさそうだしね。

精霊さんがいれば、伝える方法も分かるかもしれない。

でも今のウウダギの気はまだ小さい。

まだ、育む段階だからね。

あまり関わってほしくないんだけどね。


「ウウダギ。僕もつい最近まで知らなかったことなんだ。」

「知らない?」


「そう、知らなかったんだけど、この間ウウダギが僕が死んじゃうって思った事有ったでしょ?」

「うん。あった。メイソウダメゼッタイ」


「その瞑想がきっかけなんだ。」

「きっかけ」


「そう、瞑想すると、死の世界と生きてる世界の間に挟まるんだよ。」

「挟まる。」


「そして、その間の世界を狭間って言うらしい。」

「らしい。」


「その狭間にね。ラマナイ・イッツァっていう精霊が居たんだ。」

「セイレイ?」


「そう、精霊はね。僕が天へ登っていく様子を見かけて、それから僕につきまとってたんだよ。」

「?そんなの見たこと無い。」


「うん。精霊はね、目で見えないんだ。」

「見えない。」


「そう。だけどね?その精霊が僕に色々とやれるって事を教えてくれるんだ。」

「教える。ポンピカに?」


「そうだよ。僕だって勉強しないとダメだからね。」

「うん。」


「その精霊に色々教えてもらったんだ。その中には、生命力っていう生きる力の使い方も入っててね。それをギュギュパニに使ったんだよ。」

「ギュギュパニは生きる?」


「うん。今、問題ないなら大丈夫だと思うよ。どうやら慣れていないながらも何とか出来たみたいだしね。」

「わかった。族長が、一杯聞きたいって言ってた。明日僕から話す。いい?」


「もちろんだよ。ウウダギありがとね」

「うん!」


・・・ウウダギにもウソを言ってしまったかもしれない。

ギュギュパニの胸の気の陥没・・・。

あれは気を使って、局部を吹き飛ばしたに違いないからだ。

肉体へは、勁を放って、更に強い想いで、打ち込んだ結果。

肉体よりも脆いザウスのヴァンに穴が空いたんだろう。


多分、そんな所だ。

ってか、ウウダギが僕の胸で寝てしまった。

今日、三度寝になってしまうけど、もういっちょ寝るか。


ウウダギ可愛いなぁ。

なんでこんなに可愛んだろう。

思わずチュッチュしちゃいたいけど、

やると、きっとウウダギの喉が膨れるだろうなぁ。

嫌われたくないなぁ。


撫でるだけにしておこう。

おやすみなさいウウダギ。


翌朝、自分で族長の元へと行く必要がなかった。

と、言うのも向こうから僕の所に登ってきて話しかけてきたからだ。

こういうパターンは問題ごとの時にしか無い事だ。

困るんだよね。

安眠妨害ですよ?族長・・・起きてたけどね。


「ポンピカ。起きてるか?」

「うん。昨日散々寝たからね。お腹は減ってるよ。めちゃくちゃ減ってる。」


「そうか、ならば下に降りてこい。皆と食事をした後、ワシと話そうではないか」

「その席にウウダギもいい?」


「構わんぞ?ウウダギが昨日何かいいたのか?」

「いや、言ってないけど・・・族長が色々聞きたいっては言ったかな?」


「ふむ。確かに聞きたい。だが、大方分かっておる。どうせ呪術を使ったのだろう?」

「察しがいいね。うん。多分あれが呪術だ。」


「・・・まぁ良い。それよりもだ、残りの2匹についての処遇じゃがな・・・まぁ此の後は食後にしよう」

「わかった。」


ウウダギがガチ寝してたので、起こしてやる。

ウウダギはたまにボケるけど、寝起きはすこぶるいいんだ。

パチッと目を開き、一度周りをキョロキョロした後、「おはよう」っていう。


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