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尋問と判別


「ポンピカ。次のも解くか?」

「まだいいよ。だって、三匹揃ったら面倒くさいだろ?」


「あー。そりゃそうだ。」

「取り敢えずそこの自由になったスキクを連れて族長のところへ行こう」


「他は?どうするんだ?」


パパムイはナイスタイミングでその事を聞いてくる。

いいねー。

さすがパパムイだねー。


「他はさ?もしこのスキクが裏切ったりしたらコイツ等も連帯だからねwどこかで、ウソつこうものならどうなるんだろうね?」

「どうなるって・・・そりゃお前・・・裏切りじゃねーか!」


パパムイが発した言葉。

それが聞きたかったんです!ありがとう!


「そうだねw一匹だけ助かりたいから裏切る。そういう事も有るかもね?なんせ、チャンスなんだしねっ!」

「・・・ふーん。まぁ裏切ったらあの叫び声のようになっちまうってことか・・三匹揃ってかぁ・・・うるさそうだな?」


「そうだねーwうるさいけどね。時間を置いて、明日にでもする?コイツ等も頭が冷えるだろうし」

「いや、構わねーだろ。まだ夜に成ったばっかりだしな。」


「うん。そう思う」

「おう!じゃぁコイツだけさらってくぜ?いいな?」


パパムイって意外にわかってそう。

しっかり追い打ちしていった。


「じゃぁ連れてくぜ」

「お願い」


一匹がパパムイに連れて行かれ始める。

僕はパパムイが移動する時パパムイの耳元で少し話をした。


パパムイが一匹を連れて行く姿を見て、

他の2匹が泡を食う。


ギリっと歯ぎしりの音が真ん中から聞こえた。


パパムイが連れて行ってから2匹が僕を見て、イライラし始めている。

ソロソロ声かけようかな?


「さっきのヤツは本当にお前らの仲間か?」


その答えに驚くような顔をした2匹。


「さっきのスキク・・・あれはお前たちの集落のスキクじゃないだろ?違うか?」

「なぜそんなこと言う?」


「違うって言えるのか?」

「アイツとは・・・小さい頃からいっしょさ・・・」


「ふーん。でも、あの一匹だけ、なんか違う感じがするんだ。」

「違うハズ!・・・ないだろ」


「そうかなー?だってあのスキクお前らの中じゃ一番弱いだろ?」

「・・・なんで分かる」


「わかんないはずないだろ?これでもオルガクルガ倒したんだよ?」

「・・・」


「だからさー。弱いスキクが居るはずがないんだ。ヴァレヴァレにはさ?」

「そんなことはねーさ・・・弱いやつは居るさ」


「でも今回みたいにギュギュパニを相手するんだったんでしょ?強いの連れてくるのが当たり前じゃないか?なぜそうしなかったんだろう?」

「・・・いいたくねーな」


「ふーん。いいたくないんだ?」

「ああ、仲間を売るようなことはしない。」


「そう?もしアイツがお前たち2匹を裏切る代わりに命が助かるとしたら?どうすると思う?」

「えっ!?」


ここまで来ると、2匹とも顔を見合わせて、思案を始める。


なんでこんな話をし始めたかと言えば、

さっきパパムイと会話して居る時に、

コイツ等のすり合わせ内容が聞こえてたからだ。

だから「よく、当事者の居る前で相談なんかするなぁ」と、思ったんだけどね。


聞いた話ではこうだ。

目の前に居る2匹はさっき陥落したスキクと同様にオルガクルガの忠臣らしく。

プライドも高いみたいだった。


だけど今、離れたスキクはそうでもなく。

僕の提案は飲まざる負えないと言い張ったんだ。

だけど、階級がこの2匹よりも低かったのか。

その意見は、もみ消された。


ただでさえ、連帯責任というはじめて聞くルールの良し悪しがわからない上に

意見が違うという事に恐怖したんだろう。

結果、圧力で強引に押し切ったんだね。

しかしそんな事をすれば、もし向こうで違う条件が出されて、

更にそれが、仲間を売れという内容だった場合。


コイツ等はおしまいだ。


そういう事を連想させるだけでいい。

本当にはやらない。


なんでか?

ウウダギが流石に持たないからだ。

あんなに憔悴するとは思わなかった。


「さて、もっかい聞くけど。掟は従うんだよね?つまり僕の戦利品として扱われるわけだ。それでいいよね?」

「「・・・」」


「どうしたの?もしかして連日騒いでたのが、たたったかな?喉が潰れちゃた?」

「僕がなんでアイツとお前等を離したかわかるかい?」

「お前ら2匹は特にさっき気絶したオルギュスと同じくらい階級が高いんだってね?」


「・・・なんでそんなことまで知ってるんだ!」

「くそっ!筒抜けだったのか・・・」


・・・本気で言ってるの?

頭わいてんじゃねーの?


目の前で相談してたろーに・・・気でも狂ったか?

こんなに頭が悪いスキクは、はじめて見た。

パパムイより悪い。

悪すぎて、どこからツッコめばいいかさっぱりな気もしないでもない。

まぁしないんだけどね。


「ねぇ。掟位守ろう?じゃないと、大変なことに成るよ?」

「大変なことってなんだ?殺されるのか?」


「殺すねぇ。さっきの見てなかった?あんなの序の口。入り口なんだけど・・・」

「はっ!ほざいてろ!いつか必ずお前を殺してやる!」


あれま言っちゃいけない言葉が出たね。

このことばが出ちゃうと、引っ込みつかなく成るんだよ?

ちなみにそのことばを吐いたのは・・・先人切て僕に踊りかかったやつだ。

血が昇りやすい体質かな?


「そっかー。それは掟を守るつもりはないと捉えるけど。いいのかな?」

「なんでそうなる・・・守ると言ったぞ」


「でも僕をいつか殺すんでしょ?守ってないじゃん」

「掟は守る。」


「でも殺すんだよね?僕を」

「・・・」


「あのね。捉えた中で一番言うこと聞かない連中は最初から目星ついてんの。お前らとオルギュスだろ?階級が高いスキクってのは・・・。階級が低いからって他のスキクの意見を却下してどうするんだ?そのせいで、いまこうして危機にひんしているんじゃないか?ちがうか?」

「「・・・」」


「オルギュスは、今後お前らにそそのかされても付き合わないだろう。そう考えると捉えた中で一番面倒なのはお前たち2匹なんだ。分かるかな?」

「オルギュスがなんで・・・お前に従うんだ!」


「そりゃしょうがないだろ?もう一度アノ痛みを永遠に繰り返されたくはないだろうに」

「・・・!」


「いまの一連の話しの中で、最後までお前たち2匹がついてこれなかった。つまり用がないんだ。分かってるね?仕返しさえできなくなるんだ。ご愁傷さま。」

「!くそおおおお!きさまああああ!」

「くそっ!なんでこんな事に!」


「おお!これは連帯責任ですかな?騒ぐなという約束が守れなようだしね。」

「!俺はオルギュスのように屈したりしないぞ!分かってるのか!」

「俺だって屈したりはしない!」


「皆最初はそうやって吠えるんだよ。でも最後はどうなるんだろうねぇ?」


と言いつつオルギュスの居る方を見る。未だに気絶のまま。


「くそっ!何だこれは!オルガクルガ様が生きていたらお前なんか!」

「そうだ!主が生きていれば、ひとひねりだ!」


「でも、生きてないしね?」

「ぐぐっぐ!」

「ぐぎぎぎぎ」


「さて、これで、あぶり出しは出来たからね。お前たちには轡を嵌めて置こう。いい感じに仕上がると思うからゆっくり自分の生涯を思い出してよ。・・・じゃぁ。僕はあっちのスキクに話して置くからね。」

そういって、轡をサッと結び、2匹を放置していった。


行き先はパパムイと並んで立っているスキクだ。

後ろからポンポンと肩を叩く。


「やぁ。あっちの2匹が約束破っちゃったみたいなんだ。君はどうなりたい?」


突然そんな事を言われたスキクはさっと縛られている2匹を見た。

物凄く我を忘れたようにもがいている。

それで勘違いしたようだ。


「違うんです!俺は、違うんです・・・何でも話します。この集落に骨を埋めます。だから・・・尻尾だけは・・・」

「そう?じゃぁ。改めて聞くけど掟には従うんだね?」


「はい。破りません。」

「この集落で復讐まがいな行動も取らないね?」


「はい。全て、この集落に従います。」

「そう。決意が決まってくれてよかったよ。怖い思いさせちゃったね。」


「いえ・・・」

「最後に・・・」


相手のスキクがゴクリっと音を立ててつばを飲み込んだ。

ゴクリって本当に聞こえるんだね。

はじめて知った。


「君のなまえ聞かせてよ。名無しでは居られないだろ?」

「・・・は、はい。俺はヒュルルと言います。ヴァレヴァレスキク集団で上から四番目になっています。」


「へー。そっか。よろしくね。ヒュルル」

「は、はい・・・今後共よろしくお願いします。」


って事で、族長の前ってこともありそのまま話した。


「族長。あの2匹はダメだ。僕じゃ説得出来ないよ。」

「・・・なんとかならんか?」


「何とかって言ってもさぁ・・・手札が足りないんだ。ヤツらの心をおる材料が全然ないんだ。どうしよー?」

「うむむぅ・・・。」


「こういうときのためにオルガクルガ生かして置けばよかった・・・ちょっと失敗した。」

「うむぅ。しかし、もう少し穏便に事を運ぶ方法があったと言うことか?」


「有ったといえば有った。でも今は、殺っちゃったからね。どうするかだけど・・・」

「ぐぎぎっ!ポンピカ!有ったのならそれで良いだろう!なぜ殺した!」


「ギュギュパニの目が覚めないだろ?区切りも付けれない。」

「区切りじゃと?」


「そうだよ。まぁいいや。あの2匹の処遇は明日に回そう。もう暗いしね。ご飯も食べてないんだ3日もね。」

「・・・確かにな・・・わかった。好きに食事をするといい。」


「うん。じゃぁ、イヂジン、ヒュルルとセルセルを連れてくよ?一緒にご飯食べよう。」


そう言うと、三匹が揃って、「えっ!?」って言うし、

セルセルに至っては追加で「ヤダ・・・」って言うんだ。

相当怖がられてるのかな?

まぁ、関係ないけどね。


「ウウダギは?ご飯食べた?」

「まだ。食べてない。ポンピカお腹減ってる。」


「うん。僕はもうペコペコだよ。」

「うん。干しサカナ食べよう。あと、バッタ」


ウウダギはバッタを茹でたのが大好き。

プリプリのエビみたいなやつだね。


「バッタは獲ってあるの?」

「うん。一杯居る。獲った。」


「じゃぁ、皆で食べれるかな?」

「大丈夫。食べよう」


「うん!食べようね。」


このやり取りをしている最中、例の三匹はポカーンとしてた。

どうやら、戦いとウウダギと接する時の落差が酷いのかもしれない。

僕は何時もどおりなんだけどね。


「じゃぁ、準備だ!そこの三匹も手伝って。」


すると三匹がすくみあがる。


「なんだよー?ご飯食べないの?」

「ポンピカ。この三匹食べてない。ご飯食べたい」


「ほら、ウウダギが言ってるじゃん。お腹減ってるんでしょ?毒なんか入ってないよ。皆で美味しく食べよう!ね?」


そこまで言うと、流石に三匹も自分のお腹が減っているのに気づいたんだろう。

すでに「ぐぐぐぅ〜」っと言う腹の虫が鳴っている。


有無を言わさず、三匹を連れて鍋の所へ。

ウウダギが先に食材を揃えている。

ウウダギだけで済みそうだけど・・・コイツ等にも手伝わせたい。

だって、これから皆仲間なんだからさっ。


「子供に準備させるの?もう大きなスキクなんだから手伝ったら?」


そう言うと慌てた様子で、ウウダギのお手伝いを始める三匹。

様子を伺っていると、なんだか見慣れない物ばかりなのだろう。

どうやって使えばいいのかわからないでいる。


それに対して、ウウダギが短い言葉で、

「これは、すぷーん。これは、ふぉーく。これは、はし。」ってなもんで、説明していく。

使い方がわからないようだけど、今三匹の手の中には、フォークとスプーンと箸が持たされている。


箸でよくない?

まぁ、箸を使えるのはこの集落でも僕とウウダギくらいだ。

ほとんどがフォークで刺して、スプーンで飲んでる。


なんやかんや、ごちゃごちゃとしたけど。

鍋の準備が出来た。

そもそも、この集落でもはじめは火を使う事に対して、恐れていたしね。

食べ物を焼いたりという習慣もなかったんだ。


三匹は目を白黒して、立ち尽くしてる。


「三匹。ここ座る。オワンちゃんと有る。僕が取ってあげる。仲良く食べる。」


ウウダギ先生の指示で、三匹が、揃って座って、ウウダギがよそったお椀をジッとみて、思案中だ。

僕はウウダギを膝の上に乗っけて、何時もどおりの食事を摂り始める。


それを見て、三匹も地面に置かれているお椀へと鼻を近づけ、

見様見真似で食べ始めた。


みるみる顔色が変わる。

そして、互いに顔を見合わせている。


近いから小声も丸聞こえなんだよね。

「はじめてだ・・・こんなの」

「わたし、こんなの食べたことない」

「・・・なにこれ?なんで?」


こんな事を言っている。

見ていると食の進みが早い。

ウウダギが揃えた食材があっという間に無くなってしまった。


僕も十分食べたし、まぁいいかな。


「どう?美味しかったでしょ?」

「ポンピカ。バッタ美味しい。僕これ好き」


ウウダギが可愛いからニッコリです。

なでくる。

目を細めるウウダギも可愛い。

更に撫でていると急に喉が膨れて怒り出した。

ちょっとかまい過ぎたかもしれない。

ごめんなさい。


すぐに手を止めて、三匹に向き直る。


「こういう食べ物を毎日食べれるよ。ヴァレヴァレではどんな食べ物食べてたの?」


すると、イヂジンがすぐに話し始める。

少し慣れてくれたのかもしれない。


「あの・・・これって?」

「美味しくなかった?」


「オイシイ?」

「味がしたでしょ?はじめて?」


「はい・・・はじめてです。」

「そっか。やっぱりスキクの食文化はその程度だったんだね。”ト”でもこんな美味しいものでないらしいよ。”ト”で生活してたスキクが言ってたもん。」


「食事とは、生きる為の行為では?」

「生きるためかもしれないけどさ?楽しくていいんじゃない?美味しいのは楽しいでしょ?」


「ええ・・・まぁ・・・」

「明日からまた、色々食べてみよう?きっと好きな食べ物が見つかるよ。そしたらまたお腹いっぱいまで食べよう。どう?」


「お腹いっぱい?いいんですか?」

「ヴァレヴァレってお腹いっぱい食べちゃいけないの?」


「いえ・・・分け与えられる食べ物だったので・・・」

「へー。不憫だね?自分で狩りしたり草を採ってきたりしなかったの?」


「狩りはしてました。草は食べたことないです。今始めて食べたんです。」

「ふーん。だからかな?君たちは栄養が偏ってるから、そんなに貧相なんだと思うよ?」


「ヒンソウ?なんですかそれ」

「う〜ん。痩せっポッチってことかな?筋力も少なそうだしね。」


「力が無いってことですか?」

「そうそう。」


「そうですか・・・」

「でもこの集落でなら食べ物に困らない。自分で好きなだけ狩りもできるよ。食べる量は制限してないし、何より、自分の物は自分の物でいいんだ。いいでしょ?」


そこまで言うと、ヒュルルがビックリした声を出した。


「自分の物は自分の物でいいって・・・集落の物じゃ?」

「集落の物もあるかもしれないけど、自分の分は遠慮せずに狩りすればいい。草だって食べ放題だよ?」


「・・・いいんですか?」

「構わないけど?だって、余ったら保存するしね。」


「それです!ホゾン!さっき言ってましたね?」

「ミニョルンも耐えるとさえ言ってましたね?」

「どういうことですか?」


なんか色々興味が出てきた感じ?

仕方ないから色々話そう。

三匹の緊張も解けてきたみたいだしね。


それから寝るまで色々話した。

この集落は一度ミニョルンで大打撃を受け、

そこから這い上がる最中であり、

更にかつて有った集落の場所は埋め立てはじめて、

これから手がどんどん必要に成るって話もね。


将来的なところではこの集落を大きくして、大きなスキクの”ト”を作るって事も、

全て話した。

ただ、僕のしでかした事はやんわりぼかしたんだけど、

ウウダギが補足するたびに三匹の顔色がコロコロ変わってしまう。


少し困ったけど、話は出来るように成ったようだ。

明日から三匹には自分がしたい事を見つけてもらおう。


ただ、あの2匹が陥落しないわけだから、

この三匹もあそこで気絶してる一匹もまだ、油断は出来ないだろう。


・・・スキクなのだからそんな事はないだろうけどね。

でも、念には念を入れたい。

性分かな?


結局、その日の夜は、ギュギュパニが戻らなかったので、

大きいハンモックを使っているギュギュパニの所に三匹を詰め込んで寝てもらった。


驚いたことに、ヴァレヴァレのスキクは木に登るのが下手だった。

集落の中で木に登る習慣がなかったらしい。


筋トレ不足もあったのかもしれないね。


さて、僕はウウダギとゆっくり寝ます。

今日は、色々酷い所を見せちゃってごめんね。


ウウダギは、何時もどおり僕のお腹の上で寝てくれた。

可愛いなぁ・・・。

ずっと撫でていたいよ。

でも撫ですぎると怒るよね?

程々でやめとこ。


Zzzzzzz


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