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気を使いすぎと、またトラブル


そう言えば、作業途中でパパムイが戻ってきて、

なんだか真剣な顔で僕にこんな事を言った。


「ポンピカ。オレは狩りに向いていないかもしれない」

「なんだよ?突然?魚獲れたんでしょ?」


「・・・イイオオほど獲れない」

「う〜ん。まぁ良いんじゃないか?だってパパムイは森の狩りなら誰にも負けないだろ?」


「まぁ、そうだけどなぁ・・・」

「ふむ・・・。もしかして?パパムイ気づいてないのか?森の狩りと川の釣りは別だぞ?」


「ん?なんでだ?獲物を獲るのが狩りだろ?」

「まぁ、そうだけど、でも森では釣りはできないだろ?」


「まぁ、そうだな」

「そもそも、得意不得意はあるんだ。森の狩りは狩りって言えるけど川の釣りはどっちかと言えば漁っていうものだしね。随分違うものだよ?」


「違うのもなのか?」

「うん。まぁ、獲物を獲るって考えだと一緒だけど、そもそも同じものを狩ってるわけじゃないだろ」


「・・・確かにな・・・」

「だからパパムイは森で狩り、イイオオは川で漁をすればいい。」


「なるほど、それがいいかもな。」

「うん。そうだよ。イイオオは森でパパムイほど狩りは出来ないんだ。適材適所ってやつだよ」


「何だそれ?」

「皆それぞれに適している場所と内容が違うって話。それぞれが得意な場所で動いたほうが成果が上がるよね?」


「ああ、確かにな、そっちの方がいいはずだ。」

「そういうことだよ。パパムイは漁には向いてなかったんだ。釣りは出来ても網が使えないんだろ?」


「!よくわかったな!なんで知ってるんだ?」

「昨日、川に骨を洗いに言った時見てたよ。」


「そうか・・・。まぁ、そうなんだ」

「木を落とさないほうがいい。得意不得意は誰にでもあるんだ。パパムイだって知ってるだろ?僕なんかどっちも出来ないんだから」


「まぁ、そうかもしれねーな。なんか悪かったな?弱音なんてはいちまった」

「別にいいじゃないか。わかったことの方が重要だよ。知らないで続けているよりずっといい」


「そうかもしれねーな。おう!じゃぁあしたからまた森に入るぞ」

「そうして欲しい。新鮮な肉が足りないってさっきギギリカに言われた所なんだよ。」


「そうか、じゃぁ明日は沢山摂ってこよう。」

「うん。期待してる。」


「おう!任せなっ!」

「うん。」


こんな感じだった。

パパムイは色々出来る。

事体を動かすことはとても得意。

だけど漁はそもそも森の狩りとは別な分野だ。

きっと、そこそこは獲れるけどイイオオみたいに大量とは言えないんだろう。

イイオオが漁に向いてるなんてだれもわからなかったんだろう。

だって、水が怖いって言ってる連中何だしな。


まぁいい。

パパムイの気が晴れただけでも儲けものだ。


そう言えば、パパムイの前にギギリカがウウダギを訪ねに来た時ついでに聞いてみたんだ。


「ギギリカ。」

「ん?なによ」


「ウウダギとズズナドの間を取り持つの大変じゃない?」

「う〜ん。どうだろう?最初は大変だったけどズズナドも素直になったしウウダギも説明をちゃんとするように成ってるわよ?あたしは側でウウダギの補助をしただけよ。」


「ふ〜ん。ズズナドはまだ文字と数字わからないの?」

「どうだろう?わかってるとは思うわよ?でも、納得してないというか、納得するのに時間かかってるんじゃないかしら?」


なるほど。

一々踏ん切りを付けているのか。

確かにそれだと時間がかかる。

でも、諦めてはいなさそうなところがいいね。

此のまま進んだほうが良いかもしれない。


「そうか。わかったよ。」

「それだけ?」


「うん。」

「そう言えば、ソロソロ肉が食べたいわ、パパムイは何してるの?まだサカナ?」


「あー。うん」

「んも〜。最初に気づけばいいのにぃ・・・パパムイにはサカナは向かないのよね」


「ん?そうなの?」

「うん。だってパパムイは、全体を見たりしないのよ。どっちかと言うと一個を集中してやったほうが成果が出せる方なの」


・・・なるほど。

集中力はあっても、

全体に気を配ることが難しいのか。


「何となくわかったよ。パパムイに後で言っておく」

「うん。お願いね。」


「ちなみにギギリカはそのどっちなの?」

「ん?あたしは、どっちかと言うと全体に気を配る方かな?大体の雌がそうよ」


「ふ〜ん。雄はやっぱり一点集中?」

「そうね。パパムイやベベビドをみれば分かるでしょ?」


あーたしかにそうかもしれないなぁ。


「なるほど、良い情報ありがとう」

「はいはい。ちなみにポンピカは雌寄りの方だからね。気を使いすぎ」


なんか言われちゃった。


「お、おう・・・そうかぁ〜」

「はははwパパムイみたいに言わないでよw」


パパムイぽかったかな?


まぁ、そんな感じで、ウウダギと少し話したらズズナドの所に戻ってしまった。

そんな一日だったなぁ。


その日の夜、ウウダギと就寝につき、

良い気分で寝ていると側で僕を呼ぶ声がした。


”ポンピカ。起きれるか?”


誰だろうと思い目を開けて、

声のする方を見ると族長が木に登り此方に小声で話しかけている。

なんだろう?と思って、返事をした。


「族長?何か有ったの?」

”静かにせい!ウウダギが起きるだろ”


ウウダギはもう起きてます。

だって僕のお腹の上で寝てるんだから。

起きないはずない。


「族長そんなに声殺さなくてもいいよ。ウウダギは僕が起きた時点で起きちゃってるから」

「・・・そうなのか?ウウダギ」

「うん。起きた」


ヤレヤレという感じで族長がため息をつく。


「族長夜更けに何?もしかして、例の連絡?」

「そうじゃ。」

「連絡?」


「ウウダギ。この集落の皆だけじゃ手が足りないんだ。だから周辺の集落へ集まらないか?っていう話をしてるんだよ。」

「うん。分かる。数少ない、ポンピカ忙しい」

「ウウダギも知っておるのか。まぁ良い。」


「で?返事来たんでしょ?」

「それなんじゃがな・・・少々厄介な事になりそうなんじゃ」


「厄介?向こうの答えは、いいよか嫌だだけじゃないの?」

「う・・・うむ。そのはずなんじゃがな、ワシが伝えた言葉が悪かったのかもしれぬ」


「それ・・・もしかして、争いに成る?」

「成らないようにはするつもりじゃ。だが、向こうはむしろ此方のほうが数が少ないのだから此の地を捨てて合流すれば良いだろうという話でな」


「そりゃそうだ。いいじゃん。向こうに行っても」

「そうはいってものう?皆がそれで納得はせぬじゃろう?」


「そりゃまぁ、そうだけど・・・もしかして、突っぱねたの?」

「突っぱねてはおらぬ。・・・その暇もないからのう。」


「争いごとに成りかねないって言ったじゃん?向こうはまだ此方の返事待ちなんでしょ?」

「そうじゃ、しかし厄介というのはのう、言葉を伝える鳥を持っている集落がこの集落ととても近いのじゃ、しかもその集落がプンタから求められている役割というのが、戦の準備なのじゃ・・・」


・・・え?

集落全体で戦の準備してるってことは、

集落全員が戦闘民族ってことかな?


「それギュギュパニは何ていうの?戦関係はザウスが関わってるよね?」

「まだ、ギュギュパニには話しておらぬ。」


「話してきてよ。まずいでしょ」

「そうなんじゃがな・・・。」


「ギュギュパニに言えない事が有るの?」

「・・・あの集落にはギュギュパニの親がおる。」


「親?ギュギュパニはこの集落で生まれたんでしょ?なんで親が?」

「その親ではない。生みの親だ」


・・・それがどうしたんだろう?

生みの親に会うのがまずいのかな?

なんか仕来りでそうなってるの?


「生みの親とは会っちゃいけないの?」

「いや、会っても良い。が、性格というかギュギュウパニの血に関わることだからな、詳しいことは言えぬが、かなり厄介なことに成るはずなんじゃ」


「どういうことかわからない。ギュギュパニと違って随分荒れてる性格だからとか?」

「それも有る。比べようもないほど荒い。」


「ふ〜ん。体格とか戦い方とかは?」

「ギュギュパニよりもずっと強いと聞いている。体格もあのクロゥよりも大きいと聞いている」


「大きいのか。じゃぁ、かなりの力が有るんだね?」

「うむ、それからのう、向こうも此方にギュギュパニが居ることを知っているからのう」


「それって、子供が居るから助けに来るっていう話?」

「逆じゃ。弱い子孫を残すつもりがない体質でな・・・」


ん?どういうこと?

ギュギュパニの親はギュギュパニが弱いって言われたという事か?

なぜ?そんな情報が流れた?

流せるのは・・・族長だけだぞ?


・・・もしかして、さっき言い方が悪いっていう話しはそれか?


「もしかして、此方には強いやつが居るから安心して住めるとか言ったんじゃないよね?そしてその理由にギュギュパニの名前出してないよね?」

「・・・出してしまったのじゃ・・・軽率だった。」


あちゃー。

やっちゃってるじゃん。

弱いのを残すつもりがない親(敵)に「お前の子供弱すぎ」とか言ったら潰しに来るだろ。

なんで、頭回らなかった?

なんか弱み握られてる?


「まぁ、言っちゃったものは仕方ないだろ?」

「うむ。じゃからどうしたものかと・・・」


「で?向こうからは合流しろという話と何が来てるの?」

「・・・ギュギュパニより強いというヤツと戦わせろという・・・話じゃ」


なんだよ。

争いごと回避出来ないじゃんか。


「それで?僕が駆り出される話だから一番にここきたの?」

「うむ。」

「ポンピカ、また戦う?」


「そうなりそうなんだよ。困ったね」

「何とか成らぬか?集落同士での争いにはしたくないんじゃ」


「それって、僕はやられてもいいけど、皆の手前、生贄に成ってくれってことだよね?」

「・・・」


「イケニネってなに?」

「・・・」


ウウダギが耳にしちゃいけない話だったかもしれない。


「ウウダギ。僕が皆の代表で、相手の集落とやりあえば助かるっていう話なんだ」

「ポンピカ一匹で?どうして?」


「そうしないと、向こうの大勢の数と此方の数で戦わないといけなくなるからだよ」

「ポンピカは?どうしたい?」


ウウダギはわかってるな。

ふむ・・・。


「族長、わかったよ。やるよ。」

「引き受けてくれるのか。助かる。」


「だけどそのルールというか規則というか取り決めはないの?」

「取り決めというものはほぼ無い。だが、此のような場合過去の例から言えば集落の代表が決闘する事で決まるものだ。」


「ふーん。決闘ねぇ・・・」

「そして、今回始末に負えない事に、向こうの決闘候補がすでに出発している点だ」


え?

来るの?

ここに?


「それって、何時頃きそう?」

「早ければ明後日くらいかのう?遅ければ一週間ほどじゃ」


時間無くない?

対策立てれないじゃん。


まだ、集落の壁作ってないよ?

・・・武器作ろうかな?

ギュギュパニが許してくれそうにないけどなぁ。


「ねぇ。族長」

「なんじゃ?」


「武器使っていいよね?」

「・・・仕方なかろう?」


「じゃぁ、今の話しも全部一度ギュギュパニを含めて朝にでも話そう」

「そうじゃな」

「ポンピカ。武器必要?」


「有ったほうが良いかもしれないかな?今回は特にね」

「じゃぁ、僕作る」


「う〜ん・・・そうだね。ウウダギも協力して欲しい」

「うん!」


ウウダギがニッコリしてるからなにか手伝わせよう。

さて、族長も去った。

寝よう。

眠い。Zzzz。


翌朝、ギュギュパニが採掘場へ行く所を引き止めた。

めちゃくちゃ嫌な顔された。


「ギュギュパニ。悪い、かなり重要な話しらしいんだよ。」

「なんだい・・・いきなり」


「族長と三匹で話す。」

「・・・なんか有ったのかい?」


「うん。取り敢えず族長の所いこう」

「・・・はぁ〜。面倒事は嫌なんだけどねぇ」


ギュギュパニと2匹で族長の所へ。


三匹で集落から少し離れた静かな場所へたどり着く。

ウウダギはギギリカに預けた。


「で?話しってのは何だい?」

「近々、敵がせめてくる」


「はぁ?何をヤブから棒に・・・。族長どういう事だい?」

「周辺の集落を統合する話は聞いておるじゃろ」


「ああ、そんな話は聞いてるねぇ。」

「ヴァレヴァレの集落に声を掛けたんじゃ」


「・・・嫌な予感しかしないねぇ。もしかして怒らせたのかい?」

「まぁ、そんなところじゃ」


「はぁ〜。ったく、で?どんなのが来るって?」

「オルガクルガ・・・じゃ」


「・・・オルガかい?・・・そりゃ、まずいねぇ。あたしゃ歯が立たないよ」

「うむ。」


「なるほど、で?ポンピカが出るのかい?」

「そういう話になった。」


「ふぅ〜・・・。そうかい・・・」

「ギュギュパニはそのオルガクルガって知ってるの?」


「知ってるも何も、あたしの生みの親だよ。」

「あ〜。気相が荒いっていう?」


「知ってるのかい?」

「族長から聞いたんだ」


「そうかい。まぁ、かなり強いんだよ。アイツはね。」

「戦った事有るの?」


「有ったら生きてやしないよ。”ト”で戦を学んでいた時代にちょっとね。」

「・・・そんなに強いの?」


「そうらしい。どうも恩恵が無いにもかかわらず、プンタの従者の末端とは言え、”エオリス”の階級を殺っちまったらしいからね。腕は相当だよ」

「ふ〜ん。なんかわからない言葉が出てたけど、取り敢えず強いんだね?」


「ああ、今のあたしでも”エオリス”は無理だよ。だから強いはずだ。いまじゃもっとかもしれないね」

「ふ〜ん。」


「そう言えば、族長?そのヴァレヴァレの集落も第一プンタなんだよね?恩恵無しなんだよね?」

「うむ。そのはずじゃ」


「じゃぁ、なんで未だにプンタからの役割をこなしてるんだ?」

「それはぁ・・・なぜじゃろうな?」

「ああ、そのことかい?それはね、それ意外取り柄がないからだよ。別にプンタから言われてやってる連中じゃないんだよ・・・。」


「じゃぁ、根っからの戦闘狂ってこと?」

「変な言い回しだね?まぁ、ハズレではないね」


「・・・決闘をするってことはさ?個人戦が強いの?集団戦が強いの?」

「どうかね?恐らく個人戦だろう。まぁあの集落は力の統率だからね。集団戦もできなくはないと思うけどね」


「なるほど、なるほど。ギュギュパニ。族長の話しだと早いと、明後日だそうだ。」

「・・・随分急な話だね?連絡が来る前に集落を出てなきゃつかないだろう?」


「多分、向こうで遅らせたんだ。逃げないようにとかでも考えたんじゃないか?」

「はっw。相変わらず姑息な連中だね。」


「まぁ、常套手段だよ。僕でもやるからね。」

「・・・あたしゃあんたが一番怖いよ。」


「まぁ、今は味方だろ?それより流石に武器が必要なんだ」

「・・・石の武器くらいならあたしが作ってやるよ」


「う〜ん。自分で作るよ。だから作ってもいいでしょ?」

「・・・完成したらあたしに見せるんだよ?」


「うん。いいよ。」

「話は纏まったかのう?」

「族長、ポンピカの控えはあたしにしときな・・・。最悪あたしで収める」


「すまんのう・・・」

「ギュギュパニは考え過ぎだよ。僕がなんとかするよ。」

「そうしてくれると助かるねぇ」


話がついたので、三匹で集落へ戻る。

ギュギュパニと族長は2匹で話が有るらしく、

僕は、好きにしていろと言われた。


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