集落のメンバーは優秀と少し纏め
Booooo
また時間ミスった。
ごめんなさい。
レンガ作りは一段落だ。
早速、集落範囲を絞ろう。
「皆、これから集落の範囲を決めようと思う。必要と成るエリアを絞った形で、点在して構わないけどそこまでの道を極力一直線で移動出来るように道というモノもつくる予定だ。なので、範囲を絞らなければならない。住居に関わるエリアは此の辺りを少し大きくしたのでいいとおもう。だけど畑や牧場はもっと大きくて、平地であるのが望ましいんだ。だれか此の辺りで平地が有る場所を知ってる?」
「ポンピカ。平地ってのは、平な場所の事よね?」
「そうだよ。」
「そうすると・・・ここから結構離れるわよ?」
「どのくらい?」
「あたしの足で、丸一日はかかるかなぁ?」
マジで?
確かにこの辺りは窪地というか、水が溜まりやすいのも有るかもしれない。
だけど平地がそんなに離れてるのは、かなり苦労するぞ?
「ちなみにギギリカ、その平地はどのくらいの大きさ?」
「そうねぇ・・・向こうが見えないくらいまであるかな?」
それは草原じゃないの?
平地も平地だけどさぁ・・・。
「そこは後にしよう。ほかに候補知らない?」
「ポンピカ。いいでしょうか?」
「パレンケ。どうぞ。」
「私達が旅をする間に通ってきた道の途中にその平地があった気がします。」
「それはどのくらいの大きさだった?」
「そうですねぇ・・・この集落が入る程度でしょうか?」
「ふむ、適切な大きさっぽいね。」
「そうですか。場所は記憶しています。」
「じゃぁ、その場所の方向とかわかるよね?ウウダギに地図を描かせる」
「あのぉ・・・。申し訳ないのですが、私達はまだ文字を扱えないのですけど?」
「使えなくても困らないだろ?」
「ウウダギが書いた内容に誤りがあっても私ではそれが判断できないのです。」
「ウウダギはミスしたりしないけどなぁ・・・」
「それでも、正確ではないですよね?」
パレンケの言うことも最もです。
うぅ・・・む。
「ウウダギどうしたらいいと思う?」
「わかんない。」
そうかぁ。
わかんないかぁ・・・。
保留にする?
「ポンピカ。いいか?」
「イイオオ珍しい。どうしたの?」
「先に文字と数を教えてもらいたい。パパムイも数が読めて話す事が出来るんだろ?」
「うん。僕が教えたよ。」
「それを此の場の皆に教えてもらいたい。」
なるほど。
建設的な意見かもしれないな。
どうしようか?
ズズナドが絡んでくるぞ?
ウウダギを見ると「どうしたの?」と言ってる様子だ。
逃亡の件忘れてたりして?
まぁ、それならいいか。
「わかった。じゃぁ、ちょっとここで待っててよ」
そういってその場に皆を待たせて、僕はズズナドを読んできた。
皆の場所に連れてきたズズナドは気まずそうに立っている。
ウウダギは・・・喉が膨れている。
ありゃ完全にオコだわ。
まぁ、でもズズナド意外に教育面でしっかりやれるのが居なさそうな雰囲気なんだよね。
ウウダギには悪いけど、ここは踏ん張ってもらおう・・・双方共にだけどね。
「ズズナド。教育面はズズナドに任せるよ。」
「私でいいのか?」
「適切だと思ったから連れてきたんだ。」
「しかし・・・先日アノような事があったばかりだろ」
「それでもだよ。それに多くの関係を持つことで、自分ではわからないことも自然にわかるように成るはずだよ。」
「・・・わかりました。私が任されましょう」
さて・・・。
ズズナドは理解してくれた。
さて、ウウダギの件についてだけど・・・。
「ウウダギこっち来て」
「ヤダ!」
「ウウダギ大丈夫。僕がいるから何も起こらないよ」
「わかった。」
ウウダギは素直。
だけど喉が膨らんで、口からシューシューと唸り声がでてる。
激オコです。
「ズズナド。ウウダギはね天才なんだ。どういう事かわかる?」
「すまん。わからん。」
「そーだねー。例えばだけど・・・・ウウダギ。何時も作ってる紐で、切れやすい糸と切れにくい糸はどうやって見つけてる?」
「?わかんない」
「ズズナド。糸の切れやすいや切れにくいはどうやって見つけたかわかる?」
「すまん。それもわからん」
「じゃぁ、説明する。まず、ウウダギは感覚と経験から直感で、論理的な結果を導き出すタイプなんだ。つまり、物事を1個教えるとその派生の事柄を何となく連想してしまう。結果それは論理的に解釈される結果と同じ物が導き出されるんだと僕は思ってるんだ。だから、ウウダギにどんな理由か聞いても『わからない』という答えになるんだよ。それは仕方ないんだ、だって自分で理解していないんだからね。わかるはずがないんだよ。」
「ふむ・・・」
「?」
ズズナドはなんだか思考を繰り返している様子。
ウウダギはなにを言っているのか理解が追いついていない。
「たとえば今の例でいえば、ウウダギ。丈夫な糸は蔓のどこから取るの?」
「丈夫・・・。長い蔓の天辺から取れる。」
「どうして、それが丈夫だとわかったの?」
「?長いは重い、だから先が丈夫。」
「そういうことね。わかったよ。ありがとう。・・・って具合に、誘導しなきゃ結論が出ないんだ。」
「ふむ・・・つまりウウダギから知識を引き出すためには引き出す側にも知識が必要なのだな?」
「そう。有り体に言えばそうなる。」
「つまり、突然『これはどうなっている?』という質問には答えられないわけだな?」
「そうなるね。理解が早いと嬉しい」
「そうか・・・。ウウダギよ。済まないことをした。謝罪をする」
「?」
ウウダギは何がどうなってズズナドが謝罪に至ったのかがいまいちピンとこなさそうだ。
「ウウダギ。ズズナドは、まだウウダギが子供だって思ってなかったんだよ。もう十分に大きいスキクと大差ない活躍をするからね。だから、色々と説明する手間を省いてしまったんだよ。わかるかな?」
「うん。わかる。ズズナド悪くない。」
「じゃぁ、仲良く出来る?」
「うん。」
そこまで来るとウウダギの喉の膨らみが収まった。
シューシューと言う唸りも聞こえてこない。
「じゃぁ、2匹共に仲直りしたことだし、ギギリカ。ウウダギとズズナドの間で上手く取り持って欲しい。そうすれば、色々とわかることも有るよ。」
「あたしでいいならやるけど?あたしが教えないで済むわけだよね?」
「そう、そうすれば、文字や数字だけじゃなく、いろんな事も集落皆が学べるように成る。」
「そう?それならやる!」
スキクはなんだかんだいって、集落というか仲間意識がとても強い。
自分の少しの苦労で皆が幸せになるなら尽力してしまうんだ。
まぁ・・・。僕以外の話だけどなぁ。
「じゃぁ、ウウダギ。ズズナドとギギリカに付いて、しっかり学びの手本になって欲しい。できるかな?」
「出来る!」
「エライ!流石、僕の子だ!」
「へヘェー!」
ニッコリのウウダギを2匹に預けて、
僕は残りのメンバーを引き連れて、
範囲を絞る作業を始めた。
取り敢えずパレンケが言っていた場所を調査しよう。
森の中を歩く。
目的の場所まではパレンケが知っているわけで先頭はパレンケ。
案内係だ。
「あのー、ポンピカ」
「ん?急にどうしたの?」
「ウウダギは、すごく頭がいいですよね?」
「うん。ベラボウに頭がいいよ」
「詳しく説明したりできないのですか?」
「あー。それは出来ないんだ。」
「どうしてですか?」
「ウウダギは、言葉を文字に変えて頭の中でしゃべってるんだよ。皆が思いをそのまま口に出すのとわけが違うんだ。だから、頭の中で整理されてからじゃないと表現できないんだよ。」
「それって、考えすぎるってことですか?」
「そうだね。ウウダギは僕の前の親から見放されて育ってしまったんだ。だから自分で全てを解決しないと、結果が出なかったんじゃないかな?だから周りと交わす言葉がないんだ。」
「なるほど。そうなると、随分不憫な生い立ちなんですね」
「まー。でも今は、良くなってるよ。最近じゃ僕と一緒に居るときはちゃんと喋ることもあるしね。」
「そうですか。」
「それより、パレンケの言ってた場所ってまだなの?」
「もう少し離れてます。ただ、あのときは結構切羽詰まっておりまして、クロゥもピリピリしてたので、正確には覚えていないのが現状なのですけど、方向は間違っていません。」
「なるほど」
集落からはだいたい3k位は歩いている。
この距離でまだってことは、結構遠いな。
今の場所まではほぼ一直線で進んでるので、それほど迷う事もない。
足場も悪くない。
ただ、若干傾斜がかかっていて、登り坂ぎみだけど。
登り坂なんだよなぁ・・・。
これって、集落が雨や川の氾濫で水浸しに成るのは集落が窪地の中に有るからじゃないのかな?
それを考えると、結構お厳しい気がする。
集落に壁を作っても結局周りが水没するわけで、
集落の中に雨が溜まってしまう場合どの程度溜まるのかもわからない。
雨だけで集落が水没するようだったらもっと違う方法を取らないといけなく成る。
さらに水は、どんな生き物にも必要不可欠なわけで、
だからといって、有りすぎると困る。
解決法はわかってるけどそれを始めるには、手が足りない。
貯水池を作るんしてもどうしたものかね?
「ねぇ?パレンケ達は、ミニョルンを外でしのいだんだよね?」
「ええ・・・。流石に生きた心地はしませんでしたよ。」
「地面が水で水没したりはしなかった?」
「地面がですか?・・・いや、しなかったですよ?ただ、風がとても強くて、クロゥの影に居ることしか出来ませんでした。」
なるほど・・・。
「雨が川のように流れて足元がゆるくはなった?」
「そうですねぇ・・・。確かに雨の量は凄いものでしたが、川というほどではありませんでしたよ?」
なるほどなるほど。
ミニョルンの特性は雨の量より風が強いのか。
そして、降水量が跳ね上がるようなものでもなかったんだ。
「ポンピカは、何故そんな事を聞くのですか?」
「ん?集落に壁を作ったとして、雨の量が異常に多かった場合、壁の内側に水が溜まるよね?」
「・・・壁とは水を通さないものなのですか?それほど密集した状態に木を組むのは相当の作業ですが・・・」
「いや、壁はレンガを使うしね。今日僕らが作ってたアレだよ。」
「?あのネンドですか?あれが、塞ぐ役割を?」
「うん。さっき着くてた場所の近くにもう崩れてるけど、避難所があったでしょ?」
「ああ・・・。あの石で出来たような建物ですね。」
「あの壁にはさっきの粘土が使われてるんだ。水ヘの耐性が低かったから大きな葉っぱで補強したんだけどね。水は通さなかったよ」
「なるほど・・・つまり、ネンドを集落の壁にするわけですか・・・ですが、動物や懸念されうるザウス等への対策はどうでしょう?」
「そこはまた別だ。役割を変えていくしかない。例えば、先を尖らせた木を壁の外側に隙間なく配置するのは外敵からの対策に成る。水や風を防ぐには別に内側に粘土とレンガで壁をつくればいいのさ」
「なるほど。しかし・・・」
「パレンケって意外に察しがいいね。」
「そうなるとですが、この集落では完成出来る前にミニョルンが到来してしまいかねません。その前の雨季さえもわからないじゃないですか」
「そうなんだ。だから、族長に周辺の集落からこっちに避難してくれという案内と同時に手を増やそうと思ってるんだよ」
「・・・つまり今の集落より広範囲な物になるわけですか」
「そうだよ。」
「流石にそれは、無茶ではありませんか?」
「そーかな?いざと成れば、みんなでレンガを作る作業に没頭してもらえれば、十分数は行けると思うけど?」
「そうなんですか?」
「それにギュギュパニが持ってきてる鉱石を利用すれば、や利用はいくらでも有るよ。」
「ふむ・・・」
「まぁ、計画の話は族長を含めて色々しなきゃいけないんだけど、パレンケもその話しに交じる?」
「気が引けますけど・・・」
「今の話しの中でパレンケはちゃんと物事を理解出来るってわかったからむしろ参加して欲しい」
「・・・わかりました。参加させてもらいます。」
「うん。ありがとう」
うん。計画をちゃんと話して進めることができそうなスキク材だ。
しばらく話をしながら歩いて行くと、突然広い場所に出た。
パレンケが言っていたとおり、ここは草原というほどの広さではない。
でも、なぜか木々が生えていないという場所だった。
草むら?
そういった方が正確かもしれない。
「パレンケ。ここってなんで木が生えないのかな?」
「さー?それは流石にわかりません。」
そりゃそうか。
だれかわかるの居ないかな?」
「ポンピカ。いいか?」
イイオオ。ずっと寡黙についてきているヤツだけど、色々出来るヤツだ。
「なに?イイオオ」
「以前、ンダンダの親に話を聞いたことが有る。ここのような木が生えない場所はここの他にもいくつか有るらしい。そして生えない理由は大抵・・・踏み荒らされるからなのだそうだ・・・わかるか?」
・・・マジで?
ここ動物の縄張りってこと?
そう聞いたら、なぜか足が先に進まない。
「どうしたのですか?ポンピカ」
「ねぇ?パレンケ達はここを通ったんだよね?」
「ええ。ですがクロゥがすぐに移動をしましたからこの中心までは行っていません。ほら、彼処の脇を素通りした形で此方へすすみました。」
「・・・マジかよ・・・」
イイオオの話しとパレンケの話しを纏めるとやはり、
ここには縄張りを持つ動物がいるんだ。
ケルケオくらいなら何とか出来るかもしれないけど、
僕一匹でこのスキク達を守ることはできないぞ?
「わかった。一度引き返そう。危険すぎる」
「危険?ですか?」
「パレンケ。済まない。すぐに戻るぞ。」
「は、はい・・・?」
イイオオは事態を予測していたのか、さっさと後ろの森の中へ引っ込んでいった。
状況が飲み込めない、パレンケ、パチャク、ケチャク、デデンゴは頭を捻っている。
しかも進みが遅い。
「いいから静かに早く戻って」
「なんですか?さっきから・・・」
「いいから」
「は、はぁ・・・」
森の中へ戻った僕は後ろを振り返って見た。
すると、遠くでよく見えなかったけど、
草むらの中にコブのような物が見えて、それが動いていた。
それを見た僕は少しゾッとしてしまったんだ。
パレンケ達を急かして集落へと戻っていった。
集落に付いてはぁーっと息をついた。
「ポンピカ。彼処の草原はいかがでしたか?」
パレンケが今一緊張感の無い問いかけをしてくる。
「パレンケ。多分だけど、クロゥは彼処を急いで移動したんだよ。理由が有ってね」
「?どんなですか?」
「イイオオが言ってたろ?木々が生えない場所は大抵踏み荒らされているってさ」
「??」
「だから未だに木々が生えないということは、彼処には彼処を根城にする動物がいて、あの草むらはその動物の移動範囲にはいってるんだよ。それをイイオオが言ってたんだ。」
「!それって、あそこは動物の縄張りだったってことですか?」
「そうだ。結構危険なんだよ。そしてクロゥはそれを知ってか感づいたかで急いだんだと思うよ」
「・・・なるほど・・・結構危ない事をしてたんですね?」
「他のこと言えないんだよ?当時も今回もパレンケは関係してるんだからさ」
「ああ、なるほど、気をつけるようにします。」
「まぁ、でもパレンケは知らなかったんでしょ?」
「はい。私は”ト”の外に出ることはまずありませんでしたから・・・森の事はあまり知識がないのです。」
なるほど・・・そりゃ、こうなるわ。
「まぁ、今回の件でわかったのは、彼処の動物を何とかしないと使えないって事だ」
「・・・そうですねぇ、では畑の件いかがしますか?」
「畑は木々を伐採して、範囲を作ろう。集落の周りをより伐採していかなければいけなさそうだ。」
「なるほど、それが良いかもしれませんね。」
まぁ、今回は事なきを得た・・・ハズ。
彼処の動物が自分のテリトリーから出てくるなんて言うのがなければいいけどね。
そんなこんなで、取り敢えず、
色々決まって色々作って色々やらなければならないとわかった。
集落についてからみんなで食事をして就寝に付くことに成る。
自分のハンモックに転がって、ウウダギに今日の話しを聞いてみた。
「ウウダギ。ズズナドとギギリカで大丈夫だった?」
「うん。出来た。」
「説明はわからなくてもちゃんと答えるようにするといいよ」
「うん。わかった。」
「ギギリカ優しくしてくれたでしょ?」
「うん。優しかった。」
「ズズナドはどうだった?」
「優しかった。」
「そっか。なら問題ないね」
「うん。文字、数字、皆が使えるといい」
ウウダギはとても充実した日を過ごせたか。
良かったなぁ。
僕はウウダギを胸の上に寝転がらせ、優しく撫でて眠りについた。
ぶっちゃけ癖になっている。
すべすべの鱗、可愛いクリクリおめめ。
そして、寝るときには完全に安心した顔をするんだ。
子供はいいね。
可愛すぎる。
見てる僕も癒やされる。
翌朝からも色々と始めた。
午前中は昨日の干したレンガを回収。
続いて新しいレンガを粘土で作って、また干した。
午後に成れば、今度はギュギュパニがすでに採掘を始めていたので、その手伝い。
帰ってきたら食事を作り、また次の日という形で数日がすぎる。
合間合間でもやることは沢山有った。
ケルケオの飼育もそうだし、族長からの話し、皆からの話し、
他にもウウダギの様子や、パパムイ達の狩猟や釣りの成果物の処理。
一日一日が実に忙しい。
本当に此のままずっとコレが続くのかと思うと気が滅入る。