踊りと歌とウウダギは説明出来ない。
すみません。
完全に予定時間を見失ってました。
予約しておけばよかった・・・。
・・・そうだ・・・こういう時こそパパムイの出番じゃないか?
パパムイならそれとなくグサッとくる一言を何気なくぶっ放すだろう?
「なぁ、パパムイ。」
「おー!なんかすごいなー!」
聞いちゃいない。
どうする?
「パパムイ!」
「おー!もっかい見せてくれよー!そのヘンテコなやつ!」
いいやがった!
ラッキーだ!
僕の代わりにありがとうパパムイ。
やっぱり持つべきは親友だ。
「ポンピカ。どうでしょう?パチャクケチャクは・・・」
パレンケから答えてくれという要求がなされた。
「そ、そうだね・・・なんていうか・・・前衛的?な物を見た気がするよ」
「・・・お気に召しませんでしたか?」
パレンケェェェェ!
なんでツッコンでくんだよ!
そこは素知らぬ感じで、「そうですか・・・」とかで済ませてくんなきゃ僕が無理だよ。
「い、いや・・・どうだろう?良いんじゃないかな?ね?パパムイ。ね?」
「お?・・・?ああ、面白かったぞ。あの変な動き」
パパムイ大好き!
「そ、そうですか・・・パチャクとケチャクは、ザーザースでは珍しい、習慣の有る集落の出身なのです。特にこの2匹は、その集落の中でも皆を楽しませる為の執り行いを親から教えられたスキクです。ですから、ポンピカの思うような何かを作るような事ができません。そうするとこの集落では役には立たないでしょう・・・。そのため、此のような行いをしたのですが・・・。」
ふむ・・・つまり祭りの要員だったと?
もしかしたら巫女みたいな位置の役割だったのかもしれない。
なるほど、それならそれでやりようは有る。
「パレンケ。ありがとう僕もパチャクケチャクの事を知ることができてよかったと思う。皆もそう思ってるよ。」
「はい。食の場を騒がせて申し訳ありません。」
パレンケはマジメなんだなー。
正直と真面目が重なると冗談が通じなそうだしな。
困ったよ。
「取り敢えず。その2匹にも適切な役割を見つけれそうだから安心してね」
「そうですか!それはよかった・・・。」
「パチャクもケチャクも今日はご苦労様。ありがとうね。」
僕がお礼を言うと2匹は互いの顔を見合って、何か吹っ切れたのだろうか?
元気よく「はい!」とハモって、パレンケと自分たちの元いた場所へと下がっていった。
取り敢えず、この場を収めよう。
「さて、食後に引き止めて悪かった。だけど今皆が抱えている疑問が少しでも解決して、さらに集落が良い方向に行けるようにと、思って話をしたんだ。今回の話しで、皆が少しでも重荷がおりていれば幸いです。付き合ってくれてありがとう。」
一応、頭を下げておこう。
すると、皆から盛大な祝の言葉が沢山放たれた。
なんでかわからない。
ただ、適当にやっただけなんだけどね。
僕は自分が現在どんな状況なのか知りたかっただけだしなぁ・・・。
まぁ感謝されるならいいかな。
さて、問題点結構山積みだけどどうしたものか・・・。
一度族長と指しで話すか。
食事の後の会が終わったと、皆ばらばらに自分の時間を謳歌し始めた。
ベベビドは、製材について、ンダンダは畑について、アンキロの世話をしにシシブブが出かけ、
ズズナドは早速という風にウウダギを連れ去り勉強の事について根掘り葉掘りとし始めている。
パパムイは今日の狩りは終了しており、ギギリカといっしょになってイイオオの成果を確認にいった。
パレンケ達三匹は何時も一緒だ。
デデンゴがその後をチョコチョコついて回る。
ギュギュパニは僕が安静にしてろと言う言いつけ通り、素直に木の上へと昇って寝ている。
まぁ、なんだなぁ・・・。
こりゃ族長が手持ち無沙汰で、仕方ないとばかりに集落を徘徊し始めるのも時間の問題だ。
ちょうどいい。
話しかけるかな。
「族長ちょっといい?」
「ん?ああ、かまわん。」
「あのさぁ。」
「なんだ?改まって」
「ソロソロ手数増やしたいんだけどぉ・・・」
「・・・ケルケオは使えるのか?」
「まだ無理。」
「ワシ一匹では近くの集落に赴くことはできぬぞ?」
「なんとかならない?例えば、遠くの仲間と連絡を取る手段とかって」
「ふむ・・・。うむううう。」
「やっぱりないかぁ・・・。鳥が飼育できれば、種類によっては手紙を運ばせて連絡が取れるんだけどね」
「なんじゃ?それは・・・。テガミ?」
「やっぱしらないか・・・。」
「ふむ・・・。なかなか面白そうな話だ。聞かせろ」
興味持ってくれた。
なんとか成れば居なぁ。
「鳥ってさ?種類によっては、帰巣本能っていうものがあるんだ。毎年決った場所に巣を作る種類とかいるでしょ?」
「ふむ・・・。数は少ないが、その他類の動物はいる。」
「そういう動物に手紙・・・つまり文字を描いた布とかを渡して、決った巣の場所へと帰すことで、離れた場所との連絡が取れるっていう手段のことなんだ。」
「ほう・・・。それは面白い。なかなか良い考えかもしれぬ。だが、帰って来ない場合もあるのだろう?」
「有るんだよね。だから同じ内容を何匹かに託すんだ」
「なるほど。しかし、それは難しいであろう。なぜなら他の集落では文字を読めるスキクが居ない可能性が大いに有る。つまり内容が伝わらぬのだ。」
そーなんだよねー。
わかってた。
ってか、予想はしてました。
多分、いまザーザースのなかでまともに文字を操っている集落はここだけだ。
「やっぱり、誰かが足を運ばないとダメだよね?」
「其れしかないのが、現状だな」
なんか見落としてないかな?
なんだろう?
なんか気に成る。
「・・・?そう言えば、ザーザースってのは時間や日、週とか年月については、理解してるっぽいね」
「ふむ。それは確かにそうだな。それはプンタから授けられた知恵の一つだからのう」
なるほど。
でもカレンダーとかないよね?どうやって認識してるんだろう?
「どうやって、確認とってるの?例えば今が何時とかわかる?」
「何時?とな?・・・そうだのう。いまは太陽の角度、時期からみて・・・ふむ、夕刻が間もなく来る頃だろう。すこしたてば辺りが暗くなるだろうな。」
「それって、どうやって、わかった?計算でもしたの?」
「計算などしておらぬ。太陽の位置と季節を確認すればすぐにわかるものだ」
「じゃぁ、今がどんな月で、何日なのかわかる?」
「そこまで、正確なことは流石にわからぬ。わからぬが何日経ったかによって、おおよそを予測することは出来るのだ。」
「なるほど、つまり時間や年月なんかは認識出来るんだけど、詳細は太陽の位置とかで確認するってことなんだね?」
「うむ、これも族長の仕事のうちだな。」
「へー。族長が管理してたの?」
「当たり前ではないか!できなければ族長とは言えぬ。」
なるほどなぁ。
だけど誰がどんな時間でどんな日時なのか一発でわかるようにしたいよね。
「族長さ?日時計つくろうか?それとカレンダー」
「なんだそれは?2つとも聞いたことがないが?」
「日時計ってのはさ?大体、北を向いた板に串かなんかで、影を作ると、その影が、クルッと円を描くように成るんだよ。時間にそってね。それを元に今何時なのかがわかるっていう道具だよ。ただ、本来はさ?方位磁石っていうものが必要になるんだ。だけど磁石ってのはなかなか見つからないんだ。」
「色々わからぬところが有るが、その板というのを作れば、時が見えるということで良いのか?」
「そう思ってくれればいい。」
「ほう・・・それは便利やもしれぬ・・・それはすぐに作れそうか?」
「ベベビドに頼めば多分一日かからないよ」
「ならばベベビドに願っておいてくれ、それが有るだけで、ワシも時の仕事が捗りそうだ。」
「わかった、ベベビドに伝えておく」
「うむ。して?もう一つは?」
「カレンダーっていうのは、暦っていう年を日にちで割って表示する仕組みのことだよ。」
「ふむ・・・それはどんなものかわからぬなぁ・・・。」
「ん〜・・・。一年って何日あるの?」
「一年とな?そうだのう・・・400日前後かの?」
曖昧すぎる。
「もっと正確なのはわからない?」
「ふむぅ・・・”ト”には時を表す道具があるとは聞いている。ワシはどれがその道具だかわからぬが、神殿の中でそれは時を表しているということは聞いたことが有る。プンタからはおおよそ一年は400日だと教えられておるから、そうだとしか答えられぬのだ。」
なるほど、要は時計があるんだ。
だけどそれは、一般に見せてない。
しかも族長クラスではどれがどれかもわからないように成ってる。
そういう事か。
そう考えるとたしかに暦についてちぐはぐな点が出てくるのはわかる。
それに時刻についてもいまいち大雑把なのも結局時計がわからないからなんだ。
だけど、一日というのは寝て起きれば一日と認識出来る。
つまりそれの積み重ねで族長は長い年月の経験からいまがどのくらいかという事を算出してるんだ。
ふむ、なかなか面白い。
ならば、日時計とカレンダーをつくるのは意味がありそうだ。
そして識字率がズズナドの元、整っていけば、きっとこの集落では活用されるだろう。
スキクの数が増えてもまず先にやることは文字と数字の読み書き計算からだな。
いまはズズナドがウウダギから教える内容を聞いている様子だ。
きっとズズナドでも手をやくはずだ。
だからギギリカに任せたんだしね。
ウウダギは天才すぎて、他のスキクがなんで覚えれないのか不思議な思いをするだろう。
きっとこれは、良い教育に成るはずだ。
まぁ、話が逸れたけど、結局日時計とカレンダーは作ろう。
そして、日時計もカレンダーも試行錯誤することに成る。
一度で出来るものではないだろうしね。
「族長。取り敢えず日時計とカレンダーは作るよ。カレンダーについては、ちゃんと聞きながら出ないと作れない点が出るだろうからそのときは教えてね。」
「かまわん。好きにやってくれ。」
「それと、やっぱり他の集落に連絡が取れる方法ってないかな?」
「うむぅ・・・。”ト”には言葉を運ぶ事を専門に執り行うスキクが居るという話は聞いておる。だがそれは”ト”の中での事だ、つまり危険が伴う森を進むことはできないだろう。やはり足を使わねばならん。それに場所を正確に知っているのはワシくらいだからなぁ。あとはパレンケやパチャクケチャクくらいだろう。それも極わずかな範囲でしかないだろう。」
たしかになぁ・・・。
地図もないわけだしね。
地図かぁ・・・。
地図もそのうち三角測量で作ることに成るだろう。
下地はやはり必要。
何にしても勉強とかどんどん進めないといけないわけだね。
う〜ん。どうしたもんだろう。
まだ、気が早いのかなぁ〜?
焦っても良いことないよね。
仕方ない。
取り敢えず出来る所から頑張ろう。
「族長。数を増やすのはまだ早かったみたいだ。取り敢えず出来るところから頑張るよ」
そういって、踵を返した時、
族長が思わぬことを言った。
「のう?ポンピカよ」
なんだろうと思って、振り返る。
「この集落には無いが他の集落には、言葉を伝える鳥が居るという話だ。もしお前がそれがそうだと思うのであれば、そこの族長と話をつけることは、できなくもない。どうだ?」
なにそれ?どういう事?
さっき無いって言ったじゃん!
「族長。それさっき無いっていったじゃん。」
「この集落には無いのだ。それにそこからの鳥が来るとも限らん。まぁ、定期的にはくるのだがな」
定期的にきてるの?
僕そんなの知らないよ?
見たこと無いし。
「定期的に来てるの?」
「うむ、特殊な鳥でな、夜の暗いうちしか飛ばないのだそうだ。受け取るのも何時も夜中だ」
なるほど、夜中じゃ知らなくて当然かもしれない・・・。
フクロウかな?
夜飛ぶっていうと?
「その鳥って次何時来るかわかるの?」
「わからぬ。今日かもしれぬし、明日かもしれぬ。何時来るかは相手次第じゃな」
「族長はさ?それを使ってこっちの言葉を向こうに届けたりしてるんでしょ?」
「うむ、しておる。一番最近に行ったのは、ちょうどポンピカ。お前が呪術がどうのと言い始めたときじゃ。ちょうど良い機会だったのでな、そこの集落の近くに呪術を使うスキクがおったので連絡を取ったのじゃ。」
なるほど・・・結構前だね。
「じゃぁさ?もし向こうから鳥が飛んできたら、こっちに合流できないか伝えることは出来る?もしくは、他の集落へ、こっちに合流出来るスキクがいないか聞けないかな?」
「・・・なるほど。ポンピカは今の集落の数では、家を作るのに手間がかかると踏んだのだろう?」
「まぁね。だって、牧場と大きな畑を作る約束しちゃったしね。正直、ギュギュパニの穴が大きいんだよ。」
「たしかに・・・わかった。伝えることは出来るが、それを行ってくれるかはわからぬ。それで良いか?」
「構わないよ。むしろそれが有れば族長が一々、むこうに行かなくてすんだんじゃないの?」
「不確かな言葉を伝えるわけには行かないだろう?それに直接話さなくては信用はされぬからな」
確かにそのとおり。
電話や携帯、スマホが一般的だった僕としては、
気づかないところだったかもしれない。
今言われて納得した気がする。
まぁいいか。取り敢えずその連絡手段がわかっただけでもめっけもんなわけだしね。
おし!じゃぁ、僕は僕ができることを・・・もう夜になるから明日からやろう。
取り敢えず、地盤を固めたり、壁の素材を作り出したりしないとダメなわけで・・・。
先立って、必要になるのはっと・・・石灰だなぁ・・・。
授業で聞きかじっただけだけど、たしか昔の人は、
石灰を作り出すのに石灰岩を砕いて高い温度で燃やしたんだっけ?
そしてしっかり燃え尽きた物が生石灰に成るはずだ。
生石灰を粉末にして、それに水をかければ熱と共に硬化するはずなんだ。
そして硬化した生石灰は消石灰というものになる。
この消石灰は砕いて、畑とかに巻けば、肥料になるわけだね。
そんな話を聞いた記憶が有る。
ただ、具体的にどのくらい高い温度でもやすか・・・。
それに高い温度が出せるかにも工夫が必要に成るだろうしね。
なんだっけかなぁ・・・?
昔の人は石炭と一緒に燃やして作ったとか何とか・・・。
それやってみようかな。
「ポンピカよ。もう良いのか?」
「ああ、うん。取り敢えずさ?連絡の件は機会があったら勧めて欲しい。成功すれば族長が出向くこともないだろうしね。」
「ふむ・・・そううまく行くとは思わぬがな?」
「大丈夫だよ。もし向こうに届ける言葉が思いつかなかったら前もって僕に相談して欲しい。そうすればなんとか成ると思うよ」
「・・・わかった。機会が訪れたら夜でも起こすからな?」
「う・・・うん。覚悟しときます。」
なんだか、族長の反応を見ると、言葉を伝える鳥を飼っている集落とは折り合いが悪いのかな?
話の流れからすれば、多分第一のプンタ眷属だよね?
違うのかな?
族長との話し合いが終わって、ウウダギを迎えにズズナドのところへ向かった。
ズズナドの所には何故か、ギギリカが居て、ウウダギが居ない。
さて、どこ行ったのだろう?
「あれ?ウウダギはどこいったの?ギギリカだけ?」
「あっ!ポンピカ!ちょっと大変なのよ!」
なんか起きたの?
「ポンピカすまない・・・私がウウダギを質問攻めしたせいだ」
なに此の流れ?
「ポンピカ。怒らないで聞いてね。」
いや・・・聞いてみないとなんとも言えません。
「ズズナドが、ウウダギから色々と勉強について聞いていたみたいなんだけど、ウウダギが言う言葉が理解出来なかったみたいで、一から教えろという話になったのよ・・・。」
なるほど、教えるのが下手なウウダギだ。
自分でも言ってたし認めてる。
そこを無理やり聞こうとしたのか。
なるほど。
「ポンピカ済まない・・・。」
「まぁ、何となくわかった。で?ウウダギは?」
「それがぁ・・・。突然逃げちゃったらしいのよ」
なにそれ。
「ズズナドは追いかけなかったの?」
「追いかけたらしいの、でもなんだかとても足が早かったらしいのよ。追いつけなかったって」
ウウダギは素早いよ?
僕の次くらいに木登り上手だし、それにあんなに小さくても僕と同じくらい動くんだ。
そりゃ体力付くだろう。
足も早くなる。
そうか・・・逃げちゃったか・・・。
「パパムイが話を聞いて探しに行ってるの」
「パパムイが?」
「うん。」
そうか、やっぱりパパムイはイイヤツだ。
でも、もう結構暗くなってきてる。
いくらスキクだからといって、夜目が効いても程度はあるだろう。
それにウウダギは森の中では寂しくしているはず。
探しに行くか。
「ズズナド。ウウダギはどっちに走っていったの?」
僕がそう聞くと、ズズナドが指で示す。
その方向はギュギュパニの採掘場の有る方向だ。
なるほど。
パパムイは追っていった。
つまり採掘場に居るのかな?
まぁ場所がわかるなら探しに行こう。