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イイオオは内イケメンと、パチャクケチャクのお仕事


「さて、捌いたやつどうする?生も美味いけどな、多分焼いて、死をかければもっと美味いぞ」


パパムイは肉部分を摘み上げて僕の方へ突き出した。


・・・なるほど、調理して欲しいわけね。

確かに焼くのも美味そうだけど、やっぱり汁物の方がお腹にも貯まるし、味も一杯感じる。


こんなに有るんだから一部は焼いてもう一部は煮物にしよう。


「パパムイ。何羽使えばいい?焼くのと煮るのを作りたい」

「ん〜・・・なら3つづつ使えばいい。他は、保存食に出来るだろう?」


なるほど、ソレで行こう。


早速、ウサギを切り分け、鍋に投入。

他の3羽は、薄切りにして、果物と塩で味付けしておいた。

薄切りの方は、皆が焼けばいい。


煮物は出来上がったら、器によそって回ればいい。


早速作り始めた。

作ってる最中、何故か皆が揃う。

仕事をしていた、パレンケ達も戻ってきた。

あとイイオオ・・・ってか、イイオオの収穫量がすごいんだけど?


袋がパンパンで、ソレを片手で担いで戻ってきた。

意外にイイオオって腕力とか強いんじゃないか?

石材のところでも意外に危なげなく動いてたよね?


イイオオがなぜか僕の方へと歩いてくる。

そのまま担いだ袋を僕の目の前にドンと置いた。


「イイオオ?上手く行ったみたいだね」

「獲れすぎだ。プブがすぐ居なく成る」


獲れすぎ?

網つかったのか?


「おい!イイオオ!すごいじゃねーか!お前こんなこと出来るんだな!?」

「イイオオすごいじゃない!サカナがあれば、また保存食に困らないわ!」


手放しで褒め称えるパパムイとギギリカだった。


言われた方のイイオオはなにやら険しい顔をしている雰囲気だ。


「イイオオもしかして、網つかったのか?」

「ああ、あれは、獲れすぎる。すぐにプブが居なく成るぞ」


へー。

感心した。

良く一度の漁でそこまでわかるんだね。

みんな穀潰しくらいにしか思ってなかっただろうになぁ。


イイオオはなんだかんだ言って優秀なのかもしれない。

ギュギュパニの手伝いしてからというもの、体が引き締まってきてる気もする。

でっぷりしてたお腹周りも少しくびれが見えるほどに消費してきたんだろう。


「なるほど。イイオオの考えは正しい。だけど、それで結論を出すのはまだ早いよ」

「そうなのか?」


「魚は上手く飼えば、養殖といって、数を増やせるよ。まぁ生育の期間をしっかりやらないといけないんだけどね」

「シシブブか?アイツに聞けばいいのか?」


「シシブブは養殖の知識を持ってないとおもう。ただ育てるだけだからね。」

「なら誰に聞けばいい?」


「僕に聞いてよ。ソレが一番楽でしょ?」

「ポンピカは忙しい。聞きたいときにすぐ聞けないだろ?ソレにどこに居るかわからない」


「そっかぁ・・・。じゃぁ、時間を見て養殖の話をシシブブと三匹で話そう」

「そうしてくれ。助かる」


結構やり取りがそっけない。

それがイイオオだ。

内面はかなりイケメンとみた。


イイオオが魚の袋を置いていこうとしたので、自分で持っていっていいよと言ったら、

なにやら困った雰囲気になって、「仕方ない」といいながら持っていった。

イイオオの背中を見た後、ギギリカに「あの魚食べきれないようなら保存食にしておいて欲しい」と伝えたら、ギギリカは喜んでイイオオの後を追っていった。ついでにパパムイもその後に続いた。


そして、目の前にはやりかけのウサギの捌いた物が山積み。


どーしろと?


ふと、横を見るとウウダギがさっさと保存食作りの準備に入っていた。

皆連携というか阿吽の呼吸なのかな?

すごいチームプレイだ。

どこで培ったのかなぁ?


ウウダギに保存食作りを任せ、僕は皆の分の食事を支度し始めている。

野菜を投入して、ウサギはすでに煮始めていた。

果物と塩で味を付けたタレにウサギ肉の薄切りを漬け込んでおいたし、あとは好きに出来る。

さて、鍋が出来たら食事にしようか。


「ウウダギそっちの進行具合どうかな?」

「ん?後は、干せばいい」


早くないかい?


ちょっと早すぎる気もする。

そう思ってウウダギの下準備していたウサギ肉を見ると、

ちゃんと、いや物凄く丁寧な仕上がりをしている。

本当にあと干すだけっぽい。


ウウダギはなんだかんだいって手先も器用だし何より効率化していて素早い。

ミスが少なく決められた工程を飛ばしたりめんどくさがったりもしない。

優秀すぎる。


まぁ、ザーザースは全体的に面倒くさいとか言うことをあまり思わないみたいだ。

もしかしたら、やらないと生きていけないと染み付いているせいかもしれない。


遺伝子レベルでそれが染み付いているってすごいことだ。

そんな事覚えることが出来るのかな?

はたまた不思議である。


「ウウダギ取り敢えずソレを全部干したら食事にしよう」

「うん。わかった。すぐやる」


直ぐやる科のようだ。

すごい。


重いので干すだけのウサギが乗った大きな葉っぱを引きずりはじめて干し場へと移動しようとし始めたので、僕もソレを手伝う。

流石に内蔵を取り省き、皮を剥いであり、頭がないので、僕が持てば重くはなかった。


それでも30kは有るだろうけどね。

ウウダギには流石に持てないだろう。


僕が処理済のウサギを持ちながら、横にはウウダギというかたちで干場へと向かった。


干場。


最近ギギリカがベベビドに頼んで、作ったものだ。

ウウダギも絡んでいる。


日当たりがとても良く、風が耐えまず吹く場所に物干し台のような物にウウダギの大きな網が斜めに飾られていて、それの上に干したい物を乗せていくというすごく単純な物なんだけど、

コレを考え出したギギリカもすごい。


斜めに網がなっていることで、要らない水分が下へと落ちる。

さらに網の目が大きい事で、水分が残らない。

機能的。

一言でいえば、そうなる。

まるで漁師町にいるような気分に成るけど、

干されているのは、ほぼ肉だ。


なかにはソーセージもある。

あのソーセージは間違いなくクロゥの肉で作ったやつだ。

なんにしてもデカイ腸だったようで、けっこうなハム状のものになっている。


ちゃんと保存食になるか不安なレベルだけど、まぁ気にはしてない。

どうせ最終的には火にかけてしっかりとやいてから食べるつもりだしね。


ウウダギと一緒にウサギを干し台へと飾って、取り敢えず作業終了。


2匹で鍋のところまで戻る。

すると集落の皆が、すでに「ご飯まだ?」みたいな感じで勢揃いしていた。

もちろんギュギュパニも居る。

随分顔色というか元気そうな顔をしてる。

傷痛くないのかな?

ってかあの傷で木に昇ってるんだよね。

すごいね。


僕ら2匹は皆に急かされるまま、ウサギ焼肉とウサギ汁を振る舞い食に着いた。


食べ終わると、ちょっと皆に聞いて欲しい事が有ると引き止めた。

皆が僕に注目する。


「今日埋め立ての場所を見てきたんだ。それで次の段階に移れると思ったんだけど、次の段階は少し材料が特殊なんだ。土壁を集落全体に張り巡らせて行こうと思うんだけど、どうだろう?」


僕の発言に対して、誰も反論がない。

それは困る。


まぁ、わかるんだ。

ザーザースは自分がわかり得ない事を話されると、途端に口をつぐむところがある。

発言をすることで、リーダーの不評を飼うことをどこかで恐れているんだろう。

まぁ、族長へ文句を言うのは集落で僕くらいだったわけだしね。


でも、反応が無いのはちょっと困るんだ。

自分たちがより良く過ごすために、色々と知恵を出して欲しい。

まぁ、そもそもなんのためなのか分かってないヤツが多いのも事実だけどリアクションくらいはしてほしいんだよね。


そう思い、困っていると、パレンケが声をあげた。


パレンケの声で皆の目がパレンケへと向くとパレンケが萎縮してしまったんだ。

それはまずい。パレンケは唯一、この中で発言をしてくれた貴重な存在だ。

見どころが有る。


「パレンケそんなに緊張しなくていいんだ。好きに話して欲しい」

「は・・・はい。えっと、何故壁を?土ででしょうか?」


「いい質問だ。僕が使う土、それは粘土なんだ。わかるかな?僕が良く器とか作ってるよね?」

「ネンド・・・なるほど、固く成るわけですね?ですがネンドで硬い壁を作るとして、なぜそれが必要なのでしょうか?」


「そうだね。まぁここは族長にも発言して欲しい所だけどぉ・・・」


そこまで言うと皆の視線が族長に向く。

族長が、ヤレヤレと言ったため息を着くと立ち上がり、発言を始めた。


「いま、ポンピカが言っておる壁だが、それは、ミニョルンによる風の被害はもとより、水の被害も最小限にするという理由もあろう。だが一番の理由は、恐らく他の集落からのちょっかいについてだろう」


族長は何気にしっかり考えてるんだ。

そうなんだ、ただ、他の集落はちょっかいはかけてこないだろう。

多分オブラートにつつんだ言い方なんだ。


ちょっかいをかけてくるであろう存在は、偏にザウス”ト”の連中にほかならない。

ソレ以外に仮想敵となる存在がまだ明確ではないからだ。


現状そのままくらしていれば気づいたら、ザウスの兵隊もとい、守護連中に囲まれているなんてことにも成りかねないんだよね。


それが一番怖い。


人間で言えば、人間が一番怖い存在は人間だ。

みたいな所だ。


「族長が言っているのは外敵からの備えは必要だけどこの集落には戦えるスキクが居ないという点だ。ならば守るしかない。それも下手でも何でも壁を作って、ルールを決めて防御するしかないんだ。それで、解決することではないけど、そなえは必要だし、集落を作る前から備えを考えておくほうがずっと建設的な意見だと思ったからだよ。」


そこまで言うと、パレンケが首をかしげる。


「ポンピカいまの話しだと、戦えるスキクは居ないという話だけど、ポンピカは?戦えるんじゃないのかい?」


イタイ

痛い所を突かれた気分だ。

だけど予想出来ない範囲ではない。


「まぁ、僕一匹で何とか成ることならいいんだけど、相手が少数ならいいよ?だけど大勢なら流石に集落の皆の安全を守れるかはあやしいでしょ?」

「なるほど。」


「それに、壁が完成すれば、僕が外で自由に戦えるでしょ。正直誰かが囚われて交渉材料にされるのもゴメンだからね」

「?それはどういう事ですか?」


パレンケはケルケオボスの件はきいてなかったっけ。


するとギギリカが発言する。


「パレンケ。こないだケルケオの時の事だけど、ギュギュパニが大きなケルケオにいたぶられて、ポンピカが助けにコレない状況があったのよ。それをポンピカは言ってるんだと思うの」

「ギギリカが言ってる事だけど、例えば、パレンケの大切な仲間がどこかのザウスに捕まったとするね?」


「はい・・・。」

「そのザウスは、こう言うんだ。『パレンケ、お前の大切なヤツを殺されたくなかったら言うことを聞け!』とね。パレンケはどうする?」


「ふむ・・・。言うことを聞きます。」

「ふつうのスキクならそういう答えになるとおもう。だけどこの内容がどうしても自分で出来ない事だったり、許容出来ない事だった場合パレンケはどういう態度を取るかな?」


「そうですね・・・。諦めることに成るでしょう。」

「多分そうなんだと思う。つまり、僕が、ウウダギをそんな状態にされた場合。僕は無力なんだ。わかるかな?」


「!・・・なるほど。つまり、私達が捕まると、ポンピカが戦えない・・・と?」

「簡単に言えばそうなるね。ただ、僕は嘘つきなんだ。だからその打開策を昨日のケルケオでやってみせたんだ。だけど、その作戦ができない場合にはやはり無力なんだよ。だから壁で守ってもらえないと困るんだ。」


「なるほど・・・。理解しました。」


パレンケは理解したようだ。

周りの皆も「なるほど」という顔をしている。


驚いたのは、デデンゴが何時ものポカーンとした顔をしてない所だ。

真剣に皆の話を聞いて、一生懸命頭に入れているようだ。

しかもここ最近パレンケの手伝いをしているせいか、体付きが大人になり始めている。

隣のウウダギと比べるとずっと大きく、子供とは思えない体格なんだ。


・・・ウウダギ栄養足りてるよね?

もっと食べたほうがいいのかな?

何時も食べたらお腹ぽんぽこりんなのになぁ・・・。


そんな思いをしているのもつかの間、つぎはベベビドが発言をはじめた。


「ポンピカ。前言っていたセイザイについてだが、やはりまだ難しい。なにかいい方法がないか?セイザイができなければ、住む場所を作るのも容易ではないのだろう?」

「ベベビド。一度しっかり現状を確認しよう。例えば、壁に使う粘土だけど、それには砕いた石と水と土が必要になる。そしてその形を整えるのには、ある程度かたちの整った木材が必要に成る。」


「わかった。ならば、まずはセイザイよりも形を整える方法を模索しろというわけか?」

「そういいたいんだけど、製材の手がかりに成るからという事でも有るんだ。」


「ふむ・・・セイザイに届くのか・・・わかった。整えると言うことに注視しよう。」

「ありがとう。」


続いて、パパムイが話を切り出した。


「ポンピカ。俺は食べ物を長く保存できる場所が欲しいんだ。前に言っていたレイゾウコだったか?あれは作れるのか?」

「冷蔵庫はまずまだ無理だ。だけど似たような効果がある場所を作ることは出来るとおもう。それは地中に部屋を作る方法なんだ。それには地中を支える木が必要になる。後はできれば、まだ作っては居ないけど材料がある石灰岩をつかって生石灰を作り出さなきゃいけない。それができればすぐだと思う。さらに石灰ができれば粘土の上は木で出来た壁、家の壁なんかもこれで補強もしくはそれ単体で構造物が作れるんだ。」


「・・・ごめん。色々わからない言葉がでてさっぱりだ。だけどその地中の何とかは作れるのか?」

「そうだね。次に作り出せるように成るのは多分石灰だからそうなると思う。」


「そうか。なら問題はないか・・・」

「パパムイなにか気になる事でもあるの?」


「いや、ミニョルンの少し前から獲物は取れなくなるんだ。まぁその日に食べる量くらいはいいんだけどなぁ・・・」

「なるほど、じゃぁ尚更、保存期間を伸ばしたいわけなんだね?」


「さすがだなwぽんピカは」

「はははwまぁ、パパムイにしてはちゃんと頭使ったねw」


「おいおい!俺だってちゃんと考えてることだって有るんだぜ!」

「分かってるよ。頼りにしてるんだ。ありがとう」


「お、おう。俺からはそんくらいかな」


パパムイがなんだか照れておわった。


次に手を発言したのは、なんとズズナドだ。

几帳面で、色々な事に対し思慮が聞くんだけど非常に臆病で、

なんというか、一言で言えば、国王の側で控えてる宰相みたいなポジションのやつだ。


「ポンピカよ。もし願えるなら、皆にパパムイやウウダギ、ギギリカへ教えた文字と数字についての教育を施せないだろうか?」

「教育かぁ・・・。出来なくはない。ないけど、時間がない。」


「どうにかできないだろうか?」

「そうだなぁ・・・。皆が抵抗あるなら避けるべきだけど、ウウダギは非常に頭がいい。いっちゃ悪いけど、多分この集落てダントツに良い。ウウダギからの教えに抵抗がなければ問題はないんだけど・・・。ただ・・・」


そこまで話すと、僕はウウダギに目を向ける。

ウウダギはコテンと首をかしげて、「なんだろう」とでもいいたげだ。


「ただ?」

「ただ、ウウダギは他へ教えるのが下手だ・・・。それは物凄くだ。それ意外になるとギギリカが適切だろう。」


「ふむ・・・わかった。では後ほど族長と話をして、ギギリカへ”問題”を出してもらおう」


ズズナドは、座り、隣の族長へ話を振り始めている。

そして、僕の横に居るウウダギには悪いことを言ってしまったなぁ、と眺めると、

ウウダギから「僕は教えるの下手。うん。そのとおり」と納得していた。

ショックではないらしい。

なら良かったと胸をなでおろすと、反対のほうからチョンチョンと突かれた。


ギギリカだ。


なんだろう?と見ると、

小さな声で、「なんであたしが、教える役になるのよ!」と言っていた。

我慢してくれとしか言えない。


次に発言したのはシシブブ。


「ポンピカ。あたしはアンキロとケルケオを育てるのは構わない。だけど、もう少し何とかならない?」

「どんな点の事?」


「ケルケオは、しばらくここでああやって餌を与ええればいいわ。だけどアンキロよ。あの子多分あそこから動かないわよ?」


それ初耳ですけど・・・。


「・・・マジで?」

「本当よ。だって、どうやら仕草を見るにアンキロは卵が育つまで、体に蓄えた栄養を使って卵を孵すのよ。つまり、合流するにしても、子供が着いてくるまで育たないとなんにも出来ないわよ。」


それは困る。

困るけど・・・どうする?


「それさ・・・。道つくる?それとも牧場作ろうか?」

「ボクジョウ?なにそれ」


「牧場ってのはさ?家畜を育てるための大きな施設のことなんだけど・・・。」

「カチクってのがわからないわ」


「そうだなぁ。今のケルケオやアンキロ。あとは今後、飼育できそうな生き物をその広い空間で育てるっていう場所のことだよ。」

「ちょ・・・っと意味がわからないわ」


「そうだなぁ。まぁ、そこはなんとかするよ。集落からアンキロの場所まで近道できる道も作るようにする。それでどうかな?」

「・・・わかったわ。それで問題がないならいいわよ」


「うん。問題はない」


ここに、牧場計画が始動することに成った。

やばい。すごく労力が必要だ。

流石にこの人数じゃまにあわないなぁ。


流石にソロソロ族長に他の集落へ出向いてもらわないとなぁ。

でもケルケオが動かないと無理とかいわれそう。

どうしたものか・・・。


悩みまくってる所にンダンダが発言を始めた。

「ポンピカ。畑の事なんだけど・・・」

「ん?なんか困った事でも起きた?」


「いや、順調なんだ。いや・・・順調すぎるっていい換えたほうがいいかな?」

「どういう事?」


「なんだか、すぐに成長するんだ。季節外れにもかかわらず・・・」

「へー。それがまずいの?」


「いや、まずくはないんだけど・・・。こうなるともっと大きくやりたいんだ。そうすれば僕らや皆の食べ物も困らなく成るだろ?パパムイの言っていた保存のヤツだけど、植物もいけるよね?」

「ものによるかな?でもイケなくはない。むしろ塩があるんだ。長期保存をかんがえれば漬物が作れるよ」


「ツケモノ?」

「うん。野菜を綺麗に洗って、塩を大量に使って、更に野菜の水分を抜くんだ。そうすると長期間食べ続けることが出来る。さらにベベビドの製材がうまくいけば桶が作れるからね。大きく保存出来る。それも沢山ね。他にも色々と出来るように成る。集落の皆が飢えなく成るよ。」


「本当かい?わからない言葉があるけど、取り敢えず出来るんだね?」

「そうだね。それから大きな畑をつくるにはケルケオかアンキロの力があれば、耕すのも楽になる」


「それはすごいね!嬉しい限りだよ!」


取り敢えず、一通り話し終わったかな?

と、思ってるとまたパレンケが発言を始めた。


「ポンピカ。今いいでしょうか?」

「なに?なんかあるの?」


「パチャクとケチャクの件です。」


そこまで言うとパチャクとケチャクが、2匹とも前に出てきて、

突然、奇声のような声を出し始める。

さらに統一性のないそれでいて取り留めのない動きを始めたのだ。


多分、これは、歌やダンスのつもりなんだろう。

ここはしばらく終わるまで見ていよう。


その場に居る皆はビックリしている様子だった。

でも、音楽やダンスに関してはやはり元の世界の記憶がある僕としては、

それほど驚く物ではない。


歌もどちらかと言うと調子外れで、できの良いものではないし、

ただ、唸っているだけで、詩を口にしているわけではない。


踊りも似たようなものだ。

せっかく2匹揃っているのに別々の動きをしているし、

そのテンポもまちまちで、統一性が一切ない。


どうやら、ザーザースには音楽や踊りという文化が無いのだろう。


こう言っちゃなんだけど、アフリカとかの現地の人が踊る踊りのほうがまだ踊りとわかる。

それに、歌は楽器も無ければ意味もない。

しかしなぜこの2匹はこんな事をしているのだろうか?


そんな事を考えていると、あっという間にその見世物が終わる。

踊り終えて、歌を歌い終えましたと言えんばかりの満足しきった雰囲気が2匹を包んでいる。


どうやら、コレで満足なのだろう。


一拍おいて、僕と当の2匹以外が総出で賞賛の声をあげ始めた。

僕はどうしたらいいのだろう?


ペレンケを見ると、「どうですか!二匹共すごいでしょう!?」とでもいいたげななんと言うか、

そんな表情を目に浮かべて見返してくる。


どう声をかければいいか、思案しなければいけないだろう。

僕から声を掛けるネタがすべてディスる内容しかないからだ・・・。


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