遅い帰りと一波乱
何か有ったのかな?
ボーラの練習台として帰ってきたパパムイとギュギュパニの足を、
絡め取るつもりで居たんだけどなぁ。
ギギリカにそのことを聞く。
「ギギリカ、二匹遅くない?」
「遅いわね・・・何か有ったのかしら?」
「どうしようかなぁ。ちょっと見てこようかな」
「二重に探さないほうが良いかもしれないわよ?ギュギュパニもついてるんだしさ?」
確かにギュギュパニが付いてるんだ問題はあらかた解決するはずだよね。
さて、じゃぁどんな不測の事態に?
不安が少し出てきてる。
マズイな、きっとこれトラブルに巻き込まれてるぞ。
助けにいかなくて良いのか?
ちょっと族長とも相談しよう。
「族長今良いかな?」
「なんだ?ポンピカ」
「パパムイが狩りに行って戻らないから随分前にギュギュパニに迎えに行かせたんだけど」
「ふむ。どのくらい前だ?」
「日が傾く前に出したんだけどね」
「・・・なるほど、何かに巻き込まれてると?」
「そうじゃなきゃ、こんなに遅くないかな?」
「確かに・・・わかった。ポンピカに”問題”をだそう。」
族長が事態を理解してくれたようだ。助かる。
これで、気兼ねなく探しにいける。
「ポンピカよ。ギュギュパニ達を探しに行くと言う”問題”を・・・む?帰ってきたようだぞ?」
問題が出題される前に帰ってきたようだ。
後ろをむくと、なるほど。遅くなるわけだと思った。
これまた偉い事に成ってるなぁ。
ギュギュパニは見知らぬスキクを二匹脇に担いでいる。
パパムイも一匹背負っている。
さらに一匹のスキクが、いやこれはザウスだな。
随分とギュギュパニと体格差が有る。
随分と大きい、顔の作りがトカゲというよりトリケラトプスだわ。
なんか頭が重そうなザウスだな。
それに何だか雰囲気が荒い・・・厳つい感じだね。
その集団が集落へと運び込まれる。
僕はボーラを使うつもりだったけど、
流石にこの状況でやったら頭が可怪しいとしか言えない。
ジョークですまないだろう。
集落の皆、僕も含めてが全員ギュギュパニ達の元へと急いだ。
「パパムイ!ギュギュパニ!どうしたんだ?」
「ポンピカ。まずは族長と話すよ。それからでいいかい?」
結構真剣な事態らしい。
パパムイも済まないと言う顔をしている。
「担いでるスキクは虫の息だけど、大丈夫なのか?先に治療しないとダメなんじゃないのか?」
「ああ、そうだね。先にそうしてくれると助かるよ。頼む」
ギュギュパニは脇に抱えているスキクを地面に寝転ばせる。
パパムイも背負っていたスキクを地面へと。
そして二匹は後ろのザウスと一緒に族長と話をしにその場を外れてしまった。
トリペラ顔のザウスはまだ元気なようだった。
ってかなんでかわからないけど睨まれた気がする。
これって、僕の予想が間違ってなかったら、
他の集落が全滅に近い危機に有ったんじゃないか?
ミニョルン当たりが一番打倒な線だろう。
ほかには動物による被害かなぁ?
ケルケオかな?ケルケオなら、20匹の集団で集落を占拠された場合まず勝てないだろう。
普通のスキクじゃあの巨体をどうにか出来ない。
ザウスでも一匹を押さえ込むのでやっとみたいだしね。
それとも他の理由かな?
思考が横道にそれてしまった。
取り敢えずスキクの治療をしよう。
「ギギリカ、ウウダギ手伝って」
「良いわよ」
「うん!」
取り敢えず、地面のスキクの様子を伺う。
どのスキクも行きが荒く、意識が混濁していた。
すべて同じ症状である。
そして、下痢をしているようだ。
腹でも下したのか?
いや、まてよ?痙攣も起きてるなぁ。
鼻を近づけると熱い感じがする。
体温が高いんだ・・・なるほど。
こりゃだめだ。
早く手を打たないといけないな。
脱水症状だこれ。あと栄養失調。
口の中を見ると、なんだか妙に白っぽい。
つまり血液の流れが悪いんだ。
このままだと内臓に障害が出るはず。
元いた世界では、こんな症状のときは
経口補水液。つまり塩水を飲ませて水分補給しなきゃいけないはずだ。
「ギギリカ。大至急綺麗な水で、お湯を沸かして」
「うん!」
「ウウダギ、塩を砕いて持ってきて」
「うん!」
二匹がすぐに動く。
「だれか、この三匹を担ぐの手伝ってくれ。ここじゃダメダ。焚き火の近くに連れてく」
「ポンピカ。僕が一匹担ぐよ」
「おう!俺も担ぐぞ」
「ンダンダ。ベベビドありがとう。」
最後の一匹は僕が担いだ。
焚き火つまりいまギギリカがお湯を沸かしている近くに、
三匹をうつ伏せに寝かせる。
「ポンピカ。塩」
ウウダギが塩を持ってきた。
僕はすぐにギギリカが沸かしているお湯へと塩を入れ始める。
味見をして、濃度を確認。
多分こんぐらいでいいはず。
次に、皆が食中毒で脱水していた時にも使った容器に塩水を注ぐ。
少し覚ましたら、各自で少しずつ飲ませていく。
取り敢えず手をだせるのはここまでだな。
やはりクスリになる薬草を探さないとこれ以上は対処ができない。
ンダンダの協力を仰ごうかなぁ。
そのほうが面倒がなくて済みそうだ。
「ポンピカどお?このスキク達大丈夫そう?」
「どうだろうね。このスキク達はとても脱水してるんだ、しかも栄養が摂取できてない」
「脱水って、皆がかかった”ジン”でなったやつよね?」
「うん。そうだよ。体は基本的に毒や病気、”ジン”に抵抗するため、自ら熱を出そうとするんだ。」
「なるほど、だから体が熱くなるの?」
「そう。そして、体は熱が上がりすぎると、壊れちゃうからそれを防御するために体の中の水をつかって冷やすんだよ。だから体から水が大量に出ていっちゃうんだ」
「じゃぁ、栄養が不足してるっていうのは?」
「口の中を見ればわかるよ。血液がちゃんと流れてるなら、血の色が少し浮かぶんだ。だけどここのスキクは真っ白だった。つまり血が足りないんだよ。脱水でそうなってるとも言えるけど、おそらくここまでの道程で考えると食べ物が胃に入っても吐いていたか、下していたはずなんだ。だあらまともに栄養が摂れてないってわけだね」
「そこまで考えつくんだ?凄いわぁ・・・あたしじゃ全然分からなかったわ」
「こればっかりは知ってるかどうかだからさ、ギギリカもその内わかるはずだよ」
「其れなら良いわ。」
「ポンピカ。これ、震え止まった。」
ウウダギがそんな事を言う。
ハッ!となっウウダギが指し示すスキクを調べる。
意識は無いが、まだ熱が有る。息もしているけどさっきより早くない。
最悪の結果でなくてよかった。
このまま続けよう。
脱水症状は、水分補給すれば早期に回復する場合が多い。
ただ、この場合栄養失調もかさなってるから生命力に掛けるしか無い。
あとは見守るだけだ。
「・・・やっぱり、薬草の知識は必要だなぁ。」
「ん?ポンピカ。薬草を知りたいのかい?」
ンダンダがそんな事を言う。
「もちろんだよ。どの草や根っこがどんな効果なのか知りたい。ンダンダは知ってるの?」
「いや、全部ではないよ。でも知ってる物は明日にでもポンピカに教えるよ。」
それは良い提案だ。
助かる。
「ありがとうンダンダ。」
「いいさ、僕の命も助けてくれたんだ。どうってことないよ」
ンダンダかぁ。
いいスキクだな。ホント良いお兄さんポジだわ。
「取り敢えず、このまま様子を見るしかないよ。水分も少しずつ与えていかないと吐いちゃうからね」
「そうか!なるほどね。胃の中がまだ調子悪いってことよね?」
「ギギリカは優秀だね。そういうことだよ」
「ギギリカ。凄い」
ウウダギがギギリカを褒める。
ギギリカも満更じゃない。
「いいわ!褒められたからあたしが看病してあげる!」
素直でよろしい。
ってかスキクってホント素直でおだてやすい。
便利だなぁ。
「さて、暫くはこのままかな?取り敢えず、食事の支度でもしよう。きょうは数も増えたみたいだから少し多めにね」
「ウウダギ手伝ってあげて」
「わかった。」
「ポンピカ。僕も手伝うよ。植物をどう食べるのか知りたいんだ」
ンダンダは意外に勉強熱心だ。
ってかスキクって自分の拘りには貪欲だよね。
まぁ、食事の支度を手の開いたスキクもつかって仕上げる。
食事が出来たと言うのにまだ、話し合いが続いている。
パパムイも強制参加させられているようで、かわいそうだけど、先に食べちゃおう。
「皆、先に食べちゃおうよ」
僕がそう言うと皆頷く。
そしてぼくが皆に取り分ける・・・。
給食の配膳担当みたいだな。
まぁいいや、今日も昨日パパムイが取ってきた肉もいれてるし、
野菜も入ってる塩もちゃんといいかんじだ。
肉と野菜から出汁がでてる。
コンソメ風味だね。
アクをちゃんとこまめにとったから雑味もない。
美味しいと思うよ。
ベベビドにはちょいちょと木の器や、スプーンや、お玉なんかを作ってもらってるんだ。
だから、食器が増えて仕方ない。
それを収める棚もないから皆、自分の分をちゃんと何処からか持ち出している。
これは早めに家を作ったほうが良いな。ってかなんでこの窪地をえらんだ?
埋め立てちゃったほうが良くない?
あとで、族長に言おう。
もう来年からミニョルンで死ぬスキクは出したくないよ。
「ポンピカ?話し合い終わったみたい族長とかこっち来るみたいよ」
ギギリカが僕の側でそんな事を言う。
振り返ると、トリケラ頭がズンズンと歩いてくる。
族長とギュギュパニ、パパムイが下を向いてる感じだ。
つまり、あのトリケラはお偉いさんだな。
なんかめんどくさそうだ、スルーしとこう。
そんなことを思って居るとトリケラ頭の気配が僕の後ろで止まる。
・・・あちゃー・・・
内心、そんな考えであった。
仕方なく僕は後ろを振り向く。
「お前がポンピカか?」
「そうだけど?」
「今日からお前は俺の従者だ。付いてこい」
一瞬何をいっているのかわからない。
どうなってるんだろう?と思い族長の方へと顔を向ける。
すると、なんともやり切れないと言う顔をしてるなぁ。
ギュギュパニでさえ、悔しそうに歯をむき出しにしてる。
パパムイは、なにが何だか分かってないかんじだポカンとしてる。
う〜ん。
取り敢えず拒否しとこう。
「嫌です」
僕が拒否をすると、ビクッ!と族長とギュギュパニが成る。
トリケラ頭も拒否されるとは思ってなかったんだろう。
間の抜けた顔をした。でもすぐに顔に怒りを表し始めた。
「お前は、今日から俺の従者となったのだ。命令は聞かねばならぬ」
「従者になってませんよ?許可は?僕の許可なしでどうやって決めるんですか?」
「お前の許可など必要ない!ザウスのこの俺、クワントゥ・イギス・クロゥが決めたのだ。拒否は出来ぬだろう。」
「いや、貴方がどんなだか知りませんけど、拒否しますよ?いきなりですしね?頭大丈夫ですか?」
そこまで言うと、突然、唸りをあげて、手に持っている大きな棍棒を僕の前に振り下ろす。
かなりの振動が来る。
ドォンという音もした。
隣りにいるウウダギが涙目になってる・・・。
ん?あれ?
あれれ?
これ殺っちゃっていいかな?
許せる気がしないんだけど、どうしようかな?
「お前に拒否は出来ない!スキクはザウスの言うことを聞くものだ!」
「ん〜?なんでですか?」
「ここまでしても抵抗するのか・・・話は聞いたが随分と強情なやつらしいな。フン!気に入った。何としてもお前を連れて”ト”へ帰るぞ」
「いやいや。”ト”なんかに行きませんよ。めんどくさいし。それに今ちょっと頭に来てるんですよね。助けたはずですが、違うんですかね?なんの労いもなくこんな横暴をするのがザウスなら一層、死滅してしまえばいい。スキクだけのほうが綺麗な世界ができそうだわ」
「なにおぅ!おまえ!ぐぬぬぬぬぬう!許さんぞ!」
「許さない?何をするんですか?もしかしてその手に持ってる物で誰かを傷つけるんですか?本気でやりますか?」
なんだか難しい名前だったけど、覚えるのメンドイので、トリケラ頭でいいや。
ってか、ザウスってこんな感じなんだね。なんか面倒くさそうだなぁ。
僕の目の前ではワナワナと震えている。トリケラ頭が居る。
それを眺めているのも嫌だったので、族長とギュギュパニへと目を向ける、
すると、族長が必死の形相で抵抗しないでくれ的な顔をしてる。
でもウウダギを泣かしてるからね。それにこんな横暴はダメだよ。
舐められたままだったらいつまでもそのままだ。
こんなのはダメだ。
ギュギュパニは手に持った棒を強く握りしめている。
完全に怒った顔をトリケラ頭へと向けてるなぁ。
ギュギュパニの気持ちもわかるよ。
さて、どうするかなぁ?
チラっとウウダギを見る。僕の影に隠れて震えてるんだ。
う〜ん。かわいそうだな。
ウルグズの事を思い出させちゃったかなぁ?
ダメだなぁ。僕もマダマダ親には成れていないのかな?
さて、族長に声をかけよう。
「族長?なんですかこの変な頭の動物は?」
「何だとぉ!」
トリケラ頭が、なおのこと憤慨する。
「僕は族長と話してるんだ。お前じゃないんだからあっち向いてろよ。目が腐るわ、ったく」
「ぎぎぎっっぎい!」
「ポ、ポンピカ・・・なんといえば良いか・・・」
「大体のことは察してるつもりだけど、後始末付けれないならちゃんと前もって覚悟決めてくれないと僕も対応が遅れるんだよねぇ。そのへん集落の代表なんだからしっかりしてよ。」
「すまん・・・面目ない・・・」
「で?僕はどうすればいい?」
「ワシからは、”ト”のザウスの言う事は絶対だと言いたいがな・・・流石に突拍子もない事で、正直対処がわからん」
「じゃぁ、僕の方でや対処するけどいいよね?」
「・・・わかった・・・」
族長も腹が決まったかな?
ギュギュパニに目を向けると、力強く頷いてくれた。
まぁ心強い。
さてと?
再びトリケラ頭の方を向くと同時にトリケラ頭が仕掛けてきた。
手に持った太く重そうで大きな棍棒を上段から縦に真っ直ぐ振り下ろしてきたのだ。
僕はそれを、半回転する形で左前の半身を取りながらかわす。
棍棒が僕の前方、足元の方へとそのまま振り落とされると物凄い音を立てて地面を叩きつけた。
ドォンン!
なんの合図もなしか。
クズだねぇ。
「で?当たらないけど?どうしたの?力強そうなのに頭がたりなさそうだね?もしかしてその頭の飾りのせいでボケちゃってんのか?」
「ググッグ!グロッロロロロロロロッロロオオオオオ!」
凄く大きな声で叫んだ。
しかも言葉ではない。
その後すぐに棍棒を横薙ぎにして僕を潰そうとしてきたので、スッっと少し前に出る。
同時に左手をトリケラ頭の右肩へそえる。
右手は振り下ろされた棍棒を握る右手首へと当てる。
そして、左前の構えを利用して、左足をトリケラの右足の外側へと並ぶようにそえる。
トリケラが力任せに僕を横へと押す形になった。
しかし、結果から言えば、棍棒が振られることはなかった。
というのも、肩から腕先にかけて、筋がしっかりと伸びてしまっているため、
肩を抑えられた状態では力を込めることが出来ないのだ。
さらに軸にしている足を僕の足で止めているので、思うように動けないんだろう。
少し体が移動した程度で、僕はほとんど力を使っていない。
トリケラの体から硬直が解除されていない。
僕が手首のツボをしっかりと押しているから、痛くてそれどころではないらしい。
突然、うめき声をだして、自分の右手を掴んでいる僕の右手へと左手で掴みかかるけど、
その力は凄く弱かった。
何処も全く力が入っていない様子。
そのまま膝をつき、あたかも懇願するような形でうずくまるトリケラ頭であった。
なんてことはない。手首触った時点で勝負決まってたんだよね。
あっけない。
まぁ、それでもウウダギを怖がらせた報いくらいは味わってもらおうかな
「おい、さっきの威勢はどうした?ん?ザウスなんだろぉ?スキクを従わせるほど強いんじゃないのか?それともただ、威張ってるだけかぁ?どーなんだ?おい?ほら言えよ。それとも痛くて言えないのか?帰って親に泣きつくか?あぁ〜ん?どーなんだよ?ほら、なんか言ってみろよ。おい?グズ!早く言えっつってんだよ!お前、俺の大事な子供を怖がらせたんだ!許すわけ無いだろがぁ?分かってんの?おい!分かってんのかっつってんだよ!」
そこまで言って、左足を軸に合気で仰向けへと転がす。
その勢いで更に手首をひねり、ぐるっと回して、今度はうつ伏せと持っていく
最後に腕を後ろでへと決め込んで、左手でトリケラの後頭部へと掌底をあてて気絶させる。
ギュギュパニよりも巨体だ。
ズズンと言う音とと共に頭から地面にめり込んでしまった。
「ったく、力も無いくせに良く大きい口が出せるな?そう思わない?族長」
「・・・う、うむ・・・うむ〜・・・」
なんか随分困った顔をしてるけど、それも織り込み済みでしょ?違うのかな?
たぶん本当にザウスのお偉いさんなのかもしれない。
だからって、命を助けたのに更にこんな要求してきてそれが、
さも正しいことだと言ってのけるようなザウスは信用できないだろ?
少なくともギュギュパニ位は良い性格でいて欲しい。
「まぁいいさ。ほら、ウウダギもう怖くないよ。このグズは起きないから大丈夫だからねぇ〜」
「ポンピカ!怖かった!」
ウウダギが僕に抱きつく。
可愛いからもう何も要らない。
一生懸命なでまわそう。
ウウダギも機嫌が治ったみたいだしOK。
でも何時目覚めるかわからないからなぁ。
取り敢えずウウダギが作った縄で拘束しちゃおう。
トリケラ頭の両腕を後ろへと回し、
左右の親指を内側にして紐で結び、
同時に手首も食い込むほど紐で結んだ。
ついでに、足も結んでやった。もう動けないだろうけど、
ダメ押しにウウダギにトリケラ頭の後頭部と肩の間、
首筋のある一点へとまたがってもらった。
ウウダギは最初怖がってたけど、
目の前に何だか盾のようにそびえるトリケラ頭が見えると、
急に興味を示し始めた。
ちょっと楽しくなってきてるようで嬉しい。
機嫌直ってよかったなぁ。
「ポンピカよ。いつもながら凄いなぁ・・・どうなっておるのだ?」
「え?ただ、手首のツボを押しただけだよ。痛くて立ってらんないんだよw」
「そうなのか・・・ふむ、しかしこれは流石にどうなるかワシにもわからん。いままでザウスの要求は答えるのがしきたりであったからな・・・どうしたものやら」
「そうなの?でも僕はあんな言われ方やウウダギへの対応みたら許せないし要求なんか聞く気ないよ?」
「うむ、ワシもそう思う、思うのだがなぁ・・・このまま何事もなければよいのだが、どうなることやら・・・しかも当のザウスはまだ起きぬ。どうしたら良いと思う?」
「う〜ん。取り敢えず冷静になるまでほっとこう。そのうち起きるでしょ。ほとけばいいさ。だめなら死んでもらおう。面倒くさいんだよね。」
「他のザウスが報復に来る可能性もある。」
「そしたらまとめて捕らえるよ。スキク一匹にザウスが集団で拘束されたらお笑いだろ?」
「いや、流石に・・・それこそマズイのでは?」
「話し合いもしないでそんな事するなら当然の報いだよ。むしろ殺さないだけありがたいと思ってもらいたい。」
「しかしなぁ・・・」
「だって、ここの集落祝福受けてないんでしょ?つまりザウスの庇護下でもないってことだよね?」
「・・・確かにその話をしたが・・・それで庇護下ではないとなぜわかる?」
「恐らく、倒れた三匹のスキクは何処かの集落から徴収した従者か何かじゃないかな?旅の途中使い捨てかなんかでやってたんだろうと思うよ。現にギュギュパニとパパムイが担いできたわけだしね。当の主人であるこのなんだっけ?クロ・・クロ・・・クロゥは、手ぶらだったよね?しかも元気だった。」
「そこまでわかったのか・・・流石聡いスキクだな・・・」
「まぁ褒めても何もでないよ。」
「うむ・・・」
「ポンピカ。あんたやっちまったねぇ〜wいや〜流石あたしを投げ飛ばしただけはある!うんうん。ちょっと気が晴れたよ全く・・・このザウス。それほど頭が良くなかったねぇ。今のザウスの”ト”ってのは随分腐っちまってるって話だったけど・・・これ見ると本当かもしれないねぇ。」
「ギュギュパニ。分かってたなら先にやったってよかったんだよ?ウウダギが泣いちゃったんだからね!」
「ワルイワルイ。あたしにも事情があってね。ザウスには手を出せないんだよ。」
「そうなの?じゃぁ、しかたないか・・・ハァ。食事後だったってのにさー全く。またお腹減ったじゃん」
「はははw違いないねwあたしもお腹減ったよ!」
「おし!じゃぁ食べよう!族長も食べるでしょ?」
「うむ。もちろんだ。」
パパムイは何も言わずいつもの事だとでも思いながら自分でよそって食べ始めていた。
終始パパムイはなにが起きてるか理解していなかったみたいだなぁ。
流石だよ。パパムイ!君のそう云うところが色々と役に立つんだ!
感謝してます。
なんだかんだ言って、一番の大物ってパパムイだよねw
その後皆で再度食事を取り、何事もなく就寝についた。