姿変りとケルケオ
こっちは従来通りやってます。
「なんだよ族長。僕の姿忘れちゃったの?酷いぞそれは、ボケるの早すぎないか?」
なぜか族長のゲンコツが僕の鼻を直撃した。
ジーンとしてて凄く目の前がクラクラする。
痛いです。
鼻を片手で抑えて、涙目で訴えた。
「ちょっと!何すんだよ!折角、病み上がりなのに手伝いに来たのに」
「ふん。どうやらポンピカのようだ・・・しかし、少し変わったか?」
変なこと言わないでよ。
僕何も変わってませんよ?
そう思い、パパムイに顔を向ける。
するとパパムイが気まずい感じで、顔を逸らす。
どういう事?
続いて、ギギリカに顔を向ける。
すると、なぜだか、半笑いしてるような表情を作る。
もしかして、尻尾が無くなったことがそんなに重大なの?
そう思って尻尾を見る。
「ポンピカ。尻尾ではない。お前、少し背が伸びたか?何処か変化が有るように感じないか?」
「えっ?別に・・・コレと言って変じゃないはずだけど?・・・変かな?ウウダギ」
「ポンピカ。立派」
意味がわかんない。
立派って何が?どこが?
・・・ちょっとシモネタっぽく聞こえちゃったけど・・・
そうじゃないだろう。何かが違うんだ・・・
ん?族長が背が伸びたとか言ってたか・・・。
確かに視界が以前より少し高い気がする。
パパムイを見る。
あれ?パパムイってこんなに小さかったっけ?
僕より大きかったよね?
なんで?
なんか有ったのかな?
自分で変化がわからない。
手を見る。
・・・爪がない!
あれ?鉤爪が全部無いぞ?
えっ?足の爪も無いじゃないか!
どうなってるんだ?
「族長・・・爪が・・・無くなってるぞ・・・」
「そこではない!」
爪じゃないの?
じゃぁなに?ってか爪生えてくるかな?
「ふむ、気づかぬのか・・・ギュギュパニこっちに来てくれ」
「あいよ。ったくポンピカはいつも変なやつだね。ったく・・・」
ギュギュパニが僕の側に来たけど・・・あれれ?
前より視線が通る。ってか。近い、怖い、あまり顔を近づけないで欲しい。
「ポンピカよ。もしかしたら、変態したのかもしれぬな・・・」
「変態?変態ってなに?僕、変態なんかじゃないよ?結構まともな方だと思うんだけど・・・」
えええ?
変態ってなんだよ。
僕そんな変じゃないぞ?
まぁ、変わったと言う意味じゃ変わってるのかもしれないけど、
いやそうじゃないのか?
どっちだろう?
「ちょっと、よくわかりません。」
「ふん。まぁいい。中身はポンピカのままのようだ。それなら問題はないだろう」
なにそれ?中身も変わる様な変態だと思われてたの?
正直ショックなんだけど?
「どういう事?」
「・・・ここでは話せん。あとでギュギュパニを交えて話そう。」
結構大事みたいだ。なにそれ、怖すぎるよ。
今話して?ねぇ今で良いでしょ?
「ポンピカ。あんた、やっぱり変なスキクだったね。はっはっはw」
ギュギュパニー!
なんだよその笑い顔。
後で投げ飛ばすかんな!
「まぁ、なんだ、折角来たのだ。死んだスキクを弔おう。火にかけるのは少々酷だが、仕方なかろう」
・・・族長。言ってることはわかるんだ。
だけど、さっきの話しから察するに僕結構酷いことになってるんじゃないの?
弔いを優先するのは別にいいけどさ・・・もう少しヒントくれない?
不安で仕方ないんだけど・・・。
そんな様子の僕の腕の中からウウダギがぴょんと飛び降りて、
何食わぬ顔で、皆の輪に入っていく。
「ちょ・・ウウダギ・・・。 まぁいいか。で?なにするの?」
「ポンピカよ。火を付けるぞ。」
ああ、なるほど。だけどもう火を使う段階なの?
地面濡れてない?
「族長。火を使うの良いけど、地面がこんなに濡れてるんじゃ火がつかないよ。」
「大丈夫だ。さっき、沼の底から黒い水を取ってきてもらった。大丈夫だ。」
黒い水?それが有ると大丈夫なのか・・・。
まぁいいや。
集落の生き残り全員が族長の元に集まり、焚き火が炊かれた。
うず高く積まれた廃材の中心には、未だに原型が残っている集会所がある。
其の周りというかその足元には、廃材が規則正しくつまれていて、
其の周りをデタラメに山積みされた廃材で囲っている。
族長は焚き火を前にして、話し始めた。
「今年のミニョルンでは集落の半分が命を落とした。だが集落は生き残る。これからも今回死んだスキクのためにも悔いのない生を旅して欲しい。今回は、”ジン”も関わっている。だから、火によって浄化をしなければ我々生き残ったスキクも”ジン”に襲われてしまう。そうなれば死んでいったスキクの魂が弔われることはない。何としても生き延びるのだ。良いな・・・」
なんてことはない。
族長によるお別れの挨拶だった。
まぁそんなわけで、火をかけるのだけど、
族長の手がプルプルしてる。
流石に悔やんだのだろう。
「・・・ポンピカ。すまんが、黒い水を・・・周りにかけてはくれないか?」
・・・いいけど・・・なんで、自分でやんないの?
そう思い、木で作られている水瓶の中から黒い水を木の器ですくい上げて、
廃材にかけていく。
コレで良いのか?と思ってしまうが、族長は僕の方をみて一度頷く。
コレでいいみたいだ。
「では、火をかける。皆よ。死んだスキクにお別れを」
族長が、廃材に火を付け始める。
外側の廃材は乾いているようですぐにひが移っていった。
そして、黒い水に火が付く。
そこで、やっとわかった。
あの黒い水。石油だ・・・。
天然資源だよこれ。
ドンドン石油に引火していく。
あっという間に湿気っていたはずの廃材にも引火していき、
辺りが、真っ黒な煙で覆われる。
鼻を突く刺激臭もしてきた。
ちょっと、目を開けていられない・・・
今僕がここから立ち去ると、礼儀に反するかもしれないな。
少し我慢しようか。
轟々と燃え上がる火柱を前に僕はちょっと、
なんとも言えない気分になった。
黒い煙が晴れて気づいたら族長初めとして集落の皆が距離をとって、
集落の外周まで避難してたからだ。
逃げてよかったんじゃないか・・・僕を置いてくなんて酷いよ。
それが、集落でなく成ったスキクへの最後の思いとも言えるのか?
最後まで締まらないなぁ。僕は。
火葬式からもう2日過ぎている。
だけど、まだ集落の中心では火が燃え盛っている状態だ。
随分長いこと燃えている。
でもこうでもしないと、死体も燃え尽きないのかもしれない。
まぁ、ほっとこう。
この2日、特にやることがなかった。
なので、久々に狩りに出かけた。
数匹のスキクは、新たな家を作るために木を伐採しに行っていた。
ギュギュパニに教えた、木の伐採方法だけど、
どうやらコレのおかげ効率的に建材が確保できているようだ。
あと、族長だけど、僕が変態だと言った件についても聞かされた。
別にパンツを頭にかぶって、素っ裸で、小さい子を追っかけまわすような変態の事じゃなかった。
それは良かった。良かったんだけど、あまり良くはなかった。
というのも姿が少し変わってしまっていたのだ。
具体的に言うと、
スキクってのは、尻尾がある。
そのため、後ろ足である二本の足にかかる体重を三本目に相当する尻尾が、
ある程度補強しているので、本来二本足では歩行くらいがやっとなんだ。
骨格的にも、後ろ足はガニ股が基本なんだけど、
それは足の間に尻尾の根本が食い込んでいるためで、
尻尾が直立の邪魔をしていると言うことに他成らない。
更に横から見ると、スキクは、前傾姿勢をしている。
首が少し長く、顔も鼻の辺りが前に飛び出しており、
眼球の位置が少しサイド寄りに付いているんだ。
上半身は猫背で、真っ直ぐ立てないのが当たり前で有る。
そう、コレがスキクなんだ。
だけど、気を失っている間に何が有ったのかはわからないけど、
現在の僕は、人間の様に直立している。
足もガニ股ではない。
ただ、それは真ん中に有るはずのものが無いからであって、
生えてきたら同じとはいかないだろう。
何にしてもガニ股ではなく成ってしまった。
いや、まぁいいんだけど・・・むしろ願ったりだけどね。
それと、スキクの後ろ足の構造だ。
これは、犬や猫の様につま先立ちしている状態の足と同じ構造だったのだけど。
現在は、そこまでひどくつま先立ちしている状態じゃない。
というか、人間の足に随分近い。
つまり、短い間で、骨格そのものが変わっているという事だ。
これは驚く他無い。
そして、顔の作りだ。
スキクは、仰向けで寝転がれない。
尻尾が邪魔するのもあるけど、単純に顔が前に突き出しているからだ。
だけど、僕は今あ少し鼻の位置が短くなっている。
そして、顔が少し顎を引く形で後ろへと移動している。
つまり、全身の構造がガラッと変わっているんだ。
何ていうかギュギュパニに近づいた体になっている。
顔も人間寄りに成り始めているんだ。
何故だろうか?
その問に対して、族長が言った一言が答えと成った。
僕みたいな変化をするスキクは凄く稀に居るんだそうだ。
ただ、その変化も一定の形ではなくて、様々な変化をするそうなんだけど、
その理由が、”古き者”がスキクを作る上で、扱う術が原因だったらしい。
というのも、その術には様々な動物を扱う必要が有るらしくて、
結果、スキクはその術の影響で、様々な動物の特徴が出てしまう事が有るらしい。
出てしまう特徴で、なにが出るかというのも、
変化するスキクの内面に強く結びついていると言うんだ。
だから、僕は元人間であることが内面に大きく影響を与えている。
つまり人間よりに変化してしまった。ということであるらしい。
僕のように人間寄りに変化するスキクはまだ出ていないと言う話だけど、
変化するスキクの中には、どうやら、翼を得たスキクもいるっていうんだ。
そんな変化が急激に起こったんだ。
道理で、仮死状態になるはずだよ。
しかし、僕的にはこの結果は望んだ事なのかもしれない。
だって、より動きやすく成ったと思う。
人間だった頃の動きを間違いなくトレースできる。
まぁ、なもんだから、僕が皆の前に言った時に、
知らないスキクかザウスが来たのかもしれないと思い込んだんだろう。
パパムイやギギリカは匂いで僕だとわかったみたいだけど、
ウウダギは、最初から僕ってわかったみたいだ。
匂いとか関係なく、何処か特定する要素が有ったのかもしれない。
そんなんだからか?
未だに生き残りの集落のスキクからは、微妙な顔を見けられる。
微妙な目を向けるこの集落のスキクはまだ良い。
もし、他の集落のスキクが僕を見たら、厳しい目を向けるだろうと言われた。
それは、なぜかと言えば、尻尾が原因らしい。
尻尾が自切、つまり尻尾が無いというのは、
自ら逃げるために自切したんだと、見られてしまうんだそうだ。
つまり僕は、他の集落のスキクからは根性なしとか卑怯者、意気地なしなど、
謂れのない罵倒を浴びるだろうと言うんだ。
流石によく知りもしないスキクに突然そんな事言われたら投げ飛ばすけどね。
でも、あまり諍いはするつもりもないので、多分、黙ってると思う。
手を出してきたら徹底的にやるけど。
特にウウダギに手を出したら相手は、生きていないだろうね。
まぁ、そのくらいの気持ちである。
それが、ここ2日で聞いた話しだ。
現代っ子であった僕からすればゲーム感覚なのかもしれない。
若干クラスチェンジしたくらいの感覚なんだよね。
まぁ、どうでも良いさ。
今、僕は狩りに着てるパパムイとギギリカ、そしてウウダギとギュギュパニの5匹でだ。
どうやらミニョルンで避難していた大型の動物が森へ戻ってくるらしい。
そういう時期なんだそうで、毎年集落総出で色々と狩る事に成ってる。
でも今年は、まぁなんと言うかスキクの数が少ない。
なもので、このメンバーが狩りに向いているということからも、
この編成でジャングルの奥へと来ている。
「それにしても、パパムイは凄いな。やっぱり狩りが得意っていうだけ有るな」
「おう!そうだろ?でも褒めても一匹たりと譲るつもりはないぞ?」
「なによ!あんた!あたしまだ成果でてないのよ?どうすんのよ」
「ギギリカは慎重過ぎるんだよ。俺みたいにグワーッといけば意外にいい線いけると思うぜ?」
「あたしはそんなグワーっていけません!性分なんだからほっといてよ」
「んだよ。折角、コツの説明してるのになー」
「あんたら静かにおし。もうやつらのテリトリーだよ。匂いでわかるだろ?」
「そうだったな・・・ん?一匹こっちに来るんじゃねーか?音がするぞ」
どうやら、狩りが始まるようだ。
今回、狩り対象となっているのは、馬代わりにも使える少し大きめの竜だ。
例の走る竜。走竜ってことなんだけど、一度見たらわかる。
ありゃ恐竜だよ。
普通に元の世界の恐竜図鑑に乗ってたもん。
さらに、何時だったかのギギリカが捕獲する予定だった、種類だ。
あれ?ギギリカはアレの卵盗めだっけか?
たしか、ケルケオだっけな・・・。
「ねぇ。今回追ってるのってケルケオ?」
「お!知ってたのか?」
パパムイがそんな事を言う。
どうやら間違いないようだ。
でも、今の時期卵はないだろう。
さて、どうしたもんかね。
静かに木の陰などに隠れていると、
前方の少し開けた場所に一匹の恐竜が顔を出す。
しきりに辺りの匂いを嗅いでいるようだ。
確かに恐竜。
首が長くて頭が小さい。
見たことはないけど多分ダチョウ寄り大きいかもしれない。
結構なボリュウムの体をしている。
二本足で歩いているし、尻尾もバランスを常に取っていて長い。
尻尾だけで、全身の半分を占めてるんじゃない?そのくらい長いぞ。
随分警戒心が強い。
多分仲間は居るんだろう。
しきりに後ろへと合図の様な声を出している。
警戒をしているような気迫が漂っている。
『皆、みてろよ?ケルケオは足が弱点だ。もし次に狩るなら俺みたいにしろよ?』
パパムイが皆に聞こえるくらいの声でそう話すと、ピブ(小さい弓)を構える。
ピブから放たれた木の矢は見事にケルケオの左モモのあたりに当たる。
矢は、鱗を傷つけた程度だろうか?
ケルケオはそれにビックリして凄い声を出しながら走り去ってしまったのだ。
「チッ!もっと威力がないとダメだったか・・・」
「パパムイ。あんたこんな狩りの仕方してたのかい?あたしが教えた方法はどうしたんだい?」
「え?だって、ギュギュパニの狩りって力任せだろ?俺みたいなスキクが真似できるわけ無いだろ」
「・・・そうだったね・・・はぁ〜。ったく逃しちまうとはねぇ・・・まいったねぇこりゃ」
「ギュギュパニどういう事?」
「ポンピカも見ただろ?あいつは一匹じゃないんだよ・・・逃しちまったら他のも逃げちまうってわけさ」
それは大変だ。
「ねぇ、あんな大きなのどうやって狩るのよ?」
「ピブで撃つしか無いだろ?狩りなんだし」
「ピブじゃ絶対むりだよー。あんな大きんだよ?」
「じゃーどーすんだよ?ギュギュパニみたいに襲いかかれってか?」
「そーじゃないけどさー。もっとなんかないかなぁ〜?」
ギギリカがどうしてか僕の方をチラ見する。
なんだろう?凄く期待されてるんだけど・・・。
でも逃げちゃったよね?
もう戻ってこないんじゃない?
「ポンピカ。アレ捕まえる?」
ウウダギが興味津々のようだ。
ギギリカと同じで、何かを期待してる目をしてくる。
「ポンピカ。いい案でもあんのか?」
パパムイ・・・お前もか。
「ポンピカなら、群れを捕まえたりするんじゃないかい?はーっはっはw」
ギュギュパニ、無茶言うな・・流石に群れとか無理だろ。
何匹居ると思ってんだよ?
「まぁ、冗談はこの辺にして、狩りの成果は少しあがってるんだ、一度集落に戻るとするかい?」
・・・ウウダギの期待の眼差しが、止まないのですが?
えっ?やるの?
これ強制的なやつなの?
しかたないかなぁ・・・。
「ギュギュパニ。ちょいと時間をくれればなんとか成ると思う。」
「・・・何がだい・・・」
「ケルケオってのは群れなんだろ?大体どのくらいで1個の群れなの?」
「・・・大体5匹〜20匹と規模がちがうけどねぇ。」
「今の群れがどのくらいのものだか予想できる?」
「う〜ん・・・。一匹しか警戒に出ていない所を見ると・・・おそらく5匹〜7匹程度だと思う」
「ケルケオの習性って、やっぱり襲われると散り散りに逃げる感じかな?」
「そうだね。群れの頭を狩ると散り散りになるけど、運悪く下っ端を相手にするとすぐに加勢が増えるよ」
なるほど。
「もう一つ。今逃げたケルケオはまたここに来る?」
「ん〜。どうだろうね。今の時期は巣の場所探しらからねぇ・・・さっきの一匹がその役目だとすると、ここにはもう顔を出さないと思うけどね。」
なるほど、そういう習性なのか。
巣を移動しながら生活するスタイルなんだろう。
ってことは、巣ができたらどうなるんだ?
見つけたら狩り放題だろ?
「じゃぁ、巣を見つけたらどうなるんだろう?それで狩り尽くしちゃったら?」
「狩り尽くすって、あんた・・・そんな事できるわけ無いだろう?」
確かにあの巨体が数匹となると手が付けれないだろうな。
「いや、仮の話でね?」
「仮でもないよ。あたし等がどんなに頑張ったって、一匹がせいぜいだ。一度に数匹以上なんてのは相手できないよ。それに逃げ足も早いしね。」
逃げ足が早いって?
巣から逃げるのかな?
「巣から逃げるの?襲ってこないの?」
「基本逃げるんだよ。それが早いもんだから追いかけれないんだ。それに巣が見える距離にあると、途端に攻撃的に成る」
なるほど。
巣には手を出させない感じなんだね。
「それに一匹狩るにしてもさっきのパパムイを見ただろう?ピブじゃ歯がたたない。運良く目玉を射抜ければピブでも狩れるんだけどねぇ。」
ふむふむ。
巣を見つける方法は無いのだろうか?
「ギュギュパニはケルケオの巣を見つける事はできる?」
「・・・変な事を聞くんだねぇ。もしかして、さっきあたしが言った事を気にしてるのかい?」
「そうじゃないんだ。巣を移動する習性なんだろ?って事は巣はどんな所に?」
「ケルケオの巣ってのは産卵と子供が孵るまでだからねぇ。基本は群れでずっと流れるもんだよ、だから今の時期なら巣を見つける事はできるよ。巣の条件が揃えば、どこでも作るようだけどね。」
なるほど、産んで、孵って、移動して暮らして、ミニョルンから逃れて、
またここに戻ってくるっていう流れなんだろう。
まるで魚が川に戻るみたいな習性だね。
「じゃぁ、その巣の条件ってのは?」
「ケルケオは綺麗な水が必要なんだよ。だから湧き水や川が近いと見つけやすいって親から教わったね。あたしは実際にまだ巣を見つけたことはないけどね。」
ふむ、水ねぇ・・・。
綺麗な水か。
「ギュギュパニはこの辺だと、どの辺に巣を構えると思う?」
「う〜ん。どうだろうねぇ?ここのすぐ近くに水場はあるけど、今は綺麗とはいえないしねぇ」
近くの水場かぁ。
まぁ、そこも見ておこうか。
「じゃぁさ?みんなでその水場を見ておこうか?」
「なんだい・・・そりゃ、群れを捕まえる気なのかい?居るとも限らないんだよ?」
「まぁいいじゃん。どうせ此のまま帰るんなら下調べくらいはしてもいいだろ?」
「まぁ、あたしはかまわないけどねぇ」
「俺もポンピカに賛成だ。正直まだ狩り足んねーからな」
「あたしも賛成!成果なしじゃカッコ付かないわ」
「ポンピカ。行きたい」
ウウダギが行きたいっていってんだから行くしかないだろ?
「満場一致だね。では行こう」