ウウダギに会いたい。もう帰ってもいいですか?
手頃な物はっと・・・。
ないから床板を長くへし折って使おう。
バキッ!バキッ!
結構長めに床板を剥がした。
僕の身長と同じくらいかな?
十分魔法陣のそとからヤギ頭に届く。
さてっと。
ブゥン!
ズゴッ! ゴロロロロロロロ。
ビクビク動いていたヤギ頭の横っ面を床板で思いっきり張り倒してやった。
勢いがかなり有ったようで、吹き飛ぶ様にヤギ頭が集会所の壁へと激突して、
口に加えていた水晶玉が床へと転げ落ちた。
・・・。
しばらく様子を見た結果。
集会所内に転がっていた死体の跡がビクビクしていた所、
ヤギ頭が魔法陣から出たためか?水晶玉がヤギ頭から離れたからか?
どちらにしても、ビクビクしなくなった。
ハッとおもい外の様子はどうかとドアを振り返ってみた。
ドアの向こうではまだ動く死体連中が徘徊しているのが影から分かる。
ってか逆光でも骨連中とゾンビ連中ってこう・・・分かるものなんだね。
集会所内の安定はは図れたかもしれない。
後は、原因であろうヤギ頭と水晶だけど・・・。
水晶は転がってるからサッと腰の皮袋に突っ込んだ。
触っても特に何もなかったので良かった。
ヤギ頭だけど、動きは止まっていて、
完全に死んだ頭部だ。
黒ヤギの角の部分を持って見た。
取り敢えず何も無い。
不快感等は感じられないので、
集会所の魔法陣の中へと投入してみた。
今度は動きがない。
以上の事から動力源は今腰の袋に入っている水晶だということが分かる。
しかし、どういう仕組みか悩んでしまいそうで怖い。
確かある種類の水晶は圧力を掛けると電気が発生するんだっけか?
その作用の逆で、電気を流すと振動するってことで、
確か腕時計とかに使われる水晶振動子はそんな原理だった気がする。
この水晶もそんなやつなのか?
ヤギの顎の力で電気を発生させてたとか?
それかヤギの頭が電気を発生させてて、それで振動を?
・・・。
わけわかんない。
なんだろう?
水晶になんかしたらなにか成るのかな?
謎。
まぁいいや。
取り敢えず後は逃げれば良いんじゃないかな?
天井の穴から見える空にはコアトルが旋回してるのが見えるし、
僕一匹で外のゾンビやら骨やらをなんとかするわけでもないだろうし・・・。
ん?
僕がやるのかな?
そう言えば、
ここ数時間ほど、僕の中のククルカンは何も言わない。
言ってる気配がない。
確かここにつれてこられる時にグクマッツが、『混沌』がどうたらいってたっけ?
アレは何だったんだ?
まぁ、どちらにしても逃げるか。
・・・。
いや、その前に一応この魔法陣を焼いて壊しておくか。
死体から出てる油で辺り一面ベトベトだし、
燃えるなら燃やせそうだ。
果たして動物性の油が引火するほどの火力が出るか?
まぁ、いいや、取り敢えず邪魔にならないところの床板をへし折って積んで、
手持ちの火打ち石と木くずから火をおこしちゃえ。
カッチッカッチッ。 チッチッチ。
何時もの火起こしだ。
楽ちんに出来る。
魔法陣から少しずれた所で焚き火を起こした。
その焚き火から燃えている木片を魔法陣の上に積み上げた木材に引火させる。
湿気っているようで中々引火しないけど、
しばらく待ってると、火が立ち始める。
ゆっくりとだけど、
火が魔法陣を燃やし始めた。
多分これで魔法陣は機能しないだろう。
谷くんもなっとくの壊し方だ。
さて、燃え尽きるのを見ていても仕方ない。
どうやってそとに出ようかなぁ?
ドアの影に隠れて外を眺める。
この集会所のまわりに死体連中が集まっているのが見て取れるけど、
この集会所には入ろうとはしない。
ゾンビの奴らは目があっち向いたり此方向いたりしてるけど、
それでも眼球が濁ってそこに収まっている場合が多いため、
視線的なものは感じ取れる。
その様子から見ると集会所を認識しているような気がしないでもない。
なぜかと言えば、顔が此方を向いてジーッとしてたりするタイミングがあるからだ。
かと思うと飽きたようにまた歩き始める。
映画や小説や漫画なんかだと音に反応するっていう場合がほとんどだけど、
此の辺りの死体連中はソレがない。
もし音に反応する場合。
さっき集会所でガンガン床板を砕いたりしてたわけで、
気づかないはず無いんだ。
試しにドアの辺りを内側からノックしたんだけど、
気づかない。
代わりに集会所内にある物を外に放り出すと、
それによってたかり始める。
力の入っているかどうかもわからない手で弄ったりするけど、
結局空振りしてるのがほとんどだ。
骨連中もソレに便乗している。
骨連中のセンサーがどうなっているのかが非常に興味がある。
ゾンビ連中は器官が残って居るから機能してないとは言えないけど、
骨連中は機能してないだろうと予想を立てたいだけどなぁ・・・。
骨連中完全に耳とか眼球とか鼻とか、
そもそも肉ごと削げ落ちて残ってないんだから無いとしか言えないんだがなぁ・・・。
ホントどうやって認識知てるんだろう?
脳だってなさげに見えるんだ。
中には頭部の骨が一部欠けていて、
中が覗いてるわけで、その中を少し見てみると、
脳だったものらしきドロドロがあるだけで、
それもつまずいた拍子に溢れたり知てるんだ。
もう機能してないと言っていいだろう。
もしロボットだと考えた場合。
やはり動力源がどこか?という話もあるし、
それを動かす制御は何処にあるのか?
制御するにはプログラムが必要なんじゃないかなぁ?
まぁ、前世の様なパソコンでのプログラムとは違うだろうけど、
う〜ん。非常に不思議だ。
その謎が解明できるときっとロボット作れるんじゃないかな?
そんな気がする。
なんであんな骨だけで二足歩行出来るんだろう?
ジャイロでも積んでるのかな?
赤外線センサーとか目の奥に有ったりして?
謎だけが溢れてくる。
う〜ん。
これって多分外出たらバレるよね?
取り囲まれるよね?
動き遅いけど、数が厄介だなぁ。
こっからみただけでざっと30匹以上居るし、
骨連中は何でか棍棒を引きずってうろついてる。
・・・ん?もしかしてあの棍棒が本体で骨が付属品だったりして!?
いやいや、くだらない事考えてないで打開策をひねり出さないとなぁ。
そう言えばコアトルはさっきドア前に居たのに襲われなかったね?
何でだろう?
う〜ん。もしかして襲われない可能性もあるってことかな?
でもさっき木片投げただけで群がったよね?
う〜ん。
正解が見えないんだよなぁ。
どういうことだろう?
生き物には見向きもしないとか?
もしそれなら僕は襲われないだろう。
他の理由があるとか?
もしそれだった場合襲われるわけだ。
二択に見えるけど、細分化すると襲われる方が圧倒的に有利だな。
まず襲われると思ったほうが良いわけだね。
じゃぁ、襲われる前に逃げればいいのか?
でもそのうちコアトルに引き戻されそうなんだけど・・・。
何だよあのコアトルってのはさぁ?
迷惑しかかけてこーじゃん。
要らないよね?
あんな翼竜。
図体だけでかくってさぁ。
よくあんな形で飛べるよね?
ホント不条理で理不尽。
文句しか出ないけど、
早々にこの状況を打開しなきゃなぁ。
ん〜ん・・・。
しばらくジットして見たけど、
状況は変わらない。
ただ、閃いたことはある。
簡単なことだ。
あいつ等ゾンビも骨もそしてミイラも纏めて動きが遅い。
骨に至っては、持ってる棍棒が地面の凹凸に引っかかると前へ進めない場合もあるっぽい。
ゾンビは骨よりずっと遅い。
多分肉がついてる分重いんだろう。
ミイラは関節が硬いのか大きな動きが出来ない様に見える。
解決策は、
簡単だ。
全速力で走って突破するだ!
ただ、この案で重要な見落としに成り得る事がある。
コアトルだ。
仲間だと思ってたけど、明らかに敵対行動だよなぁ。
逃げると引き戻されるっていう強制力。
卑怯だよね。
まぁ、もしコアトルと対峙したら仕方ない。
殺っちまうかなぁ。
コアトルくらいなら今の僕でじゅうぶん殺れそうだしね。
もうグクマッツがどうのとかククルカンなんたらとかどうでもいい。
僕はさっさとウウダギの顔見たい。
ウウダギを抱いてヨシヨシしたい。
ってかウウダギ、今どうしてるかなぁ?
早く帰んなきゃね!
じゃぁ、いくぞー!ダッシュ!