漫画じゃ無いんだからさぁ?
魂の世界から現実の世界へ戻るのは本当に一瞬だ。
瞬きをする瞬間に戻る。
戻ると最初にめまいを覚える。
まぁ、何時もの事だし慣れた。
ってかさ?
ククルカンは何で僕の邪魔するんだろう?
現界に戻ってからも心の中で呼べ呼べうるさいんだ。
どうやって呼べば良いんだよ・・・。
叫べば良いのか?
なんて言えばいい?
叫んでもいいなら叫ぶけど・・・。
よくわかんない。
まぁ、ほっとこう。
それにしても、あの集落もうダメだ。
確定してる。
どうせ生き残ってるのはヴァレヴァレ一匹とかだろう。
恐らく死んでしまったスキクの魂は、
あの良くわからない結界と言うか術に使われたのか?
どうだろう・・・。
術の仕組みと言うか全貌すら分からなかった。
何故精神世界に黒ヤギ猿を?
あの黒ヤギ猿が一番謎だ。
なんのために?どんな役割を?
全然わからない。
人工的ななにかなのかな?
それともアレがあそこで発生したバランス崩壊の証拠なのか?
精神世界で何をしてる?
・・・精神世界なんて曖昧な世界だ。
現界への影響なんて微々たるもの。
魂の世界である幽界への影響だってごく少量だろう。
なんでだろう?
ってかこれ僕準備していく必要あるかな?
恐らく精霊さんは助からないだろう・・・。
まぁ、術がどういうのか知らないんだけど、
もし勘の通り、精霊さんが柱になてれば、
もう手遅れだ。
どうにも出来ないだろうなぁ。
う〜ん。
族長がなぁ〜・・・。
何故か精霊さんの事を気に掛けるんだよなぁ。
そのせいで今、こうなってるんだし・・・。
何とかならないかなぁ?
ウウダギはむしろ精霊さんの事好きじゃないし、
他にも迷惑を掛けられたやつは多いけど、
好きだというヤツが居ない・・・。
要らなく無いか?
でも族長がなぁ・・・。
う〜ん・・・。
まぁ、ダメだったって言うにしても一度事実を確かめないとダメだなぁ。
もしどうなったかによっては、対処しなきゃなわけだしね。
ってかさ?
移動の為の乗り物がないんだよ・・・。
どうする?
なんかいい方法ないかなぁ?
良い方法・・・。
ケルケオ捕まえるか?ってか見つけれるのかな?
僕鼻が余り皆より良くない。
・・・。
見つけれる自信ないなぁ。
アンキロみたいなのは痕跡さえ判れば追いつけるだろうし、
捕まえるなら何とかできそうだ・・・。
アンキロじゃ、速度が気に入らないなぁ。
正直今までだって大荷物持ってるからアンキロで仕方ないと思いもしないでもなかったけど、
やっぱり無理だなぁ。
やっぱ、乗り物は早いほうが快適な気がする。
・・・。
早い乗り物・・・。
あ!そうだ!
今度ウウダギにスチームエンジンの話ししておこう。
きっと蒸気機関が出来上がって、
最終的にコンパクトなエンジンが出来上がりそうだ。
他力本願だけど、まぁ、エンジンは必要だし、
できたらもう一気に産業革命待ったなしだな!
それいいなぁ・・・。
100匹程度じゃ仕事が辛いかもしれん。
もっと手が必要に成るなぁ・・・。
この近くに集落無いかな?
ってか、有ったらヴァレヴァレの連中寄り道してるよなぁ。
話しによればココら辺りは僻地な感じなんだそうだ。
なぜかは、知らないと言ってた。
う〜ん。
歩こうか。
それが一番無難だなぁ。
でも何日掛かるんだろう?
それに一個懸念があるんだよね。
今居る所からヴァレヴァレまでの間に谷がある。
大和山が接近しているために切り立ってる場所なんだけど、
まぁ、この辺も似たような場所ではあるけど、
標高がここよりずっと高い。
詰まり、寒いんだ。
人間なら服着て、厚着すれば何とか成るレベルっぽいけど、
僕ら裸のトカゲだからね?
まず、すぐに体温が下がるだろう。
ヴァレヴァレからの連中がその道を通ってないのかといわれると、
通ってるんだ。
じゃぁ、体温が下がったのか?
答えは下がらなかったんだ。
何でだ?っていうのは時期だ。
平地の気温は何故かほぼ一定している。
今居る場所と僕の集落戸では気温がほぼ同じだ。
肌で感じる。
ほぼ同じだと・・・。
まぁ、本来なら温度くらいは僕らの鼻先に有るピットで感じるんだろうけど、
いかんせんセンサーの部類がどうしても人間寄りで機能が微弱だ。
そこが困ってる理由だなぁ。
なので、肌で感じると言った方がわかりやすい。
さて、なんで下がらなかったのが時期かと言えば、
その時期は日が近く、
日照時間がとても長い頃合いで、
ヴァレヴァレの連中は知ってか知らずか、
その時期を狙ったようだ。
他のタイミングがなかったとも言えるようだけど、
要はタイミングが良かったんだね。
さて、今の時期はと言うと、
これでも天気が一定で、ジャングルだからどうだとかはあるけど、
今の頃合いは少し涼しいくらいだ。
そう、恐らく谷は寒い。
寒くて、恐らく僕は冬眠できるならしてしまうだろう。
それは非常にまずい。
出来るなら谷を通りたくない。
何とかならないか?
こんなに体を鍛える日々が続いている中で、
何日も同じ結果にたどり着く。
一匹であそこは通れない。
服でも作って、毛皮でも着て、カイロでも懐に詰め込まなきゃ無理。
・・・。
今度ウウダギに言ってカイロ作ってもらおっと。
話がそれるなぁ。
考えても仕方ないよなぁ。
でもどうしても谷は無理だよなぁ・・・。
戻りたいなぁ・・・。
・・・。
ってかさ?さっきから、
激しく『呼べ』ってうるさい。
ククルカン?なぜそんなに呼ばれたいわけ?
しょうがない。
一度呼べるか確認もしてみよう。
ってか、方法すらわからないけどw
取り敢えず叫んでみるか。
「ククルカン!いでよ!」
・・・。
全然ダメじゃんか!
どーやんだよwww
一回試した為に、
ククルカンもなんか期待してる雰囲気が・・・。
え?まだやる感じ?
しょーがないなぁ。
「招来!ククルカァ〜〜〜〜ン!」
ちょっとカッコつけてみた。
けど無反応。
ダメじゃんか!
ってか、周りに誰も居なくて良かったぁ。
ウウダギとかパパムイに見られたらちょっと立ってられないかもしれない。
泣いちゃいそう。
なのに僕の中のククルカンは期待がますばかりだ。
くっそ!こうなったらやけくそだ!
「カモーン!ククルカァーン!」
「来たれー!ククルカン」
「出てこいよー!ククルカーン!」
「ヘイヘイヘイ!此方だよ!ククルカン!」
「ククルカン!君に決めた!」
・・・。
もうヤダ。
なんで僕こんな事しなきゃいけないんだよ!
帰ろうかなぁ・・・。
もう精霊さんどうでもいいよ。
僕自身のメンタルがヤバイ。
・・・。
僕の中のククルカンがなんか首かしげてる感じがする。
違うのかなぁ?
呼べって言ってるから呼んだのになぁ・・・。
ん?
もしかして、
今頃気づくとは・・・。
コアトルを一匹でも呼べたら、
僕乗って飛んでいけるんじゃね?
・・・早いじゃん!
すごいじゃん!
行けそうじゃん?
期待が膨らむねぇ!
飛行機ならぬコアトル・・・シャトルみたいでいいね!
おおお!
いいじゃん!
ちょっと頑張ってみよw
「オイデマセ〜。オイデマセ〜。 おいでませ〜。コアトル〜」
・・・。
やっぱダメか。
バリッ!
バリバリバリ!
vigigigigigigigigi・・・。
僕の頭上の方で、ものすごくバリバリと言う音がする。
咄嗟の事だったので、
崖の下に隠れて様子を伺うと、
さっき僕が立っていた辺りの真上に真っ黒い線?的な物がたくさん集まって、
ソレがどうやらバリバリ鳴っている様子だ。
しかも塊がいつくもあって、その数大体30前後・・・。
いやパッと見て、33個有る。
音はまさに雷的な電気的なバリバリ感だ。
次第にバリバリの塊が縦に纏まり、
何ていうか空に傷口ができたような印象・・・!?
あああ!
バリバリの傷口から嘴でてきた!
ってこれ、ククルカンの嘴じゃんか!
えっ?
なにこれ?
漫画?
アニメ?
現実味がないけど・・・。
なんかすごく辺りが焦げ臭い。
見てる光景が漫画なのに、雰囲気はリアルだ。
ヤベェ。
こんなのどうすんだよ?
なんんだこれ?
コアトルも出てきた・・・。
一番でかい傷口からグクマッツが・・・何度見ても蛇だ。
ど、どうすればいいの?これ。
コアトルが尻尾まで傷口から抜け出してきたら、
皆で地上に降り立ってきたぞ?
僕を囲む感じじゃないか?
怖い。
正直こんな光景を見るほうが怖い。
何だよあのバリバリ!
SFチックだし、自然現象でそんなこと起きないだろ!
気が充満してるからか?
この世界ではあり得るのか?
わっかんねぇ!
(眷属よ。混沌は何処だ)
頭の中で響く声。
心の声とは別だ。
まさに声が頭の中で響いて鼓膜を揺らしているような感じだ。
音だと分かる。
ってか、混沌?
そんなの何処に・・・。
(眷属よ。相分かった。お前を連れて行こう)
話がかってに進んでる!
逃げるか!?
なんかヤバイし!
僕が走り出そうと後ろを向いた途端。
身体が硬直して言うことを聞かない・・・。
なんだよ!
何が起きてるんだよ!
僕何に巻き込まれてるの?
え?・・・ちょ・・勝手に・・・かってに体が!?
後ろ向きのまま、
器用に後ろに歩いていっているようだ。
僕の意思に全然言うことを聞かない!
僕の体なのに!
なんかさっきから四肢が麻痺してるような感じだし、
何ていうか僕が小さく鳴ったようなそんな気がする。
ええ?どうなってんの?
声も出せない。
・・・。
有無を言わさず、
僕が勝手に一匹のククルカンの足に掴まれた・・・。
グクマッツがそれを見ると、
なんの抑揚も無くするっと空へと飛び立つ。
グクマッツって飛ぶ時持ってる翼で羽ばたくのかと思いきや、
一切翼を打たないのね。
・・・それどころじゃない!!
僕が蚊帳の外で、
なんか起きてる!
僕巻き込まれてるのに何もできないぞ!?
ってか、空とんだけど、
こないだぶりだ。
空は寒い物だけど、
何故か寒さを感じない。
なんで?
もう疑問だらけ。
何が起きてるかさえ分からない。
そもそも何だよあのバリバリ!
何だよ「相分かった」って!
なんで僕の体が言う事聞かないんだよ!
いつの間にか、山を越えるほど速度が出てる。
目は動くらしいけど、口も鼻も耳も感覚がない。
目だけことの成り行きを見守るしか無さそうだ。
・・・。
諦めが肝心だよね。
これ、混沌がなんだかんだ言ってたのは、
多分ヴァレヴァレの集落で起きてる事だろう。
そして、心の中で、なんとなく伝わる。
目的地がヴァレヴァレだということが・・・。
されるがまま。
正直悔しい。