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決死


追ってきて、此の距離で逃げれないならいくら走っても、

逃げるのは無理だ。

だって、こっから先は草原だもの・・・。


ティティムが慌ただしくパニクってる。


「ポ!ポポ、ポンピカ!」

「多分大丈夫だよ。襲うならもうさっき襲われてる」


「何いってんだ!見つかっちまうだろっ!」

「だから、もう見つかってるのっ!」


「みつ・・・マジかっ!」

「ティティム騒ぎすぎ。あのコアトルっていうのは知性が有るタイプ?そうじゃないタイプ?見て分かる?」


「・・・随分大きいコアトルだ・・・くちばしが着いてるってことは、多分”ククルカン”だ」

「わかんない単語が出ると混乱するんだよ。ようやくしてほしいんだけど・・・」


「あのコアトルはククルカンで間違いない。ククルカンが知能を持っていないはずはないぞ」

「なるほど・・・」


僕らを見逃さないようにか?

僕らの真上で旋回をしているククルカンとか言う翼竜・・・。


翼竜だよね?

でも羽毛っぽいのが見えるなぁ・・・?

鳥か?


鳥にしちゃデカイ。

ってか頭だけでキリン位有るぞ。

ありゃ、クロデルの身長位の嘴をもってるなぁ・・・。


それに対して身体は、随分貧相だ。

小さいと言っていいだろう。


首が長くて顔が長い、

胴体はそこそこの大きさだけど、

翼は・・・しっかり羽毛がついている。

羽ばたいてるところを見ると、鳥にちかいな・・・。


ティティムがソワソワして今にも逃げ出したそうにしている。

僕よりぶっちゃけ二倍位背が高いのに・・・。

僕より、力がずっと有るのにだ。


「ティティム?どうした?」

「どうした?じゃねぇ!逃げねーと!」


「だから逃げれないよ。ここもう草原だよ?空からじゃ隠れるところないよ」

「じゃぁ!森に逃げ込もう!」


「それでもダメだよ。さっき僕を担いで走ってきたけどずっとついてきたしね」

「じゃぁどーすんだよ!」


「少し此のまま待ってみよう」

「なにっ?頭可怪しいのか?」


「僕はコアトルがそんなに怖くないんだ。知能が有るんでしょ?知性も有ると思うんだ」

「そりゃ有るだろうが・・・襲われるぞ?」


「多分襲わないんだよ・・・僕の予想が合ってたらだけどね」

「・・・ポンピカの力ってやつか?それで分かったのか?」


「まぁ、そうでもないけど、取り敢えず待っても大丈夫だと思う」

「っく!わかった!オレも待つっ!」


いや、ティティムは待つしかないよ?

ってか此の場で自分だけ逃げようとか考えてた?もしかして・・・。


ちょっとティティムを凝視してると、

恐らく僕の予想は5割は合っていたのかもしれない。


そらから、ゆっくりと大きく旋回しながら草原の中へとコアトルが降りてくる。


降りる際にはまぁ、すごい風が舞って、

埃と言うかなんと言うか風圧が凄かった。


ってか僕らのすぐ側まで降りてきたわけだけど、

こうしてみるとクロデルよりデカイ気がする・・・。


と言うか嘴と顔だけで、クロデル位有るんだ。

更に後ろ足がコウモリぽく短いけど自重を支えるくらいの働きが有る様子が見れる。

翼はプテラノドンの様な鉤爪がついてる感じで、

それを器用に使って、地上では足と手で四足歩行をしている。


羽毛がついている。

と言っても鱗も見える。

体の半分若干お腹よりは鱗になっているけど、

恐らく背中は羽毛だ。

変な動物だなぁ・・・。


顔が僕らを見下ろす。

その顔には、大きい頭に比べ、

かなり小さい眼が嘴との境目にちょろっと見え隠れしてるくらいだ。

アレで視力足りてるのか?

ってか、パッと見、大きさを考えなきゃ変則的なペリカンにしか見えない。

嘴の作りと言うか顔の作りが多分動物園で見たペリカン系に似てる。

多分顎の下辺りに袋がついてるはず。


頭には飾り羽のようなものはない。

体色は主に茶色・赤・黒・黄色ポイントできらめくエメラルドグリーンはパターンで入ってる。


正直大きさもそうだけど、何より迫力が違う。


僕がボケーッと見とれている内に僕とティティム・・・ティティム?

後ろを振り返ると既に五体投地状態のティティムが居る。

草原に寝そべってるようにしか見えない。


完全に降伏してる・・・何も起きてないのになぁ。


しかもブツブツ言い始めてる。

声が小さすぎて低めの声が念仏を唱えてるとしか聞こえない。

ってか、なに言ってるんだろう?


ククルカンをほっといて、興味の有るティティムの側に寄る。

僕が寄ってくとビクっ!と成ったりブルブル震えだしたりとまぁ、どうなってるんだろうね?


襲われる様な相手なら既に襲ってるってわかんないかな?


気を取り直してっと、取り敢えず話しかけるか・・・。


「えーっと・・・。御用ですか?」


僕の言葉に小さい目が開かれる。

小さいつぶらな目を見ると知性が有るように思えなくもない。

取り敢えず僕の話を聞きますと言っているような気がしないでもない・・・。


「えーっと、シャ・グギはどうなりました?」


シャ・グギに反応したのか?

それとも言っている言葉を理解したのか?

良くはわからないけど、ククルカンは急に動き出した。


大きな足で五体投地のティティムの腹を鷲掴みする。

続いて、僕のお腹をでっかい嘴でつまんで躊躇なく空へと飛び上がった。


いやぁ・・・あれだ。

生身でこんな高いところ飛ぶのはじめてだわ。

スカイダイビングデモした経験が有ればいいんだけど、

いかんせん前世は学生さんでしたからね。

しかも休みという休みは家のバイトしてたしなぁ。


レジャーな経験って殆ど無い。

しいて言えば、じいちゃん所に連れてってもらえばサバイバルとかやらされてたかなぁ?


そんくらいだ。


今僕は空を嘴でつままれながら飛んでる。

ぶっちゃけ雲より高く飛べそうな体つきに思える。


下に居るティティム・・・は、既に気絶して泡が垂れているし、

まぁ、尿糞はさっきの草原に全部ばらまいた感じだしなぁ。


飛行の経験ってのは積んどいたほうがいいものかな?

良くわからないけど・・・。


そうこうしてると見覚えの有る蛇岩の直下へと連れてこられた。

此の流れは恐らくなんかの会談と言うか話を聞く流れだろう。


まぁ、コアトルが話せればだけどね。

ククルカンを見ると話せないんじゃないかと思う。


どうやってコミュニケーションとればいいんだろうなぁ?


降ろされる際、

放り投げるように離されたけど、

何とかうまく着地できた。


ティティムは気を失って泡吹いてるから受け身もとれないで地面に激突してる。

かなり痛そうだ。


着地したはいいけど、

まぁ、考えていた事態寄り恐らく深刻な状態かもしれない。

ティティムが気を失っているおかげで周りを刺激しないで済んでいる。


僕等が降ろされた場所は、

蛇岩の根本の崖下だ。


辺りは異様な雰囲気になっている。

一言で言えば、殺戮現場。


どうやらシャ・グギはコアトルに殺られたみたいだ。

亡骸が集められて小さい丘の様に積まれている。


この積み方と言うか積んだりする”思考”は明らかに知性を感じる、


亡骸の他には崖上にありえないほどデカイ蛇が首だけ僕らの方へと垂れて、

僕らを其のデカイ顔でジッと見据えている。


多分これがボスだ。

そして、さっき僕らを摘んできたのが、

ククルカンと言うらしい奴ら・・・。

このククルカンは4匹しか居ないがそれでも皆一様に同じ生物らしい。


バカでかい翼竜と鳥の間の子っていうのがベストだと思う。


そして、通り巻きってわけではないけど30羽ほど居る。

殆どプテラノドンと言っていい生き物。

コイツ等はやたらとギャァギャァと鳴いている。

大きさはティティムより少し小さいか?

でも僕からしたら大きいと言える。

ただ、騒いでるだけで襲ってこない。

それに小さいコアトルはなんていうか知性を感じない・・・。

本当の動物に見える。


明らかにククルカン4匹とあの蛇が仕切り役だ。


さて、困ったねぇどうなるんだろう?


何をどうすればいいのかわからない状態で、

ただ時間がすぎる。


大きい蛇は僕から目を離さないで、

じっと此方を見ているだけだ。

視線を感じる。

なんか吸い取られてる気分がして居心地が悪い。


ずっと見られるのも癪なので、

僕も見返すことにした。


大きい蛇から見よう。

目の前で蛇がデカイ顔からチョロチョロと太い二股に別れた舌を出している。


鱗の色は白・・・いや、なんか変なラメが入ってるぞ?

質感がなんか塗装された車みたいな煌めきが有る。


質感が生き物っぽくない。

白色の中に灰色の筋が入っていたり、

より濃くて暗い灰色で模様が入っていたり、

銀色の筋が揺らいでいたりと、

目まぐるしく変わる。


目はまん丸で、

赤い縁に真ん中の瞳孔がやや赤みがかった黒だ。


顔は何処からどう見ても蛇で間違いない。

もし小さい個体だったら飼っても良いかもしれない位の可愛さは有るなぁ。


ただ、明らかに蛇と異なる部分が有る。

普通蛇っていうのは肩が無い。

この蛇は肩が有る、終いにはそこから極彩色の羽に覆われた翼が生えてる。


さっきまでずっと蛇だと思ってたけど、

これ多分純粋な蛇じゃない。


翼が生えた蛇なんか前世でも見たことがない。

こりゃ違和感だらけの生き物だなぁ。


顔の後ろ、後頭部の辺りから銀色の毛が生えていて、

ソレが尻尾まで続いてそうだ。

尻尾の先がたまに揺れて見えるけど、

尻尾にも尾翼みたいな飾りが入ってる。


多分だけど、この集団は飛んで移動するんだろう。

明らかにボスであるコイツが飛べないはずない。


しかし、なぜ何もしないで僕をジッと見てるだけなんだろう?

ティティムには見向きもしない。


「う、ぅうん・・・。 もう飯かぁ?」


ティティムすげぇ。

泡ふいてからの寝起きってどー成ってんだよコイツ?


お?

目を開けそうだ。


「ん〜? ポンピカ。もう起きてたのか・・・はえぇな」


早いとかそんなのどうでも良い。

多分、また気絶するんじゃねぇ?


「あれぇ?ここは何処だっけ?ポンピカ、ここ何処だ?」

「ティティム何時頃から憶えてない?」


「・・・!」


僕の声に反応して周りを見渡してすぐにガクガクと震えている。


「連れてこられちゃったw」

「!!!」


ものすごく嫌で

ものすごくビックリしている。

まぁ、そんな表情が見て取れる。

表情が分からない僕でさえだ。


「ティティム。どうやらここでお話をすると思うよ」

「はぁ?ってか・・・お前、怖くねーのか?」


「ククルカンだっけ?これ」

「能無し!お前の前に居るのは”グクマッツ”だ!コアトルの親分だ・・・」


能無しに能無し呼ばわりされた。

そしてまた新しい単語。

ククルカンと語呂が似てないか?


「・・・こうなってどのくらいだ?」

「ティティム。寒いの?」


「良いから・・・寒くわねーよ。怖えんだよ!」

「そーだなー?ものの30分くらいはにらめっこしてるかなぁ?」


「おまっ・・・良く耐えれるな?」

「ティティムだってわりと耐えてるじゃん」


「オレそろそろ気を失うぞ。さっきからもう何がなんだか・・・」


わりとこういう状況に耐性が有るのかな?

ティティムが同伴で良かったかもしれない。

ただ、騒がないでほしいなぁ。


そのグクマッツだっけ?を刺激しちゃうからさ?


僕とティティムがやり取りしているのを眺めていた蛇が、

おもむろに僕らの後ろに控えているククルカンの一匹に視線を移し、

なにやら指示を出したのだろう。

ククルカンが動き出した。


四匹のククルカンが左右2対2に別れ、

まるで何かを迎えるような通り道が出来上がる。


通り道の奥から、

見上げるほどに大きな・・・って、マジかよ。


「お!おい!ポンピカ!」

「ああ、多分アレがそうだね」


のっそりと通りを通って現れたのが恐らくシャ・グギだ。


最初僕はT-REXと勘違いしていたが・・・。

恐竜にある程度詳しければ特徴を見て判断が突くはずだ。

コイツ、多分ゲームとか映画で出てきた奴。

スピノザウルスだ。


そうスピノなんだよ、どう見ても・・・。

誰だよT-REXとか言ってたの・・・。


それにしてもゲームとかより少し印象が違うかもしれない。

顔が鰐に酷似してるのに、

二本足で歩いていて、前足がある程度発達している。

背中にヒレがついていて尻尾がかなり長い。


デカすぎないか?


本当にティティム5匹は寝そべる位、

体長がある。

もうちょっと有るかもしれない。


流石に僕もちょっとビビるぞ・・・。

顔は獰猛そうで目がやや小さめ、

知性を感じさせない輝きが有る。


制御が効かない動物って言えば分かるかな?


そんな獰猛さがにじみ出てる。

ってかアイツの糞を塗りたくられたのか・・・正直キモイ。


「ポ!、ポ、ポ!ポンピカァ!どーすんだこれ?オレどーすればいい?どーすれば・・・」


ティティムが盛大に”アワワ”し始めた。

何を意図してグクマッツはこれを呼んだんだ?


あのスピノ眼球からほとばしる輝き、

ありゃ、かなりお腹減ってるんだろう。

そりゃそうだ、5日前に糞をしてソレっきりだとティティムが言ったわけだ。

詰まり腹が減ってるんだ。


恐らく何らかのタイミングで、

コアトルが襲来してっていう流れの後、

スピノは餌にありつけていなかったんじゃないか?


ふと、後ろの方で動きを感じる。

振り返ると、グクマッツが、アレと勝負しろとでもいいたげに、

首を振って僕を前に出そうとしてる。


「お、おい!ポンピカ?準備も無く行くのか?」


ティティムはなんで僕をそのまま行かせたいの?


「取り敢えず、オレに着いてるクソで匂いだけでも隠せっ!」


もう糞の下りはいりません。

ソレにもう見つかってます。


ってかさ?攻略方法見つかんないんだけど・・・。

あれ?年貢の収めどきかな?

僕殺られちゃうんじゃない?

ウウダギ残して?


・・・それは出来ない相談だ。

逃げるか・・・。


後ろへ目を少し向けるとグクマッツがジッと見てる。

逃してはくれそうもない。


できれば毒矢で遠距離からこっそり殺りたかったんだけどなぁ。

なんだかんだ言って、腰の小さい皮袋には毒を染み込ませた綿が入っていて、

その綿に武器を滑らせれば、麻痺毒が付与される。


手元の武器で何とか出来るかなぁ?

ブレイカーやカランビットは恐らくあの皮膚をキレるけどたかが知れてるし、

内臓まで達する傷を作れるか?と問われれば、無理と答える他ない。

詰まりナイフ類は全部アウトだ。


手元の刺突武器も・・・恐らく柔らかく且つ内臓に近い薄い場所を狙わないと効果は皆無だろう。


一文字手裏剣も結局目玉にクリーンヒットしたら視力を奪えるけど、

皮膚は恐らく傷を付けれないだろう。

まぁ、投げるだけでも隙あらば投げるかぁ。


あの巨体だしなぁ、

それに目のついてる位置がわりと横側だ、

つまり、正面を捉えるために顔をそむけないといけないわけだね。

ティティムはシャ・グギが、鼻で判断する様な話をしている。

其のために僕は糞を擦り付けられたんだ。


鼻がいいけど鼻が効かない状態だと言える。

めで追うしかない場合、側面の目は余り得策じゃない。

ならば攻撃される機先はわかりそうだ。

後は動きが機敏でないことを願うしかなさそうだ。


まぁ、逃げることは出来な上に正面も死しか感じられないっていう最悪の状況だけど、

どっかに活路が有るはずだ・・・。


僕がこんな事を考えている瞬間、

殺気を感じた。

殺気に反応して後ろへ高めにジャンプして正解だった。


シャ・グギが長い尻尾で横薙ぎをしかけてきた。

かなりの速さだ。

しかも予備動作が見えなかった。

かなり俊敏な動き科身体捌きがいいんだ。


群れのボスならそれなりに鍛えているか性能がちがくて当たり前だな・・・。


また殺気!

斜めからかなり強めの殺気だっ!


サッと前進するように頭をかがめてシャ・グギの懐へ!

一気に距離を詰めた。


今まで僕が居たところには、

シャ・グギの大きな顎が空を噛んだだけで済んだ。


一瞬判断を見すればお陀仏って此のことだ。

じいちゃんはこういう時は勘が大事だぞと言ってたけど、

まさに今がそれだ。


シャ・グギの懐は前足が届く距離だ。

前足でも当たれば僕は即ミンチ確定だ。

だけど、後ろ足に比べ、

前足はT-REXの化石よろしく、

若干小さい。


四本足で歩けるかと言えば歩けるだろうけど、

前足で自重を支えるほどの筋力は腕の筋肉の尽き方から見て無いと見た。


更に胸の真ん中。

ちょうど僕が隠れることが出来た場所だが、

そこには鳩胸ならぬ突起上に胸骨が飛び出ている。

若干骨ばっている様子が見て取れるけど、

それでもそこに胸肉やササミが恐らく詰まっているだろう・・・。


かなりの胸筋だ。

恐らく前足よりも、顔が長い分、

胸骨部分の筋力で支えてるんだ。

だから変な筋肉の付き方だんだろう。


それどころじゃない。

これ、一撃もらえば即死だぞ!


一番が手の届かず、足も届かず、

顔も尻尾も届かない胸の辺り、

本来なら一番柔らかく、

防御をしなければならないはずだけど、

このシャ・グギは胸骨が異常に発達しているせいで、

防御も底なしだ。


これ、どうやって攻略するんだよ!?


少し、考えにふけってしまったのがイケなかった。

シャ・グギがすぐに体勢を翻し、

いつの間にか顔が僕の前方に有ることに気づいた。


思いの外機敏だ!

ヤバイ!


次の瞬間、シャ・グギの頭突きを食らう。

ぶっちゃけ前世でもそうだけど今生でもここまでの衝撃を受けたことがない。

頭が持っていかれるかと思うほど、激しく吹き飛んで、

受け身も少ししかとれない状態で、崖の麓へと吹き飛ばされた。


意識が飛ぶかと思ったけどここまで派手に飛ばされて、

背中がこんなに痛いと、逆に意識がハッキリしてくる。


次は多分仕留めに来るはず。

いまの一撃で、既に僕の足がガクガク言ってる。

だめだ、これ勝てねぇ。


じいちゃん・・・僕ちょっと無茶しすぎたかな?


「ポンピカ!」


ティティムが叫んでる。

でも、これは僕がやる”問題”ってことだし、

まぁ、流石に無謀だったね。


ウウダギ残して逝っちゃうのは忍びないなぁ。


痛みが酷く、

背骨の辺りが妙に刺す痛みが有る。

もしかしたらヤッちまってるかもしれない。


もしここで僕が負ければ、

恐らくティティムも命はないか・・・。

まぁ、ティティムはどうでもいいな。


やっぱりもう一回ウウダギに会えないというのは、

それは出来ない相談だ。


にらめっこが続く。

相手は僕が崖に張り付いてるため、

口先を使っても引きずり出せないでいる様子。

どう噛み付けば、いいか思案しているってところか?


もうしょうがない。

やったことはないけど、こんな事、

ゲームやアニメとかじゃなきゃありえないと分かってるんだけど、

でもそれしか方法が無さそうだ・・・。


ブレイカーとカランビットで背後の壁へよじ登る。


「ポンピカ!?壁に登ってどうするんだ!」


ティティム?取り敢えずお前黙れよ。

今、決死の覚悟ってやつだ。


シャ・グギは僕を目で追い、口を開いて居る。

さも落ちてきたらそのまま食ってやるとでもいいたげだ。


シャ・グギよりも高い位置、

更に傾斜が90度を声、逆さまに成り始める。


学校や遊びでフリークライミングみたいなことはほんの少しやっていて良かった。

道具のおかげで危なからず、此処までこれた。


舌では、シャ・グギが間抜け顔で、口をパックリ開けている。

しかも全開である。


丸呑みして済ます気だ。


・・・じゃぁ、お言葉に甘えて・・・。


「ティティム。取り敢えずもし戻らなかったら何とか集落まで逃げてくれ、ウウダギにゴメンって」

「なにいってんだ!勝つんだろ!」


「・・・ちょっと、厳しいや」

「なっ!」


それを最後に、

僕はシャ・グギの口の中に向かって勢い良く壁を蹴りつける。


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