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前情報ってのは仕入れるべき


夜、ティティム以外寝てしまったのを見計らって、今回は意識ではなくヴァン、

魂を自分の集落へと飛ばす。


今回は、オルガに話を聞けばいいだけだ。

夜ならオルガの主導権の方が強い。


なので、結構頻繁にオルガと反したい時はこうやって話を聞いている。


今回も例にもれず魂を飛ばす。

少しの間なら別に仮死状態でも問題はないはずだ。


自分の集落への道程は自ら刻んで来たわけだから、

時間がかからない。

すぐに集落へと魂を移す事が出来る。


集落は寝静まっている。

ただ、集落の中央に設けている食堂広場では、

遅いけど族長と年寄り数匹が焚き火を囲ってお酒を呑んでいる様子が見れる。


其の集団の中にはギュギュパニが居ない。

ならばハンモックに居るだろう。


そう思いハンモックへと場所を切り替えてみたが、

ギュギュパニの姿がない。


はて?と思ったが多分、採掘所か鍛冶場だろうと思った。


鍛冶場のほうが知っているのですぐ移動して見れそうだと思い、

すぐに移す。


鍛冶場は集落の端っこの川に面しているので、

中央からは完全に見て取れない。


僕は魂を移したが、

夜中だと言うのにまだ動いているスキクが5匹ほど居た。

其の中にはギュギュパニが居ないのがすぐに見て取れた。

だけど、鍛冶場の熱気と言うか熱意がすごく伝わってくる。

ちょっと見惚れてしまいそうになったが、ぐっとこらえた。


すぐに採掘所へと・・・。

多分ベネネズやベルルベの穴を埋めるために、

ギュギュパニが駆り出されているのかもしれない。


現在の採掘所は、以前のすり鉢状の場所ではなくなっている。

この前寄った時に正直下を覗くのが怖くて断念したくらいだ。


知らない場所経は自力でしか行けない。

僅かな距離であっても知らない場所を目指すとそれなりの手順が必要に成るらしいと気づいた。


若干怖さがあるけど、

採掘場の穴と見られる場所の横にある掘っ立て小屋の中へとスルッと入ってみる。


掘っ立て小屋だと思っていた場所は、すぐに下への階段となっていたようだ。

明かりが一切ない。

正直何処を目指してるのかわからないけど、

周りの土は漆黒すぎて、ちょっとわからない。

魂だから壁や土岩だって関係ない。


スルッと透き通ってしまうのだ。

だけど若干の抵抗はある気がする。


階段を降りるように魂を運んでいく。

暗い中階段を降りるのはもし実際ならば足がすくんでしまいかねない。

実に怖いけど、落ちるとかは魂には関係ないからね。


グネグネと折返しが続く階段の中を降りていく最中に気づいた。

下へと動くと下のほうがだんだん明るく見えてくるんだ。

新しい発見だと思う。

地下へと魂を移していくと、地下は明るいんだと初めて知った。


周りにある岩や土砂なんかの隙間と言うか所々から淡い光が漏れているような印象を受ける。


地下の暗い中で、周りがキラキラと星のようなものが所狭しと・・・。

感傷には浸らないけど、それでも壮観な感じがする。

これはコレでいいと思う。


・・・本題がまだだった。

地下へと移動すると、

最下層の辺り・・・ってかやっぱり危惧していた事が起きていた。


これ、本当に数匹で掘ったのか?

まぁ、鉄鉱石やいろんな原石鉱石を種類別で分けたりしている様子が見て取れるけど、

すり鉢状だったあの場所が完全に円柱状の縦穴になってるかと思えば、

その縦穴の横に部屋っぽいのがズラリと掘られていて、

足場までついてる。

足場はこれは・・・竹だな。

竹の乾いた物をうまく組み合わせているようだ。


縦穴はざっと見ただけで・・・ひぃふぅみ・・・30mは有るなぁ。

マンションくらいの高さだ。

これ・・・どうやってんだろう?


彫り抜いただけだとしても・・・えぇ〜?

出来るの?


まぁ、出来たとしか言えないんだ。

目の前に有るんだし・・・階層別になってる様子が見れるし、

階層が10階層ある。


まぁ、やっちゃったもんは仕方ないけどさ?

こんなに掘ると呼吸とか難しいよね?

ギュギュパニやバルバルとか大丈夫か?

呼吸できてる?

ってか、二酸化炭素が溜まったりするだろ・・・他の有毒なガスだってでてないはず無いんだしさぁ?


ここは危険だ。

専門のスキクだけの許可でやろう。


取り敢えず今起きている驚愕な事態はぐっと飲み込もう。

帰ってきたら問い詰めればいい。


さて、オルガっと・・・どこかなぁ〜?

ん〜?


隅の方の部屋だけ明かりがついてる、

っていうかドアが付いていて隙間から光が漏れてる。


多分そこだろうと思い魂を移す。

案の定ギュギュパニが居た。

けど、ギュギュパニは熱心に僕が作っておいていった金属のカスタムナイフを眺めている。

目が怖い。


今にも舌なめずり思想な感じで顔に近づけては目を凝らしたり、

色んな角度で見てみたり、指で刃の部分を少し触ってみたりと色々と見ている。


ってか早く寝てくれないな?

オルガにようがあるんだけど・・・。


カスタムナイフをねぶっている最中に眠気がかった様子。

かなり時間を要したけど、ギュギュパニ就寝。

ってかさ?地下なのにはんで天井の方にあるハンモック使うんだろ?

まぁいいか・・・外のハンモックはどうするんだろう?

まかいいか・・・疑問しか出ない。

あれだなぁ、気づかれずに他人と言うか、

他のやつの生活を覗くっていうのは思いの外、業が深い気がする。


寝息を立て始めたのを見計らってギュギュパニの胸元で転がってるオブジェに問いかけた。


「オルガ?居るでしょ?オルガ〜?」


返事がない・・・ってか寝息しか返ってこない?

あれ?成仏しちゃったか?


「オルガ〜?天へ召されたか?居ないようだけど・・・」

「・・・なんだい?寝てる所に・・・お前いつもこの時間くらいに来るねぇ?暇なのかい?」


どうやら魂だけになっても寝るらしい。

これも初めての発見だ。


「あーちょっと聞きたいことが有ってさ?」

「ん?そう言えばお前、シャ・グギに挑戦するんだってね?大丈夫かい?」


「大丈夫かどうかはオルガのお話聞いてからかな?」

「・・・で?何が聞きたいんだい?」


「シャ・グギのテリトリーの広さとかさ?どの辺りに巣があるのか?とか知ってるかな?」

「そりゃしってるさ。古い情報だけどねぇ」


コリャラッキーじゃね?


「教えて」

「あー、ベネネズは?なにか言ってたかい?」


「いや、特に・・・”らしい”的な話は幾つか聞いたんだけど」

「”らしい”ってなんだい? ったく、物覚えが悪い子だねぇ・・・で?巣の場所だったかい?」


「うん。生態と言うか習性もしってるなら教えて欲しい」

「ああ、いいよ。まずは場所だね・・・今お前はどの辺にいるんだい?」


「かなりシャ・グギの近くに来てる気がする。多分数日中にはテリトリーらしいって頃には入るらしい・・・」

「らしいって・・・」


「ん〜。まぁいい、確かシャ・グギってのは”木々”と”岩”がシッカリしている暗がりに巣を作るんだよ」

「木々?岩?」


「そうだね。あたしが随分前に知った場所は山に近い切り立った岩場の横の苔むしって、木々が密集しているっていう変わった場所だったね」

「行った事、有るの?」


「そりゃあたし位になると怖いもの見たさっていうのかねぇ?一度はその顔を見ておきたいもんだよ」

「へぇ〜・・・。で?見たの?」


「ああ、見たさ、だからこの辺の集落全体にシャ・グギの”問題”がでたんさね」

「・・・えっ?じゃぁ、オルガが見つけてなきゃそもそもこんな事にならなかったと?」


「・・・あんた上手いこと言うねぇ! そういう事だねぇ!」

「・・・元凶・・・オルガじゃん・・・色々とやちゃってんじゃない?」


「なんだい?言いがかりはよしとくれよ」

「まぁいいや、で?目印とかないの?」


「目印?そりゃ、あれだ、”蛇岩”だねぇ」

「蛇岩?なにそれ?」


「蛇の頭みたいな岩が地面から太陽めがけて突き出してる場所が有るんだよ。その近くさね」

「・・・それだけじゃ・・・ってかテリトリーは?」


「テリトリーは、巣とは離れているねぇ。確かよく獲物を横取りするもんだから他の動物が食い散らかす場所ってのが有る。其の近くに身を隠してることが多いねぇ」


蛇岩の頃に巣があって、

当の恐竜は別のお頃で狩りに興じてるっと・・・。

面白いね。


「じゃぁ、何匹位で固まってた?群れを作るんでしょ?」

「群れと言うほどじゃないけど、まぁ、そこそこの数は居るはずだねぇ。あたしが見た時は5匹しか居なかった。一番でかい雌がリーダーさね」


雌がリーダー?雄じゃないのか・・・。


「雌が自分の気に入った雄を侍らせて作るのがムベンベだ。あの種類は雌が雄より三倍は大きいからねぇ」


デカすぎじゃない?


「・・・因みにどのくらい大きいの?大きいとは聞いてるけど」

「ん?この部屋では入りきらないねぇ。頭から尻尾までで大体大きいティティムが5匹寝そべったくらいかねぇ?クロデルなら3匹か・・・まぁそんなとこかねぇ」


ん?ティティムって3m有るよ?

3mの5倍だろ?

15mってこと?


クロデルも5m有るよね?

3匹で・・・15m。


15m有るってこと?


・・・。


無理じゃね?


「ちょ・・・聞いてないんだけど・・・そんなにデカイなんて・・・」

「まぁ、デカイけどねぇアレは鼻は効いても、目がダメなんだ。ありゃ匂いがごまかせれば、側にだって寄れるってきいたよ」


いや、寄るつもり無いんだよ。

遠間から毒で仕留めるつもりなんだけど?


どうしよう・・・。

勢いで出てきちゃったけど、

此のままじゃ確実にあの世行きだ。


ふむ・・・。


「オルガは見たんだよね?」

「そりゃね」


「近づいたの?」

「ああ!もちろんさっ!聞きたいかぃ?」


「余り長くは話せないからかいつまんで教えて」

「・・・なんだい。味気ないじゃないかい?」


「いや、本当に時間無いんだよ」

「ふぅ・・・。仕方ないねぇ」


オルガは、ため息を吐いた風に話を切り出し始めた。


「当時はあたしゃ、それは若かったからねぇ。血の気が多かったんだよ。そんなもんだから集落の中でシャ・グギを見たっていう話がでたら居ても経っても居られなくてねぇ。それで、あたしゃ一匹で見たっていう場所まで行ったんだよ。そしたら大量の糞が落ちてるじゃないかい!匂いを嗅げば一発で分かったよ。こりゃシャ・グギの糞だってねぇ。そこであたしゃピーンときたんさね。シャ・グギの糞を体に塗りたくって、シャ・グギの後を追ったんさね。幸い足跡がクッキリ残っていたからねぇ。迷わなかったよ。夜遅くに巣にが有る場所へたどり着いたんだけどねぇ。そん時、まぁ、なんだね?すごく大きいムベンベの周りに小さいのが集まって寝ているのが見て取れたねぇ。まぁ、そんな所かね」


う〜ん。

余り内容が大雑把すぎて重要な所が無い気がする。


どうしようかなぁ・・・。

ってか、匂いごまかすために糞を体に塗りたくるの?

それはヤダなぁ。


ってかさ?なんで落ちてる糞がシャ・グギの糞だと分かるんだ?

何処でどうやって判断したんだ?


ああああ!もう!これだから大雑把だとわからないんだよっ!ったく!


まぁ、いいや。

恐らく匂いがごまかせれば大丈夫だろう。

もしくは、匂いが届かない風下からとか色々や利用は有る。


風下の遠距離からが狙いめだなぁ。


「なるほど、なんとなく分かったよ。シャ・グギって具体的にどんな形してるの?」

「形?形かい?・・・そりゃバラバラに決まってるだろう」


えっ?

話が見えないよぉ・・・。


「ムベンベって種族はどんな形してるの?」

「ムベンベってにはねぇ。一種類の形をしてないんだよ。いろんな種が混じって一つなんだねぇ。だから羽が生えてる奴もいれば首が長い奴も居る。甲羅が有る奴もいるのさ」


・・・えぇ?

聞いてたT-REXは?


「そう言えば、大きいシャ・グギは大抵、二本足で走る奴だねぇ。頭が大きくて、噛む力が強いんだよ」


それそれ、ソレがT-REX的なやつだよね?


「だけどねぇ。たまに首が長かったり、水の中で生活したりするって話も聞くねぇ」


それはなんですか?


「あたしが見たシャ・グギは頭が大きくて二本足で走るムベンベだったよ」


つまり・・・一定の形をしていないか、

もしくは動物が何らかの理由で集まっている集合体、

あるいは、群体である可能性が出てくるのか?


おいおい。

ちょっと、特定出来ないじゃん。


これがシャ・グギだよ!

って、どうやって説明するんだ?


大きさだけか?


ワンチャン、オルガが見たっていうシャ・グギも、

発見当初言われ始めたシャ・グギとは違うって可能性も有るってことだよね。


もっと言うと、

最初にオルガが聞いたシャ・グギとオルガが見つけたシャ・グギが違うって可能性も有るよね?


う〜ん。

こりゃ前途多難だ。

どうしようかなぁ・・・。


ティティム辺りがOK出せばそれで良いって話に成るんじゃないかな?

ティティムを懐柔したほうがスケジュールが巻いていけそうだ。


なんとなくわかった。


「分かったよ。参考に成った」

「こんなのでいいのかい?まぁ、お前がいいって言うならそれでもいいけどねぇ。シャ・グギには気を付けなよ?冗談抜きで、正面からやり合うんじゃないよ・・・。あたしとは違うからねぇ」


「うん。そもそも見つかるつもり無いから大丈夫だと思う。ヤバかったら逃げるしね」

「そうしとくれ。ティティムも若い雄の中じゃなかなか優秀なヤツなんでねぇ。失いたくないんだよ」


「あー・・・。うん全力で取り組みますんでよろしく。ってかそろそろ戻る」

「はいよっ」


オルガが返事をすると、

そのままギュギュパニの首元のオブジェに気配が吸い込まれてしまった。


ってかかなり前途多難だなぁ。

形や習性が一定じゃないっていうのは話が混ざった結果だろう?

例えば首が長いとか恐らくブロントザウルスとかを目撃したんだろう。

他にも羽が生えているってのも翼竜辺りじゃないかなぁ?

まぁ、T-REXも入ってるって言うし・・・。

どうやってシャ・グギだと証明するかって方が問題じゃないかなぁ?


悩みが尽きない。

少しストレスが大きくなってきたなぁ。

さて、戻る前にウウダギの寝姿でも見て癒やされていこうかなぁ。


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