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準備って、億劫だよね


ギリュリュ一行がこの集落に訪問してから一ヶ月位経っている。

未だに精霊さん&シャ・グギ捕縛系の”問題”には取り掛かっていない。

そんな中、未だに雄連中の交尾ショックは尾を引いている。

表面上は穏やかな日々と成っているけど、

若干数の若いスキクは、ガッツリと、トラウマを抱えている。

その代表がパパムイだ。


「なぁ、ポンピカ」

「ん?どうしたの?」


「俺最近、変なんだ。なんていうか生きてる事に対して張りがないっていうか・・・」

「まだ、引きずっちゃってるの?」


「引きずる?何をだ?」

「いや、パパムイはさ?ギギリカとうまく行ってるの?」


「うまく?まぁ、何時もどおりだぞ?」

「そう?一緒に寝たりしてる?」


「一緒にだって?お前とウウダギじゃないんだぜ?なんで一緒に寝たりしなきゃいけねーんだ?ハンモックが狭くなるだろ」

「いや、そうなんだけどさぁ?」




「変なこときくなよ。それより、なんだか張りがねーんだよ。なんだと思う?」


う〜ん。

いつもの覇気がパパムイから感じられない。

若干、こずるくなってる気がして、パパムイらしくない。

ない頭を使い始めている。


改めさせないと・・・いつもの足りないパパムイが良いなぁ。


「そーだなぁー。今までどんな事にドキドキとかワクワクしてた?」

「そーだな。やっぱり狩りしてるときかな?」


「今でもそうなの?」

「それがよー?こう・・・最近はソレがイマイチなんだ。なんでだろうな?ソレが原因ってやつか?」


「多分、この前受けたショックが尾を引いて、狩りに集中出来ないんだと思うよ」

「ショックってなんだ?」


「まぁ、いいや。最近は狩りに集中できないんだろ?色々心の中でモヤモヤしてさぁ?」

「おお!其の通りだぜ!よく分かるな!?」


「まぁ、多分そうじゃないかと思ったよ」

「じゃぁ、どうすれば良いんだ?」


「そーだなー。幾つか解決方法は有るけど、大きく言うと二通りかなぁ?」

「どんなだ?」


「一個は、時間が解決してくれるってやつだ。まぁ、一年も其の状態はないだろうからね」

「ほう。もう一つは?」


「自分で何かして、解決する能動的な事かな?」

「ノ?ノウ?なんだそれ」


「何か自分で発散する事を見つければ良いんだよ」

「ハッサンってな、なんだ?」


「気分転換って言い換えてもいいかな?」

「ほう。気分を変えるって事だな?」


「そうそう」

「詳しく教えてくれよ。俺足りねーからさっ」


「・・・まぁ、いいや。一番は楽しいことに没頭してみるってことかな?多分気分は良くなるよ」

「楽しい事かぁ・・・。狩りしかねーな・・・いつもやってるぞ?」


「でも集中出来ないんでしょ?」

「お!そうそう!そのシュウチュウってやつが出来ねーんだ。最近獲物を逃しちまう事が結構有るんだぜ、可怪しいだろ?」


「いつも同じ獲物を狙ったりしてるとか?マンネリってやつかもしれないかなぁ?」

「なんだそのマンネリってのは?」


「簡単に言うと、単調な作業で同じことを繰り返すからつまらないって事かな?」

「・・・ふむ。そうかもしれねぇ・・・マンネリか・・・。どうやったら治る?」


「いつもと違う事してみればいいっていう話もきくかな?」

「いつもと違う事か・・・。分かったぜ!ちょっとやる気がでてきた気がするぜ!ありがとよ!」


まぁ、最後の方はいつものパパムイっぽかったかもなぁ。

でも十中八九、交尾ショックだからマンネリ関係無さそうだなぁ。

頑張れよ!パパムイ!


集落で、交尾ショックによる苛烈な影響を受けたのが、

実はパレンケだ。


パパムイは今年が初めてってことも有ってナーバスと言うかトラウマを引きずっているけど、

パレンケは僕らから見ると数年ほど、年上なスキクだ。

”ト”に居たことも有り、色々と制限が有ったのかもしれない・・・まぁ、僕のかってな妄想だけどね。

少なくとも、特殊な環境に居た関係か?

コミュニュケーションがとてもスムーズで出しゃばらない体質だ。

つまり人当たりならぬスキク当たりがものすごく良い。


ソレが幸いしたのか?よくわからないが、

モテモテなんだ。

結果、今年パレンケが頑張った数ってのが30匹ほどだそうで、

ぶっちゃけ頑張りすぎだ。

その頑張りがどうなったかと言うと、

もうひどい有様である。


頭には10を越える傷があり、

両腕には噛まれすぎて、鱗が所々ハゲてしまっている。

当然尻尾が千切れている上に、足にまで傷をこさえている始末。

胸にはそれはもう、デカデカと斜めに裂かれた傷跡が・・・。

よく生きてるなぁ。


今年一年で一生分頑張ったとか?そういう事か?

ちょっと限度は設けたほうが良くないか?


なんだかんだで、ピンピンしてるのは、ンダンダだ。

ありゃ、マイペースな所がそのままなんだよなぁ。

まぁ発情してる時は他と似たりだけど、

交尾ショックの影響が出る期間が一日程度で復帰した。

まぁ、強者だ。

ただ、お相手はいつも農作業してる中で特定の一匹だけどね。

まぁ、傷を作らず済んだ奇跡の一匹とも言える。


イイオオに至っては、前も言ったけど尻尾がやべぇ。

ガッツリちぎられている。

そして、千切られたしっぽが何処に有ると思う?

牧場の小屋の屋根に刺さってるんだよ?

ありえなくない?

そりゃトラウマに成るわ・・・。


まぁ、イイオオはシシブブ一択だったらしく、復帰も早かった。

現状復帰してないのは、精神的にはパパムイで、肉体的にはパレンケだ。


結構主要メンバーがやられた気がする。

自業自得でも有るけどね。


オルガの手下だった例のヤツラもそれぞれ上手いことやった。

まぁ、傷をこさえては居るけど、重症ではない。


オルギュスは左肩に傷は有るものの尻尾が少し生え変わり始めている。

ヒュルルもバルバルもイチヂンも意中の相手ときっちり結ばれたと話を聞いた。

そして、各自軽傷を負っている。


本当に不思議だ。

雄はそんなもんで済んだ。


だけど、一番腑に落ちないのは、

雌連中だ。


知ってる中ではセルセルやシシブブ、ギギリカだ。

この三匹、結ばれた相手が居るにも関わらず、

一番最初に結ばれた相手と交尾したかと思うと、

違う雄の所に移動してしまうらしい。

そして、他の種も受け取ってしまうらしく・・・。

まぁ、昔TVで見た動物系の番組では、

野生の環境だと交尾がカオスに成るっていうのを見たことが有る。

要は、魚で言えば間男とか言うやつだ。


多分習性なんだと思う。

特定の種だけでは、子孫存続には足りないんだろう。

命を繋げるという目的からすれば、

もしかしたら不特定多数の雄と交わった方が、

雌側にはより大きなメリットが発生するのかもしれない。

デメリットは有ると思うけど、それでもそっちの方がメリットが有るんだろう。

ソレがスキクの生存戦略なのかもしれないなぁ。


まぁ、中身が人間の僕は更にスキクとは御免こうむるけどね。

中身日本人だしなぁ・・・。

多夫多婦ってのが、正直信じられない。


だからだろう。

パパムイが弟子の5匹と交尾したらしいし、

パレンケは重複もするかもしれないけど30匹ほどと事をなした。

他は節操を持っていたのか?


・・・絶対僕交尾しない。

怖くて出来ない!


まぁ、其れはさておき。

ウウダギが珍しく埋立地に来てくれと言っているらしい。

伝言を貰った。


僕は、パパムイと別れた後、

弟子連中となんちゃって武術の練習をしていた。


弟子たちは僕の事をシーフーと言う。

正直、シーフーシーフーうるさい。

気に入ったらしい。


一通り訓練が終わったので、

弟子達はそれぞれお手伝いに向かいだした。


手が空いたので呼ばれているウウダギの元へと移動すると、

そこには大きな豆腐建築の建物が3棟建っちゃっているのが分かる。

全然こっちに視察しなかったから全然知らなかった。


かなり進んでるんじゃないか?


「ウウダギ何処?居る?」


結構な数のスキクがいたる所でそれぞれ仕事をしているように見える。

ウウダギの姿が見えないので、取り敢えず手近なスキクに声を掛けると、

ウウダギが居るという方向を指さしてくれる。


指さされた方に向かっている途中、

まぁ、感心しかなかったわ。


よくもまぁ、ここまで作ったなぁとばかり思う。


まず目に着くのが道だ。

きっちり整備されてる。

水はけも良さそうだし、何より側溝が設けられていたり、

他にも排水用の管っぽいのが木製だけど引かれているっぽい。

腐らないかなぁ?と若干思うけど、キット大丈夫だろう。

ウウダギの設計で、ベベビドがOKを出したから管が通るのだ。


他にも所々に変な形の椅子?らしきものが有る。

らしきというのは三日月状の座面が足で支えられているっていう物で、

一見単体で見れば、オブジェ?と思う様な物だけど、

どうやら尻尾が有るスキクやザウスには丁度いい座り心地なんだと思う。

年寄り連中が所々で既に座って井戸端してる。


3棟の建物だけど、普通に5階建てくらいの大きさが有る。

上の方に窓らしきものが有るけど、他には日が差し込むような場所が見当たらない。

ウウダギがそんなミスするはずない。

なにか理由が有るはず。

それにしても、以前建物の基礎部分は終わっているのを見たけど、

だからといって、少しの間で、3棟もの豆腐だけど建築しちゃうとは思わなかった。


それも、壁がコンクリで、表面に薄くスライスしたレンガを互い違いに置いていって、

モルタルで固めるような飾り気がわずかでも有る建物をだ。


正直、心の中では、「すげぇなぁ・・・ウウダギ」と呟いた。


地形的にはだだっ広く唯ひたすらに平な状態のときしか見てなかったけど、

皆が色々と頑張ったおかげで現在は昔の京都の様な作りをし始めている。


正直100匹で使うにしても広いんじゃないかと思うくらい。


3棟の豆腐は、配置が正三角形の頂点の様に位置して建っている。

面白いことにそれぞれが互い互いで10メートルくらいの渡り廊下っぽいもので繋がっているんだ。


流石にこんな考えはウウダギには教えてないけど、

どうやらウウダギは何かを目的にこれを造ったんだろう。


後で用途を聞いておこう。

それにしても不思議。


3棟の豆腐を見上げながら側を通って先に進む。

多分奥の方の何処かにウウダギが居るはず。

さっきのスキクが指さした方向が奥だしね。


しばらく区画が整理されて、

先に道が出来ていて、住宅用地が区分けされている場所を眺める。


よく出来ている。

石畳も引いて、

素足だとちょっと委託はないけど硬いなぁとは思う程度にゴツゴツだ。

スキクの足でこれってことは、多分人間だったら溜まったものじゃないだろう。


まぁ、いいや。

しかし、あれだね。

レンガづくりっぽい所も有ればコンクリの少し灰色なむき出しの場所も有る。

石で覆われている場所も有れば、全体を見るとモザイク状に成ってるんじゃないかと思うほど、

ゴチャゴチャした配色感が否めない。


デザイナーが居ないんだろう。

利便性一辺倒に成ってるのかもしれないなぁ。

なんせ考えて設計してるのウウダギだしね。


色彩の事は僕も余り知らないし、

なんとも言えないけど、

正直森にいるんだから緑の色彩で、

カモフラージュしても面白いんじゃないかと思うんだけどねぇ。


考え事を指定ながら歩みを進めていくと、

数匹のスキクっぽい影とザウスっぽい影が何やrあやっているのが見える。

多分あそこに居るひときわ小さい影は間違いないウウダギだ。


なんだかんだ言って、

ウウダギはよく食べるんんだけど、

一向に大きさが変わらなく成った。

現在はスキクの中でも小さい方な僕の胸の辺りに顔が来るくらいだ。

ホント小さい。


そして可愛い。

クリクリのお目々が特に尊い。

何にしても賢い!それが一番の自慢!

まだまだ有る!・・・。


娘自慢が止まらなくなるので次だ。


近づくと分かるウウダギの側にギリュリュが居て、

その奥で数匹のスキクと一緒に何やらやってるのは、

ティティムだ。


ティティムについてだけど、

この集落を訪問してから、即気絶からの、

昏睡してからの、僕との邂逅・・・みたいな感じになったんだけど、

僕からしたら突然不躾にギュギュパニに手を出し、

カッとなった僕の洗礼にあって、起きたら「誰だお前?」っていわれただけの関係だ。


まぁ、それは良いけど、

あの二匹がこの集落にまだ居るのは、

クロデルが完治していないからだけど・・・。

この数週間で随分この集落に馴染んだ。


若干、馴染みすぎた。

この間、ギリュリュがご飯を食べて、

色々見て回っている時に、たまたま僕の横を素通りすることが有ったんだけど、

その時に口走った独り言がヤバイなぁと思ったんだよね。

なんて言ったか分かる?「あぁ〜。”ト”に帰りたくないなぁ」だよ?

ティティムは、面と向かって、「この集落住心地が最高だ!飯も上手いしなっ!」とか言う。

完全にノリがパパムイなんだよなぁ。


ギュギュパニの一族って、雄はみんなパパムイで雌は皆ギュギュパニなんじゃないかと、

正直疑ってる今日この頃です。


そんな二匹がウウダギと何やらやっている。

近づくと、ティムhチムの悲痛な泣き言が聞こえてくる。

かなりのボリュウムで騒いでいるのが分かる。


それをギリュリュが笑いながら、アレやれだのこれはこうしろとか言っている。

その横で、小さい声でウウダギが「違う、そこ違う。もっと真っ直ぐ」とか、

「やり直し、もう一回最初から」とかどれもダメ出ししている。


随分とティティムがこき使われている気がする。

まぁ、ウウダギが楽しそうなら僕は気にしないんだけどね。


「ウウダギ。呼んでたよね?」


後ろから声を掛けると、

ウウダギがクルッと僕を向き、

見たかと思うと、サッと僕の方へと駆けってくる。

バタバタな走り方だけど、それも可愛い。


ガシッと僕にしがみついて、

可愛い顔で見上げてくる。


どうしてくれよう・・・可愛すぎて・・・やばい。


「どうしたの?ウウダギ」

「ポンピカ。見る。あそこ」


ウウダギが指を指した方向には、まだ作りかけだけど、

屋根のない大浴場の様な施設があり、

既に煙が出ているお湯が張られている。


お風呂っていやぁ。

随分前に避難所の丘の足元の辺りに、

傾斜を利用したそれぽいのを造ったっきりだったなぁ。


「ウウダギ、お風呂造ったの?」

「うん。ポンピカ喜ぶ」


確かに嬉しい。

若干口元がニヤける。


「ありがとうね。ウウダギ」

「大丈夫。僕、他も出来る。でも分からないがある。教えて」


ウウダギでも分からない事が有るのか?

正直既に僕より頭が良いし、

発想も色々ともう抜かれてるはずだけど・・・。

これ答えれる質問だよね?若干不安なんだけど・・・。


「ポンピカ。あの水、熱くする」

「ああ、お湯ねお湯が必要だよね」


「それ、大きな鍋で水沸かす。量が沢山。一片には無理、どうする?」


なるほど、お湯を作るのが大変だといいたいのかな?

その解決法が知りたいと?


「お湯を一度に沢山作りたいの?」


ウンウンという。

う〜んなんて可愛いんだ。


「じゃぁ、ボイラーの仕組みを教えようかな?そうすれば色々と役に立ちそうだしね」

「ボイラー?」


「うん。まぁ、簡単に言っちゃえば沢山の管の中に水を通して、その管を温めれば、通過した水が暖められて、お湯に成るっていう仕組みだけど、それを効率的にやる方法は沢山有って、用途もバラバラなんだよ。今回のお風呂なら、渦巻状に管を造ってその中を下から水を通すんだ。熱された水はやがてお湯になってそしてお湯は水より体積が大きく成るからそのまま上にどんどん流れていくんだよ」

「カンは何?」


「管っていうのは、筒状のながーい物の事だけど、火に直接掛けるなら金属製が理想かな?」

「キンゾク。ギュギュパニ作れる?」


「どうだろう?意外に器用出し教えれば作れるかもね」

「わかった」


ん?何がわかったんだ?

分かったってことはギュギュパニにお願いするってことか?

それなら僕に作り方をギュギュパニに教えてくれと言うはずだ。

ウウダギは自分で出来ない時はちゃんと他人と言うか他のにまかせるから・・・。


でも、何やらジッと考えているウウダギ。

余りウウダギが考えている時に声を掛けるのは控えるようにしてるんだ。


「よう!ポンピカ。元気してるかい?」

「ギリュリュはどうなの?」


「あたしゃ快調さっ!クロデルが治るまでは帰れないからね」

「クロデルまだ治らないの?」


「そりゃね。足がポッキリだからねぇ」

「・・・ホントごめんなさい」


「ハハハ仕方ないさ、クロデルも分かってるとあたしゃ思うね」

「そう?それならいいけど・・・」


「おい!ポンピカ!お前の子供変だぞ!なんとかシロ!」

「ティティムあんたいきなりどうしたね?ウウダギの言いつけは守ったのかい?」


「言いつけじゃないだろ!俺が仕事手伝ってやるって言ったらここまでコキつかわれるなんて思ってねーよ!」

「ハハハ。まぁ、なんにしてもこの集落は他とは別だね。あんたも少しは慣れるこった」


「笑い事じゃねーんだって!見ろよあれ!彼処のハシラって棒を建てるのに困ってたからよぉ?手伝ってたらよぉ?何回やり直しさせんだよ!そこのガキ!頭どうかしてるぜ?」

「あぁ・・・。ティティム聞いた話じゃ、ポンピカは子供をバカにしたり傷つけたりすると、命を奪うらしいから、言葉には、気を付けたほうがいいと思うけどねぇ・・・」


つぎの瞬間には、

まぁ、僕が動いてたわけで、あっという間に

泥だらけのティティムが宙を舞い、

地面に音もなくふせられたかと思うと、

あっという間に意識が無くなった。


ティティムが地面についた瞬間「ヒュッ」って音がしたかなぁ。

まぁいいけど、殺しはしないさ、あとでちゃんと謝りたまえ。


「ったく・・・いわんこっちゃない。まぁ、自業自得だな。 ポンピカ、後で謝りを入れさせるよ」

「ああ、ウウダギに言ってねって言っといてね」


「そうだね。ウウダギにだね」


こんな事が有っても考え込んでしまったウウダギには全然見えていないし聞こえていない。

一回自分の世界に入ると解決するまで一時停止してしまうのがまぁ、らしいっちゃらしい。


「そう言えばポンピカ。お前”ト”に来るつもりはないかい?」

「急にどうしたの?」


「いや、お前位の変わったスキクが”ト”に居りゃ、いい暮らしが出来るってもんだけどね?どうだい?」

「う〜ん?いい暮らしって言ってもなぁ?正直ここよりいい暮らしは期待出来ないと思うけどね?」


「そんなことはないぞ?好きな時に好きなだけ”戦”が出来るんだ。皆それを見て楽しんでいるし、それを仕事にしているスキクやザウスまで居るんだ。お前に向いてるだろ?」

「ん?あれ?もしかして、勘違いしてない?僕別に争うのが好きなタイプじゃないんだけど・・・」


「・・・んな馬鹿な・・・じゃぁ、なんでティティムはこうなるんだい?」

「え?そんなこと言ってもなぁ。ティティムが弱いだけだよ?」


「んなコタないだろ、ティティムは”ト”でここに来るまで”戦”で飯食ってたんだよ?」

「・・・そんなこと言ったって・・・事実は変わんないでしょ」


「う〜ん。そういうものかねぇ?」

「まぁ、いいや、ギリュリュはしばらく居るんでしょ?」


「ああ、居させてもらう。楽しいし学べることは学んでいこうと思うよ。随分と変わった所だからね」

「わかったよ。取り敢えず、僕は自分の事やりに戻るよ」


「あいよ。 あ、そう言えばいい忘れてたけど、お前クロゥを殺ったんだろ?」

「・・・トリケラ頭の話だよね?」


「そのトリケラ何とかは知らんが多分そうだね」

「それが?」


「あの一族は旅をする連中が多いんだ」

「へー。旅に慣れてるようには見えなかったけどね?」


「いや、そこじゃないんだ。此の辺りの集落で、一族が死んだっていう話は既に”ト”に流れていたんだよ。 一応気をつけといたほうがいいよ」

「・・・なるほど、忠告ってやつか。心に留めておくよ」


ギリュリュが無言でうなずく。

なんとなくそんなことには成るだろうとは思ったけど、

まぁ、トリケラ頭っぽいのが”ト”のザウスのスタンダードなタイプなら、

むしろ攻め込んでくるおは必然だよね。


対策立てよう。

結構急務っぽいなぁ。


「ウウダギちょっと、優先を変えようか?」

「ん?ポンピカなに?」



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