繁殖期の騒動は一大事
メガテリウムの件からこっち数日が経っってるんだけど、
最近集落の雄と雌の異常行動が目に着く。
どんな事かと言えば、
以前、パパムイやギギリカがやっていたような、
首を縦にクイックイッとやったりカックッカックと小刻みに横に降ったりするんだ。
族長含め年配の十数匹は、そういう事には成っていないんだけど、
若いと行っても、もう成体になったスキクは、
なんかしらのアクションを異性へと投げかけているのが見て取れる。
知識の無い僕でも先日言ってたギギリカとかパパムイの話しから察することが出来た。
まぁ、いわゆる求愛行動なのだろうと・・・。
例にもれず、パパムイとギギリカは見つめ合えば、
必ずと言ってクイックイして、カックカクする。
それを見ていた、シシブブとイイオオも似たような行動を取る。
そんでもって連鎖的にソレが広がっていったりするんだ。
もうね。
此の集落は心ここにあらずって感じだ。
完全に自分の仕事をすっぽかして、
求愛をし始める輩も出てきている。
そう言えば、去年の今時期に似たような光景を見た気がしないでもない。
余り興味がなかったんだ。
そんで、親である族長は既に歳で、
求愛行動や番を設けなかったわけだから、
僕が知りようもないと言えばそうなる。
まだ、成体していない個体、
子供たちはこの光景を見てどのようなことを考えるんだろうか?
面白がって真似したりしないかなぁ?
情操教育上、悪い影響が出なきゃいいんだけどね。
まぁ、原始的な生活してるんだからこんなもんって言えばそうなんだろうけどね。
そうそう、子供たちは好き有っているペアもいるには、いるんだけど、
成体と同じ行動はしない様子が見て取れる。
別にこれと言って、何か変わった行動は取らない。
つまり何時もどおりだ。
やっぱ成長によって、行動が変わるんだろうかね?
見ていて不思議だなぁって思う。
あ、目の前をパパムイがギギリカの後を付いて練り歩いてる。
なんで、金魚のフンみたいに付いて歩くんだろう?
ギギリカも特に何処に行くでもなく、
集落の中をぐ〜るぐる回っていたり、
仕事をしている風を装ってるけど、
尻尾が真上に跳ね上がっていたり、
なんだろうかなぁ?
雄を誘うよう気分なんだろうか?
その尻尾を見たパパムイ以外の雄は、
目が釘付けになって、
パパムイと同じで首をカックカクし始めたりする。
まぁ、面白いっちゃー面白い。
見てて飽きないかなぁ?
パターンはそこそこバリエーションが有るみたいで、
一見すると分からない感じも有る。
ただ、共通して言えるのは、
求愛行動をしている間は、皆、
知能が低下してるように見受けられる。
なんって言うか、
尻尾を机にぶつけたり、
仮設のテントをなぎ倒したり、
カックカクする拍子に隣の雄の顔にぶつかってるし、
それを気に留めないという始末だ。
それに受け答えも心ここにあらずとはいい言い方に聞こえるほどだ。
ぶっちゃけ支離滅裂だ。
会話が成立しない。
この異常行動が始まって2日目で僕はため息を付いて、
話しかけるのをしばらく待つことにしたほどだ。
ぶっちゃけ、大事件と言っていいレベルだなぁ。
こんなときに外の輩がなんか攻めてきたら一溜まりもない。
集落の強化はやっぱり前倒ししてもいいんじゃないかなぁ?
まぁ、ベネネズ、ベルルベの親子はそういうのが気に食わないのか?
採掘場に二匹で引きこもってしまった。
随分早い段階からだけどね。
様子を見れば知っていると言うか、
僕と関係性の有る連中の殆どが番、
もしくは複数対複数みたいな形で固まり始めている。
意外なこともわかった。
バルバルも、やはりスキクなんだろう。
側を通る雌に首をカックカクしたりアプローチをかけたりする様子が見受けられる。
そして、オルギュスも然り、
また、イヂジンとセルセルは言わず我もで、ペアだ。
ヒュルルもカックカクしてる。
ンダンダも名前は忘れたけど、
最初から野菜に魅了された雌と仲良くなっているご様子。
面白いのがパレンケとパチャクケチャクの3匹だ。
これは、面白いなぁと思う。
パチャクケチャクは二匹が同時にアプローチするタイミングが頻発する。
やはり一卵性双子なのがそうさせてるんだろうか?
まぁ、どっちでもいいけど、それに対して、パレンケは挟まれる形で両方へと媚を売る。
もう、やり手としか思えない手腕を見せる。
二匹同時にしかも平等に扱うんだ。
すげぇなぁと思った。
意外な所で、
もう一つ。
まぁわかったことではあるんだけど、
エネルルとブルググだ。
なんやかんやあって、くっついちまった。
まぁ、成るように成ったんだろうと思うけど、
どうなんだろうな〜?とも思う。
まぁ、自分ではないから分かりゃしないんだけどね。
「ポンピカ」
可愛いウウダギが朝のお勤めが終わった後に不思議そうに聞いてくる。
「皆変」
それは、僕もそう思うよ。
「皆、仕事出来ない。進まない」
そうね。
僕もそう思う。
「ポンピカ。治せない?」
「・・・時間が治してくれると思う。正直、病気じゃないからねぇ。治すとか出来ないんだ」
「病気違う? わかった」
本当にわかったのかな?
まぁ、ウウダギの事だ、大体は察してくれるだろう。
しかし、本当に物事が進まなくなるなぁ。
「ポンピカ。あんたはマトモなんだねぇ」
「そういうギュギュパニもマトモに見えるよ?ギュギュパニも繁殖期とかにならないの?」
「あたしみたいな歳のザウスはもう用済みなんだよ。もう此の歳になって浮かれるってのもねぇ」
「へーそういうものなんだね?」
「むしろ、あたしの方が聞きたいさね。あんたはスキクなのになんであの中に居ないんだい?あたしゃウウダギがほっとかれてると思って心配できてみたんだよ」
「あー。そうね。まぁ、僕は正直繁殖期だからとかわかんないかなぁ?なんで皆あの首をカクカク動かしたりするんだろう?あんなので良し悪しが分かるものなのかな?」
「・・・やっぱりあんたは、スキクを辞めてるねぇ。まぁ、それはそれでいいけど、それより何も出来なくて退屈だろう?どうだい?あたしらと散歩でもしてこないかい?皆しばらくはこんな状態だからねぇ」
「一週間くらいこんな状態だったよね?去年はそのくらいだった気がする」
「そうだねぇ。今年は、数も多いからどうなるか走らないけどねぇ」
「ふーん。まぁ、子供たちとウウダギ、後は繁殖期に関係ないヤツ連れて少し離れるとするか」
「あたしゃ、そのつもりで声かけたんだよ」
「あー。いいよ。僕もどうせならこの空いた時間で、精霊さんでも探すことにする」
「セイレイサンってのは、ラマナイ様かい?」
「うん。ヴァレヴァレが合流する寸前で行方をくらましたんだよ。何処ほっつき歩いてるか怪しくってね。まぁ、居なきゃ居ないでいいんだけど、いる場所とか把握してないと気が気じゃなくてね」
「なるほど、なんとなくポンピカの言いたい事はわかったよ。取り敢えず、繁殖期じゃない奴らを集めるとするよ。あんたも手伝いなっ」
「はーい」
ウウダギと一緒にギュギュパニの後をついて回ることにした。
族長やズズナドとヴァレヴァレから来た年寄り連中を束ね。
ウウダギがデデンゴ筆頭に子供達をまとめ上げて、
繁殖期で騒いでる連中から少し離れた所にいどうした。
移動したら下で即席のテントを設け、
寝床を用意することに成る。
今繁殖に関係ない数が大体50匹前後だ。
数えてないけど、だいたいそのくらいに見える。
ヴァレヴァレから来た連中の中で、半分を占めるのが、子供たちだ。
のこりの半分は年寄りだ。
そんでもってそこそこ年齢入ってるものの、戦やなんかには向かないとされた雌が残りで、
雄の数匹っていうのが、まぁ、オルガに付いてきたヒュルルとかそこら編だけだ。
ぶっちゃけ雄の率が低すぎる。
これ、僕みたいな成体で若い繁殖能力の有る個体が繁殖をしないのは、
マナー違反と言うか道徳違反とかなんか社会的な違反にならないかなぁ?
ぶっちゃけると、スキクとは恋愛出来ないんだよなぁ。
可愛いとは思うんだけど、その”可愛い”がペットやなんかの可愛いだから、
女の子が可愛いとかでもないんだ。
性的な意味が無いんだよなぁ。
はぁ、まぁ、いいや。
さて、しばらく被害を被らないために浮かれてる連中の観察しながら精霊さんを見つけようかな?